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情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第116号

答申

1 審査会の結論

実施機関が行った非開示決定は、妥当である。

2 異議申立ての趣旨

異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成13年3月6日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「各県税事務所における(平成11年度)県税滞納額の上位3傑の法人について、法人名、所在地、平成何年度から上位3傑として名前が挙げられているのかが分かる一切の情報他」との開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成13年4月13日付けで行った非開示決定(以下「本決定」という。)の取消しを求めるというものである。

3 本件対象公文書について

本件対象公文書は、以下のとおりで、実施機関が各県税事務所毎に作成した、高額滞納者の状況をまとめたものであり、滞納法人(業を営む個人も含む)名、所在地、滞納税目、調定年度、件数、滞納額、完納状況、整理状況及び今後の方針等に関する情報が記載されている。

  1. 平成11年度高額滞納者(一般税50万円以上)整理状況調べ
  2. 平成11年度高額滞納者(自動車税30万円以上)整理状況調べ

4 実施機関の非開示理由説明要旨

実施機関の主張を総合すると、次の理由により、非開示決定が妥当というものである。

(1) 三重県情報公開条例第7条第1号(法令秘情報)に該当

本件対象公文書に記載されている滞納者名、滞納額及び整理状況等の情報は、地方公務員法第34条第1項の「秘密」に該当するため、非開示とした。

また、地方自治体の税務職員は、地方税法第22条で規定されているように私人の秘密に対する守秘義務があり、開示することはできない。

(2) 三重県情報公開条例第7条第3号(法人情報)に該当

本件対象公文書に記載されている滞納者名、滞納額、整理状況等のうち、法人に関する情報は、公にすることにより、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められる。

(3) 三重県情報公開条例第7条第6号(事務事業情報)に該当

本件対象公文書に記載されている情報は、開示することにより税務行政の適正な執行に著しい支障を及ぼすおそれがあると考えられる。たとえ、法人名のみであっても税の情報は、公にすることにより、第三者からの貸付や債権回収など経済行為の判断材料となる。このことから資金調達力に影響がでたり、会社の存続自体ができなくなる等して、税の確保が困難になるおそれがある。

また、滞納者(法人を含む)に関する情報には、質問検査権や滞納処分に関する調査などによる銀行や民間会社など滞納者以外の第三者が複雑に絡んでおり、公開により、第三者からの情報を得られなくなる影響が大きいと考える。滞納者に対しては強制的な手法は当然であるが、第三者からの情報取得の多くは公平・公正性や情報が漏れないという信頼関係のうえに成り立っているものである。

5 実施機関の非開示理由の一部取り消しについて

実施機関は、上記3で述べた非開示理由のうち、(1)の条例第7条第1号(法令秘情報)のうち地公法第34条第1項の該当性については、非開示理由説明書(平成13年5月31日付け税政第141号)及び平成13年10月16日の審査会の中で、以下のとおり当該非開示理由の取り消しを行っている。

本件対象公文書に記載されている情報は、本来地方税務に関する情報であるため、地税法の条文により、条例第7条第1号(法令秘情報)に該当すると考えられたが、昭和49年11月9日自治府第159号自治省税務局長通知「地方税に関する事務に従事する職員の守秘義務について」の解釈によると、『滞納者名及び滞納税額の一覧等は、地税法の「秘密」には該当しないが、地公法の「秘密」に該当するものであること。』とあり、その解釈を妥当なものとして、地公法上の「秘密」として非開示理由に掲げた。

地税法では、「 地方税に関する調査に関する事務に従事している者又は従事していた者は、その事務に関して知り得た秘密を漏らし、又は窃用した場合においては、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。」と、ある。この場合の「地方税に関する調査に関する事務」とは、地方団体が「直接」納税義務者等(取引のある第三者にも)に対して質問検査権の行使等正当な権限を行使して納税義務者等にプライバシーを放棄させる行為をいうものである。したがって、収入額又は所得額、税額等のように私人等が地方税の賦課徴収のため必要であるとして、その意にかかわらず地税法の規定により、又は地税法に基づく公権力の行使により、徴税吏員等に知られることを受認せざるを得ない秘密は、地方税法で保護すべき「秘密」となるが、滞納者名及び滞納税額等の一覧は、上記の意味での直接「地方税に関する調査に関する事務」に関して知り得たものではないので、地方税法で保護すべき「秘密」には該当しない。このように、地税法では、狭く解釈して所謂公的に対する私的な部分だけを「秘密」として保護している。そのため、滞納者名及び滞納税額の一覧は、地公法の「秘密」として非開示とした。

滞納者名及び滞納税額の一覧等は、行政庁側の内部資料的な公的秘密の側面もあるが、同時に納税義務者等のプライバシーの私的側面をも持っており、そのプライバシーの私的秘密の側面において開示できないとしたものである。地公法における公的側面の秘密性は条例により解除されているという点については、認識しているが、私的側面の秘密性については、必ずしも無条件に解除されているとは考えられない。

