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平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第215号

答申

1 審査会の結論

 実施機関が行った決定は妥当である。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成16年8月24日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「四日市農林のフラワー農道建設工事の「談合情報」後の対処に関る全ての文書 8/6請求分以後のもの」の公文書開示請求(以下、「本件請求」という。)に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成16年9月7日付け農商第02-72号で通知した公文書部分開示決定(以下「本決定A」という。)、平成16年9月7日付け北農第354号で通知した公文書部分開示決定(以下「本決定B」という。)及び平成16年9月6日付け北農第9088号で通知した公文書部分開示決定(以下「本決定C」という。)の取消しを求めるというものである。

3 本件対象公文書について

 本件異議申立ての対象となっている公文書は、別表の「対象公文書」欄に記載したとおりである。

4 実施機関の非開示理由説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本決定A、本決定B及び本決定Cが妥当というものである。

(1)条例第7条第2号(個人情報)に該当

 本件対象公文書のうち、本決定Aにおける(ア)「事情聴取とりまとめ表(平成16年8月6日事情聴取)」の「出席者」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された出席者の役職名及び氏名、(イ) 「事情聴取とりまとめ表(平成16年8月6日事情聴取)」の「本件に関して、見積をした方の役職名、氏名を教えてください。」欄に係る各指名競争入札業者の回答欄に記載された役職名及び氏名(又は姓)、本決定Bにおける(ウ)「入札の執行について(伺い)(平成16年8月10日起案)」の「別記あて先」に記載されたファックス到着確認者の姓、(エ)「入札の執行について(伺い)(平成16年8月11日起案)」の「別記あて先」に記載されたファックス到着確認者の姓、本決定Cにおける(オ)「事情聴取とりまとめ表(平成16年8月6日事情聴取)」の「出席者」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された出席者の役職名及び氏名、(カ)「事情聴取とりまとめ表(平成16年8月6日事情聴取)」の「本件に関して、見積をした方の役職名、氏名を教えてください。」欄に係る各指名競争入札業者の回答欄に記載された役職名及び氏名(又は姓)、(キ)「委任状(平成16年8月6日事情聴取時に提出)」に記載された受任者の氏名及び印影、(ク)「誓約書(平成16年8月6日事情聴取時に提出)」の「担当者名」欄に記載された個人の氏名及び印影、(ケ)「事情聴取とりまとめ表(平成16年8月23日事情聴取)」の「出席者」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された出席者の役職名及び氏名、(コ)「事情聴取とりまとめ表(平成16年8月23日事情聴取)」の特定の業者に対する質問に対する回答欄に記載された役職名及び個人の姓、(サ)「見積内訳書」の「本件に関して、見積をした方の役職名、氏名を教えてください。」欄に係る各指名競争入札業者の回答欄に記載された役職名及び氏名、(シ)「委任状(平成16年8月23日事情聴取時に提出)」に記載された受任者の氏名及び印影は、特定の個人が直接又は間接に識別される情報であるため、条例第7条第2号に掲げる情報(個人情報)に該当する。入札指名業者の従業員の氏名を公にすることにより、会社の従業員として入札業務等に関わったに過ぎないにもかかわらず、世間から会社の担当者として談合に関わったのではないかという疑惑をいだかれ、これによって私生活の平穏が乱されるおそれがある。また、条例第7条第2号ただし書のいずれにも該当しないから、これらの情報を非開示とするのが妥当である。

(2)条例第7条第3号(法人情報)に該当

 本件対象公文書中、本決定Aにおける(ス)「事情聴取とりまとめ表(平成16年8月6日事情聴取)」の「会社の所在する市町村」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された市町村名及び「会社名」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された法人の名称、(セ)「事情聴取とりまとめ表(平成16年8月6日事情聴取)」の「今回の入札に参加予定の他社を事前に知っていましたか。「具体的な社名」」欄に係る各指名競争入札業者の回答欄に記載された法人の名称、法人の数及び法人の属性に関する情報、本決定Cにおける(ソ)「事情聴取とりまとめ表(平成16年8月6日事情聴取)」の「会社の所在する市町村」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された市町村名及び「会社名」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された法人の名称、(タ)「事情聴取とりまとめ表(平成16年8月6日事情聴取)」の「今回の入札に参加予定の他社を事前に知っていましたか。「具体的な社名」」欄に係る各指名競争入札業者の回答欄に記載された法人の名称、法人の数及び法人の属性に関する情報、(チ)「事情聴取とりまとめ表(平成16年8月23日事情聴取)」の「会社の所在する市町村」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された市町村名及び「会社名」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された法人の名称、(ツ)「事情聴取とりまとめ表(平成16年8月23日事情聴取)」の「他社から、所属の建設業協会でよく会うと聞いていますが、そこでこの件に関して情報交換されませんでしたか。」欄に係る各指名競争入札業者の回答欄に記載された回答の一部、(テ)「事情聴取とりまとめ表(平成16年8月23日事情聴取)」の特定の業者に対する質問内容に記載された法人の名称、(ト)「事情聴取とりまとめ表(平成16年8月23日事情聴取)」の特定の業者に対する質問に対する回答欄に記載された法人の名称、(ナ)「見積内訳書」の「会社の所在する市町村」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された市町村名及び「会社名」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された法人の名称、(ニ)「見積内訳書」の見積りの内訳の「技術管理費」、「共通仮設費」、「共通仮設費(率)」、「現場管理費」、「現場管理費(率)」、「一般管理費」及び「一般管理費(率)」の各欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された数値並びに(ヌ)「見積内訳書」の見積りの内訳の「合計」、「消費税」及び「本工事費計」の各欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された数値のうち、(ス)から(ナ)までは、開示することにより当該法人があたかも談合に関与しているとの不名誉な疑惑を抱かれるおそれがあり、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められる。(ニ)は、当該法人の生産、技術、販売、営業等の情報であり、開示することにより、開示した「直接工事費」と比較し、当該法人の積算内訳(積算率)情報を公にすることになり、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められる。(ヌ)は、開示することにより、後日公表される「入札結果調書」と比較することにより、当該法人を識別することが可能となり、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められる。そして、事情聴取は実施機関に寄せられた談合情報に基づき入札参加業者の任意の協力により実施する調査であること、また、条例第7条第3号ただし書のいずれにも該当しないことから、非開示が妥当である。

