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情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第251号

答申

1 審査会の結論

 実施機関は、本件異議申立ての対象となった非開示部分のうち、当審査会が非開示妥当と判断した部分を除き、開示すべきである。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成17年7月28日付で三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「(財)三重県環境保全事業団の変更認可、変更届出に係る全ての文書」の開示請求に対して、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成17年8月10日付けで行った部分開示決定(以下「本決定」という。)の取消しを求めるというものである。

3 本件対象公文書について

 「知事の所管に属する公益法人の寄附行為変更の認可について」他24件(以下「本件対象公文書」という。)

4 実施機関の非開示理由説明要旨

 本件対象公文書には、財団法人三重県環境保全事業団(以下「事業団」という。)の役員(理事、監事)及び職員に係る記載として、対象者の氏名、生年月日、本籍、経歴、印影が含まれている。これらは個人が特定される情報であることから、条例第7条第2号により、原則非開示としたが、理事の氏名は事業団の法人登記簿に掲載されており、誰もが知り得る情報であるため開示した。監事の氏名については、当該登記簿への掲載がないので非開示とした。また、公務員である役員については、氏名、印影を開示とした。
 本件対象公文書中の事業団の取引金融機関名と預金口座情報については、条例第7条第3号に該当すると判断し、非開示とした。

5 異議申立ての理由

 三重県知事所管公益法人についての役員、評議員等の個人情報を非開示とすることは、多額の公金の支出を伴う当該法人の適正な運営についての検証を妨げ、結果的には多大な県民の財産的損失と、経済的負担を増大させる。役員、評議員等の個人情報、署名、押印を非開示とすることは、法定の文書の真正の担保を損ない、事業団の運営の公正さを害し、社会的信用を失墜させることになる。事業団が現状で負債超過の破綻状態にあることから、早期に県民に対し法人情報と役員の事案に取り組む姿勢を公開すべきであるが、非開示処分はこれに反する。

6 審査会の判断

(1)基本的な考え方について

 条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。
 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。

(2)条例第7条第2号(個人情報)の意義について

 個人に関する情報であって特定の個人を識別し得るものについて、条例第7条第2号は、一定の場合を除き非開示情報としている。これは、個人に関するプライバシー等の人権保護を最大限に図ろうとする趣旨であり、プライバシー保護のために非開示とすることができる情報として、個人の識別が可能な情報(個人識別情報)を定めたものである。
 しかし、形式的に個人の識別が可能であればすべて非開示となるとすると、プライバシー保護という本来の趣旨を越えて非開示の範囲が広くなりすぎるおそれがある。
 そこで、条例は、個人識別情報を原則非開示とした上で、本号ただし書により、非開示にする必要のないもの及び個人の権利利益を侵害しても開示することの公益が優越するため開示すべきものについては、開示しなければならないこととしている。

(3)条例第7条第2号(個人情報)の該当性について

 実施機関が、本決定において非開示とした情報は、事業団の理事の印影・生年月日・本籍・学歴・経歴・現職、監事の氏名・印影・住所・生年月日・年齢・学歴・経歴・現職、評議員の氏名・印影・現職、職員の氏名である。実施機関は、非開示とした当該情報は、本条本号に該当する個人に関する情報であって、特定の個人を識別し得る情報であり、本条本号ただし書きに該当するものではないため、非開示と判断したと主張している。
 他方、異議申立人は、事業団は、廃掃法に基づいて設置された特殊法人であり、公的資金が導入されていることから、事業団の運営方針や経理内容についての総会や理事会の討議内容・決議内容が県民の利害に直結することはいうまでもなく、その内容を正しく公開し検証しなければならないことは否定できないとしている。したがって、本決定は公益法人会社法等、法人に関する議事録、会計帳簿等の開示義務規定に違反し、本決定は違法、不当であると主張している。

ア 監事、評議員、職員の氏名について

 実施機関は、本決定において、理事の氏名については、事業団の法人登記簿に登記されているため、本条本号ただし書きイに規定する法令若しくは他の条例の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報に該当すると判断し開示としたが、監事、評議員の氏名は、登記されていないため、本条本号ただし書きイに該当しないと判断し、職員の氏名については本条本号に規定する特定の個人が識別されうる情報であると判断し、それぞれを非開示としている。
 県が出資する法人等の情報公開については、条例第47条に規定され、同条第1項に、法人その他の団体で県が出資その他財政支出を行うもののうち、知事が別に定めるもの(以下「出資法人等」という。原則として県が25%以上を出資している法人が該当する。)は、この条例の趣旨に則り、当該出資法人等の保有する情報の公開に関し必要な措置を講ずるように努めるものと規定している。また、同条第2項に、知事は、出資法人等に対し、情報公開を推進するため、前項に定める必要な措置を講ずるよう指導に努めると規定されている。
 事業団は条例の対象となる出資法人であり、情報公開実施要領を制定している。その情報公開実施要領によると、事業団の役職員の職務に関する情報を、非開示とする個人情報から除いており、事業団に開示請求を行えば、事業団の役職員の職務に関する情報は開示されることになる。以上のことから、事業団の監事、評議員、職員の氏名については、事業団の職務に関する情報であり、本条本号ただし書きイに該当する情報であり、監事、評議員、職員の氏名は開示すべきである。

イ 理事、監事、評議員の印影について

 理事、監事、評議員の印影については、事業団の職務に関して押印されたものであることから、事業団の職務に関する情報であり、アと同様の理由により本条本号ただし書きイに該当することから、開示すべきである。