しかし、今回の情報開示請求が、条例に基づいてなされていることや、私的側面については条例第7条第2号及び第3号で、事務事業の公的側面については第6号で主張できることにより、条例による判断の可否についてのみ主張すべきであると考えるので、地公法の該当性については主張しない。

6 異議申立ての理由

異議申立人の主張を総合すると、次に掲げる理由から実施機関の決定は、条例の解釈運用を誤っているというものである。

およそ、公金とりわけ税金の賦課・徴収が適正に執行されているか否かは、税務行政の適法性、執行の公平さに関する問題であり、高い公益性があるといえるから公開されるべきである。

地方公務員法第34条第1項を理由に、県税の徴収にかかわる分野を、情報公開のブラックボックスあるいはブラックホールとしている現状は、改められるべきである。

以上の理由により、公開すべきである。

7 審査会の判断

(1) 基本的な考え方

条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。

なお、実施機関は、原決定で第2号、第3号、第6号及び第1号(地方公務員法第34条第1項)に該当するとして非開示としたが、審査会での説明等で第1号(法令秘情報)のうち、地方税法第22条にも該当するとして非開示理由を追加したいとしている。本来、非開示理由の付記が行政手続きの一環として条例上規定されているにもかかわらず、異議申立ての段階で追加を無制限に認めると、非開示理由の付記を求めた条例の趣旨が没却され、信義に反する結果となる。したがって、異議申立人の攻撃防御の機会を実質的に奪うような理由の追加は許されないと解すべきである。しかし、本件事案の場合、追加した理由についても十分異議申立人に意見陳述の機会が付与されているので、本件事案について再度異議申立てと再決定が繰り返されることなく紛争の一回的解決が可能となり、迅速な最終決定に資すると考えられるので、これを認めるものとする。

当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下について判断する。

(2) 条例第7条第1号(法令秘情報)の意義について

本号は、法令若しくは他の条例の定めるところによる、又は実施機関が法律上従う義務を有する各大臣その他国の機関の指示による場合の非開示を定めたものである。法令若しくは他の条例の定めるところにより公にすることができない情報は、この条例によっても開示できないことを確認的に規定するとともに、各大臣その他国の機関からの法的拘束力を持った指示により公にすることができない情報については、非開示とすることを定めたものである。

(3) 条例第7条第1号(法令秘情報)の該当性について

ア 地方公務員法第34条第1項の該当性について

実施機関は原決定で本号に該当する、つまり地方公務員法第34条第1項に該当するとして非開示としている。しかしながら、上記4で述べたとおり平成13年10月16日の審査会の中で、実施機関は非開示理由の一部取り消しを行っているため、審査会としては、本件対象公文書における同号の該当性については判断しないこととする。

イ 地方税法第22条の適用について

実施機関は、本件対象公文書に記載されている滞納者の情報は地方税法第22条の規定する「秘密」に該当し非開示とすることが適当であると主張している。すなわち実地機関の主張によれば、仮に条例第7号各号に規定する非開示情報に該当しないとしても、同法の「秘密」に該当する以上、非開示とすべきであるということになる。

しかし、そもそも本条例は公文書の公開を原則としており、条例上非公開と判断されるもの以外の情報は、開示しなければならないのに、これに従って開示したことが同法の守秘義務違反になる可能性があるとすれば、同条例を否定することにもつながる重大な問題である。

同法制定時には、情報公開条例等全くなく、これを想定した規定となっていないため、この点の明文の規定は欠くものの、同法第22条は「地方税に関する調査に関する事務に従事している者又は従事していた者は、その事務に関して知り得た秘密を漏らし、又は窃用した場合においては、2年以下の懲役又は3万円以下の罰金に処する。」と「職員個人」の漏洩行為に対して罰則規定を示したものであり、「実施機関」が条例に基き適法に開示することまで禁じたものではない、と解すべきである。

したがって、非開示とすべきか否かは条例第7条各号に規定する非開示情報に該当するか否を判断すべきであって、これと別個に同法の適用を判断する必要なく、これを根拠とした非開示決定は妥当ではない。

(4) 条例第7条第3号(法人情報)の意義について

本号は、自由主義経済社会においては、法人等又は事業を営む個人の健全で適正な事業活動の自由を保障する必要があることから、事業活動に係る情報で、開示することにより、当該法人等又は個人の競争上の地位その他正当な利益が害されると認められるものが記録されている公文書は、非開示とすることを定めたものである。法人等に関する情報であっても、事業活動によって生ずる危害から人の生命、身体、健康又は財産を保護し、又は違法若しくは不当な事業活動によって生ずる影響から県民等の生活又は環境を保護するため公にすることが必要であると認められる情報、及びこれらに準ずる情報で公益上公にすることが必要であると認められるものは、ただし書により、常に開示が義務づけられることになる。

