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山下 裕子先生

 

山下 裕子先生


生まれてきてくれてありがとう

 一日中とても忙しいお母さんですからいつも子どもに向き合ってばかりいられません。また常にその場で子どもの欲求を満たしてばかりいては、子どもが我慢する事を覚えられません。その場の状況に応じてお母さんの用事を優先してもいいのです。
 ただその時に大事なのは、子どもの話を聞かずに親の都合だけをいうのではなくまず子どもの気持ちを受け止めてあげることです。子どもが「お母さん」とよびかけてきたとき「はい、なあに」と優しく振り向いてあげてください。「あなたを受け止めるよ」という温かなまなざしが「愛されている実感」として子どもの心に積み重なります。
 とはいえ、忙しいお母さんですから「せめてこの用事がすむまで待ってほしい」と思ってしまいますよね。そんな時は「ちょっと待って」と我慢も必要です。ただ待ってもらった後に「待っててくれてありがとう。ママうれしいわ」とフォローもしっかりしてあげてくださいね。
スキンシップ・・・特に幼児期は「抱っこ」が必要です。
スキンシップ、最大のチャンスは一日二回訪れます。
①朝、起きてきたとき   ②幼稚園・保育園から帰宅したとき
それは母親の手を離れ<一人旅>から帰ってきたときです。 「おかえり」とギュッと抱っこ・・お母さんに抱きしめられて子どもの心は安心感と幸せに満たされて安定します。スキンシップを日々積み重ねることで子どもの心に豊かな情緒が培われていくのです。又、不思議なことに抱きしめることによってお母さんも優しい気持ちになれます。イライラすることがあっても不思議と心が落ち着きます。
 “スキンシップは親と子の心をつなぐ魔法”
ぜひ試してみてください。


あなたらしくでいいよ

 長引く自粛生活、新しい生活様式が取り入れられ、日々の生活が大きく変化してきています。規制の多い生活の中、親自身のストレスからイライラしてついつい子どもに怒ってしまうことも多々あるのではないでしょうか?『怒る』と『𠮟る』とは違います。『怒る』とは自分の感情が入ってしまい八つ当たりに近くなってしまいます。今回は『ほめ方・𠮟り方』をお話しさせて頂きます。
  <ほめる・𠮟るの目的>
 子どもが自分で考え善悪良否を正しく判断してそれに基づいて行動できるよう育てる。つまり人間らしい人間にすることです。
   ★子どもの能力をのばすほめ方
     (1)ほめるときは行動をした時すぐほめる
     (2)ほめる対象をはっきりとさせる
     (3)努力したことをほめる
     (4)親の思いに応えた時ほめる
   ★子どもの人間性を育てる𠮟り方
     (1)感情的に𠮟らない
     (2)子どもの人格を傷つける𠮟り方はしない
     (3)𠮟る時は𠮟る対象を限定する
     (4)失敗や過ちは𠮟らない
     (5)子どもの成長に合わせた𠮟り方をする
 特に幼児期には『さっき』という時間の観念が無いので「ほめる」「𠮟る」はすぐに行ってあげてください。
 また幼児期の子どもは自分のしていることが良いことか悪いことかわかっていないので「ほめる」「𠮟る」を使って善悪良否の判断ができるように育ててあげてください。
 とは言ってもついカッ!となって怒ってしまうことが多々あるかと思います。そんな時は「私、怒りすぎたね。ゴメンね。」と優しく抱いてあげてください。
 またアンガーマネジメントとして怒ろうとする時少し深呼吸をしてみる・数秒、間をおく・その場から離れるなどの方法があります。是非意識してみてください。


あなたの頑張りを子どもはちゃんとみています

 猛暑が続き、コロナの増加で自粛生活から思うように外出も出来ず…。それでも仕事・家事・子育てとしなくてはならないことが沢山あって“イライラ“してしまいますよね。自分の時間ってなかなか取れません。「こんな生活から解放されたい」と思ってしまうこともあるのではないでしょうか?そして子どもさんの寝顔を見てはそんな風に考えてしまう自分に自己嫌悪・・・。苦しいですよね。でも今皆さんがしていることは必ず我が子の心に終生消えない安らぎとなって生涯彼らの人生を支え続けます。それには今精一杯のスキンシップ、そして親自身の自己肯定感を高めることが大切です。前回はスキンシップのお話をお伝えさせて頂きました。今回は【自己肯定感】についてお伝えさせていただきます。
 自己肯定感とは・・・自分は愛される価値のある人間だと思える。
           ありのままの自分を肯定し好意的に受け止められる。
 世界と比較をしてみても日本人は自己肯定感が著しく低いです。
『自分のことが好きですか?』と問われたとき皆さんは「はい!」と返事できますか?
 自己肯定感を高めるには・・・?
(子どもの場合)
①子どもの意見を尊重する
②子どもの話をよく聞く
③結果ではなく努力をほめる
④他の子と比べない (競育)
(親の場合)
①自分はどうしてこのような時“怒り”が出るのか等幼少期の自分を振り返る
②周りの人に自分の心を話す
③自分を認めてあげる(頑張っている自分をほめる)

