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情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第89号

答申

1 審査会の結論

 実施機関は、本件異議申立ての対象となった非開示決定を取り消し、改めて開示または部分開示の決定を行うべきである。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成12年1月27日付けで三重県情報公開条例(昭和62年三重県条例第34号。以下「条例」という。)に基づき行った「北勢沿岸流域下水道第19、20、21、22、23工区(分区も含む)の契約関係図書、工事関係図書の全て・文書の範囲については、各工区毎又は各工事契約毎の簿冊に表示分類されている全てを示す」との開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成12年3月6日付けで行った非開示決定(以下「本決定」という。)の取消しを求めるというものである。

3 実施機関の非開示理由説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本件請求は、第6条第2号に規定する「公文書を特定するために必要な事項」の記載がないこと、及び条例第4条に規定する利用者の責務を果たしていないこと(権利濫用)を理由に非開示が妥当というものである。

(1)条例第6条第2号では、公文書の開示を請求しようとするものは、「開示を請求しようとする公文書を特定するために必要な事項」を記載した請求書を提出しなければならないと規定しているが、本件請求は特定するに足る事項の記載がなく、膨大な量の中から該当の公文書を特定することは極めて困難である。そこで、本件請求受領後、決定期間延長を通知すると同時に、異議申立人に対して請求にかかる「公文書を特定に足りる事項」を求めるため、文書により照会をしたが、異義申立人からの回答を得ることができなかったことから、非開示決定をしたところである。

(2)条例第4条では「公文書の開示を請求するものは、この条例により保障された権利を正当に行使する」と規定しているが、これまで異議申立人は、頻繁に大量請求を繰り返し、公文書の特定に非協力であるばかりか、開示決定をしても閲覧に来なかったり、開示にあたっても、開示文書以外の文書の提出を、時には威嚇的とも思える言動で求めるなど、権利の濫用ともいえる行為を繰り返しており、本件請求も特定の困難なかつ広範囲で大量な内容であり、権利の正当な行使とは認めがたい。

4 異議申立ての理由

 異議申立人の主張を総合すると、次に掲げる理由から実施機関の決定は、条例の解釈運用を誤っているというものである。

(1)請求者の意図が開示された公文書に基づく監査請求にあることを知り、自らがなした業務に確信を持てないため、また、開示に応じることにより自らの不正が暴露されることを恐れたため、不当な決定を行ったもので到底容認できない。

(2)公文書を特定できないという理由は、自らの業務を理解しておらず、文書整理が適正になされていないことの証左である。

(3)公文書を特定できないという理由で、開示請求に対して「期間延長」や「非開示決定」がなされるとすれば、情報公開制度は空疎で形式的なものと言わざるを得ない。

5 審査会の判断

(1)基本的な考え方について

 条例第1条によると、本条例の目的は、県民の公文書の開示を求める権利を明らかにするとともに、県民の県政に対する理解と信頼を深め、開かれた県政を一層推進する、というものである。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。
 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下について判断する。なお、本件異議申立ては、改正された三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号)の施行前になされた処分にかかるものであるため、改正前の条例に則して判断する。

(2)第6条第2号の意義について

 本条は、公文書の開示を請求する際の具体的な手続きを定めたものであり、公文書の開示を請求しようとするものは、実施機関に対して、一定要件を満たした事項を記載した請求書を提出しなければならないことを定めたものである。

(3)第6条第2号の適用について

 実施機関は、本件事案の請求内容では、異議申立人が求める公文書が特定できず、請求受領後、異議申立人に対して特定するよう協力を求めたにもかかわらず、回答が得られなかったため非開示とせざるを得なかったと説明している。他方、異議申立人は、関連する「全て」の文書を請求しており、文書の特定に欠けることはなく、仮に特定していないとすれば文書を特定するに足りる十分な資料が提供されなかったからであると主張している。
 そこで、異議申立人の請求内容を検討すると、「北勢沿岸流域下水道第19、20、21、22、23工区(分区も含む)工事契約関係図書工事関係図書の全て。文書の範囲については、各工区毎又は各工事契約毎の簿冊に表示分類されている全てを示す」と事業内容も工区も明確であるうえ、この中の一部を請求しているのではなく、これに関係する「全て」の文書を請求している以上、十分特定されているものといえる。
 実施機関が異議申立人に対し、「特定するよう協力を求めた」というが、上記のように特定性に欠けるところはない以上、開示を求める文書の量が膨大であるため、請求範囲の限定を要請したものと解することができ、異議申立人は、この要請に応じなかったにすぎないものと解するのが相当である。
 なお、実施機関は仮に請求文書が特定されているとすれば、膨大な文書量となる旨主張する。しかし、請求文書が大量であるからといって、請求した文書が特定されないということはなく、ただこれを一度に開示しようとすれば、本来の業務に著しく支障を来すおそれがあり、このことが請求文書を特定していないとして、開示請求を認めなかった真の理由と思われるが、必要に応じて分割をして開示すればこれを回避することが可能であり、この点は、審査会の場で異議申立人も同意しているところである。
 よって、この点の実施機関の主張は認められない。

