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県政だより みえ

観光が経済を動かす

 東芝で社長・会長を歴任され、日本経済団体連合会副会長として経済界で活躍される三重県出身の西田 厚聰(にしだ あつとし)さん。

 現在、日本観光振興協会会長も務める西田さんに三重県の魅力とこれからの観光についてお話を伺いました。

はじめに

 

知事:今回「県政だより みえ」の対談シリーズ第二弾ということで、社団法人日本観光振興協会会長の西田厚聰さんに登場いただきました。よろしくお願いいたします。

西田:こちらこそ、よろしくお願いします。

西田会長と鈴木知事


三重県で過ごした思い出

 

知事:西田さんは長い海外経験をお持ちですが、高校生までは三重県で過ごされていたそうですね。当時の三重県の思い出はどのようなものでしょうか。

西田:尾鷲の思い出になりますが、海あり山あり川ありと、豊かな自然の中で比較的のんびりと、しかし自由に、ある意味では、はつらつと過ごしたと思います。なかでも、海というのは世界に向かって開かれているイメージがありますよね。高校時代、世界史の先生が授業の前に必ず「諸君、尾鷲湾はテムズ川に通じているということを忘れないでくれたまえ」と言っていました。いいことを言うなぁと、ずいぶん印象に残り、この言葉が忘れられません。私は中近東や欧州、米国など、海外で13年半くらい暮らしました。高校生のときは、海外に住むなどと思ってもみませんでしたが、この先生の言葉で、この海の向こうにある広い世界というものを、頭の片隅に置くようになったのかもしれません。今の若い人たちも、大きな広い世界を常に忘れないでほしいですね。

知事:同感です。ほかにも思い出されることはありますか?

西田:私は父が教師をしていた関係で、今の尾鷲市や紀北町の中で、三浦、須賀利、三木里、そして海山町と、小学校の間に4回転校しました。この辺りは山を一つこえると語尾が違うんですよ。後で聞いたら、言語学者の金田一春彦さんが「尾鷲近辺で山を一つ越えると方言が違うことについては、言語学的に全く研究が進んでいない」ということを言われていました。私は6年生までは次々に変わった語尾を覚えて、方言でしゃべっていたのですが、語尾変化に、なかなかついていくことができず、中学生になったときにやめました。それ以降、中学校時代には、比較的標準語に近い、ラジオで話しているような言葉をしゃべるようになりました。

知事:金田一さんがおっしゃるんですからすごいですね。

西田:まだまだ、思い出がたくさんあります。後になって、よかったと思うのは、小学生の頃に学んだ農業です。私の家は父が教師であったため、赴任先に土地も田畑もなかったので、農繁期になると父から土曜日と日曜日に働かせてもらってきなさいと言われ、朝早くから知り合いのところで農業のお手伝いをさせてもらいました。そこで学んだことは大きかったですね。農業というのは体で覚えないとだめなんです。体験して体得する。単なる抽象的な経験じゃないんですね。これは会社に入ってからも、たいへん役に立ちました。


多様な魅力をもつ三重県

 

知事:農業の体験をするなど、普段の生活の中にあった良い素材を生かして幼少時代にいろいろ学んだことが、今のいろんなお仕事につながっているんですね。高校卒業後は、いろいろ海外にも行かれていますが、三重県を離れて改めて感じることはありますか?

笑顔で話す西田会長

西田:外から見ると、三重県は、一つの統一したイメージを抱きにくいように思います。伊勢神宮をはじめ、熊野古道、松阪牛、伊賀忍者、鈴鹿サーキット等個別のブランドが先行して有名になっていると感じます。

知事:そうですね。コンビナート、海女さん、丸山千枚田もそれぞれがキャラ立ちしているというか、個性が確立していますね。

西田:それぞれが非常によく知られた“いいブランド"になっています。これを統一ブランディングみたいなことをしたほうがいいのかもしれませんが、逆に、その多様性によって、日本人から外国人まで、さまざまなニーズに対応できるのではないかと思うのです。

知事:食事で言えば、「三重県定食」のようにイメージを固定化するのではなく、好きなものを自由にとれるバイキング形式にするということでしょうか。「いろいろありますのでご自由に食べてください」という売り方みたいに、来県された方に観光するところを選び取っていただき、旅を自由に組み立ててもらうのもいいかもしれませんね。


首都圏における観光PR

 

西田:三重県に来ていただく観光客には特徴的な傾向があります。観光客の割合は、大まかに県内が3、名古屋を中心とした中部圏が3、大阪を中心とした関西圏が3、首都圏が1なんです。やっぱり首都圏からの旅行者が少ないです。人口の多い首都圏で、三重県の魅力が広く認知されるようになれば、より多くの方々に来ていただけると思います。

