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平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第223号

答申

1 審査会の結論

 実施機関は、本件異議申立ての対象となった公文書のうち、当審査会が非開示妥当と判断した部分を除き、開示すべきである。また、実施機関が行った決定の理由付記は、不当とはいえない。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成16年8月4日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「総務局所轄の審議会等について、委員選定の経緯のわかる文書すべて」の開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成16年8月17日付けで行った部分開示決定(以下「本決定」という。)の取消しを求めるというものである。

3 本件対象公文書について

(1)「三重県公務災害補償等審査会委員の選任について(伺い) 1件」

(2)「三重県公務災害補償等審査会委員の変更について(伺い) 2件」

(3) 「三重県公務災害補償等認定委員会委員の選定について(伺い) 2件」

(4) 「三重県公務災害補償等認定委員会委員の任免について(伺い) 2件」

(5) 「三重県審議会等女性委員登用促進基本要綱に基づく事前協議について(伺い)2件」

 上記、「(1)から(5)」(以下「本件対象公文書」という。)である。

4 実施機関の非開示理由説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本件対象公文書中の非開示部分は条例第7条第2号(個人情報)に該当し、非開示が妥当というものである。

○条例第7条第2号(個人情報)に該当

 個人の住所、生年月日、年齢、学歴、職歴及び印影は、個人に関する情報であり、開示することにより、私生活上の権利利益を害するおそれがあるため。

5 異議申立ての理由

 異議申立人は、次に掲げる理由から実施機関の決定は、条例の解釈・運用を誤っているというものである。

 開示しない理由として記されている記述は条例の文章を単に引き写したにすぎず、理由がわかる程度に説明されておらず、違法の決定である。

 また、総務局所轄の審議会等は審査会の目的とするところは異なるものの、いずれも県行政に深く関わるものであり、県民にとって、わが国社会において相当の生存権、生活権などを確保するために、極めて高い関心事である。その意味で、当該審議会等は高い公益性を持つといえる。

 したがって、その構成員たる委員についても同様の公益性が存在する。委員選任にあたっては、職歴、学歴、年齢等が重要な項目になるものと考えられ、職歴等は本人の申告に基づくもので、その真偽については社会のチェックを必要とする。

6 審査会の判断

(1) 基本的な考え方について

 条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。

 なお、本件事案について、異議申立人は、個人の住所、生年月日及び印影を除き、実施機関が行った本決定の取り消しを求めるとともに、公文書部分開示決定通知書において、開示しない理由として記されている記述は、条例の文章を単に引き写したのみである点についても異議があると認められる。

 よって、当審査会は、この点について情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。

(2) 条例第7条第2号(個人情報)の意義について

 個人に関する情報であって特定の個人を識別し得るものについて、条例第7条第2号は、一定の場合を除き非開示情報としている。これは、個人に関するプライバシー等の人権保護を最大限に図ろうとする趣旨であり、プライバシー保護のために非開示とすることができる情報として、個人の識別が可能な情報(個人識別情報)を定めたものである。

 しかし、形式的に個人の識別が可能であればすべて非開示となるとすると、プライバシー保護という本来の趣旨を越えて非開示の範囲が広くなりすぎるおそれがある。 そこで、条例は、個人識別情報を原則非開示とした上で、本号ただし書により、非開示にする必要のないもの及び個人の権利利益を侵害しても開示することの公益が優越するため開示すべきものについては、開示しなければならないこととしている。

(3) 条例第7条第2号(個人情報)の該当性について

 実施機関が本決定において本号(個人情報)に該当するとして非開示としたのは、年齢、学歴及び職歴(元公務員の現在の勤務先法人名を非開示としている。)である。

 実施機関は、これらの非開示とした情報は、個人に関する情報であり、開示することにより、私生活上の権利利益を害するおそれがあるため、条例第7条第2号に該当すると主張している。

 他方、異議申立人は、総務局所轄の審議会等は、高い公益性を持つといえ、また、委員選任にあたっては、職歴、学歴、年齢等が重要な項目になるものと考えられ、職歴等は本人の申告に基づくもので、その真偽については社会のチェックを必要とすると主張している。

 本件対象公文書中の「三重県公務災害補償等認定委員会、三重県公務災害補償等審査会」(以下「審査会等」という。)委員の学歴は、個人に関する情報であって、特定の個人が識別され得る情報として、本号本文に該当することは明らかである。また、審査会等は、知事等が認定を行うにあたって、その災害が公務又は通勤によるものかどうか審査を行うものであり、また、知事等が行う、公務又は通勤による災害の認定、療養の方法、補償金額の決定その他補償について不服がある者から、審査の申し立てがあったとき、審査をして裁定を行うものであって、審査会等委員の任命にあたっては、実施機関は、職歴を重視しているとのことであり、審査会等委員は多種多様な事案に対応するため、学歴よりもむしろ職歴が重視されていると見受けられ、かつ、本件対象公文書中の審査会等委員の職歴(元公務員の現在の勤務先法人名を除き開示している。)は、すでに明らかにされていることから、公益上の理由により公にすべき情報であると認められず、本号ただし書にも該当しないので審査会等委員の学歴は非開示が妥当である。