 ほんの少しの時間(夜の布団の中)でも自分を“ぎゅっ”と抱きしめて
『今日も頑張った!えらいえらい!』と自分をほめてあげてください。

 自分をほめて頑張っているあなたを見てお子さんも自分をほめて頑張るお子さんに成長します。
    まずは自分の自己肯定感を高めましょうね!

 


自信を育てるお手伝い

 自分のことが自分でできる。
 人の為に動ける子になる。
 人と助け合う喜びを味わう。
 コロナと共存する。あるいはしていかなければならない、家庭で皆が、協力し生きていかなければならないこの時代―幼い子供さんにも“お手伝い”を通して【私も大切な家族の一員】という自覚をさせてあげるのもいいのではないでしょうか?
 今回は“お手伝い“のお話をさせていただきますね。
 お手伝いをさせている家庭に伺ってみると子どもにお手伝いをさせている理由には、
①親子で一緒の時間を楽しむ
②「やりたい」という気持ちを大切にしよう…などと聞かせていただきました。
 かと言って幼児期にどんなお手伝いを?と思いますよね。この時期の子どもは親が「やめて~!」と言いたくなることをたくさんします。子どもは親のすることをよく見ているのでティッシュやリモコンなど名前や置き場所のわかる物を取ってきてくれたりします。又、自分の事を自分でしようとすることも立派なお手伝いです。配膳は是非挑戦させてあげてください。「これは○○、これは○○のお箸」などと子どもは積極的に手伝ってくれるはずです。又、サラダ作りなど、レタスを手でちぎる、トマトを洗うなど“したい“と言ってきたら安全なことからさせてあげてください。
 おもちゃの片付けもお手伝いの一つです。「おもちゃもおうちに帰れて喜んでいるよ」などと、“物に気持ちがある”と思っている子どもの気持ちを大切に言葉かけしてみてあげてくださいね。
 お手伝いの成功体験を重ねることによってやる気もぐんぐんアップします。
 【できた!】という体験を是非沢山させてあげてください。
 親としては「後片付けが大変!」と、思う時があるかもしれませんが“大好きな人の役に立つ”という体験は子どもの大きな自信となります。
 その自信が成長していく子どもには大きな役割を果たしていきます。
 子どもは人から聞いたことは忘れやすいのですが、自分で体験したことや、人から身をもってしてもらった体験は心に残ります。
 お手伝いを進んでしてもらえるようにするには、「指示」したり「𠮟る」言葉は控えて自発的にしてくれた時にしっかり褒めて共に喜びを味わってあげてください。その時に感じた喜びや誇らしさが【またやろう】という意欲になります。是非、失敗を恐れず挑戦させてあげてみてくださいね。


「子どもは遊びの中で育ちます」

 水遊びが楽しい時期がやってきましたね。夏休みも近づいてお父さん・お母さんにとっては大変ですが子ども達にとっては公園・プール・キャンプ等自然の中で遊ぶ機会が沢山あることでしょう。子どもが熱中するのは遊んでいる時です。「遊び」の経験こそが“情緒面”“学習面”等子どもの能力を伸ばすのに生きてきます。今回はその「遊び」がテーマです。遊びの中には対人的抵抗力(人に慣れる力)社会性(人と仲良くする力)の二つの条件が備わっていてこの二つの条件は友達と遊ぶ中で体験しながら身に付けていきます。
★幼児期の遊び
  ・傍観遊び(1~2歳頃)
     他の子が遊んでいる様子を見て自分も遊んでいる気持ちになる。
  ・平行遊び(2~3歳頃)
     同じ遊び場にいてもバラバラの遊びをしている状態。友達と本格的 
     に遊んでいくための準備段階。
  ・ケンカ遊び(3~4歳頃)
     「悪意のない自己中心性」で全て自分中心に考えるので友達と衝突
     したりするがケンカから仲直りの仕方、我慢の心を学び社会性を身につける。
  ・連合遊び(4~5歳頃)
     友達との協調性を発揮するようになる。
     物の貸し借りができるようになる。
  ・協力遊び(5~6歳頃)
     一つの物を作り出すために友達と協力できるようになる。
 何にでも興味が動く好奇心、やりたい事を見つけて取り組む意欲、失敗してもチャレンジする柔軟性、「今、この時」に没頭できる集中力など人間として自立するために必要な能力が遊びの中で培われます。
 親が友達を選ぶのではなく、沢山の子ども達と遊ぶ機会を是非与えてあげてくださいね。


