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  6.  平成24年10月号知事対談【第4回】瀬木直貴さん
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県政だより みえ

映画でつながる人と夢

  たくさんの人の輪を幾重にも広げ、県内はもとより全国各地で映画を撮り続ける瀬木直貴監督。
 瀬木監督の映画づくりには、地域づくりに通じるヒントが満ちあふれていました。

故郷の歴史文化を伝えたい

 

知事:よろしくお願いします。

瀬木:よろしくお願いします。

知事:瀬木さんは四日市市のご出身で、三重県の観光大使としても、三重県のPRに大変ご協力いただき、ありがとうございます。そして、四日市や県内で数々の映画を撮られていますね。故郷である四日市や三重に対しての思いが感じられ、大変嬉しく思います。
 中でも、菰野町を舞台にした「Good Luck~恋結びの里~」は、シカゴ国際児童映画祭に出品されると伺いました。おめでとうございます。胸に手を当てて話す瀬木監督

瀬木:ありがとうございます。この作品は、11才の少年の揺れる恋心や成長していく姿を、菰野町の「僧兵まつり」と町おこしのテーマ「恋結びの街」を題材にして描いた物語です。子どもからお年寄りまで、幅広い年代の方に楽しんでいただける映画に仕上がったと思います。
 私は、ただ単に、地元で撮影したり、方言を使ったりするのではなく、その土地に語り継がれている歴史や生活の営みの中に存在している文化を、物語にどう反映させるかということに関心を持って映画をつくっています。

 


夢をつくる仕事


 知事:瀬木さんの映画は、地域の皆さんが役をもらったり、PRに関わったりと、多くの人たちとともにつくりあげる手法をとられていますよね。

瀬木:私にとって、映画をつくることも楽しいのですが、実はそれ以上に楽しいところは、縁が縁を呼び、その縁が広まっていくことなんです。大きな映画の場合、数万人が関わります。「Good Luck」も延べ数千人は関わっていただいていると思います。そういう大勢の方とのご縁を楽しめるからやっているということです。そして、少なからず、それが地域振興に役立つと思っています。映画単体で地域に経済効果があるとか、振興をもたらすとは言えないですね。映画に関わる皆さんが、映画にちなんだ商品を開発したり、観光開発をしたりすることが、活性化の大きな力につながるのではないかと思っているんです。
 ですから、私の映画は見学者お断りなんですよ。多くの方に関わってもらうために、見学に来たら、エキストラで出演するか、スタッフとして活動してもらいたいからなんです。当事者感覚を持っていただくことが重要だと考えています。

知事:なるほど。映画に何らかの形で関わることで、その関わった人たちや、地元の人たちも、映画に対する思い入れや愛着が出てきますよね。
 ところで、最新作の「ROUTE42」が間もなく上映されます。この映画はどんなストーリーなんですか?

瀬木:この映画は、さまざまなトラウマを抱えている、20代後半の男女4人が主人公です。心の傷を負った若者たちが一台の車に乗って、伊勢から熊野への旅の中で、いかにして、生きる力や生きる喜びを獲得していくかという姿を描いた、せつない大人の物語になっています。8月17日の熊野大花火大会でクランクアップしました。3週間の撮影でしたが、相当いい映像が撮れましたよ。

知事: 楽しみですね。伊勢や熊野と言えば、来年は伊勢神宮が式年遷宮、再来年は熊野古道が世界遺産登録10周年を迎えるので、映画の舞台となったこれらの地域を、三重県も全力を挙げてPRしていきたいと思います。この映画のPRには、高校生も参加しているようですね。

瀬木:そうなんです。尾鷲高校の皆さんが、PR用の冊子を作ってくれたんです。学生の皆さんのモチベーションが非常に高くて、撮影現場にも取材に来てくれました。主役の俳優さんたちにドキドキしながら取材している姿は、微笑ましく、皆さんの将来の夢につながればいいなと思いました。夢を与えることも私たちの仕事の一つですね。
 あと、木本高校でも撮影をしたときにエキストラを募集したら、あっという間に集まりまして、高校生ならではの凛々しい表情、若さが弾けた表情がたくさん撮れましたね。

