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平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第247号

答申

1 審査会の結論

 本件異議申立ての対象となった公文書を部分開示する旨の実施機関の決定は妥当である。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立人の趣旨は、開示請求者が平成18年4月12日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「特定の学校法人に対し、県が私学助成金を交付した理由について」開示請求(以下「本請求」と言う。)に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が、平成18年5月8日付けで開示請求者に対して行った公文書部分開示決定(以下「本決定」という。)の取消しを求めるというものである。

3 対象公文書について

  本件対象公文書は、次の2件(以下「本件対象公文書」という。)である。

  1. 平成16年度私立高等学校等振興補助金の交付決定について(平成16年6月22日付け生活第13-150号)
  2. 平成16年度私立高等学校等振興補助金の変更交付決定及び全額概算払について(平成17年3月14日付け生活第13-490号)

4 本件異議申立てについて

 実施機関は本請求に対し、本件対象公文書中に異議申立人の情報が含まれていることから、条例第17条第2項の規定に基づき、異議申立人に対して意見照会を行い、本件対象公文書を部分開示する旨の本決定を行った。実施機関は、本決定において、条例第7条第2号(個人情報)、同条第3号(法人情報)に該当するとした部分を非開示としている。

 実施機関は本決定を行うと同時に、異議申立人に対して条例第17条第3項の規定に基づき、個人情報及び法人情報に該当する情報を除き開示する旨の通知をしたところ、本件異議申立てが提起されたものである。

 なお、本請求を行った開示請求者には、平成18年5月22日付けで、本件異議申立てに係る決定に至るまで開示を停止する旨の通知がなされている。

5 実施機関の開示理由説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により本決定が妥当というものである。

 学校法人に対しては、振興補助金を始めとして県から種々の補助金が交付されていることから、その財務状況等については自ら積極的な公表が求められると考える。

 また、平成17年4月に施行された私立学校法の一部を改正する法律(平成16年法律第42号)により、学校法人は財産目録等について利害関係者から請求があった場合は、正当な理由がある場合を除いて、閲覧に供することとされている。この法改正は、学校法人に積極的な情報提供を義務づけるための最低限の内容を規定したものであり、利害関係人以外に対しても積極的な情報公開の観点から柔軟に対応することが望まれているところである。

 本件対象公文書は、学校法人から県に提出された振興補助金の交付申請書、変更交付申請書及びその添付資料であることから、こうしたことも念頭において、条例第7条に規定された非開示事由に該当するか否かを判断したものである。

 本件対象公文書に記載された情報のうち、補助対象となった人員及び経費、資金収支予算書の大項目の金額等については、条例第7条第3号の法人情報ではあるが、補助金交付の透明性の確保、県民に対する説明責任の観点から、また、公にすることで競争上の地位その他正当な利益を害するものとは認められないことから開示することとした。

6 異議申立て理由

 異議申立人は、本件対象公文書は、条例第7条第3号に規定する法人に関する情報であって、公にすることにより、当該学校法人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められるものに該当するとして、以下のように主張している。

 学校法人間においては、熾烈な競争が存在するところであり、各学校法人独自の経営上のノウハウや経営上の秘密が開示されると、ライバル校が模倣すること等により、競争上の不利益を被ることとなる。本件対象公文書の開示によって、学校法人の学校運営等を阻害したり、その信用又は社会的評価を害するという不利益を被るおそれがあるとともに、開示文書の不正利用の可能性を危惧する。学校法人には財務関係書類の開示を義務付ける法令がないとともに、これら事業に関する内部情報は、本来、学校法人自体において、事業の円滑な遂行に資するように、公開する範囲、相手方等の適正な管理を自ら行うことができるものと考えることから、情報公開によって、情報の管理を自ら行えなくなること自体が、学校法人の正当な利益を害するものである。

 平成17年4月改正の私立学校法(昭和24年号外法律第270号)第47条において公開対象となる財務書類は、当該学校法人の情報開示の規定に基づいて開示することを規定し、公に告知している。しかし、財務書類以外の附帯する関係10帳票は、事業計画・収支予算など経営の根幹にかかわるものであり、法人の経営上の事業内容がつぶさに網羅されている文書であり、この内容からは、経営方法などが容易に判明してしまう。私立学校の経営に関わっている者にとっては容易に判読できるものであり、県内外の法人に資料として流布されれば当該法人にとって不利と判断し、全面非開示を求めるものである。