(5) 条例第7条第3号(法人情報)の該当性について

本件対象公文書には、滞納法人(業を営む個人も含む)名、所在地、滞納税目、調定年度、件数、滞納額、完納状況、整理状況及び今後の方針等に関する情報が記載されており、これらは法人に関する情報であり、これらの情報を開示することにより法人等の団体及び事業を営む個人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると実施機関は主張している。

一方、異議申立人は、大口滞納法人の滞納については、納税しない法人を競争上の地位や正当な利益を害するとして非開示とすることに疑問を感じるとし、また、県民が県税の公平な徴収事務を監督するためにも、是非とも公開されなければならない公益上開示すべき情報であると主張している。

確かに本来、租税は納期限内に納めるべきものであり、それを怠った者(滞納者)の競争上の地位等を保護することに疑問を抱くことは理解できなくはない。しかし、滞納者の滞納する行為は、経済状況等種々の要因により発生するものであり、滞納法人を直ちに悪質な法人であると断ずることはできない。

一方、再建途上にある企業(法人)にとっては、滞納の事実が判明すると、取引先や融資元より取引条件の変更を求められたり、取引を停止されるなどの致命的な不利益をもたらす可能性が十分にある。

したがって、本件対象公文書のうち、「滞納法人(業を営む個人も含む)名、所在地」の特定の滞納者(法人)が識別できる情報については、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると判断できるため、本号に該当する。

次に「滞納税目、調定年度、件数、滞納額、完納状況、整理状況及び今後の方針等に関する情報」については、どの部分の開示であれば特定の滞納者が識別されない情報であるかを判断することは極めて困難であり、部分開示になじまないと解すべきである。

また、県税の公平な徴収事務がなされているかを審査する必要があることは理解できるものの、情報公開条例は、広く何人に対しても開示する制度である以上、審査目的のために限定された開示というわけにもいかず、当該法人の関係者等にも広く開示され、その場合には上記のような重大な不利益をもたらす可能性があることに鑑みると、これを上回るほどの公益性も考えられず、同号ただし書きハにも該当しない。

よって、非開示が妥当である。

(6) 条例第7条第6号(事務事業情報)の意義について

本号は、県の説明責任や県民の県政参加の観点からは、本来、行政遂行に関わる情報は情報公開の対象にされなければならないが、情報の性格や事務・事業の性質によっては、公開することにより、当該事務・事業の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがあるものがある。これらについては、非公開とせざるを得ないので、その旨を規定している。

(7) 条例第7条第6号(事務事業情報)の該当性について

実施機関は、開示することにより税務行政の適正な執行に著しい支障を及ぼすおそれがあると考えられる。たとえ、法人名のみであっても税の情報は、公にすることにより、第三者からの貸付や債権回収など経済行為の判断材料となる。このことから資金調達力に影響がでたり、会社の存続自体ができなくなる等、税の確保が困難になるおそれがあるなどと主張している。

一方、異議申立人は、公金とりわけ税金の賦課・徴収が適正に執行されているか否かは、税務行政の適法性、執行の公平さに関する問題であり、高い公益性があるといえるから公開されるべきであるなどと主張している。

確かに、税務に従事する職員は、個人のプライバシー性の高い情報や、法人の一般には知り得ない内部事情を聴取したうえで、滞納整理業務を行っており、当該情報を開示することにより、当事者等との信頼関係を損ね、反発や警戒心を招き、将来の効果的な情報の聴取が困難となるおそれや、納税者の納税意欲を阻害するおそれがあることは否定できない。

しかしながら、納税は国民の義務であり、最終的には、強制徴収権限も認められていることや、客観的に明白に認め得る具体的な主張立証もないことからすると、実施機関の本号による非開示決定は妥当ではない。

(8) 結論

よって、主文のとおり答申する。

8 審査会の処理経過

当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

別紙1

審査会の処理経過

年月日 処理内容
13. 5. 8 ・諮問書受理
13. 5.10 ・実施機関に対して非開示理由説明書の提出依頼
13. 5.31 ・非開示理由説明書受理
13. 6. 1 ・異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
13. 6. 8 ・口頭意見陳述申出書の受理
13. 9.18 ・書面審理
・異議申立人の口頭意見陳述
(第139回審査会)
13.10.16 ・実施機関の補足説明聴取
・審議
(第141回審査会)
13.11.20 ・審議
(第142回審査会)
13.12.18 ・審議
(第144回審査会)
14. 2.14 ・審議
・答申
(第147回審査会)

三重県情報公開審査会委員

職名 氏名 役職等
※会長 岡本 祐次 三重短期大学法経科教授
※会長職務代理者 樹神 成 三重大学人文学部教授
※委員 渡辺 澄子 松阪大学短期大学部教授
※委員 山口 志保 三重短期大学法経科助教授
委員 早川 忠宏 弁護士
委員 丸山 康人 四日市大学総合政策学部教授
委員 豊島 明子 三重大学人文学部助教授

なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

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