知事:プロの方と出会い、取材して、あるいは演技をして、出来上がったものが世に出る。この貴重な経験は、きっと高校生の皆さんの自信になったと思います。

笑顔で話を聴く知事

 


感動を共有することが嬉しい

 

瀬木:「ROUTE42」の発想の原点は、昨年発生した東日本大震災および紀伊半島大水害です。昨年は九州で「ラーメン侍」、三重で「Good Luck」、今年は静岡で「果てぬ村のミナ」という3つの映画を撮ったのですが、これらの作品は、子どもからお年寄りまでが楽しんでいただけるよう、特に意識してつくりました。私は、本当に辛いことや、厳しいこと、悲しみを抱えながら生きていくことが人生だと思うんです。災害から1年以上が経ち、もう次の段階に来ているなと感じました。ですので「ROUTE42」では、さまざまな辛さや悲しさを抱えながら生きていく中に、生きる喜びもあるんだということをメッセージとして発信していきたい、と思っています。

知事:紀伊半島大水害の被害を受けた地域は、現在も復興途上ですが、このように映画の舞台にしていただくことで、また、あらためて自分の地域に誇りを持つことができると思います。
 私も、撮影がクランクアップした熊野大花火大会に行ってきました。とにかく感動しました。期待していたものを超えた時に起こる感情が感動なんだと思うんです。期待を超えるまさに感動の花火でした。熊野市の皆さんは、この花火を地域の誇りに思っていらっしゃいますね。

瀬木:感動するものは、自分も見たいですが、それ以上に、ほかの人に見せたいものなんですよ。一緒に映画をつくってきた約50人のスタッフが、仕事を忘れて花火に夢中になっている姿が、私にとっては嬉しかったですね。


多くの出会いが地域の力に

 

知事の話に聞き入る瀬木監督

知事:人に見せたくなるっていうことはとても重要ですよね。このような地域の誇りが「ROUTE42」では満載なんだろうなと思って、楽しみにしています。
 「ROUTE42」は地域ごとに、上映委員会を作って進めていると聞いたのですが、どんな方式なんですか?

瀬木:それぞれの町で上映していただきたいという希望がもともとあったんですが、どうやって進めたらいいか分からなかったんです。そうしたら、それぞれの町での上映に向けて、町おこしや地域づくりに関わってみえるキーパーソンの皆さんが、とても熱心に協力してくれました。地域に対する映画の効用は、外から視線をあびて地域が変わっていくことや、観光客を誘客することもありますが、それ以上に、映画との関わりの中で、たくさんの人と出会い、人と人のつながりが広がり、地域の力になっていくことだと思います。

知事:映画との関わりをとおして、楽しんで、しかも地域までPRしてしまおうという素晴らしい取り組みですね。県の総合計画「みえ県民力ビジョン」の中でも、地域の人たちがアクティブ・シチズンとして、主体的に行動してもらうことを掲げています。自分の夢や希望に向かって、誰かがやってくれるだろうではなく、大切な地域、家族、仲間のために、自ら行動していく県民が増えてほしいという思いで私たちも取り組んでいます。

瀬木:将来的には、そこで生まれ育った子どもたちが、自分のまちはこんなまちだと言えるようになってほしいですね。難しい言葉でいうと、地域アイデンティティの再構築につながることが、映画づくりという文化活動の最終的なゴールではないかと思っています。


生まれ育った四日市

 

知事:瀬木さんは、出身地である三重県を離れて映画を撮っておられますが、改めて感じる三重県の魅力とはどういうものでしょうか?

瀬木:そうですね。僕が生まれ育った四日市には石油化学コンビナートがあります。小さいころから赤白の煙突から出てくる煙の流れを見て、風の向きや強さ、季節を感じていましたね。

瀬木監督に話す知事知事:季節を感じていたのですか?

