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平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第95号

答申

1 審査会の結論

 実施機関が行った本件異議申立ての対象となった「介護保険の一次判定に使用するソフト(電磁的記録)」の非開示決定は、妥当である。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成12年7月11日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「介護保険の一次判定に使用するソフト(認定支援ネットワークシステム認定ソフト99Ver1.01。以下「本件対象公文書」という。)」の開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成12年8月14日付けで行った非開示決定(以下「本決定」という。)の取消しを求めるというものである。

3 本件対象公文書について

 本件対象公文書は、介護保険法(平成9年法律第123号)第27条第8項前段に規定する介護認定審査会による審査及び判定を支援するため、国から地方公共団体に貸与されたCD-ROMを記録媒体とするソフトウェア(電磁的記録)である。

 県、市町村、要介護認定を実施する広域連合及び一部事務組合は、厚生省(現在の厚生労働省。)が定めた「認定支援ネットワークシステム運営管理要綱(以下「管理要綱」という。)」の規定に則って管理、保有している。

4 実施機関の非開示理由説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本件対象公文書は条例第7条第1号(法令秘情報)に該当するとして非開示決定が妥当というものである。

(1) 著作権法第21条の該当性について

 著作権法第21条では、「著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。」と規定している。本件対象公文書の著作者は、厚生省であり、当該公文書を貸与された実施機関は、著作者ではないため、複製する権利は専有しない。

(2) 著作権法第47条の2の該当性について

 著作権法第47条の2では、「プログラムの著作物の複製物の所有者は、自ら当該著作物を電子計算機において利用するために必要と認められる限度において、当該著作物の複製又は翻案(これにより創作した二次的著作物の複製を含む。)をすることができる。」と規定している。複製物の所有者である実施機関は、自ら電子計算機において利用する場合を除いて複製するとは認められておらず、本件対象公文書を複製して開示することはできない。

(3) 著作権法第63条の該当性について

 著作権法第63条第3項では、「・・・著作物を利用する権利は、著作権者の承諾を得ない限り、譲渡することができない。」と規定している。実施機関では、この点を確認するため、厚生省に対して照会を行い(平成12年7月21日付け長社第499号)、その後厚生省から回答(平成12年8月3日付け厚生省老人保健福祉局老人保健課:事務連絡)を得た。それによると、「ソフトウェアの性質や構造をかんがみ、事務又は事業の適切な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため、開示は適切でない」との回答であった。著作権者が明確に開示を適切でないとしていることから、実施機関としては、複製して開示することはできない。

5 異議申立ての理由

 異議申立人の主張を総合すると、次に掲げる理由から実施機関の決定は、条例の解 釈運用を誤っているというものである。

  1. 国の情報公開法が制定された現在において著作権法を持ち出して非開示決定することは問題である。
  2. 法令秘と言うのは単に法令に書いてあるから開示できないというものではなく、具体的に何処が法令秘に該当するかを明確にする必要がある。
  3. 地方分権の時代において厚生省の意見を持ち出すのはおかしい。介護保険事務は、機関委任事務ではなく、自治事務である。よって、それに伴う情報の管理は地方公共団体に決定権があるので実施機関として主体的に判断をしてほしい。
  4. ソフトは確かに法令上はどこにも使用を義務付けしていないが、要綱にて市町村に使用を義務付けしている。そうなると、法令などと同じ扱いになり、著作権の対象外となるのではないか。よほど特殊なソフトは別にして、通常行政が使用するソフトは著作権の対象外にしないと、電子政府や情報公開制度は骨抜きになる。
  5. 厚生省は樹形モデルを紙面(官報)により公表している。当該ソフトウェアが、樹形モデルと同じ計算をしているのならば、ソフトウェア(電磁的記録)としても公開すべきである。

6 審査会の判断

(1) 基本的な考え方について

 本条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。

 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下について判断する。

(2) 条例第7条第1号の意義について

 本号は、法令若しくは他の条例の定めるところによる、又は実施機関が法律上従う義務を有する各大臣その他国の機関の指示による場合の非開示を定めたものである。法令若しくは他の条例の定めるところにより公にすることができない情報は、この条例によっても開示できないことを確認的に規定するとともに、各大臣その他国の機関からの法的拘束力を持った指示により公にすることができない情報については、非開示とすることを定めたものである。

(3) 条例第7条第1号(法令秘情報)の該当性について

 本件対象公文書は著作権法第2条第10の2号「プログラム」に該当する著作物である。管理要綱第2条に規定されているとおり、この著作物について厚生省が著作権の帰属を主張している以上、著作権法第21条に規定する著作物の複製権を厚生省が専有すると解さざるを得ない。

 さらに厚生省は、管理要綱第7条で、本件対象公文書を厚生省の許可を得ずに第三者に複製し、貸与及び譲渡することはできないと規定しており、また、実施機関からの照会に対しても、開示することは適切でないと明示している。

 一般論として行政機関が作成するものについて著作権法上の保護を必要とする例は極めて稀であると考えられる。本件事案の場合においても、本件対象公文書を使用して得られる推計の手順は、紙面でも官報で既に公表しており、実質的に著作性が極めて希薄であり、秘匿すべき積極的な理由は認められない。しかしながら、本件対象公文書を作成した厚生省が管理要綱第2条で著作権を主張し、本件対象公文書の複製の許諾を否定する以上、実施機関が条例第7条第1号(法令秘情報)に該当するとして非開示としたことは、妥当であると言わざるを得ない。

(4) 結論

 よって、主文のとおり答申する。

7 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。


別紙1

審査会の処理経過

年月日 処理内容
12. 9. 4 ・諮問書受理
12. 9. 6 ・実施機関に対して非開示理由説明書の提出依頼
12. 9.13 ・非開示理由説明書受理
12. 9.18 ・異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、
意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
12.10.16 ・異議申立人の意見書受理
12.10.16 ・実施機関に対して異議申立人の意見書送付
12.11. 9 ・異議申立人の意見書に対する実施機関の回答書受理
12.11.10 ・異議申立人に対して実施機関の回答書送付
12.12. 4 ・実施機関の回答書に対する異議申立人の反論書受理
12.12. 6 ・実施機関に対して異議申立人の反論書送付
12. 1.16 ・書面審理
・実施機関の非開示理由説明の聴取
・異議申立人の口頭意見陳述
・審議                 
(第123回審査会)
13. 2.20 ・審議                  
(第125回審査会)
13. 3.13 ・審議
・答申                  
(第127回審査会)

三重県情報公開審査会委員

職名 氏名 役職等
※会長 岡本 祐次 三重短期大学法経科教授
※会長職務代理者 樹神 成 三重大学人文学部教授
※委員 渡辺 澄子 松阪大学短期大学部教授
※委員 山口 志保 三重短期大学法経科助教授
委員 早川 忠宏 弁護士
委員 丸山 康人 四日市大学経済学部教授
委員 豊島 明子 三重大学人文学部助教授

なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

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