ウ 理事の生年月日・本籍・学歴、監事の住所・生年月日・年齢・学歴について

 理事の生年月日・本籍・学歴、監事の住所・生年月日・年齢・学歴については、本条本号に規定する特定の個人を識別し得る情報であり、事業団の職務に関する情報にはあたらず、本条本号ただし書きイにも該当しないと判断されるため、実施機関が非開示とした判断は妥当である。

エ 理事、監事の経歴について

 理事、監事の経歴については、一般的に、本条本号に規定する特定の個人を識別し得る情報であり、民間等での職歴は、事業団の職務に関する情報にはあたらず、本条本号ただし書きイにも該当しないと判断される。しかしながら、経歴の中の公職や公職に準ずると考えられる職業については、本条本号が規定する個人情報には該当せず、非開示とした決定は妥当ではなく、開示すべきである。また弁護士等の事業を営む個人の当該事業に関する情報の開示・非開示の判断は、プライバシー保護の問題ではなく、本条第3号で判断する。

オ 理事、監事、評議員の現職について

 理事、監事、評議員の現職については、一般的に、本条本号に規定する特定の個人を識別し得る情報であり、事業団の職務に関する情報にはあたらず、本条本号ただし書きイにも該当しないと判断される。しかしながら、現職の中の公職や公職に準ずると考えられる職業については、本条本号が規定する個人情報に該当しないと考えられることから、非開示とした決定は妥当でないと判断する。また、民間人であったとしても、商業登記簿に登記されている役職等については、本条本号ただし書きイに規定する、法令若しくは他の条例の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報に該当することから、非開示とした決定は妥当ではないと判断する。また弁護士等の事業を営む個人の当該事業に関する情報の開示・非開示の判断は、プライバシー保護の問題ではなく、本条第3号で判断する。

(4)条例第7条第3号(法人情報)の意義について

 本号は、自由主義経済社会においては、法人等又は事業を営む個人の健全で適正な事業活動の自由を保障する必要があることから、事業活動に係る情報で、開示することにより、当該法人等又は個人の競争上の地位その他正当な利益が害されると認められるものが記録されている公文書は、非開示とすることができると定めたものである。
 しかしながら、法人等に関する情報であっても、事業活動によって生ずる危害から人の生命、身体、健康又は財産を保護し、又は違法若しくは不当な事業活動によって生ずる支障から県民等の生活・環境を保護するため公にすることが必要であると認められる情報及びこれらに準ずる情報で公益上公にすることが必要であると認められるものは、ただし書により、常に公開が義務づけられることになる。

(5)条例第7条第3号(法人情報)の該当性について

 実施機関は、本決定において非開示とした情報は、理事・監事の経歴、理事・監事・評議員の現職に含まれる弁護士等の事業を営む個人の当該事業に関する情報、事業団の取引銀行名と口座番号である。実施機関は、非開示とした当該情報は、本条本号に該当する法人に関する情報であって、公にすることによって、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められるものであるので、非開示と判断したと主張している。
 他方、異議申立人は、事業団は、廃掃法に基づいて設置された特殊法人であり、公的資金が導入されていることから、事業団の運営方針や経理内容についての総会や理事会の討議内容・決議内容が県民の利害に直結することはいうまでもなく、その内容を正しく公開し検証しなければならないことは否定できないとしている。したがって、本決定は公益法人会社法等、法人に関する議事録、会計帳簿等の開示義務規定に違反し、本決定は違法、不当であると主張している。
 理事・監事の経歴、理事・監事・評議員の現職に含まれる、弁護士等の事業を営む個人の当該事業に関する情報については、当該事業を営んでいることを公にすることによって、当該個人の競争上の地位その他正当な利益を害するとは認められず、本条本号に該当しないことから、開示すべきである。
 法人の取引銀行名と口座番号については、一般的に本条本号に規定する法人に関する情報であって、公にすることにより、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められるものである。しかしながら、出資法人の情報公開については、(3)アで述べたように、その積極的な推進が望まれているところである。事業団は、公益法人でもあり、その財務関係書類については、閲覧に供することとなっており、事業団が閲覧に供している文書にその取引先金融機関名、口座情報を記載していることから、実施機関が本決定において本号に該当するとして非開示とした決定は妥当ではないと判断する。

(6)結論

 よって、主文のとおり答申する。

7 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙、審査会の処理経過のとおりである。

別紙

審査会の処理経過

年月日 処理内容
17. 8.23 ・諮問書の受理
17. 8.26 ・実施機関に対して非開示理由説明書の提出依頼
17. 9.22 ・非開示理由説明書の受理
17. 9.28 ・異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
18. 8.21 ・書面審理
・実施機関の補足説明
・審議                 
(第252回審査会)
18. 9.28 ・審議                 
(第254回審査会)
18.10.30 ・審議
・答申                 
(第256回審査会)

三重県情報公開審査会委員

職名 氏名 役職等
※会長 岡本 祐次 元三重短期大学長
※委員 樹神 成 三重大学人文学部教授
※委員 伊藤 睦 三重大学人文学部助教授
※委員 渡辺 澄子 元三重中京大学短期大学部教授
会長職務代理者 早川 忠宏 弁護士
委員 藤野 奈津子 三重短期大学助教授
委員 丸山 康人 四日市大学総合政策学部教授

 なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

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津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
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