瀬木:そうです。この石油化学コンビナートも僕の中では生まれ育った自然環境の一つなんです。だから懐かしさをすごく感じますね。三重県は、工業都市と自然環境のバランスが非常にうまくとれていると思いますね。

知事:確かにそうですね。ただ、今でもコンビナートの歴史をたどれば否定的に捉えることもあると思いますが、いかがでしょうか。

瀬木:コンビナートの歴史は忘れてはいけないことだと思います。

知事:物事は角度によって捉え方が異なってきますよね。全否定ということはなくて、心次第で積極的に捉えられる部分もあると思うし、そう捉えてもらいたいと思います。

 

 

地域オリジナルにこだわる

 

知事:ところで、「ROUTE42」や「Good Luck」のストーリーは瀬木さんが一から考えられるんですか?

瀬木:どの映画も、オリジナルの作品ですよ。シナリオの元になるストーリーは、全部私が書いています。

知事:そういうストーリーは、どういう時に思いつくんですか。

瀬木:この町で散歩をしている時ですね。

知事:歩く速度でものを見つめている時に、ぱっと思い浮かぶということですか。

瀬木:そのとおりです。車や自転車に乗っていたら、見つけられないものでも、ゆっくりと歩いていると見つかるんですよ。その土地に住んでいる方の暮らしや、軒先に張ったクモの巣、道端に咲いている野花などから物語ができていくと思っています。
 今までに、地域をベースにしたオリジナル作品を15本撮りました。これほど継続的に撮っている監督はいないと思いますね。三重県出身の映画評論家の吉村英夫(よしむらひでお)先生には、「一生この方法でやってください」と言っていただきました。

知事:それでは、瀬木さんのこれからの夢は、地域ベースの映画を撮り続けるということですか?

瀬木:そうですね。それもオリジナル作品でと決めています。海外の映画祭で評価されたり、興行成績が上がったりするのは、通過点であって、映画が評価されることによって、応援してくれたり、関わってくださったりした数千人の皆さんの喜ぶ表情が見たいですね。

知事:素晴らしいですね。一つの映画をつくるのに、どれぐらいの構想期間がかかるものですか?

瀬木:映画のワンサイクルは、一般的に4年から5年と言われています。構想からシーン集めなどの準備期間が2年。映画を撮影して編集して完成するまでに半年かかりますね。その半年後に公開。公開してからはDVDを発売したり、テレビ番組で放映したり、それでだいたい4年から5年ですね。でも私の場合は、構想から実現まで2年くらいでしょうか。

知事:サイクルとしては、すごく短いですね。

瀬木:今後もずっとこのペースで撮り続けるのは、難しいと思いますが、いい作品を継続的に出していきたいです。


三重県は私の誇り

知事:では最後に、県民の皆さんへメッセージをお願いします。

瀬木:私は、東日本大震災のあと、すぐに福島県でボランティア活動を行いました。その後も岩手県、宮城県などで上映会を開いていたところ、被災者の方たちから、「三重県は私たちの町をすごく応援してくれた」と感謝されたんです。三重県出身者として今までで一番嬉しかった瞬間でした。三重県はすばらしい、誇りを持てる県だ、というこの感覚を、私は映画を通じて県民の皆さんと共有したいと思っています。気力、体力が続く限り、映画を撮り続けますよ。

知事:自分たちの地域が脚光を浴びるということは、地域の皆さんの誇りや自信につながり、もっと頑張ろうという力を生みますね。瀬木さんには、生涯現役監督で、ぜひまた、三重県を題材にした作品をたくさん撮っていただければありがたいです。今後、ますますのご活躍を期待しています。ありがとうございました。

瀬木:ありがとうございました。

 四日市港をバックに握手をする知事と瀬木監督

 

対談場所:四日市港ポートビル(四日市市霞2丁目)  

 

本ページに関する問い合わせ先

三重県 戦略企画部 広聴広報課 広報班 〒514-8570 
津市広明町13番地(本庁3階)
電話番号:059-224-2788 
ファクス番号:059-224-2032 
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