知事:そのために、東京事務所に営業専門の部署を設けました。首都圏での情報発信を強化していくことによって、県内への誘客につなげていこうと考えています。首都圏で、流す情報量や流す中身の質を上げるためには、三重県で考えるのではなく、東京で考えた方がよいと思っています。

西田:しかし一方で、最近、旅行をしない若者が増えてきていますよね。

知事:そうなんです。三重県への交通手段は結構便利になりましたが、東京にいると、わざわざ三重県に行かなくても、簡単に伊勢エビが食べられます。だったら別に行くことないかなということなんですね。行ってみてわかる価値や観光の楽しさみたいなものが若い世代にまだ共有されていないようです。

西田:食べ物には、実際にその地を訪れなければ感じることができない本当の魅力があると思っています。これをいかに知っていただくかです。やっぱり現地の風土の中で実際に体験していただきたいですね。県の調査を見ると、三重県の観光客は非常にリピーターが多いんですね。一回来ると、三重県の観光地の良さが分かり、また行こうと思ってもらえる場所なので、まず一度、三重県へ来ていただくための仕掛けが必要ですね。そして、何とかして若い人たちにもっと旅行をしていただければと思います。

座って話す西田会長と鈴木知事


チャンスを生かす

 

知事:ちょうど来年は神宮の式年遷宮があります。また、再来年は熊野古道の世界遺産登録10周年にあたりますので、これを好機と捉え、キャンペーンを始めていきたいと考えています。

西田:どこかへ旅行に行こうかなと思っている人たちに、いかに伊勢へ、あるいは三重県の観光地へ来ていただけるようにするかが大切です。三重県の観光について、もう一つ特徴的なのは、外国人観光客が比較的に少ないことですね。これだけの観光名所を持っている割には、少ないかもしれません。

座って話す鈴木知事

知事:おっしゃるとおりです。我々も原因を分析しながら、少しずつ努力しているところなんです。例えばアジアや中国の方とお話しすると、ミキモト、松阪牛、鈴鹿サーキットを知っているのに三重県に来たことがないと言われます。来てもらうためには、どう仕掛けていけば良いのかと悩んでいるところです。何かアドバイスをいただけないでしょうか。

西田:かつては台湾からの観光客が一番多かったんですが、今は半分以下に減っています。代わりに中国、韓国からの観光客が増えてきていることも少し考えないといけないですね。

知事:来年、日本と台湾の観光関係者が交流する「日台観光サミット」を西田さんのご尽力により、三重県で開催させていただくことが決まりました。近年、台湾からの観光客は5年で約半分に減少していますが、今台湾の方にどこの国が好きですかと聞くと52%の人が「日本」と答えられ、2位は8%で「アメリカ」ということらしいです。しかもご年配の方だけじゃなくて、20代、30代の方に聞いても60%くらいの人が、日本を好きだとおっしゃってくださるものですから、そのチャンスを生かしきれてないということを反省しています。「日台観光サミット」という日本と台湾の観光関係者が一同に会するところで、三重県をPRさせていただくことで、台湾における日本の認知度やファン度が、ぐっと上がるのではと期待しています。また、世界に向けても三重県をPRしていきたいと考えています。

西田:ぜひその機会を有効に使っていただいて、台湾の皆さんにもっと来ていただけるといいですね。あと、もう一つ特徴的なことと言いますと、修学旅行の皆さんの数が減ってしまいました。どうして減ったのかよく分かりませんが、もっと増えるといいですよね。

知事:そうですね。平成元年には22万人くらいが修学旅行で伊勢神宮に訪れていましたが、最近では約3万人になっています。この20年間で7分の1ほどになってしまっているんです。関西方面からの修学旅行が少なくなってきているので、例えば阪神電車と近鉄を利用して一直線で来るようにするとか、関西方面での教育関係の皆さんに情報を発信するとか、いろんな取り組みをして、「教育上こういう意味があるから三重県に修学旅行に行くんです」と言ってもらえるような伝え方を少し考えないといけないと思っています。それに、子どものときに修学旅行とかで来たら、また行ってみようって思いますからね。

西田:そうですね。それは大きいですね。


グローバルな戦略を

 

知事:西田さんは、いろんな取り組みをご存じだと思いますので、他の国やあるいは国内の自治体でもいいのですが、うまくPRしているなとか、最近こういう面白いことをしているよという、参考になる取り組みがあれば教えてください。

西田:広島の宮島が、フランスのモンサンミシェルと、海に浮かぶ世界遺産で、千年以上の歴史があるという共通点から交流を深めており、フランスでは宮島がとても人気だそうですよ。

知事:やっぱり共感する見せ方だったり、コンセプトだったり、・るいは、みんなが目にする効果的な媒体をうまく使ったりしたのでしょうか。

西田:そういうものを見つけ出すのは、そう簡単なことではないですけどね。三重県は、中国と姉妹都市になっているところがありますよね?