7 審査会の判断

(1) 基本的な考え方について

 条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。

 一方、開示請求に係る公文書に第三者に関する情報が記載されているときに、当該第三者の権利利益を保護し開示の是非の判断の適正を期するために、開示決定等の前に第三者に対して意見書提出の機会を付与すること、及び開示決定を行う場合に当該第三者が開示の実施前に開示決定を争う機会を保障するための措置についても定めている。

(2)条例第7条第3号(法人情報)の意義について

 本号は、自由主義経済社会においては、法人等又は事業を営む個人の健全で適正な事業活動の自由を保障する必要があることから、事業活動に係る情報で、開示することにより、当該法人等又は個人の競争上の地位その他正当な利益が害されると認められるものが記録されている公文書は、非開示とすることができると定めたものである。

 しかしながら、法人等に関する情報であっても、事業活動によって生ずる危害から人の生命、身体、健康または財産を保護し、又は違法若しくは著しく不当な事業活動によって生ずる支障から県民の生活を保護するために公にすることが必要であると認められる情報、及びこれらに準ずる情報で公益上公にすることが必要であると認められるものは、ただし書きにより、常に公開が義務付けられることになる。

(3)条例第7条第3号(法人情報)の該当性について

 私立学校法第47条に規定する閲覧に供することが義務付けられた財産目録等は、財産目録、貸借対照表、収支計算書、事業報告書、監事による監査報告書であり、平成16年7月23日付け文部科学省高等教育局私学部長通知文書(16文科高第304号)により様式参考例が定められている。

 異議申立人は、本件対象公文書に含まれる情報は法人の経営上の当該事業に関する情報であり、公にすることにより競争上の不利益を被るおそれがあると主張している。

 しかし、実施機関が開示としたのは、補助金対象部分の補助対象となった人件費や資金収支決算書中の大項目等であり、いずれも財産目録等に記載されている情報と同質のものである。したがって、このような情報が開示されるとしても、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するとは判断できない。また、教職員の週あたり授業時間数等の情報は、開示することによって、本条本号に規定する当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するものとまでは認められない。

 異議申立て人は、本件対象公文書は、閲覧に供することを義務付けられた文書ではないと主張している。確かに本件対象公文書は財産目録等にはあたらないが、条例第2条第2項は、「公文書」を実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画、写真、フィルム及び電磁的記録であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているものとしていることから、実施機関が本件対象公文書として特定したことには問題はない。また、実施機関は、開示するとした情報を財産目録等に含まれる情報と同様の性質を持つものにしている。以上のことから、実施機関が、本件対象公文書について部分開示決定をしたことは不当とはいえない。

 異議申立て人は、私立学校法によって閲覧に供することが義務付けられる書類についても、その閲覧の対象は利害関係者に限られていると主張している。しかし、学校法人が公共性の高い法人としての説明責任を果たし、関係者の理解と協力を一層得られるために、その財務情報についても、本条本号に該当する非開示とするべき情報を除いて開示するなど、情報提供を積極的に行っていくことが必要であると考える。なお、平成16年7月23日付け文部科学事務次官通知(16文科高第305号)も同趣旨であると考えられる。

 以上により、実施機関が開示すると判断した情報が公にされたとしても、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するとは判断できず、実施機関の行った決定は妥当であると判断する。

(4) 結論

 よって、主文のとおり答申する。

8 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

別紙1

審査会の処理経過

年月日 処理内容
18. 5.12 ・諮問書の受理
18. 5.26 ・実施機関に対して開示理由説明書の提出依頼
18. 6. 2 ・開示理由説明書の受理
18. 6. 5 ・異議申立人に対して開示理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
18. 7.31 ・書面審理
・実施機関の補足説明
・審議                
(第250回審査会)
18. 8.21 ・審議                
(第252回審査会)
18. 9.28  ・審議
・答申                
(第254回審査会)

三重県情報公開審査会委員

職名 氏名 役職等
※会長 岡本 祐次 元三重短期大学長
※委員 樹神 成 三重大学人文学部教授
※委員 伊藤 睦 三重大学人文学部助教授
※委員 渡辺 澄子 元三重中京大学短期大学部教授
会長職務代理者 早川 忠宏 弁護士
委員 藤野 奈津子 三重短期大学講師

 なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。

 また、丸山康人委員は、条例第30条第1項の規定により、会長の許可を得て本件事案の審議を回避している。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
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