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情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第194号

答申

1 審査会の結論

 実施機関は、本件異議申立ての対象となった公文書のうち、当審査会が非開示妥当と判断した部分を除き、開示すべきである。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成16年1月9日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「特定の法人に対して交付決定された補助金の交付計画、時期、金額及びその根拠等の全ての文書」の開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成16年2月10日付けで行った公文書部分開示決定(以下「本決定」という。)の取消しを求めるというものである。

3 本件対象公文書について

 本件異議申立ての対象となっている公文書は、別表の「対象公文書」欄に記載したとおりである。

4 実施機関の非開示理由説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本決定が妥当というものである。

条例第7条第3号(法人情報)に該当

 対象公文書の記載事項のうち、「生産額の見込み」、「事業所の延床面積」、「投資額及び雇用者数、資金に関する事項」、「排水量」、「施設の配置図」、「投下償却資産の一覧」及び「建設工事見積書」の数値が開示されると、当該法人の事業戦略の内容が当該法人の意思に反して明らかになり、他法人との競争上不利になる可能性が著しく高くなる。また、これら当該法人の情報は、一般には他者が入手できないものであって、当該法人の将来の事業見通し等も含めて事業展開に著しく支障をきたす。

 さらに、当該法人は、将来にわたって日本国内での生産を継続・発展させることを目標に生産技術等のブラックボックス化により、国内外の競争他社等への情報漏洩対策を講じていることから、条例第7条第3号に該当し非開示が妥当である。

5 異議申立て理由

 異議申立人の主張を総合すると、次に掲げる理由から実施機関の決定は、条例の解釈 運用を誤っているというものである。

 巨額の補助金交付は、他の地方公共団体においても例を見ないものであり、憲法違反(法の下での平等)及び法令違反の疑いが濃厚であり、県民の理解や他の企業の理解は得られない。前知事が公約した行政庁の住民への説明責任や費用対効果についてその根拠となる情報を非開示としたことは、補助金の交付そのものの違法性と共に行政庁としての責任や法令順守義務を放棄したものであり、これを放置容認することは、行政庁の公務員の「住民全体の奉仕者」としての責務の放棄を追認し、堕落を認めることになるから到底許すことは出来ない。

6 審査会の判断

(1) 基本的な考え方

 条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。

 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下について判断する。

(2) 条例第7条第3号(法人情報)の意義について

 実施機関は、別表の「対象公文書」欄に記載された公文書を非開示とする理由として、これらの公文書が条例第7条第3号に掲げる非開示情報に該当することを挙げているので、これらの公文書が本号に該当するか否かを検討する。

 本号は、自由主義経済社会においては、法人等又は事業を営む個人の健全で適正な事業活動の自由を保障する必要があることから、事業活動に係る情報で、開示することにより、当該法人等又は個人の競争上の地位その他正当な利益が害されると認められるものが記録されている公文書は、非開示とすることができると定めたものである。しかしながら、法人等に関する情報であっても、事業活動によって生ずる危害から人の生命、身体、健康又は財産を保護し、又は違法若しくは著しく不当な事業活動によって生ずる支障から県民の生活を保護するため公にすることが必要であると認められる情報及びこれらに準ずる情報で公益上公にすることが必要であると認められるものは、ただし書により、常に公開が義務づけられることになる。

(3) 条例第7条第3号(法人情報)の該当性について

 実施機関が非開示とした情報は、別表の「法人情報として非開示とした部分」欄に記載のとおりであり、以下のとおり分類することができる。

Ⅰ ア.「2立地に係る事業の概要」中の生産額の見込み

  イ.「配置図」中の番号、建物名、規模・構造、建築面積、延面積並びに道路幅員及び建物の寸法

  ウ.「投下償却資産の一覧表」中の設置場所、償却資産の名称、数量、単価、金額及び装置の概要

Ⅱ ア.「3(1)「認定の基準」の欄イ」及び「4(3)投資計画」中の投資額、「7補助金の額の算定」中の投資額及び交付対象額、「4(4)投資計画」中の投資額及び備考、「6立地に必要な資金の額及び調達方法」中の投資額、調達方法の内訳額及び備考

  イ.「3(2)「認定の基準」の欄ロ」中の事業従事者数、常用雇用者数及び県内常用雇用者数、「5立地に伴う雇用に関する事項」中の事業従事者数、常用雇用者数、県内常用雇用者数及び合計数

