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平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第207号

答申

1 審査会の結論

 実施機関は、本件異議申立ての対象となった公文書のうち、当審査会が非開示妥当と判断した部分を除き、開示すべきである。また、非開示部分については、非開示の根拠規定のほか、当該規定を適用する根拠を補完すべきである。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成16年8月16日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「知事が告訴した案件につき、県庁職員に対して行った処分に関するすべての文書」の開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成16年8月26日付けで行った公文書部分開示決定(以下「本決定」という。)の取消しを求めるというものである。

3 本件対象公文書について

 本件異議申立ての対象となっている公文書は、別表の「対象公文書」欄に記載したとおりである。

4 実施機関の非開示理由説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本決定が妥当というものである。

条例第7条第2号(個人情報)に該当。

 対象公文書の記載事項のうち、懲戒審査対象者、懲戒申立対象者などの関係職員の職名及び氏名、元業務補助職員の氏名及び印影、身上調査書(全部)、職員の過去の処分歴及び職員の略歴は、個人に関する情報であって特定の個人が識別され得るものであり、個人情報に該当する。また、公務員等の職務に関する情報であって公にすることにより当該個人の私生活上の権利利益を害するおそれがある。

条例第7条第3号(法人情報)に該当。

 対象公文書の記載事項のうち、架空の業務委託契約の相手方法人の名称、その構成員の職名、氏名及び印影は、法人の事業活動に関する情報であって、開示することにより当該法人の競争上の地位その他正当な利益が害されると認められる。

条例第7条第4号(公共安全情報)及び第5号(審議検討情報)に該当。

 対象公文書の記載事項のうち、主な意見、質問については、各委員の発言が記載されており、これらの意見を今回開示するとすれば、今後各委員は事後の開示を斟酌して発言することとなり、自由で十分な意見や情報の交換が著しく制約される。 
 このため、懲戒処分に関して、公正で適正な意思決定が妨げられることとなり、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあり、また、県組織の秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある。

5 異議申立て理由

 このような開示決定では、被懲戒者らの責任の軽重、懲戒の対象となる行為の詳細等が一切不明であり、将来の同種被懲戒行為の防止という観点からも有害である。

6 審査会の判断

 本件事案について、異議申立人は、条例第7条第2号(個人情報)、第4号(公共安 全情報)及び第5号(審議検討情報)の該当性並びに公文書部分開示決定通知書の理由 付記について異議を申し立てていることから、当審査会ではこれら異議申立てについて 次のとおり判断する。

(1) 基本的な考え方

 条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。

 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下について判断する。

(2) 条例第7条第2号(個人情報)の意義について

 個人に関する情報であって特定の個人を識別し得るものについて、条例第7条第2号は、一定の場合を除き非開示情報としている。これは、個人に関するプライバシー等の人権保護を最大限に図ろうとする趣旨であり、プライバシー保護のために非開示とすることができる情報として、個人の識別が可能な情報(個人識別情報)を定めたものである。

 しかし、形式的に個人の識別が可能であればすべて非開示となるとすると、プライバシー保護という本来の趣旨を越えて非開示の範囲が広くなりすぎるおそれがある。そこで、条例は、個人識別情報を原則非開示とした上で、本号ただし書により、非開示にする必要のないもの及び個人の権利利益を侵害しても開示することの公益が優越するため開示すべきものについては、開示しなければならないこととしている。

(3) 条例第7条第2号(個人情報)の該当性について

 実施機関が本号に該当するとして非開示とした情報は、別表の「実施機関が条例第7条第2号(個人情報)として非開示とした部分」欄に記載のとおりであり、以下のとおり分類することができる。