知事:河南省が友好提携25周年になります。昨年河南省へ行かせていただいた時に、観光協定を初めて結びまして、いろんな観光に関する交流をしています。今年の5月には、河南省の皆さんが津市で、河南省の観光PRをされました。また、河南省の省都である鄭州(ていしゅう)との飛行機の便が、経由地はありますが、機体の乗り換えなしで待ち時間もほとんどなく、行き来できるようになりました。せっかくの友好提携ですので、「三重県に来てください」というばかりじゃなく、「こちらからも行きます」ということを言っていきたいと思っています。

西田:そうですね。お互いギブアンドテイクでないといけませんね。

座って話す西田会長

知事:あと、今流行の、例えば医療やスポーツで観光をつないだニューツーリズム。そういうものにも力を入れていかないといけないと思っています。三重県はスポーツツーリズムの面で、F1が行われるサーキットがあります。世界的には、タイがメディカルツーリズム(医療観光)に成功していますよね。

西田:タイの医療観光を見ますと、本当にこれは戦略だということが分かります。タイでは、国が国家戦略と定め、すごい病院を建て、そこに外国から医者を呼んで、世界でも高いレベルの素晴らしい医療機器をどんどん入れています。しかもタイの医学生たちを海外に留学させ、彼らが帰ってくるまでは、外国人の医者たちで持ちこたえるんです。すごいですよ。医療観光の旅行客は世界で600万人いるといわれていますが、タイは200万人もいるんです。

知事:全体の3分の1ですか。

西田:こういったことは、急にやろうと思ってやれるものではなく、とにかく戦略をきちんとたてて、投資をして、長年かけてここまでくるという典型です。

知事:いずれにしても、しっかり戦略を立てて、やると決めたら徹底的にやるということが成功例を招いているということですね。

西田:日本はやっと観光立国の宣言をしたところです。新成長戦略の中で、観光分野は今後の成長が期待できる大きな柱の一つになりました。いかに戦略的にやっていくか。観光もグローバルな産業になりました。まずは他の国に行こうと思っている人たちをいかにして日本に来てもらうようにするか。また、国内でもどうやってその人たちを伊勢に来ていただくよう、あるいは三重県のいろんな観光地に来ていただくよう仕掛けるか。二重の競争があるので、グローバルな競争力を身につけないことには、日本に、三重に、外国人観光客を誘致することはできません。

知事:三重県では、昨年「みえの観光振興に関する条例」と計画をつくりました。これを絵に描いた餅にすることなく、しっかり実践していこうと思っています。

西田:計画を読ませていただきました。大変良い計画だと思います。期間は4年間ということですが、フォローアップは、四半期ぐらいの短期間でしていくのがよいと思います。1年に1回のフォローアップでは、なかなか手が打てないですからね。

知事:四半期ごとに課題を見つけて修正していく必要があるということですね。

西田:目標を達成できるように頑張ってください。日本観光振興協会としても、今後もぜひサポートさせていただきたいと思います。また、三重県は私の故郷でもありますし、東芝としても、三重県に大変重要な工場を立地しています。いろんな意味で、私もがんばってまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。

 


県民一人ひとりのチカラで

 

知事:ありがとうございます。最後に、故郷三重へのメッセージをお願いします。

西田:地域経済を活性化させるための方策の一つとして観光があります。そして、その観光は、県民の皆さんが育て上げていくものだと思っています。つまり、観光地の人たちだけがいくら「おもてなしの心」だと言っていてもそれは作り物であって、本物ではないのです。県民の皆さん全員で「観光を支えるために、自分たちに何ができるのだろうか?」ということを考えていただき、実践していただくことこそが、真の「おもてなしの心」につながっていくと思うのです。四季折々の三重県の自然や、美味しい海の幸や山の幸など、これらをうまく組み合わせて、活性化に向け、ぜひがんばっていただきたいと思います。

知事:県民の皆さんとともに「みえの観光振興に関する条例」や計画に、魂を吹き込んで実践していきます。これからもよろしくお願いいたします。

握手する西田会長と鈴木知事

対談場所:三重県東京事務所(東京都千代田区)

「みえの観光振興に関する条例」などはこちらからご覧いただけます。/D1KANKO/index.htm

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