「思いやりの心を育てる」

 冬の気配がそこまで来ている今日この頃・・・子どもの秋の行事(遠足・運動会など)皆さんにとっては忙しい時期ですね。子どもを育てていると思いどおりにいかないことが沢山あります。「感情的に𠮟ってはいけない!もっと優しい心で触れ合わないと・・・」とわかっているんだけど・・・できない!そのような心を抱えながら子育てに奮闘している皆さん。その心の葛藤はよりよい触れ合いをしたいという深い愛情と思いやりがあればこそです。人は元来「自分のしたことで人に喜ばれると嬉しい」(有能性)と感じる心を持っているので自分がしてもらって嬉しかったことは他の人にもするようになります。ですから大人である私達が思いやりの心で触れ合っていくと、子どもの中にも豊かな心・誰にでも思いやりをかけてあげられる心が育っていきます。

 思いやりの心は大人の愛情によって育つので子どもの成長に応じて思いをかけてあげることが大切です。例えば乳幼児期には、泣いたら「○○ちゃん、どうしたの?」となるべくすぐ応えてあげたり、道で転んで「痛いよー!」と泣いたら「痛かったね。」とまず子どもの思いに共感してあげてください。またどの子にも有能性があるので私達を助けてお手伝いをしてくれた時など「○○ちゃん、ありがとう。優しいね。それを思いやりというのよ。」とその行動が思いやりの行動であることを気づかせてあげてください。

 そして私達が生活の中でお互いを思いあう場面(夫婦間・嫁姑間・近所付き合いなど)を沢山見せてあげることで思いやりの心をどのように言葉や行動で具現化していくかを学ばせてあげてください。

 愛情が充分満たされていれば【愛されれば愛する】のごとく他人に愛を与えられる子になります。
 思いやりの心が育つと、常に相手の立場に立って物事を考えることができるようになるので他人の喜び・悲しみも自分の喜び・悲しみとなり自我の拡大につながり、自己肯定感も高まります。
  皆さんが持っているたくさんの愛情を子どもさんに精一杯注いであげてください。

幼児期は「情」でしつける~しつけ~

 新年が明け、いきなり大寒波が訪れ沢山の雪が降りましたね。
 大人にとっては大変なことですが子どもは雪を見てとても喜んだのではないでしょうか?
  寒さに負けず、雪だるまを作っている子どもさんも沢山みえたことでしょう。子どもはとっても無邪気で純粋ですね。
  時が止まっていつまでも、この無邪気なままで過ごして欲しいと願いますが、成長と共に園や学校に上がると守るべきルールや我慢しなければならないことが多々出てきます。幼児期から、しっかりしつけをして「人と共に・人の為に」という精神を育ててあげることが不可欠です。
  今回はその「しつけ」のお話です。

 しつけは、大きく二つに分けることができます。

立ち居振る舞いのしつけ(型)・・・自分の置かれた生活様式に応じた行動を身に着けさせること

道義的なしつけ(心)・・・人として守るべき道筋を子どもの心に刻むこと

 幼児期はまず、基本的な生活習慣(型)を身につけさせることが大切です。
 食事・睡眠・排泄・着衣・清潔という人間らしく生きるためのこの5つの基本的なことは、乳幼児のころは、周囲にしてもらっていましたが、幼稚(保育)園では自分でする必要があります。

 人間は心が動いて(情感)始めて行動を起こすので、幼児期は特にでしつけることが大切です。おもちゃのお片付けができたら、「お片付け、最後まで頑張れてすごいね!うれしいわ!」などと情でほめてあげてください。
 また幼児期の模倣性を活用し、5つの基本的な生活習慣の見本を大人が見せてあげて、それが出来たら、「すごいね!」と思い切り喜んであげたりしてください。
 頑張った喜びが、子どもの心に刻まれ、何度も繰り返すうちに、自然に出来るようになります。

