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情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第92号

答申

1 審査会の結論

 実施機関が行った本件異議申立ての対象となった別紙1の公文書(以下「本件対象公文書」という。)のうち「聴取内容」に該当する部分を非開示としたことは妥当である。 

2 異議申立ての趣旨

(1)異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成12年3月13日付けで三重県情報公開条例(昭和62年三重県条例第34号。以下「条例」という。)に基づき行った「上野市内の産業廃棄物処理施設に対する指導文書、改善命令等に係る一切の書類及び業務日報(平成10年3月1日以降分)」の開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成12年3月24日付けで行った部分開示決定(以下「本決定」という。)の取消しを求めるというものである。 

(2) 本件対象公文書は、廃棄物対策課及び伊賀県民局生活環境部の職員が産業廃棄物処理業者の操業状況を監視するため、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第19条第1項の規定に基づいて、産業廃棄物処理業者に対して行った立入検査に関するものであり、その内容は、大きく「現認事項(現地において確認した事項)」、「聴取内容(現地等で関係者から聴取した内容)」及び「指導内容(事業者に指導した内容)」に分けられる。このうち、本決定において実施機関が非開示としたのは、「聴取内容」であった。 

3 実施機関の部分開示理由説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本件対象公文書は条例第8条第5号(行政運営情報)に該当し、部分開示が妥当というものである。

(1) 本件対象公文書の非開示部分について

 異議申立人は、「立ち入り状況は、三重県情報公開審査会の答申によっても、住民の信頼を得た行政という公益的要請から公開されるべき情報であるとされているにもかかわらず、実施機関は非開示としている」と主張している。確かに一見すると、本件で非開示にした一部分が業務日報の中の「立ち入り状況」欄に記載されているため現場で確認した「現認事項」を非開示としているように思われ、先の三重県情報公開審査会の答申に従っていないかの誤解を受けている。しかし、当該非開示とした部分は、「聴取内容」の部分であり、以下の理由により非開示としたものである。

(2) 条例第8条第5号(行政運営情報)の該当性について

 実施機関が非開示とした「聴取内容」は、以下の理由により条例第8条第5号(行政運営情報)に該当するものである。
 「聴取内容」は、現場にて事業者から聴取した情報であり、実施機関が今後の指導方針等を検討するうえで必要なものであるが、必ずしも真実であるとは判断しがたく、業務報告書(業務日報)作成後に真実か否かが確認される事項もある。
 したがって、これらの不確定な情報を開示することにより、事業者の反発や警戒心を招き、また、結果的に第三者に誤った情報を提供する場合もあり、関係当事者との信頼関係が損なわれ、今後効果的な聴き取り調査が困難になるおそれや、有効な情報を得ることができなくなるおそれがある。
 さらに、当該事業者は、実施機関の行政指導に従い事業を実施しており、先の答申(平成12年3月9日付け答申第81号)で述べられているような事業者との信頼関係を悪化させてまで開示する「特段の事情」は認められないと判断される。
 一方、これらの「聴取内容」を全面的に開示することは、立入検査の具体的態様を規制対象者(本件事業者及び他の処理業者)にも明らかにすることになることから、行政指導の有効な実施の妨げとなる。

4 異議申立ての理由

 異議申立人の主張を総合すると、次に掲げる理由から実施機関の決定は、条例の解釈運用を誤っているというものである。
 本決定は、非開示の理由がないにもかかわらずなされたもので違法である。よって本決定は取り消されるべきである。
 特に本決定で非開示とされている「立ち入り状況」は、先の三重県情報公開審査会の答申によっても、住民の信頼を得た行政という公益的要請から公開されるべき情報とされている情報である。
 また、「聴取内容」が全面的に開示されたとしても、行政にとってマイナスになるとは考えられない。