(3)条例第7条第6号(事務事業情報)に該当

 対象公文書のうち、本決定Aにおける(ネ)「事情聴取とりまとめ表(平成16年8月6日事情聴取)」の「本件に関して、見積をした方の役職名、氏名を教えてください。」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された役職名及び氏名(又は姓)、(ノ)「事情聴取とりまとめ表(平成16年8月6日事情聴取)」の「今回の入札に参加予定の他社を事前に知っていましたか。「具体的な社名」」欄に係る各指名競争入札業者の回答欄に記載された法人の名称、法人の数及び法人の属性に関する情報、本決定Cにおける(ハ)「事情聴取とりまとめ表(平成16年8月6日事情聴取)」の「本件に関して、見積をした方の役職名、氏名を教えてください。」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された役職名及び氏名(又は姓)、(ヒ)「事情聴取とりまとめ表(平成16年8月6日事情聴取)」の「今回の入札に参加予定の他社を事前に知っていましたか。「具体的な社名」」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された法人の名称、法人の数及び法人の属性に関する情報、(フ)「事情聴取とりまとめ表(平成16年8月23日事情聴取)」の「全社から聞取」欄の中の質問内容のうち見積りに関する情報が記載された部分、(ヘ)「事情聴取とりまとめ表(平成16年8月23日事情聴取)」の聴取対象業者の分類に関する情報、(ホ)「事情聴取とりまとめ表(平成16年8月23日事情聴取)」の実施機関が非開示とした聴取対象業者の分類に属する特定の業者に対する質問内容に記載された情報通報者が述べた内容に関する情報の一部、(マ)「事情聴取とりまとめ表(平成16年8月23日事情聴取)」の「本命業者からの聞取」欄に記載された各質問内容に対する各指名競争入札業者の回答、(ミ)「事情聴取とりまとめ表(平成16年8月23日事情聴取)」の本命業者に対する質問内容に記載された情報通報者が述べた内容の一部、(ム)「事情聴取とりまとめ表(平成16年8月23日事情聴取)」の本命業者に対する質問内容に記載された誰かに依頼した依頼内容、(メ)「事情聴取とりまとめ表(平成16年8月23日事情聴取)」の特定の業者に対する質問内容に記載された法人の名称、(モ)「事情聴取とりまとめ表(平成16年8月23日事情聴取)」の特定の業者に対する質問に対する回答欄に記載された法人の名称、役職名及び個人の姓、(ヤ)「見積内訳書」の「本件に関して、見積をした方の役職名、氏名を教えてください。」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された役職名及び氏名(又は姓)は、質問内容(情報提供者からの公表されていない情報)、各業者の回答内容を開示することにより、今後同種の情報が得られなくなるなど、事務事業の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがあるので、非開示とするのが妥当である。

5 異議申立て理由

 異議申立人の主張を総合すると、次に掲げる理由から、実施機関の決定は条例の解釈運用を誤っているというものである。

 「談合情報」による聴き取りその他調査活動は、犯罪捜査でないことを明示した上でこれを行っているのであるから、それによって得られる行政上の文書は当然公開の対象になるということを前提にしており、聴き取りに関する情報を公表しても何ら差し支えはない。
 聴き取り対象の企業の役員については、法人登記簿謄本によって、あるいは、建設業許可申請・「指名願い」などによって既に公表され、あるいは、公表が義務付けられた情報である。事情聴取を受けたことが談合に参加したような評価を受けるから非開示にするというのは考えられない。建設業法では、業者は公開になっている。それを、条例の規定で個人が識別される情報だから非開示とするのは間違いである。また、本件「談合情報」は、異議申立人自身が提供したものである。本件「談合」本命業者は、現職の地方議会議員が実質上の経営者であり、「兼業禁止規定」に抵触するが、そのことを隠蔽する目的も非開示理由の一つなのか、明らかにせよ。今回の「談合情報」に係る情報公開請求に対する部分非開示は、三重県知事の「談合防止」、「透明性の確保」、「説明責任」に係る「入札談合等の関与行為の排除及び防止に関する法律」等の規定を如何に骨抜きにし、従来型「官製談合」を復活させるかという企図を明白に示すものであり、入札契約方式の改変に係る効果を発表できないことと合わせ、逆流の姿勢を明確に示すものと言える。
 「見積額」は、入札参加者が、正当に価格競争を目的として積算したか、又は、「談合」により本命業者に手渡された数値により算出したものかを判断する指標であり、これを隠蔽することは、「官製談合」を容認するものである。見積書積算担当者氏名を公表しないことも同様である。

6 審査会の判断

(1)基本的な考え方

 条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。
 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下について判断する。

(2)条例第7条第2号(個人情報)の意義について

 個人に関する情報であって特定の個人を識別し得るものについて、条例第7条第2号は、一定の場合を除き非開示情報としている。これは、個人に関するプライバシー等の人権保護を最大限に図ろうとする趣旨であり、プライバシー保護のために非開示とすることができる情報として、個人の識別が可能な情報(個人識別情報)を定めたものである。
 しかし、形式的に個人の識別が可能であればすべて非開示となるとすると、プライバシー保護という本来の趣旨を越えて非開示の範囲が広くなりすぎるおそれがある。 そこで、条例は、個人識別情報を原則非開示とした上で、本号ただし書により、非開示にする必要のないもの及び個人の権利利益を侵害しても開示することの公益が優越するため開示すべきものについては、開示しなければならないこととしている。