Ⅰ ア.「本文」中の懲戒審査対象者の職名及び氏名

  イ.「第2案(懲戒審査要求書)」中の懲戒審査対象者の職名及び氏名

  ウ.「懲戒申立書」中の懲戒申立対象者の職名及び氏名、元業務補助職員の氏名

  エ.「関係組織図(資料)」中の職員の職名及び氏名

  オ.「賀農375号(資料)」中の元業務補助職員の印影

  カ.「懲戒審査要求書」中の懲戒審査対象者の職名及び氏名

  キ.「本文」中の処分対象者の職名及び氏名

  ク.「第2案(懲戒審査報告書)」中の処分対象者の職名及び氏名

  ケ.「職員懲戒審査委員会議事概要」中の処分対象者の職名及び氏名

  コ.「規律違反の概要」中の規律違反者の職名、氏名、元業務補助職員の氏名、職員の過去の処分歴及び職員の略歴

  サ.「第3案(辞令案)」中の処分対象者の氏名

  シ.「処分説明書」中の処分対象者の職名及び氏名

  ス.「処分書案」中の処分対象者の氏名

  セ.「懲戒審査報告書」中の処分対象者の職名及び氏名

Ⅱ ア.「身上調査書」の全て(書式のみ開示)

  イ.「規律違反の概要」中の規律違反者の年齢

Ⅲ ア.「判決概要(資料)」中の架空の業務委託契約の相手方法人の構成員の氏名

  イ.「委託契約書(資料・3通)」中の架空の業務委託契約の相手方法人の構成員の氏名

最初にⅠについて、検討する。

 実施機関は、「非開示とした情報は、個人に関する情報であって特定の個人が識別され得るものである。また、公務員等の職務に関する情報であって公にすることにより当該個人の私生活上の権利利益を害するおそれがある。」との判断から、個人情報に該当して非開示が妥当であると主張している。

 他方、異議申立人は、「職員の懲戒処分は公印の不正使用を許した法令違反が大きな原因となっており、公印の性格上、県民の生命、身体、健康、財産、生活又は環境を損なうおそれが極めて大きな結果を招来する危険性を持つ。また、組織として公印の管理、保管に遺漏があったのであるから、公務員の公務にかかわる欠陥行為であったといえる。したがって、公務に関しては個人情報は開示義務があるのだから、該当箇所を非開示とした処分は取消すべきである。」と主張している。

 条例第7条第2号は、公務員等の職務に関する情報は、個人に関する情報から除くとしているが、公務員等の職務に関する情報であっても、公にすることにより当該個人の私生活上の権利利益を害するおそれがあるものは、非開示情報としている。確かに、「本件事案は、職員が公印の管理、保管という公務に関して懲戒処分を受けたものである。」との異議申立人の主張も理解できなくはない。

 しかしながら、氏名及び印影を開示することにより被懲戒者が明らかになり、また、現在でも閲覧可能である当時の職員録等によって職名や職員の略歴から比較的容易に被懲戒者が特定されることから、当該個人の私生活上の権利利益を害するおそれがあり、開示すべき情報であるとはいえない。職員の過去の処分歴についても、これを公にすると当該個人の私生活上の権利利益を害するおそれがあり、開示すべき情報であるとはいえない。

 したがって、実施機関が非開示としたアからセの情報は、本号(個人情報)に該当する。また、本号のただし書により非開示情報から除くとされている「イ 法令若しくは他の条例の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」あるいは「ロ 人の生命、身体、健康、財産、生活又は環境を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」のいずれにも該当するとは認められず、非開示が妥当である。

 次に、Ⅱについて検討する。

 実施機関が非開示とした情報について、身上調査書はこれ全体が個人情報に該当すると考えられ、また、年齢も個人に関する情報に該当することは明らかである。

 したがって、実施機関が非開示としたア、イの情報は、本号(個人情報)に該当し、ただし書にも該当しないことから、非開示が妥当である。

 最後に、Ⅲの相手方法人の構成員の氏名は、個人に関する情報であって、特定の個人を識別できる情報であり、本号本文に該当することは明らかである。

 したがって、実施機関が非開示としたア、イの情報は、本号(個人情報)に該当し、ただし書にも該当しないことから、非開示が妥当である。 

(4) 条例第7条第4号(公共安全情報)の意義について

 公共の安全と秩序を維持することは、国民全体の基本的な利益を擁護するために行政に課せられた重要な責務であり、情報公開制度においてもこれらの利益は十分に保護する必要がある。そこで、犯罪の予防・鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行、その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある情報を非開示としたものである。

