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平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第84号

答申

1 審査会の結論

 実施機関は、本件異議申立ての対象となった公文書の部分開示決定を取消し、非開示とした情報のうち、審査会が別紙1で開示と判断した部分を開示すべきである。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成11年7月9日付けで三重県情報公開条例(昭和62年三重県条例第34号。以下「条例」という。)に基づき行った、下記(1)の開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成11年7月21日付けで行った下記(2)の椋川改修計画に関する文書の部分開示決定(以下「本決定」という。)の取消しを求めるというものである。
 なお、実施機関は、下記(2)①の文書のうち、「別冊 椋川の現況流下能力」を除く部分(以下「本件対象公文書」という。)を非開示とし、(2)①のうち「別冊 椋川の現況流下能力」及び②から④の文書については、開示したところである。

(1)椋川改修計画の全てが分かる文書
(2)①改修計画
  ②素案となった測量
  ③流況解析等の資料
  ④H11年度の事業計画の公文書

3 本件対象公文書について

 本件対象公文書は、一級河川鈴鹿川の支川である椋川の改修計画を樹立するため、建設省との事前協議用の基礎資料として、実施機関が外部に業務委託して作成したものである。

4 実施機関の部分開示理由説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本件対象公文書は条例第8条第3号(国等協力関係情報)及び第4号(意思形成過程情報)に該当し、部分開示が妥当というものである。
 国庫補助事業により河川改良工事を実施しようとする場合には、県が事業計画を策定しなければならず、この策定には河川法第79条の規定に基づき、建設大臣の認可が必要となっている。本件対象公文書は、国庫補助事業により椋川の改修工事を実施しようとするため作成した資料であり、現在、建設省と協議中のものである。したがって、現時点で確定したものではなく、今後も変更の可能性がある、すなわち意思形成過程の情報であり、確定していない段階で公表すると、その後内容が変更された場合、地域住民に新旧計画の是非について無用の混乱を招くおそれがある。また、河川工事は、実施に際し用地買収を伴うため、概略を知るに足る平面図、横断図を含む本件対象公文書を開示することにより、第三者による投機目的の起業地の買収等、特定の者に不当な利益を与えるおそれがある。河川管理者である県としては、計画が確定した段階、すなわち建設省との協議を終えた段階で統一的に公表すべきであり、現時点で公表することはできない。
 改修計画は、建設省との協議を終えた時点で、地域住民により構成される流域懇談会、学識経験者等により構成する流域委員会への提示後、公告縦覧をして、住民からの意見を聞く機会を設けており、計画の見直しも可能であるため、その時点で公表すれば足りると考える。
 なお、本決定における部分開示理由は、条例第8条第4号(意思形成過程情報)であるが、椋川改修にかかる全体計画は、国の補助により河川事業の事業計画であり、建設大臣の認可取得後でなければ公表しないよう口頭で指導されていることから、認可取得前に公表することは国との協力関係を著しく損なうおそれがある。よって、条例第8条第3号(国等協力関係情報)にも該当するので、部分開示理由の追加をする。

5 異議申立ての理由

 異議申立人の主張を総合すると、次に掲げる理由から実施機関の決定は違法である、というものである。
 椋川は、過去に一次改修を終えたにもかかわらず、度々出水による被害を引き起こしている。今回の改修計画を策定しなければならなかった理由や、その計画が真にその被災原因や対処工法を的確に反映したものであるか、また、再々にわたる雨水災害の発生を抑止し得るものであるかを知ることが開示請求の目的であった。しかしながら、実施機関は、本件対象公文書は、現在建設省と協議中であり、確定したものではないとして本件対象公文書を非開示としたが、建設省との協議に用いられる資料が、県としての確定した意思を反映したものでないはずはなく、矛盾であると言わざるを得ない。実施機関は、早急に計画を公表し、地元住民と地権者の同意を得る努力をすべきである。

6 審査会の判断

 実施機関は、本件対象公文書については、現在建設省と協議中のものであり、今後変更の可能性があることから条例第8条第4号(意思形成過程情報)に該当するとともに、建設大臣の認可取得後でなければ公表しないよう建設省から口頭で指導されていることから第3号(国等協力関係情報)に該当するので部分開示が妥当である、と主張している。
 なお、実施機関は本決定で第4号(意思形成過程情報)に該当するとして部分開示としたが、審査会での説明等で第3号(国等協力関係情報)にも該当するとして部分開示理由を追加したいとしている。部分開示理由の付記が行政手続きの一環として条例上規定されているにもかかわらず、異議申立ての段階で部分開示理由の追加を無制限に認めると、非開示理由の付記を求めた条例の趣旨が没却され、信義に反する結果となる。したがって、異議申立人の攻撃防御の機会を実質的に奪うような理由の追加は許されないと解すべきである。
 しかし、本件事案の場合、十分異議申立人に意見陳述の機会が付与されているので、本件事案について再度異議申立てと再決定が繰り返されることなく、紛争の一回的解決が可能となり、迅速な最終決定に資すると考えられるので、これを認めるものとする。

(1)基本的な考え方について

 条例の目的は、県民の公文書の開示を求める権利を明らかにするとともに、県民の県政に対する理解と信頼を深め、開かれた県政を一層推進する、というものである。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。
 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下について判断する。
 なお、本件異議申立ては、改正された三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号)の施行前になされた処分にかかるものであるため、改正前の条例に則して判断する。

(2)第3号(国等協力関係情報)の意義について

 本号は、県の行政が、国等との密接な関係のもとに執行されていることから、県と国等との協力関係、信頼関係を維持するため、開示することにより、これらの関係を損なうと認められる情報は、非開示とすることができる旨を定めたものである。