(3)条例第7条第2号(個人情報)の該当性について

 実施機関が本号に該当するとして非開示とした情報は、上記4(1)の(ア)から(シ)に掲げる情報であり、以下のとおり分類することができる。

(a)平成16年8月4日に実施する予定であった入札について実施機関に談合の情報の提供があった工事(以下「本件工事」という。)の指名競争入札について、実施機関による事情聴取に出席した本件工事の入札指名業者である法人の役員(建設業法(昭和24年法律第100号)第5条の「役員」をいう。以下同じ。)又は従業者の役職名、氏名及び個人の印影
(ア)、(オ)、(キ)、(ケ)、(シ)

(b)本件工事の見積りを行った本件工事の入札指名業者である法人の役員又は従業者の役職名及び氏名(又は姓)
(イ)、(カ)、(サ)

(c)実施機関から本件工事の入札指名業者(以下「本件入札指名業者」という。)宛てに、延期された入札を平成16年8月11日に実施する旨を通知するために送付された文書や平成16年8月11日に実施した指名競争入札の落札決定を保留する旨を通知するために送付された文書のあて先の一覧表に記載された、ファックスの受信を確認した本件入札指名業者である法人の従業者の姓
(ウ)、(エ)

(d)本件工事の入札に関し、入札指名通知書条件6の3の規定に抵触する行為を行っていないこと及び今後も同規定を遵守することを誓約する内容の誓約書の「担当者名」欄に記載された、本件入札指名業者である法人の役員又は従業者の氏名及び個人の印影
(ク)

(e)実施機関から本件入札指名業者のうち特定の業者に対して行った質問に対する回答欄に記載された建設業者である法人の役員又は従業者の役職名及び姓
(コ)

 ところで、一般に法人の役員及び従業者の役職名、氏名又は個人の印影は、条例第7条第2号本文に規定する「個人に関する情報であって、特定の個人が識別され得る情報」であり、同号ただし書に該当しない限り、これらの情報を非開示とすることができると解すべきである。そして、建設業者の役員及び従業者の役職名、氏名及び個人の印影について、同号ただし書に該当するか否かを検討すると、これらの情報のうち建設業者の役員の役職名及び氏名は、異議申立人が主張しているように、建設業法に基づき公衆の閲覧に供されている文書に記載されている情報であると認められるため、法人の役員名簿のように法人の役員が誰であるかということを記載したに過ぎない文書に建設業者の役員の役職名及び氏名が記載されている場合には、建設業者の役員の役職名及び氏名は法令により公にされ又は公にされることを予定している情報であると認められ、同号ただし書イにより、これらの情報を非開示とすることはできない。しかし、公文書の綴り方や公文書の記載の内容により、建設業者の役員の役職名及び氏名にそれ以外の何らかの情報が結び付けられて意味が付け加えられ、その付け加えられた意味を含んだ情報が法令等や慣行により公にされ又は公にされることを予定している情報であるとは認められない場合には、その建設業者の役員の役職名及び氏名を開示すれば、付け加えられた意味を含んだ特定の個人を識別し得る情報であって、公にされ又は公にされることを予定していない情報を開示する結果となり、妥当でない。このような場合には、建設業者の役員の役職名及び氏名を、条例第7条第2号ただし書イを理由に開示すべきであると解すべきではない。
 なお、建設業者の役員の個人の印影並びに建設業者の従業者の役職名、氏名及び個人の印影は、建設業法等の法令等又は慣行により公にされ又は公にされることを予定している情報であるとは認められないから、同号ただし書を理由に開示すべきであるとは解されない。
 (a)に掲げる情報は、本件工事の入札指名業者である法人の役員又は従業者の役職名、氏名及び個人の印影に、実施機関による事情聴取に出席した者という意味を付加された情報であって、このような情報が建設業法等の法令や慣行により公にされ又は公にされることを予定しているとは認められない。また、人の生命、身体、健康、財産、生活又は環境を保護するため、実施機関による事情聴取に出席した者の役職名、氏名及び個人の印影を公にすることが必要であるとも認められない。したがって、(a)に掲げる情報のうち本件入札指名業者である法人の役員又は従業者の役職名、氏名及び個人の印影は、条例第7条第2号ただし書イ及びロのいずれにも該当せず、これらの情報を条例第7条第2号に掲げる非開示情報として非開示とした実施機関の判断は妥当である。
 (b)に掲げる情報は、本件入札指名業者である法人の役員又は従業者の役職名及び氏名(又は姓)に、本件工事の見積りを行った者という意味を付加された情報であって、このような情報が建設業法等の法令や慣行により公にされ又は公にされることを予定しているとは認められない。また、人の生命、身体、健康、財産、生活又は環境を保護するため、本件工事の見積りを行った者の役職名及び氏名を公にすることが必要であるとも認められない。したがって、(b)に掲げる情報は、条例第7条第2号ただし書イ及びロのいずれにも該当せず、これらの情報を条例第7条第2号に掲げる非開示情報に該当するとして非開示とした実施機関の判断は妥当である。
 (c)に掲げる情報は、本件入札指名業者である法人の従業者の姓に、実施機関から本件入札指名業者宛てに、延期された入札を実施する旨を通知するために送付された文書や実施した指名競争入札の落札決定を保留する旨を通知するために送付された文書のファックスの受信を確認した者という意味を付加された情報であって、建設業法等の法令や慣行により公にされ又は公にされることを予定しているとは認められない。また、人の生命、身体、健康、財産、生活又は環境を保護するため、このようなファックスの受信を確認した者の姓を公にすることが必要であるとも認められない。したがって、(c)に掲げる情報は、条例第7条第2号ただし書イ及びロのいずれにも該当せず、これらの情報を条例第7条第2号に掲げる非開示情報に該当するとして非開示とした実施機関の判断は妥当である。
 (d)に掲げる情報は、本件入札指名業者である法人の役員又は従業者の氏名及び個人の印影に、本件工事の入札に関し入札指名通知書条件6の3の規定に抵触する行為を行っていないこと及び今後も同規定を遵守することを誓約した誓約書の担当者という意味を付加された情報であって、建設業法等の法令や慣行により公にされ又は公にされることを予定しているとは認められない。また、人の生命、身体、健康、財産、生活又は環境を保護するため、このような誓約書の担当者の氏名及び個人の印影を公にすることが必要であるとも認められない。したがって、(d)に掲げる情報は、条例第7条第2号ただし書イ及びロのいずれにも該当せず、これらの情報を条例第7条第2号に掲げる非開示情報として非開示とした実施機関の判断は妥当である。
 (e)に掲げる情報は、建設業者である法人の役員又は従業者の役職名及び氏名に、実施機関から本件入札指名業者のうち特定の業者に対して行った質問に対して当該特定の業者から示された回答の中で挙げられた者という意味を付加された情報であって、建設業法等の法令や慣行により公にされ又は公にされることを予定しているとは認められない。また、この情報が人の生命、身体、健康、財産、生活又は環境を保護するため、公にすることが必要であるとも認められない。したがって、(e)に掲げる情報は、条例第7条第2号ただし書イ及びロのいずれにも該当せず、これらの情報を条例第7条第2号に掲げる非開示情報に該当するとして非開示とした実施機関の判断は妥当である。