(5) 条例第7条第5号(審議検討情報)の意義について

 本号は、行政における内部的な審議、検討又は協議の際の自由な意見交換や公正な意思形成が妨げられ、歪められたり、特定の者に利益や不利益をもたらすことなく、適正な意思形成が確保される必要から定められたものである。

(6) 条例第7条第4号(公共安全情報)及び第5号(審議検討情報)の該当性について

 実施機関がこれらに該当するとして非開示とした情報は、別表の「実施機関が条例第7条第4号(公共安全情報)及び第5号(審議検討情報)として非開示とした部分」欄に記載のとおりであり、次のように判断する。

 異議申立人は、条例第7条第4号の該当性について、「本件事案は、公印の不正使用に端を発し、公印管理者がその適正な保管を怠った結果、招来したものである。本件事案を条例第7条第4号に当てはめた場合、犯罪とは公印の不正使用に基づくものであり、犯罪の予防とは公印についての管理、保管等の規定を遵守することである。懲戒審査委員会の議事を開示しなければ、将来の同種犯罪の再発を誘発して予防に有害である。」旨主張している。また、条例第7条第5号の該当性について、「懲戒対象行為は明白に公印の管理、保管に遺漏があったことに起因する。仮に公印管理についての規定自体に不備な点などがあれば、懲戒審査の過程で明らかにされていくことである。本件事案の性格上、県民の間に混乱を与えたり、特定のものに利益もしくは不利益を与えるおそれなどは皆無である。」旨主張している。

 他方、実施機関は、「「職員懲戒審査委員会議事概要」中の「主な意見、質問」は各委員の発言が記載されており、これらの意見を開示すれば、今後各委員は事後の開示を斟酌して発言することとなり、自由で十分な意見や情報の交換が著しく制約される。このため、懲戒処分に関して、公正で適正な意思決定が妨げられることとなり、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあり、また、県組織の秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある。」との判断から、公共安全情報及び審議検討情報に該当して非開示が妥当であると主張している。

 条例第7条第4号については、公共の安全と秩序の維持とは、犯罪の予防・捜査等に代表される刑事法の執行を中心としたものに限定すべきであって、実施機関が非開示とした情報は、条例第7条第4号(公共安全情報)に該当するとは認められない。

 次に、実施機関が非開示とした情報が、条例第7条第5号に該当するか否か検討する。実施機関は、「「懲戒審査委員会議事概要」中の「主な意見、質問」が開示されることになれば、今後各委員は事後の開示を斟酌して発言し、自由で十分な意見や情報の交換が制約される。」と主張する。確かに、実施機関の説明するように、懲戒処分の対象となる職員が、委員の部下である場合などは、懲戒審査委員会での発言内容から発言者が誰であるか特定されることもあることから、開示されると支障となることは理解できる。

 しかしながら、「主な意見、質問」に記載されている内容は、発言者が特定されているものではなく、また、その内容も要約したものにすぎないことから、今後各委員の自由で十分な意見や情報の交換が著しく制約されるとは考えられず、条例第7条第5号(審議検討情報)に該当するとは認められない。

(7) 条例第7条第6号(事務事業情報)の該当性について

 実施機関は審査会での補足説明に当たり、改めて非開示理由に適用する条項を確認したところ、非開示理由書の「第3 非開示とした理由」のうち、「4 懲戒審査委員会議事概要(主な意見、質問)」の項の記載内容に変更はないとしながら、条例第7条第6号(事務事業情報)にも該当するとして非開示理由を追加したいと主張した。

 本号により「事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、事務又は事業の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがあるもの」は、非開示情報となる。

 しかし、(6)で述べたように、「主な意見、質問」に記載されている内容は、発言者が特定されているものではなく、また、その内容も要約したものにすぎないことから、今後各委員の自由で十分な意見や情報の交換が著しく制約されるとは考えられず、公にすることにより、事務又は事業の適正な遂行に著しい支障を及ぼすものではなく、条例第7条第6号(事務事業情報)に該当するとは認められない。