5 審査会の判断

 本件対象公文書について、実施機関は、条例第8条第5号(行政運営情報)に該当するので部分開示が妥当であると主張している。そこで、以下について判断する。

(1) 基本的な考え方について

 条例の制定目的は、県民の公文書の開示を求める権利を明らかにするとともに、県民の県政に対する理解と信頼を深め、開かれた県政を一層推進するというものである。
 条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。
 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。
 なお、本件異議申立ては、改正された三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号)の施行前になされた処分にかかるものであるため、改正前の条例に即して判断する。

(2) 本件対象公文書の非開示部分について

 異議申立人が主張するとおり一見すると、本件対象公文書である業務日報の「立ち入り状況」欄に記載されている部分が非開示となっているため、実施機関が平成11年11月8日付け当審査会答申第77号、78号及び79号以降既に開示することとしている「現認事項」の部分を非開示としているかのように思われる。
 しかしながら、当審査会が、本件対象公文書をインカメラ審理により調査審議したところ、実施機関が非開示とした部分は、「聴取内容」に当たる部分であり、実施機関の主張するとおり「聴取内容」以外の部分については、全て開示していると見受けられる。

(3) 条例第8条第5号(行政運営情報)の意義について

 本号は、事務事業の内容及び性質からみて、開示することにより当該事務事業の目的を失い、又は公正若しくは適正な執行ができなくなるおそれのある情報は、非開示とすることができると定めたものである。
 また、反復的又は継続的な事務事業については、当該事務事業執行後であっても、当該情報を開示することにより、将来の同種の事務事業の目的が達成できなくなるもの又は将来の同種の事務事業の公正若しくは適正な執行に著しい支障を及ぼすものがあるので、これらに係る情報が記録されている公文書も、非開示とすることができるとするものである。

(4) 条例第8条第5号(行政運営情報)の該当性について

 「聴取内容」について、実施機関は、現場での不確定な事項を開示することにより、結果的に第三者に誤った情報を提供する場合があり、関係当事者との信頼関係が損なわれるおそれがあると主張しているが、不確定な情報であると説明したうえで開示すれば、誤解による無用の混乱を避けることができるので、実施機関のこの主張は認めることはできない。
 一方、実施機関には、立入調査権は認められているものの、事業者及び関係者に供述を強要することまではできないため、聴取調査には対象者の協力が不可欠と言わざるを得ない。したがって、「聴取内容」を開示することにより、事業者や関係者との信頼関係を損ね、事業者の反発や警戒心を招き、将来の効果的な聴取調査が困難となるおそれや、将来関係者から有効な情報提供を得ることが困難となるおそれも否定できない。したがって、「『聴取内容』の開示が、将来の同種の事務事業の適正な執行に著しい支障を生ずるおそれがある」との実施機関の主張は理解できなくはない。
 しかしながら、将来にわたり、事業者が行政指導等に適正に対応することが期待できないなど、実施機関の将来の情報収集活動に何ら影響を及ぼさないと認められるような特段の事情がある場合には、この限りではない。そこで、本件事案について、この特段の事情があるか否かについて判断する。
 本件事案の場合、本件事業者は聴取調査等にも協力的で、有効な情報収集が行われていると実施機関は審査会において説明している。また、審査会が対象公文書をインカメラで審理したところ、実施機関の主張するとおり、本件事業者は実施機関の聴取調査等へ適正に対応していると見受けられる。
 また、本件事案に係る産業廃棄物処理施設については、民事訴訟により施設操業禁止の判決が確定(平成12年11月8日)し、判決確定以降操業を停止している。実施機関によると今後操業を再開する見込みは極めて低いものの、当該施設にかかる廃止届は提出されておらず、今後も県としては行政指導・監視の対象であることに変わりはないと説明している。よって、本件事業者に対して、今後も聴取調査等を実施し、有効な情報収集を行うためには、「聴取内容」を非開示とする妥当性はある。
 本件事案にかかわらず、環境問題において、とりわけ産業廃棄物処理施設等をめぐる諸問題で、行政側の法律上の基準と実態を目の当たりにしている住民の感情に隔たりがあることは否定できない。環境行政の円滑な推進には、住民の協力が不可欠であり、行政と住民が協働して実施していかなければならないものである。行政は住民に対して、より一層積極的な情報公開、情報提供を推進することが望まれるとの考えに基づき、当審査会においても、産業廃棄物処理施設にかかる案件を少なからず審議し、答申をしてきたところである。実施機関においても、答申を踏まえ、より積極的な情報公開に努めてきたことと承知しているが、他方、事業者から有効な情報収集を行うことも円滑な廃棄物行政の執行には重要であり、その観点から、現時点においては、上記のとおり特段の事情の有無を基準とし、開示・非開示の妥当性を判断せざるを得ない。よって、本件事案については、特段の事情は認められず、実施機関の本決定は妥当である。