(4)条例第7条第3号(法人情報)の意義について

 本号は、自由主義経済社会においては、法人等又は事業を営む個人の健全で適正な事業活動の自由を保障する必要があることから、事業活動に係る情報で、開示することにより、当該法人等又は個人の競争上の地位その他正当な利益が害されると認められるものが記録されている公文書は、非開示とすることができると定めたものである。しかしながら、法人等に関する情報であっても、事業活動によって生ずる危害から人の生命、身体、健康又は財産を保護し、又は違法若しくは不当な事業活動によって生ずる支障から県民等の生活・環境を保護するため公にすることが必要であると認められる情報及びこれらに準ずる情報で公益上公にすることが必要であると認められるものは、ただし書により、常に公開が義務づけられることになる。

(5)条例第7条第3号(法人情報)の該当性について

 実施機関が本号に該当するとして非開示とした部分は、上記4(2)の(ス)から(ヌ)に掲げる情報であり、このうち(ス)から(ナ)までは以下のとおり分類することができる。

(f)実施機関が作成した事情聴取とりまとめ表に記載された、事情聴取の対象とされた本件入札指名業者の所在市町村名及び名称
(ス)、(ソ)、(チ)、(ナ)

(g)実施機関が談合行為の有無を判断するために本件入札指名業者に行った質問の内容又はその質問に対して本件入札指名業者が行った回答の内容として、実施機関が事情聴取とりまとめ表に記載した法人の名称及び属性等に関する情報
(セ)、(タ)、(ツ)、(テ)、(ト)