(3)第4号(意思形成過程情報)の意義について

 本号は、行政における内部的な審議、検討、調査研究等が円滑に行われることを確保する観点から定めたものである。

(4)第3号(国等協力関係情報)の該当性について

 実施機関は、建設大臣の認可取得後でなければ公表しないよう建設省から口頭で指導されていることから第3号(国等協力関係情報)に該当するので部分開示が妥当であると主張している。
 本号に該当するか否かは、「単に建設省の意に反するというだけでは信頼関係が損なわれるとはいえず、建設省の非開示の指導に合理的な理由があるか否か」を判断する必要がある。
 一般的に公共事業の推進にあたっては、計画立案の段階で住民に対して十分な情報提供がなされ、住民の意見を取り入れたうえで計画を立てることが望まれる。建設大臣による認可取得後まで事業計画の公表を控えるべきであるとの、建設省の口頭による指導は、事業実施に際して無用な混乱が生じる可能性を避けようという意図のあらわれと推測されるが、本件対象公文書を開示することにより、実施機関と建設省との信頼関係が著しく損なわれるとは考えられず、合理的な理由があるとは言えない。
 よって、本号には該当しないものと判断する。

(5)第4号(意思形成過程情報)の該当性について

 本件対象公文書は、県が椋川の改修工事を国庫補助事業により実施していくうえで建設省との事前協議を進めるため、外部に業務委託をして作成した資料である。現在、建設省と協議中であり、協議をする中で同計画の内容に変更の可能性があり、承認を得ていない現段階で本件対象公文書を開示することにより、県民に誤解や無用の混乱を招くおそれがあると、実施機関は主張している。
 しかしながら、今後変更の可能性のある情報であっても、それを開示することによって当該計画等に著しい支障が生ずる客観的なおそれがあるか否かという点について判断しなければ、本号に該当するとは言えない。そこで、以下について判断することとする。
 本件対象公文書は、建設省との事前協議か終了していないとしても実施機関内部の意思は相当程度形成されているということができ、全く未成熟なものではない。また、実施機関が主張するように、仮に本件対象公文書が今後変更の可能性のある情報であっても、その旨を明示のうえ開示するなどして、県民に周知し、無用の誤解や混乱を回避するために必要な措置を講じればよい。むしろ本件対象公文書の内容が変更された場合には、その過程や理由を明らかにすることこそ本情報公開制度の意義のあるところである。よって実施機関が本件対象公文書の全ての部分を開示しないこととした本決定が、本号に該当するとは認め難い。しかしながら、本件対象公文書の中には、用地買収にかかる位置を明らかに特定できる平面図、横断図等の情報があり、これらの情報は関係住民の利害に直接関係することから、現時点でこれを開示すると、関係住民が買収への期待や不安を抱いたり、用地買い占めを図るものが出現する等無用な混乱を生ずるおそれがないとは言えない。また、これらの情報は本件改修計画の有効性や合理性を検討するうえで、それほど重要ではないので、非開示とすることによる弊害も少ないと思われる。よって、これらの情報について非開示とした実施機関の判断は肯認できる。なお、本件対象公文書の内容が事前協議等により変更された場合でも変更された過程や理由を示す情報を含め、後日開示されることが望まれる。

(6)結論

 よって、主文のとおり答申する。

7 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙2審査会の処理経過のとおりである。


別紙1

対象公文書

文書の名称 実施機関の判断
及び非開示理由
審査会の判断
及び非開示理由
椋川河川改修計画書 非開示
条例8条3号及び4号に該当
開示
(鈴鹿川との合流点処理にかかる図-3(鈴鹿川画案)を除く)(条例第8条4号に該当)
椋川水理計画書 非開示
8条3号及び4号
開示
参考資料1 測点No.2における各流量別等流計算結果 非開示
8条3号及び4号
開示
参考資料2 不等流計算結果 非開示
8条3号及び4号
開示
別冊資料1 参考資料(概算工費) 非開示
8条3号及び4号
開示
別冊資料2 裏資料(概算工賃)
※裏付け資料
非開示
8条3号及び4号
開示
(以下添付図面)    
椋川改修計画図 非開示
8条3号及び4号
非開示
8条4号
平面図 非開示
8条3号及び4号
非開示
8条4号
縦断面図 非開示
8条3号及び4号
開示
標準横断図 非開示
8条3号及び4号
非開示
8条4号
横断面図 非開示
8条3号及び4号
非開示
8条4号
橋梁一般図 非開示
8条3号及び4号
開示
取水堰一般図 非開示
8条3号及び4号
開示
床止工一般図 非開示
8条3号及び4号
開示

別紙2

審査会の処理経過

年月日 処理内容
11.9.24 ・諮問書受理
11.9.24 ・実施機関に対して部分開示理由説明書の提出依頼
11.10.7 ・部分開示説明書受理
11.10.7 ・異議申立人に対して部分開示理由説明書(写)の送付、
意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
11.12.20 ・書面審理
・実施機関の部分開示理由説明の聴取
(第104回審査会)
12.2.14 ・異議申立人の口頭意見陳述
・審議
(第105回審査会)
12.3.9 ・実施機関の補足説明聴取
・審議
(第106回審査会)
12.3.27 ・実施機関の補足説明聴取
・審議
(第107回審査会)
12.4.18 ・審議
・答申
(第108回審査会)

三重県情報公開審査会委員

職名 氏名 役職等
会長 岡本 祐次 三重短期大学法経科教授
会長職務代理者 曽和 俊文 関西学院大学法学部教授
委員 渡辺 澄子 松阪大学短期大学部教授
委員 早川 忠宏 弁護士
委員 樹神 成 三重大学人文学部教授 

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