(5) 結論

 よって、主文のとおり答申する。

6 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙2審査会の処理経過のとおりである。


別紙1

開示請求対象公文書

(平成10年度)

 平成10年 7月22日 産業廃棄物監視指導業務日報
 平成10年 8月13日 産業廃棄物監視指導業務日報
 平成10年 9月 8日 産業廃棄物監視指導業務日報
 平成10年 9月11日 産業廃棄物監視指導業務日報
 平成10年10月 5日 産業廃棄物監視指導業務日報
 平成10年10月20日 産業廃棄物監視指導業務日報
 平成10年11月 4日 産業廃棄物監視指導業務日報
 平成10年11月12日 産業廃棄物監視指導業務日報
 平成10年12月28日 産業廃棄物監視指導業務日報
 平成11年 2月16日 産業廃棄物監視指導業務日報
 平成11年 2月24日 産業廃棄物監視指導業務日報
 平成11年 3月 1日 産業廃棄物監視指導業務日報
 平成11年 3月 5日 産業廃棄物監視指導業務日報
 平成11年 3月26日 産業廃棄物監視指導業務日報

(平成11年度)

 平成11年 4月14日 産業廃棄物監視指導業務日報
 平成11年 5月 7日 産業廃棄物監視指導業務日報
 平成11年 6月14日 産業廃棄物監視指導業務日報
 平成11年 7月 1日 産業廃棄物監視指導業務日報
 平成11年 7月14日 産業廃棄物監視指導業務日報
 平成11年 8月 2日 産業廃棄物監視指導業務日報
 平成11年 8月11日 産業廃棄物監視指導業務日報
 平成11年 8月25日 産業廃棄物監視指導業務日報
 平成11年 8月31日 産業廃棄物監視指導業務日報
 平成11年 9月22日 産業廃棄物監視指導業務日報
 平成11年10月 6日 産業廃棄物監視指導業務日報
 平成11年11月15日 産業廃棄物監視指導業務日報
 平成12年 2月18日 産業廃棄物監視指導業務日報


別紙2

審査会の処理経過

年月日 処理内容
12. 5.22 ・諮問書の受理
12. 5.26 ・実施機関に対して部分開示理由説明書の提出依頼
12. 6. 6 ・部分開示理由説明書の受理
12. 6.12 ・異議申立人に対して部分開示理由説明書(写)の送付、
意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
12. 6.16 ・口頭での意見陳述申出書の受理 
12.12. 5 ・書面審理
・実施機関の部分開示理由説明の聴取
・異議申立人の口頭意見陳述        
(第120回審査会)
12.12.19 ・実施機関の部分開示理由説明の聴取(第2回目)
(第122回審査会)
13.1. 16 ・審議
・答申                      
(第123回審査会) 

三重県情報公開審査会委員

職名 氏名 役職等
※会長 岡本 祐次 三重短期大学法経科教授
※会長職務代理者 樹神 成 三重大学人文学部教授
※委員 渡辺 澄子 松阪大学短期大学部教授
委員 早川 忠宏 弁護士
委員 丸山 康人 四日市大学経済学部教授
委員 豊島 明子 三重大学人文学部助教授
※委員  山口 志保 三重短期大学法経科助教授

 なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

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津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
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