 近年、「しつけ」と称して毎日のように虐待が取り沙汰されていますが、これは「しつけ」ではなく、「脅し」です。この「脅し」は親子の信頼関係をなくし、また、子どもの自己肯定感も損なってしまいます。

 どうか、お子さんの頑張ったこと、できたことを精一杯喜んであげて、「この子なら必ずできる!」と、信じて見守ってあげてください。

「子どもの心のケガに気を付けましょう」

 子どもが指を切ったり膝を擦りむいたりすると、心配ですぐに病院に連れて行ったり薬を付けてあげるでしょう。
 ところが、心にケガをした場合、目には見えませんし、痛みもしないので、気づかずに放置してしまいがちですが時には取り返しのつかない重症となる場合もあります。

 夜泣き、食欲減退、幼稚園に行く前に「お腹が痛い!」と泣き出す。このような症状は心のケガの表れかもしれませんので、対処してあげる必要があります。
 
 また、心のケガが子どもの性格に関係する場合もあります。親が子どもに必要以上に高い期待をかけすぎると、「私はダメな子なのだ」と劣等感を持ちます。
 過保護・溺愛をし過ぎると、外に出ることが不安で、他人を冷たく感じるので臆病な子になりがちです。
 愛情不足から自分に手をかけて欲しくて意地悪な行動をしたり、弟・妹が産まれた淋しさから赤ちゃん返りをする子は、嫉妬心の強い子になりがちです。
 このように心のケガが現れたなら、基本的欲求を満たしてあげてください。人間の基本的欲求は3つあります。
 ① 承認の欲求・・認めてあげる
 ② 愛情に対する欲求・・どの子にもそれぞれ100%の愛情をかける
 ③社会貢献の欲求・・人のために役に立ちたいという欲求(有能性)があるのでお手伝いをさせてあげる  

 子どもの心を癒やし、人間らしく生きていけるよう、スキンシップなどしながら愛の充電をしてあげてください。
 子どもが理不尽なことを言った場合は、その言葉の裏にある心を受け入れ、思いやりをかけてあげてください。
 
 思いやりをかけてあげることで他人を思いやる子に育ちます。そして心のケガを癒やして社会に押し出してあげてください。

 心の痛みを感じた分だけ、人の心の痛みがわかる心豊かな人間に育っていきます。

ぐずる子どもどうすればいい?~我慢~

 ぐずりや反抗などの困った行動は「わがまま」と見ずに「成長」や「可能性」として尊重することが大切です。これらを尊重することは何も“子どもの言いなりになる”という事ではありません。それを機会として我慢を学んだり、親との信頼関係を築いたりするチャンス!と受けとめることです。

 もし、子どもが“かんしゃく”を起こしたならそれは親子関係がうまくいっている証拠です。親が自分の思い通りに子どもを抑えつけていたら子どもは“かんしゃく”すら起こせません。子どもがかんしゃくを起こしたとき

子どもの気持ちをよく聞いて共感してあげる。そのうえで『ダメなことはダメ!』と毅然とした態度で
 優しく諭せば本当の我慢する心は育ちます。

②『買い物に行ったら子どもがおねだりする』等よくありますね。“おねだりしない表”を作るなどしておねだり
 しなかった時には表にシールを貼ってほめてあげるなどしてあげてください。

【我慢の心】とは・・・?
  自己の欲求の充足を自らの力でコントロールすることで、我慢することは社会生活を送るために必要なことです。

【我慢の心の育て方】
⑴ 乳児期・・・親自身が自己中心性の心を我慢して、泣いたらすぐに返事をしてあげ、まず信頼関係を
        作ってください。(原信頼)

⑵幼児期・・・〇欲しいものがあっても“お誕生日まで待とうね。”などと時を稼ぐ
       〇共感し納得させる。
       〇“ママ、嬉しいわ”などと理論よりも情で話しかける。
       〇食事のマナー、着衣、手洗いなど基本的な生活習慣を自分でできるように身に着けさせる。
       〇一度『いけない!』といったことは最後まで我慢させ親が折れない。

 乳幼児期からの日常の温かい触れ合いで我慢という配線が組み込まれます。我慢の心が育ってないと、目標を立てても挫折しやすかったり、異性間の問題、犯罪にブレーキが掛けられなくなってしまいます。

 我慢できる子に育つと、我慢することによる苦痛や不快感を知るので、人への優しさが育ちます。 小さいときからの触れ合いで我慢を育てることは、大人になった時に自らブレーキが掛けられるようになるということに繋がっていきます。

 幼児期の今からしっかり我慢の心を育ててあげてくださいね。