(4)条例第4条の意義について

 本条は、公文書の開示を求める権利の正当な行使と、この条例によって得た情報を適正に使用すべき義務を負うことを定めたものである。

(5)条例第4条の適用について

 実施機関は、前述のとおり本件請求は、請求者が負うべき義務を果たしておらず、正当な権利の行使ではないと主張している。しかしながら、このような実施機関の主張を安易に認めると、公開を原則とする情報公開制度の適正な運用が図れなくなるおそれがあるので、これを認め得るとしても、当該請求が文書の開示を目的としているのではなく、明らかに実施機関に対するいやがらせ目的であると認定できるような極めて例外的な場合に限られるべきであろう。したがって、実施機関の主張する事実が仮に認められたとしても、異議申立人の請求が、文書の開示以外の目的のためになされたもので、正当な権利行使ではないとまで認定することはできない。
 よって、この点の実施機関の主張も認められない。

(6)結論

 よって、主文のとおり答申する。

6 審査会の意見

 当審査会の結論は以上のとおりであるが、本件事案については「請求文書の特定」という情報公開制度の基本にかかわる問題を含んでいるため、審査会として次のとおり意見を述べる。
 本件事案の場合、前記のとおり量の問題はあるものの請求文書の特定性に欠けるところはないと考えるが、仮に、請求内容が不明確で、必ずしも請求文書が特定されていないと判断できる場合でも、一般的には公文書の開示を求めようとするものが、行政がどのような公文書を作成・保管しているか承知している場合は稀であると考えられることから、実施機関が公文書を特定するに足る情報を積極的に提供し、請求者の協力を得られるよう努めるべきである。
 そして、仮に実施機関が特定のための努力を重ねても、請求者の協力が得られなかったとしても、不適法却下の規定を設けていない本条例の趣旨に鑑み、請求者の意思を合理的に推測し、可能な限り請求内容を推認し、開示することが求められる。
 ただそうはいっても、開示請求者にも、請求内容があいまいな場合には、これを明確にしたり、明らかに不必要と思われる公文書まで含まれていた場合は、これを除外する等、実施機関の本来の業務にできるだけ支障を来さないよう、協力することが求められる。
 また、本事案の検討をつうじて、実施機関は異議申立人の情報公開制度の利用について問題点を指摘した。事実関係の真偽については審査会として確認する立場になく判断していないが、本事案を離れて考えても、開示決定を受けても、双方合意の上で設定された日時の開示に応じないということは、情報公開制度の運用に著しい支障を与えるばかりか、その信頼性に傷を付けるものであり、あってはならないことであることをあえて指摘しておきたい。
 情報公開制度は、行政がその保有する情報をできる限り明らかにすることによって、住民との協働により、より公正で民主的な行政運営を図るというものであり、開示請求が特定されていないとの理由で非開示とすることも、実施機関に不必要に時間と労力をかけさせることも望ましくなく、実施機関と請求者双方の協力により、本制度が円滑に運用されることを期待するものである。

7 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。


別紙1

審査会の処理経過

年月日 処理内容
12. 5.15 ・諮問書受理
12. 5.17 ・実施機関に対して部分開示理由説明書の提出依頼
12. 6. 6 ・非開示理由説明書受理
12. 6. 9 ・異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、
意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
12. 9.11 ・書面審理
・実施機関の非開示理由説明の聴取
・異議申立人の口頭意見陳述
・審議                      
(第114回審査会)
12.10.10 ・審議
・実施機関の補足説明聴取         
(第116回審査会)
12.10.20 ・審議
・実施機関の補足説明聴取         
(第117回審査会)
12.11.24 ・審議                      
(第118回審査会)
12.12.15 ・審議
・答申                      
(第121回審査会) 

三重県情報公開審査会委員

職名 氏名 役職等
※会長 岡本 祐次 三重短期大学法経科教授
会長職務代理者 樹神 成 三重大学人文学部教授
委員 渡辺 澄子 松阪大学短期大学部教授
※委員 早川 忠宏 弁護士
※委員 丸山 康人 四日市大学経済学部教授
※委員 豊島 明子 三重大学人文学部助教授
委員 山口 志保 三重短期大学法経科助教授

 なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

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