 よって、実施機関が非開示とした「主な意見、質問」のうち、(3)で個人情報と判断したものを除き、開示すべきである。

(8) 理由付記について

 異議申立人は、「本件処分では、「開示しない部分」として約30箇所を列挙し、それぞれにつき「開示しない理由」として条例第7条第2号、3号、4号及び第5号のいずれかを記しているに過ぎない。」と主張している。

 この点について、次のように判断する。

 今回、実施機関は、公文書部分開示決定通知書において、「開示しない理由」として根拠規定を示しているのみである。このことは、条例第15条第1項の要求する理由付記として十分ではないと言わざるを得ない。

 したがって、実施機関は、公文書部分開示決定通知書の「開示しない理由」(条例第7条第2号及び第3号に限る。)を補完すべきである。

(9) 結論

 よって、主文のとおり答申する。

7 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

別表 

対象公文書 実施機関が条例第7条第2号(個人情報)として非開示とした部分
懲戒審査の要求について
(平成13年2月19日)
・「本文」中の懲戒審査対象者の職名及び氏名
・「第2案(懲戒審査要求書)」中の懲戒審査対象者の職名及び氏名
・「懲戒申立書」中の懲戒申立対象者の職名及び氏名、
元業務補助職員の氏名
・「身上調査書」の全て(書式のみ開示)
・「判決概要(資料)」中の架空の業務委託契約の相手方法人の構成員の氏名
・「関係組織図(資料)」中の職員の職名及び氏名
・「委託契約書(資料・3通)」中の架空の業務委託契約の相手方法人の構成員の氏名
・「賀農375号(資料)」中の元業務補助職員の印影
三重県職員懲戒審査委員会の開催について
(平成13年2月19日)
・「本文」中の懲戒審査対象者の職名及び氏名
・「懲戒審査要求書」中の懲戒審査対象者の職名及び氏名
職員の懲戒に係る報告について
(平成13年2月20日)
・「本文」中の処分対象者の職名及び氏名
・「第2案(懲戒審査報告書)」中の処分対象者の職名及び氏名
・「職員懲戒審査委員会議事概要」中の処分対象者の職名及び氏名
・「規律違反の概要」中の規律違反者の職名、氏名、年齢、元業務補助職員の氏名、職員の過去の処分歴及び職員の略歴
職員の懲戒処分について
(平成13年2月22日)
・「本文」中の処分対象者の職名及び氏名
・「第3案(辞令案)」中の処分対象者の氏名
・「処分説明書」中の処分対象者の職名及び氏名
・「処分書案」中の処分対象者の氏名
・「懲戒審査報告書」中の処分対象者の職名及び氏名
対象公文書 実施機関が条例第7条第4号(公共安全情報)及び第5号(審議検討情報)として非開示とした部分
職員の懲戒に係る報告について
(平成13年2月20日)
・「職員懲戒審査委員会議事概要」中の主な意見、質問

別紙1

審査会の処理経過

年月日 処理内容
16. 9. 9 ・諮問書の受理
16. 9.13 ・実施機関に対して非開示理由説明書の提出依頼
16. 9.28 ・非開示理由説明書の受理
16. 9.29  ・異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
17. 4.12 ・書面審理
・異議申立人の口頭意見陳述
・実施機関の補足説明
・審議                
(第219回審査会)
17. 5.17  ・審議
・答申                
(第222回審査会)

三重県情報公開審査会委員

職名 氏名 役職等
※会長 岡本 祐次 元三重短期大学長
※会長職務代理者 早川 忠宏 弁護士
※委員 渡辺 澄子 三重中京大学短期大学部教授
※委員 寺川 史朗 三重大学人文学部助教授
委員 豊島 明子 三重大学人文学部助教授
委員 丸山 康人 四日市大学総合政策学部教授
委員 竹添 敦子 三重短期大学教授

 なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

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