  ウ.「工場建設工事見積内訳書」中の工事内容、見積額、坪単価及び摘要

Ⅲ ア.「4(3)建物等の面積」及び「4(2)建物等の面積」中の延床面積及び備考

  イ.「7立地に係る環境の保全に関する事項」中の工場内の工程排水量

 最初にⅠについて、検討する。

 実施機関はア、イ、ウについて、「数値等が開示されると当該法人の事業戦略の内容が明らかとなり、他法人との競争上不利になる可能性が著しく高くなる。また、一般には、他者が入手できないものであって、当該法人の将来の事業見通し等も含めて、事業展開に著しく支障をきたすことから、本号に該当する。」と主張している。

 他方、異議申立人は、イに関して、「配置図や建物ごとの延べ面積が記載されているからといって、その規模を明示するだけでは競争上の不利益は受けない。」と主張している。

 しかし、開示請求時点において一般に閲覧可能であった当該法人から県へ提出された建築計画概要書には、施設全体の外郭図が示されているだけで、対象公文書である「配置図」と同等の詳細な情報は記されておらず、少なくとも開示請求時においては、公にされている情報であったとは言えない。また、ア及びウについても、当該法人の具体的な年間生産額の見込み、詳細な償却資産の設置場所、償却資産の名称、数量、単価、金額及び装置の概要が記載されており、これらア、イ、ウの情報は、当該法人の生産又は技術等に関する情報であると認められる。したがって、これらの情報は、開示することによって競合他社にその事業戦略等が明らかになってしまうなど、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められ、法人情報に該当する。また、本号ただし書にも該当せず、非開示が妥当である。

 次に、Ⅱについて実施機関は、上記Ⅰと同様の理由から法人情報に該当し非開示としている。

 他方、異議申立人は、「巨額の補助金交付は、他の地方公共団体においても例を見ないものであり、住民への説明責任や費用対効果についてその根拠となる情報を非開示としたことは、補助金の交付そのものの違法性と行政庁としての責任や法令順守義務を放棄したものである。」と主張している。

 確かに、当該法人から提出された「立地計画認定申請書及び産業集積促進補助金交付申請書」(以下「申請書」という。)について、三重県企業立地促進条例及び産業集積促進補助金交付要領の規定に定められた要件の認定の基準を満たすか否かを県が審査したうえで、巨額の補助金が当該法人に支出されることを考えれば、当該補助金が適正に支出され、運用されているかどうかを確認するために、どのような事業計画に基づいて補助金が支出され、また、どのような事業活動に基づいて補助金が使用されたかの説明責任を求めるという異議申立人の主張は理解できる。

 このことから、申請書に係るアに記載された数値等について、「3(1)「認定の基準」の欄イ」中の投資額、「7補助金の額の算定」中の投資額及び交付対象額、「4(4)投資計画」のうち、操業後3年以降から操業後5年までの各年の投資金額の合計欄の金額に関する部分及び操業(操業時までの投資金額を含む)から操業後5年までの総投資額、「4(3)投資計画」のうち、第3年度と第4年度の各年の投資額の合計金額及び操業開始日を含む年度(第1年度)から第4年度までの総投資額並びに「6立地に必要な資金の額及び調達方法」のうち総投資額は、投資計画に関する補助金の交付の認定基準(操業開始から3年を経過する時点で投下固定資産600億円以上)を満たしているかが確認できる根幹部分であると認められる。

 また、イに記載された数値についても、「3(2)「認定の基準」の欄ロ」の事業従事者数、常用雇用者数及び県内常用雇用者数並びに「5立地に伴う雇用に関する事項」のうち、技術者の事業従事者数を除いた操業後3年目の事業従事者数、常用雇用者数、県内常用雇用者数及び合計数は、雇用計画に関する補助金の交付の認定基準(操業開始から3年を経過する時点で事業従事者600人以上、うち常用雇用者300人以上かつ県内常用雇用者100人以上)を満たしているかが確認できる根幹部分であると認められる。

 さらに、ウの「工場建設工事見積内訳書」については、法人の事業活動に伴う補助金の使途が確認できるものであると言える。

 よって、ア、イの情報のうち、県民が、少なくとも当該法人への補助金の交付が認定基準を満たしているかが確認できる根幹部分及びウの情報のうち、法人の事業活動に伴う補助金の使途が確認できる建設工事の全体額と概要が記載されている部分(見積書の1ページ目)は、公にすることにより、法人の事業活動の支障となるとまでは言えず、開示すべきである。

 しかしながら、審査会が開示すべきと判断した部分以外の非開示部分については、開示することにより、当該法人の将来の事業見通し等も含めて、事業展開に著しく支障をきたすことから当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するという実施機関の主張には理由があり、法人情報に該当すると認められる。また、本号ただし書にも該当せず、非開示が妥当である。