 次に、審査会等委員の職歴(元公務員の現在の勤務先法人名)について検討する。

 実施機関は、審査会等委員の職歴のうち、元公務員の現在の勤務先法人名については、委員の選任・選定の際考慮したものではないとして、具体的な法人名について非開示としている。

 ところで、審査会等委員は、弁護士等であっても、地方公務員法第3条第3項の特別職の地方公務員となる。

 そして、前述のとおり、実施機関は、委員の選任・選定にあたり、職歴を重視したのであるから、審査会等委員の職歴のうち、実施機関が非開示とした元公務員の職歴については、公務員等の職務に関する情報(本号本文の非開示情報から除かれる情報)とも考えられる。

 よって、本件事案のような職歴を重視して審査会等委員の選任・選定を行う場合においては、審査会等委員の職歴(元公務員の現在の勤務先法人名)は、開示すべきである。

 最後に、審査会等委員の年齢について検討する。

 審査会等委員の年齢は、すでに開示されている委員名と結びついた形態で本件対象公文書に記載していることから、個人情報に該当すると実施機関は説明している。

 しかし、各審議会等の委員については、幅広い年齢層から広く人材の登用を図ることなどによって選任が行われていると考えられる。

 したがって、本件事案のような審査会等委員の選任・選定に係る年齢についても、職歴同様、「公務員等の職務に関する情報」とも考えられるのであって、開示すべきである。

(4) 本決定の理由付記について

 条例第15条には、「実施機関は、第12条各項の規定により開示請求に係る公文書の全部又は一部を開示しないときは、開示請求者に対し、同条各項に規定する書面によりその理由を示さなければならない。この場合においては、開示しないこととする根拠規定を明らかにするとともに、当該規定を適用する根拠が当該書面の記載自体から理解され得るものでなければならない。」との規定があり、全然理由を付さなかったり、理由らしき理由を付さなかったときは、決定に形式上の瑕疵があるとされる。 異議申立人は、異議申立ての理由として、実施機関は条例の文章を単に引き写したにすぎず、理由がわかる程度に説明されていないと主張している。

 ところで、条例第7条第2号は、非開示情報について、いわゆる個人識別情報型を採用しており、形式的に個人の識別が可能であればすべて非開示とすることができるのであって、理由の詳細な記載は省略することができると考えられる。

 また、実施機関は、個人の私生活上の権利利益の侵害が大きいと考えたものを非開示としたとのことである。

 そして、本決定の通知書においては、「開示しない部分」欄に条例第7条第2号に該当する各情報が記載され、「上記部分を開示しない理由」欄に非開示の根拠規定及び条例第7条第2号適用の理由が記述されている。また、通知書の別紙に「実施機関が特定した公文書の件名」が記され、実施機関が特定した各公文書において、非開示とした情報が判るようになっている。

 これらのことを考え合わせると、本決定の理由付記が不当とはいえない。

(5) 結論

 よって、主文のとおり答申する。

7 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

別紙1

審査会の処理経過

年月日 処理内容
16.10.26 ・諮問書の受理
16.10.28 ・実施機関に対して非開示理由説明書の提出依頼
16.11. 5 ・非開示理由説明書の受理
16.11. 9 ・異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、意見書の提 出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
17. 9.28 ・書面審理
・異議申立人の口頭意見陳述
・実施機関の補足説明
・審議                 
(第230回審査会)
17.10.18 ・審議                 
(第232回審査会)
17.11.15 ・審議                 
(第234回審査会)
17.12. 6 ・審議
・答申                 
(第235回審査会)

三重県情報公開審査会委員

職名 氏名 役職等
※会長 岡本 祐次 元三重短期大学長
※会長職務代理者 早川 忠宏 弁護士
※委員 渡辺 澄子 三重中京大学短期大学部教授
※委員 樹神 成 三重大学人文学部教授
※委員 豊島 明子 三重大学人文学部助教授
委員 丸山 康人 四日市大学総合政策学部教授
委員 竹添 敦子 三重短期大学教授

 なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。
(早川委員は、平成17年9月まで当部会の構成員であった。豊島委員は、平成17年10月から当部会の構成員となった。)

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
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