 (f)に掲げる情報は、本号本文に規定する「法人に関する情報」であることは明らかであるが、「公にすることにより、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められるもの」に該当するかどうかが、争点になる。この点、実施機関が当審査会に提出した非開示理由説明書によると、これらの情報を公にすることにより、当該法人があたかも談合に関与しているとの不名誉な疑惑を抱かれるおそれがあり、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められると説明する。しかし、実施機関は、平成16年9月7日付けで通知した本決定Bにおいて、「北勢南部地区 広域農道事業4工区その4道路工事 入札の執行について(伺い)」(平成16年8月11日起案)のうち入札指名業者に詳細工事費内訳書の提出を求める通知文書や「別記あて先」に記載された詳細工事費内訳書を提出させる対象とする入札指名業者の名称、「北勢南部地区 広域農道事業4工区その4道路工事 入札談合情報に関する事情聴取(第2回)の実施について(伺い)」(平成16年8月19日起案)のうち「事情聴取日程表」や「別記あて先」に記載された事情聴取の対象とする入札指名業者の名称を開示しており、また、実施機関が平成16年9月6日付けで通知した本決定Cにおいても、「委任状」(8月6日事情聴取時に提出)や「誓約書」(8月6日事情聴取時に提出)に記載された事情聴取に応じた入札指名業者の名称を開示しており、前述の実施機関の説明には合理性を認められない。また、当審査会の審議における実施機関の説明によると、平成16年8月24日の時点では入札が終わっておりその時点で本件入札指名業者が特定されてもよいと判断して「事情聴取日程表」に記載された入札指名業者の名称を開示したというのであるから、(f)に掲げる情報を開示しても本件入札指名業者の競争上の地位その他正当な利益を害するとは認められず、(f)に掲げる情報を非開示とする根拠として本号を適用した実施機関の判断は妥当でない。しかし、後述するように、(f)に掲げる情報を含む情報が条例第7条第6号に掲げる非開示情報に該当することを理由にこれらの情報を非開示とした実施機関の決定自体は妥当であると認められるので、(f)に掲げる情報を非開示とした実施機関の決定自体は妥当である。
 (g)に掲げる情報は、本件入札指名業者のうち特定の入札指名業者に係る情報である。これらの情報は、実施機関が談合行為の有無を調査するために行った質問やその質問に対する入札指名業者からの回答の中で記載されているものである。実施機関は、そこに記載されている特定の入札指名業者である法人の名称等が公にされると、当該法人があたかも談合に関与しているとの不名誉な疑惑を抱かれるおそれがあり、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められると説明する。これに対して、異議申立人は、世間一般では建設業者が談合をしているのは当たり前の話になっており、わざわざ県が否定するのは、県が行っている入札制度の改革と矛盾していると主張する。確かに、新聞等に談合についての記事がしばしば載る等、建設業者の談合が社会的な問題となっている。しかし、本件工事に係る指名競争入札については、本決定A及び本決定Cを行った時点で、権限のある機関の調査により談合が行われたと認定されていた等の事情は認められない。(g)に掲げる情報を開示すれば、特定の法人があたかも談合に関与しているかのような不名誉な疑惑を抱かれるおそれがあり、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められる。したがって、(g)に掲げる情報は本号本文に該当する。また、(g)に掲げる情報は、「事業活動によって生じ、又は生ずるおそれのある危害から人の生命、身体、健康又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」(本号ただし書イ)、「違法又は不当な事業活動によって生じ、又は生ずるおそれのある影響から県民等の生活又は環境を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」(同号ただし書ロ)又は「イ又はロに掲げる情報に順ずる情報であって公益上公にすることが必要であると認められるもの」(同号ただし書ハ)のいずれにも該当するとは認められないから、非開示が妥当である。
 上記4(2)の(ニ)に掲げる情報について、異議申立人は、本件入札指名業者が正当に価格競争を目的として積算したか否か、又は、「談合」により本命業者から手渡された数値により算出したものか否かを判断する指標となり得るものであると主張する。しかしながら、実施機関の説明によれば、これらの情報は、直接工事費とは異なり、建設業者の会社の運営経費や現場の運営経費など建設業者によって算定の差が大きい費目であり、これらの情報が建設業者名と共に公にされると、当該建設業者の他の工事における見積り金額をある程度推測することが可能となるため、他の建設業者にこれらの情報が知れると当該建設業者が競争上不利となることが予想されるとのことであり、当審査会としてもこの点を否定することはできない。そして、実施機関が当審査会の審議において行った説明によれば、上記4(2)の(ニ)に掲げる情報を開示すれば、実施機関が契約締結後に入札指名業者の名称とその入札金額を入札結果として公表することにしていることと相まって、入札結果として公表された入札指名業者の名称やその入札金額と上記4(2)の(ニ)に掲げる情報が記載された「見積内訳書」とを照合することによって、どの本件入札指名業者がいくらで会社の運営経費や現場の運営経費などを見積もったのかを確実に特定し得ることとなるとのことであり、当審査会としてもこの点を認めざるを得ない。そして、そのような事態になれば、建設業者である本件入札指名業者の会社の運営経費や現場の運営経費など建設業者によって算定の差が大きい費目が本件入札指名業者の名称と共に公にされるのと同様の結果となり、本件入札指名業者が競争上不利となると認められる。したがって、上記4(2)の(ニ)に掲げる情報は本号本文に該当する。また、4(2)の(ニ)に掲げる情報は、「事業活動によって生じ、又は生ずるおそれのある危害から人の生命、身体、健康又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」(本号ただし書イ)、「違法又は不当な事業活動によって生じ、又は生ずるおそれのある影響から県民等の生活又は環境を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」(同号ただし書ロ)又は「イ又はロに掲げる情報に準ずる情報であって公益上公にすることが必要であると認められるもの」(同号ただし書ハ)のいずれにも該当するとは認められないから、非開示が妥当である。
 上記4(2)の(ヌ)に掲げる情報は、これらの情報を開示すれば、入札結果として公表された入札指名業者の名称やその入札金額と上記4(2)の(ヌ)に掲げる情報が記載された「見積内訳書」とを照合することによって、「見積内訳書」において本件入札指名業者ごとに記載された情報に対応する本件入札指名業者を個別に確実に特定し得ることになり、各本件入札指名業者の「技術管理費」、「共通仮設費」、「現場管理費」及び「一般管理費」の合計額をも特定し得る結果となる。そのようなことになれば、建設業者の会社の運営経費や現場の運営経費など建設業者によって算定の差が大きい費目の合計額が本件入札指名業者の名称と共に公にされるのと同様の結果となり、本件入札指名業者が競争上不利となると認められる。したがって、上記4(2)の(ヌ)に掲げる情報は本号本文に該当する。また、4(2)の(ヌ)に掲げる情報は、「事業活動によって生じ、又は生ずるおそれのある危害から人の生命、身体、健康又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」(本号ただし書イ)、「違法又は不当な事業活動によって生じ、又は生ずるおそれのある影響から県民等の生活又は環境を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」(同号ただし書ロ)又は「イ又はロに掲げる情報に順ずる情報であって公益上公にすることが必要であると認められるもの」(同号ただし書ハ)のいずれにも該当するとは認められないから、非開示が妥当である。

(6)条例第7条第6号(事務事業情報)の意義について

 本号は、県の説明責任や県民の県政参加の観点からは、本来、行政遂行に関わる情報は情報公開の対象にされなければならないが、情報の性格や事務・事業の性質によっては、公開することにより、当該事務・事業の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがあるものがある。これらについては、非公開とせざるを得ないので、その旨を規定している。

(7)条例第7条第6号(事務事業情報)の該当性について

 実施機関が本号に該当するとして非開示とした部分は、上記4(3)の(ネ)から(ヤ)に掲げる情報であり、以下のとおり分類することができる。また、6(5)の(f)の情報((ス)、(ソ)、(チ)、(ナ))についても分類することとする。

(i)実施機関が行った事情聴取を受けた本件入札指名業者の所在市町村名及び名称並びにその代表者又は従業者の役職名及び氏名(又は姓)
(ネ)、(ハ)、(ヤ)、(ス)、(ソ)、(チ)、(ナ)

(j)実施機関に通報があった本件工事の指名競争入札の談合に関する情報において本命業者として指摘のあった本件入札指名業者に対して実施機関が行った事情聴取について、本件入札指名業者が回答した内容を記載することになっている欄に記載されている情報
(マ)