 最後に、Ⅲについて実施機関は、「これらを開示すると生産能力等が明らかになってしまう。」との理由からこれらの情報は法人情報に該当すると説明している。

 他方、異議申立人は、「事業所全体の延床面積、排水量は、それぞれ建築基準法及び水質汚濁防止法でその公開が義務付けられている。」と主張している。

 まず、アについて検討する。

 開示請求時点において一般に閲覧可能であった当該法人から県へ提出された建築計画概要書には、建築物全体の延べ面積が記載されている。また、当該法人から報道機関等へ提供された公表資料にも延床面積の概数がわかるものが記されており、これらは、対象公文書に記載の延床面積の合計の数値と同一ではないものの、おおよその面積が確認でき、既に公になっている情報であると認められる。

 よって、アのうち延床面積の合計については、法人情報には該当せず、開示すべきである。

 しかし、建物の区分ごとの内訳及び備考は、開示することにより、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められ、法人情報に該当する。また、これらの情報は、本号ただし書にも該当せず、非開示が妥当である。

 次に、イについてであるが、開示請求時点で水質汚濁防止法に基づく特定施設の届出書及び添付資料が既に当該法人から県へ提出されており、その添付資料は、各施設ごとの工場内の回収水量が記載されているなど、対象公文書中の工場内の工程排水量に比べ、より詳細な内容となっているものである。当該添付資料は、水質汚濁防止法上、提出を義務付けられているものではないが、保護すべき法人の内部管理情報であるとまでは言えない。このことから、当該添付資料より大まかな工場全体の工程排水量を開示することで、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を不当に害するとは認められないといえる。

 よって、イの工場内の工程排水量は、法人情報には該当するとまでは言えず、開示すべきである。

(4) 結論

 よって、主文のとおり答申する。

7 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

別表 

対象公文書 法人情報として非開示とした部分
当該法人にかかる認可申請書について(平成15年6月19日企業立地推進チーム) ・「3(1)「認定の基準」の欄イ」中の投資額
・「3(2)「認定の基準」の欄ロ」中の事業従事者数、常用雇用者数及び県内常用雇用者数
「立地計画認定申請書」中の
別紙 立地計画
・「2立地に係る事業の概要」中の生産額の見込み
・「4(3)建物等の面積」中の延床面積及び備考
・「4(4)投資計画」中の投資額及び備考
・「5立地に伴う雇用に関する事項」中の事業従事者数、常用雇用者数、県内常用雇用者数及び合計数
・「6立地に必要な資金の額及び調達方法」中の投資額、調達方法の内訳額及び備考
・「7立地に係る環境の保全に関する事項」中の工場内の工程排水量
産業集積促進補助金算定調書 ・「7補助金の額の算定」中の投資額及び交付対象額
「産業集積促進補助金交付申請書」中の
別紙 産業集積促進補助金交付申請に係る「補助対象事業所」概要説明書
・「2立地に係る事業の概要」中の生産額の見込み
・「4(2)建物等の面積」中の延床面積及び備考
・「4(3)投資計画」中の投資額
・「5立地に伴う雇用に関する事項」中の事業従事者数、常用雇用者数、県内常用雇用者数及び合計数
配置図 ・「配置図」中の番号、建物名、規模・構造、建築面積、延面積並びに道路幅員及び建物の寸法
投下償却資産の一覧表 ・「投下償却資産の一覧表」中の設置場所、償却資産の名称、数量、単価、金額及び装置の概要
工場建設工事見積書 ・「工場建設工事見積内訳書」中の工事内容、見積額、坪単価及び摘要

別紙1 

審査会の処理経過

年月日 処理内容
16. 7.12 ・諮問書の受理
16. 7.14 ・実施機関に対して非開示理由説明書の提出依頼
16. 8.10 ・非開示理由説明書の受理
16. 8.16  ・異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
16.11. 9 ・書面審理
・異議申立人の口頭意見陳述
・実施機関の補足説明
・審議                
(第210回審査会)
16.12.14 ・審議                
(第212回審査会)
17. 1.18 ・参加人の口頭意見陳述
・審議                
(第213回審査会)
17. 2.23 ・審議
・答申                
(第216回審査会)

三重県情報公開審査会委員

職名 氏名 役職等
※会長 岡本 祐次 元三重短期大学長
※会長職務代理者 早川 忠宏 弁護士
※委員 渡辺 澄子 松阪大学短期大学部教授
※委員 寺川 史朗 三重大学人文学部助教授
委員 豊島 明子 三重大学人文学部助教授
委員 丸山 康人 四日市大学総合政策学部教授
委員 竹添 敦子 三重短期大学教授

 なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

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