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情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第236号

答申

1 審査会の結論

 実施機関は、本件異議申立の対象となった公文書のうち、審査会が非開示妥当と判断した部分を除き、開示すべきである。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成17年1月25日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「人事委員会が給与勧告の際に用いた職種別民間給与実態調査について 事業所名、所在地、職種、従業員数 過去3年分」の開示請求に対し、三重県人事委員会(以下「実施機関」という。)が平成17年2月4日付けで行った非開示決定(以下「本決定」という。)の取消しを求めるというものである。

3 本件対象公文書について

 本件異議申立ての対象となっている公文書は、職種別民間給与実態調査に係る事業所 名簿 平成14~16年度 各110事業所分(以下「本件対象公文書」という。)である。

4 実施機関の理由説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本決定が妥当というものである。

○条例第7条第3号(法人情報)に該当

 各年に作成した事業所名簿には、事業所における事業内容や常勤の従業員数について調査対象基準を満たしている事業所の中から無作為に抽出された110事業所の情報が登載されており、これらは全て法人の事業活動に係る情報であり、公にすることにより企業の正当な利益が害されると認められる。なお、名簿作成時の重要な指標となる常勤の従業員数は、事業活動の重要な評価要素であり、事業所自らが公表する場合を除き公にされていない情報を当委員会からの協力依頼に基づき特に提供されたものである。

○条例第7条第6号(事務事業情報)に該当

 事業所に対し情報の提供を依頼するとき及び事業所に対し調査への協力を依頼するときには、すべて極秘の取扱いとすることを事業所に確約した上で協力してもらっているため、事業所から提供された情報を個別に開示することは、来年以降の調査の遂行に著しい支障を及ぼすおそれがある。

5 異議申立ての理由

 事業所名等を公にすることにより企業の正当な利益が害されると主張するが、無作為抽出について、事業所を無作為抽出しているとする検証ができない。事業内容について、登記簿に記載されており自由に閲覧できる。常勤の従業員数について、出版物等で公にされている事業所も多数存在する。これらを勘案すると条例第7条第3号の該当に関する主張は明らかに失当であり、給与勧告の元となる調査の過程を一切公表しないのは極めて不透明で県民の信用を得られない。調査に協力する事業所側からすれば県民への公表を前提にしていないのは当然であり、提出された調査票を無条件で全て開示せよというのなら確かに無理がある。しかし、本請求は調査対象となった事業所名・所在地・職種・従業員数を請求しているのであって、個人の職名・氏名・学歴・年齢・給与総額等を請求しているものではない。給与勧告制度の透明性と法人情報への守秘義務が両立するような制度が望ましく、調査の透明性を確保しつつ事業所の協力も得られるような制度の妥協点を提示すべきである。

6 審査会の判断

(1) 基本的な考え方について

 条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。

 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。

(2) 条例第7条第3号(法人情報)の意義について

 本号は、自由主義経済社会においては、法人等又は事業を営む個人の健全で適正な事業活動の自由を保障する必要があることから、事業活動に係る情報で、開示することにより、当該法人等又は個人の競争上の地位その他正当な利益が害されると認められるものが記録されている公文書は、非開示とすることができると定めたものである。

 しかしながら、法人等に関する情報であっても、事業活動によって生ずる危害から人の生命、身体、健康又は財産を保護し、又は違法若しくは著しく不当な事業活動によって生ずる支障から県民の生活を保護するため公にすることが必要であると認められる情報及びこれらに準ずる情報で公益上公にすることが必要であると認められるものは、ただし書により、常に公開が義務づけられることになる。

(3) 条例第7条第3号(法人情報)の該当性について

 実施機関が本決定において本号(法人情報)に該当するとして非開示としたのは、本件対象公文書の全てである。

 実施機関は、企業にとって、正規の従業員数やパート従業員数のような詳細なデータは公表されている数値とは異なったものであり、企業戦略に関わる秘密事項のひとつであり、条例第7条第3号本文の法人に関する情報であって、公にすることにより、競争上の地位その他正当な利益が害されると認められる。また当該法人の戦略が外部に漏れるということは、当該企業の事業価値が大きく損なわれおそれがあり、かつ、同号のイ及びロに掲げられた情報には該当せず、これらの情報を公益上あえて開示することが必要であるとは認められないため、非開示情報に当たると主張している。

 他方、異議申立人は、全ての開示を主張しているのではなく、非開示部分の組み合わせ方で開示の仕方があると考えるが、今の開示の方法ではあまりにもブラックボックスである。また、実施機関は、常勤とその他の従業員比率は企業戦略の最たるものであると主張するが、全ての企業がそう主張するとは思えない。以上により、非開示にする正当性がないと主張している。

 審査会としては、本件対象公文書の様式とその項目名は、当然法人情報に該当しないと判断し、その上で、ある事項を単独あるいは複数組み合わせて開示することを検討した。しかし、事業所数に該当する番号、本支店に関する部分、所在地の府県名の部分を開示し、それ以上のことを開示しようとすると、少数ではあれ企業が特定あるいはかなりの精度で推測されてしまうおそれがある。公表されている職種別民間給与実態調査の概要と結び付けると企業が特定され、その企業の給与の額等を容易に知り得る。これは、公にすることにより、法人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められる法人情報に該当する。条例第7条第3号ただし書きイの情報(事業活動によって生じ、又は生ずるおそれのある危害から人の生命、身体、健康又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報)、同号ただし書きロの情報(違法又は不当な事業活動によって生じ、又は生ずるおそれのある影響から県民等の生活又は環境を保護するため公にすることが必要であると認められる情報)に該当するとも認められない。同号本文を定めた趣旨(法人情報の保護)から、原則として企業を特定し得る内容については開示すべきではないと判断する。

 以上により、本件対象公文書の様式、項目名、事業所数に該当する番号、本支店に関する部分、所在地の府県名の部分は法人情報に該当しないため、これらを開示とし、その外の部分については、少数ではあれ企業が特定される可能性が高いため非開示妥当と判断する。なお、実施機関は企業からの任意提供情報が含まれており、事務事業情報に該当すると主張しているが、開示妥当部分で企業の特定はできないことから、事務事業情報に該当の判断をするまでもない。

(4) 結論

 よって、主文のとおり答申する。

7 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

別紙1

審査会の処理経過

年月日 処理内容
17. 4.15 ・諮問書の受理
17. 4.22 ・実施機関に対して非開示理由説明書の提出依頼
17. 5.26 ・非開示理由説明書の受理
17. 5.30 ・異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、意見書の提 出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
18. 2.21 ・書面審理
・異議申立人の口頭意見陳述          
・実施機関の補足説明
・審議                 
(第240回審査会)
18. 3. 9 ・審議                 
(第241回審査会)
18. 4.17 ・審議                 
(第243回審査会)
18. 5.15 ・審議
・答申                 
(第245回審査会)

三重県情報公開審査会委員

職名 氏名 役職等
※会長 岡本 祐次 元三重短期大学長
※委員 樹神 成 三重大学人文学部教授
※委員 伊藤 睦 三重大学人文学部助教授
(平成18年4月1日任命)
※委員 豊島 明子 元三重大学人文学部助教授
(平成18年3月31日辞職)
※委員 渡辺 澄子 元三重中京大学短期大学部教授
会長職務代理者 早川 忠宏 弁護士
委員 竹添 敦子 三重短期大学教授
委員 丸山 康人 四日市大学総合政策学部教授

 なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

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