(k)実施機関が行った事情聴取において、実施機関が本件入札指名業者に質問した内容に含まれる、本件入札指名業者の属性に関する情報、本件入札指名業者の名称
(ヘ)、(メ)

(l)実施機関が行った事情聴取において、実施機関から本件入札指名業者への質問に対して本件入札指名業者が回答した内容に含まれる、本件入札指名業者の属性に関する情報、本件入札指名業者の名称等、その代表者又は従業者の役職名及び氏名(又は姓)
(ノ)、(ヒ)、(モ)

(m)本件工事の指名競争入札の談合に関する情報を実施機関に通報した者(以下「本件談合情報通報者」という。)が実施機関に提供した、本件工事の指名競争入札の談合行為に係る情報及び本件工事の指名競争入札の談合に関する情報の入手経緯に係る情報
(フ)、(ホ)、(ミ)、(ム)

 (i)に掲げる情報は、平成16年8月6日及び平成16年8月23日事情聴取において、事情聴取の対象とされた本件入札指名業者の所在市町村名及び名称並びに本件工事の見積りを行った代表者又は従業者の役職名及び氏名(又は姓)が事情聴取とりまとめ表及び見積内訳書に記載されているものである。実施機関は、(i)に掲げる情報が公にされると、県と事情聴取を受けた関係者との信頼関係が崩れ、今後関係者の積極的な協力が得られなくなり、県が正確な情報を入手することが困難になるおそれがあると説明する。さて、上記6(5)の(f)で述べているように平成16年8月24日の時点では入札が終っており、「事情聴取日程表」に記載された本件入札指名業者の名称はすべて開示されているが、(i)に掲げる情報が記載されている文書については、実施機関から本件入札指名業者への質問に対して本件入札指名業者が回答した内容の一部がすでに開示されていることから、(i)に掲げる情報と組み合わせることで、本件入札指名業者が各々どのような回答をしているのかが明らかになってしまう。したがって、談合情報に基づく関係者からの事情聴取は任意で行われているものであるので、(i)に掲げる情報が公にされると、各本件入札指名業者の回答が明らかになってしまい、今後事務・事業の遂行に必要な関係者からの協力が利害関係者等からの圧力等を懸念することで得られなくなるおそれがあり、談合に関する同種の情報が県に任意に提供されなくなる等、県の談合に関する正確な事実の把握を困難にするおそれがあると認めざるを得ない。したがって、(i)に掲げる情報は本号に該当し、非開示が妥当である。
 (j)に掲げる情報について、実施機関は、この情報が公にされると、県と事情聴取を受けた関係者との信頼関係が崩れ、今後関係者の積極的な協力が得られなくなり、県が正確な情報を入手することが困難になるおそれがあると説明する。談合情報に基づく関係者からの事情聴取は任意で行われているものであり、(j)に掲げる情報が公にされると、今後事務・事業の遂行に必要な関係者からの協力が回答について業者が特定される等を懸念することで得られなくなるおそれがあり、談合に関する同種の情報が県に任意に提供されなくなる等、県の談合に関する正確な事実の把握を困難にするおそれがあると認めざるを得ない。したがって、(j)に掲げる情報は本号に該当し、非開示が妥当である。
 (k)に掲げる情報について、実施機関は、この情報が公にされると、県と事情聴取を受けた関係者との信頼関係が崩れ、今後関係者の積極的な協力が得られなくなり、県が正確な情報を入手することが困難になるおそれがあると説明する。(k)に掲げる情報についても、(i)に掲げる情報の場合と同様、実施機関から本件入札指名業者への質問に対して本件入札指名業者が回答した内容の一部がすでに開示されていることから、これらの情報が公にされると、特定の本件入札指名業者の回答が明らかになってしまい、今後事務・事業の遂行に必要な関係者からの協力が利害関係者等からの圧力等を懸念することで得られなくなるおそれがあり、談合に関する同種の情報が県に任意に提供されなくなる等、県の談合に関する正確な事実の把握を困難にするおそれがあると認めざるを得ない。したがって、(k)に掲げる情報は本号に該当し、非開示が妥当である。
 (l)に掲げる情報について、実施機関は、この情報が公にされると、県と事情聴取を受けた関係者との信頼関係が崩れ、今後関係者の積極的な協力が得られなくなり、県が正確な情報を入手することが困難になるおそれがあると説明する。(l)に掲げる情報は、実施機関からの質問に対する本件入札指名業者の具体的な法人名等を挙げての回答である。談合情報に基づく関係者からの事情聴取は任意で行われているものであるので、(l)に掲げる情報が公にされると、今後事務・事業の遂行に必要な関係者からの協力が利害関係者等からの圧力等を懸念することで得られなくなるおそれがあり、談合に関する同種の情報が県に任意に提供されなくなる等、県の談合に関する正確な事実の把握を困難にするおそれがあると認めざるを得ない。したがって、(l)に掲げる情報は本号に該当し、非開示が妥当である。
 (m)に掲げる情報は、平成16年8月4日に行う予定であった本件工事に係る指名競争入札に関して本件談合情報通報者が談合情報を通報するために作成して実施機関に提出した文書に記載されていた情報及び実施機関が本件談合情報通報者から談合に関して聞き取りを行ったときに得られた情報が平成16年8月23日事情聴取における実施機関から本件入札指名業者に対しての質問内容の中に記載されているものである。実施機関は、当該文書に記載されている情報が公にされると、県と談合情報を提供した者との信頼関係が崩れ、今後談合の情報が県に提供されなくなり、県が様々な形で正確な情報を入手することが困難になるおそれがあると説明するが、異議申立人は、公文書開示請求をした本人が提供した情報であるから、非開示にする必要はない旨を主張する。しかし、本件談合情報通報者が実施機関に提供した情報が公にされると、その内容により当該談合情報の入手先や入手方法が特定され、当該談合情報の入手先がその権利利益の不当な侵害を受けるおそれ等があり、今後、県へ談合情報を提供する者が減ったり、談合に関する同種の情報が県に任意に提供されなくなる等、県が談合に関して様々な形で正確な情報を入手することが困難になるおそれがあると認めざるを得ない。したがって、(m)に掲げる情報は本号に該当し、非開示が妥当である。
 なお、条例上、公文書開示請求は何人も請求することができるとされており、開示請求者が何人であるかによって、または開示請求者が開示請求に係る公文書に記録されている情報について利害関係を有しているかなどの個別的事情によって、当該公文書の開示・非開示の判断を変えるべきではない。

(8)結論

 よって、主文のとおり答申する。

7 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

別表

1 本決定Aで実施機関が非開示とした部分

対象公文書 非開示とした部分 非開示とした理由
「農水商工部公正入札調査委員会事項書(平成16年8月10日及び平成16年8月11日開催分)」(事情聴取とりまとめ表(平成16年8月6日事情聴取)を含む。) ・事情聴取とりまとめ表のうち、「会社の所在する市町村」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された市町村名及び「会社名」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された法人の名称
(ス)

・事情聴取とりまとめ表のうち、「出席者」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された出席者の役職名及び氏名
(ア)

・事情聴取とりまとめ表のうち、「本件に関して、見積をした方の役職名、氏名を教えてください。」欄に係る各指名競争入札業者の回答欄に記載された役職名及び氏名(又は姓)
(イ)、(ネ)

・事情聴取とりまとめ表のうち、「今回の入札に参加予定の他社を事前に知っていましたか「具体的な社名」」欄に係る各指名競争入札業者の回答欄に記載された法人の名称、法人の数、法人の属性に関する情報
(セ)、(ノ)
・事情聴取とりまとめ表のうち、「出席者」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された役職名及び氏名、「本件に関して、見積をした方の役職名、氏名を教えてください。」欄に係る各指名競争入札業者の回答欄に記載された役職名及び氏名(又は姓)
特定の個人が識別され得るため、条例第7条第2号(個人情報)に該当。
・事情聴取とりまとめ表のうち、「会社の所在する市町村」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された市町村名、「会社名」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された法人の名称、「今回の入札に参加予定の他社を事前に知っていましたか「具体的な社名」」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された法人の名称、法人の数、法人の属性に関する情報
公にすることにより、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するため、条例第7条第3号(法人情報)に該当。
・事情聴取とりまとめ表のうち、「本件に関して、見積をした方の役職名、氏名を教えてください。」欄に係る各指名競争入札業者の回答欄に記載された役職名及び氏名(又は姓)、「今回の入札に参加予定の他社を事前に知っていましたか。「具体的な社名」」欄に係る各指名競争入札業者の回答欄に記載された法人の名称、法人の数、法人の属性に関する情報
公にすることにより、事務・事業の適正な遂行に著しい支障を及ぼすため、条例第7条第6号(事務事業情報)に該当。

2 本決定Bで実施機関が非開示とした部分

対象公文書 非開示とした部分 非開示とした理由
入札の執行について(伺い)(平成16年8月10日起案) ・「別記あて先」に記載されたファックス到着確認者の姓
(ウ)
開示することにより特定の個人が識別され得るため、条例第7条第2号(個人情報)に該当。
入札の執行について(伺い)(平成16年8月11日起案) ・「別記あて先」に記載されたファックス到着確認者の姓
 (エ)
開示することにより特定の個人が識別され得るため、条例第7条第2号(個人情報)に該当。

3 本決定Cで実施機関が非開示とした部分

対象公文書 非開示とした部分 非開示とした理由
事情聴取とりまとめ表(平成16年8月6日事情聴取) ・「会社の所在する市町村」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された市町村名及び「会社名」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された法人の名称
(ソ)

・「出席者」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された出席者の役職名及び氏名
(オ)

・「本件に関して、見積をした方の役職名、氏名を教えてください。」欄に係る各指名競争入札業者の回答欄に記載された役職名及び氏名(又は姓)
(カ)、(ハ)

・「今回の入札に参加予定の他社を事前に知っていましたか。「具体的な社名」」欄に係る各指名競争入札業者の回答欄に記載された法人の名称、法人の数、法人の属性に関する情報
(タ)、(ヒ)
・「出席者」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された出席者の役職名及び氏名、「本件に関して、見積をした方の役職名、氏名を教えてください。」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された役職名及び氏名(又は姓)
特定の個人が識別され得るため、条例第7条第2号(個人情報)に該当。

・「会社の所在する市町村」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された市町村名、「会社名」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された法人の名称、「今回の入札に参加予定の他社を事前に知っていましたか。「具体的な社名」」欄に係る各指名競争入札業者の回答欄に記載された法人の名称、法人の数、法人の属性に関する情報
開示することにより法人の競争上の地位その他正当な利益を害するため、条例第7条第3号(法人情報)に該当。

・「本件に関して、見積をした方の役職名、氏名を教えてください。」欄に係る各指名競争入札業者の回答欄に記載された役職名及び氏名(又は姓)、「今回の入札に参加予定の他社を事前に知っていましたか。「具体的な社名」」欄に係る各指名競争入札業者の回答欄に記載された法人の名称、法人の数、法人の属性に関する情報
開示することにより事務・事業の適正な遂行に著しい支障を及ぼすため、条例第7条第6号(事務事業情報)に該当。
委任状(平成16年8月6日事情聴取時に提出) ・受任者の氏名及び印影
(キ)
特定の個人が識別され得るため、条例第7条第2号(個人情報)に該当。
誓約書(平成16年8月6日事情聴取時に提出) ・「担当者名」欄に記載された個人の氏名及び印影
(ク)
特定の個人が識別され得るため、条例第7条第2号(個人情報)に該当。
事情聴取とりまとめ表(平成16年8月23日事情聴取) ・「会社の所在する市町村」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された市町村名及び「会社名」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された法人の名称
(チ)

・「出席者」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された出席者の役職名及び氏名
(ケ)

・「他社から、所属の建設業協会でよく会うと聞いていますが、そこでこの件に関して情報交換されませんでしたか。」欄に係る各指名競争入札業者の回答欄に記載された回答の一部
(ツ)

・「全社から聞取」欄の中の質問内容のうち見積りに関する情報が記載された部分
(フ)

・聴取対象業者の分類に関する情報
(ヘ)

・実施機関が非開示とした聴取対象業者の分類に属する特定の業者に対する質問内容に記載された情報通報者が述べた内容に関する情報の一部
(ホ)

・「本命業者からの聞取」欄に記載された各質問内容に対する各指名競争入札業者の回答
(マ)

・本命業者に対する質問内容に記載された情報通報者が述べた内容の一部
(ミ)

・本命業者に対する質問内容に記載された誰かに依頼した依頼内容
(ム)

・特定の業者に対する質問内容に記載された法人の名称
(テ)、(メ)

・特定の業者に対する質問に対する回答欄に記載された役職名及び個人の姓
 (コ)、(モ)

・特定の業者に対する質問に対する回答欄に記載された法人の名称
 (ト)、(モ)
・「出席者」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された出席者の役職名及び氏名、特定の業者に対する質問に対する回答欄に記載された役職名及び個人の姓

特定の個人が識別され得るため、条例第7条第2号(個人情報)に該当。

・「会社の所在する市町村」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された市町村名、「会社名」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された法人の名称、「他社から、所属の建設業協会でよく会うと聞いていますが、そこでこの件に関して情報交換されませんでしたか。」欄に係る各指名競争入札業者の回答欄に記載された回答の一部、特定の業者に対する質問内容に記載された法人の名称、特定の業者に対する質問に対する回答欄に記載された法人の名称

開示することにより法人の競争上の地位その他正当な利益を害するため、条例第7条第3号(法人情報)に該当。

・「全社から聞取」欄の中の質問内容のうち見積りに関する情報が記載された部分、聴取対象業者の分類に関する情報、実施機関が非開示とした聴取対象業者の分類に属する特定の業者に対する質問内容に記載された情報通報者が述べた内容に関する情報の一部、「本命業者からの聞取」欄に記載された各質問内容に対する各指名競争入札業者の回答、本命業者に対する質問内容に記載された情報通報者が述べた内容の一部、本命業者に対する質問内容に記載された誰かに依頼した依頼内容、特定の業者に対する質問内容に記載された法人の名称、特定の業者に対する質問に対する回答欄に記載された法人の名称、役職名及び個人の姓

開示することにより事務・事業の適正な遂行に著しい支障を及ぼすため、条例第7条第6号(事務事業情報)に該当。
見積内訳書 ・「会社の所在する市町村」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された市町村名及び「会社名」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された法人の名称
(ナ)

・「本件に関して、見積をした方の役職名、氏名を教えてください。」欄に係る各指名競争入札業者の回答欄に記載された役職名及び氏名(又は姓)
(サ)、(ヤ)

・見積りの内訳の「技術管理費」、「共通仮設費」、「共通仮設費(率)」、「現場管理費」、「現場管理費(率)」、「一般管理費」及び「一般管理費(率)」の各欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された数値
(ニ)

・見積りの内訳の「合計」、「消費税」及び「本工事費計」の各欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された数値
(ヌ)
・「本件に関して、見積をした方の役職名、氏名を教えてください。」欄に係る各指名競争入札業者の回答欄に記載された役職名及び氏名(又は姓)

特定の個人が識別され得るため、条例第7条第2号(個人情報)に該当。

・「会社の所在する市町村」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された市町村名、「会社名」欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された法人の名称、見積りの内訳のうち、「技術管理費」、「共通仮設費」、「共通仮設費(率)」、「現場管理費」、「現場管理費(率)」、「一般管理費」、「一般管理費(率)」、「合計」、「消費税」、「本工事費計」の各欄に係る各指名競争入札業者の欄に記載された数値

開示することにより法人の競争上の地位その他正当な利益を害するため、条例第7条第3号(法人情報)に該当。

・「本件に関して、見積をした方の役職名、氏名を教えてください。」欄に係る各指名競争入札業者の回答欄に記載された役職名及び氏名(又は姓)

 開示することにより事務・事業の適正な遂行に著しい支障を及ぼすため、条例第7条第6号(事務事業情報)に該当。
委任状(平成16年8月23日事情聴取時に提出) ・受任者の氏名及び印影
(シ)
特定の個人が識別され得るため、条例第7条第2号(個人情報)に該当。

別紙1

審査会の処理経過

年月日 処理内容
16. 9. 7 ・諮問書の受理
16. 9.13 ・実施機関に対して非開示理由説明書の提出依頼
16.10. 1 ・非開示理由説明書の受理
16.10. 4 ・異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
17. 4.15 ・書面審理
・異議申立人の口頭意見陳述
・実施機関の補足説明
・審議             
(第220回審査会)
17. 5.13 ・審議             
(第221回審査会)
17. 9. 9 ・審議
・答申             
(第229回審査会)

三重県情報公開審査会委員

職名 氏名 役職等
※会長 岡本 祐次 元三重短期大学長
※委員 豊島 明子 三重大学人文学部助教授
※委員 丸山 康人 四日市大学総合政策学部教授
※委員 竹添 敦子 三重短期大学教授
会長職務代理者 早川 忠宏 弁護士
委員 渡辺 澄子 三重中京大学短期大学部教授
委員 寺川 史朗 三重大学人文学部助教授
平成17年6月17日辞任
委員 樹神 成 三重大学人文学部教授
平成17年6月20日任命

 なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

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