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情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第265号

答申

1 審査会の結論

 実施機関は本件異議申立ての対象となった公文書のうち、当審査会が非開示妥当と判断した部分を除き、開示すべきである。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成17年7月12日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「特定の法人における私文書偽造及びマニフェストの虚偽記載に対する行政指導の経緯が解る文書」の開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成17年7月26日付けで行った公文書部分開示決定(以下「当初決定」という。)の取消しを求めるというものである。

 なお、実施機関は、平成18年4月に当初決定の一部を取り消して開示し、さらに同年12月に当初決定に係る通知書の一部を訂正するとともに、当初決定の一部を取り消して開示し、異議申立人はこれらを容認しているようであるので、当審査会もこれらの取消し又は訂正後の公文書部分開示決定(以下「本決定」という。)の妥当性について審査するものとする。

3 本件対象公文書について

 本件異議申立ての対象となっている公文書(以下「本件対象公文書」という。)は、次のとおりである。

  1. 特定の法人の不適正処理に関する情報提供(告発)について(調査結果)
  2. 特定の法人の不適正処理に関する調査結果について(第2報)
  3. 特定の法人の不適正処理に関する調査結果について(第3報)
  4. 特定の法人の不適正処理に関する調査結果について(第4報)

4 実施機関の非開示理由説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本決定が妥当というものである。

(1) 条例第7条第2号(個人情報)に該当

 本件対象公文書に記載された次に掲げる情報は、個人に関する情報であり、開示することにより特定の個人が識別され、又は識別され得る情報であるため、非開示とした。

○ 特定の法人の不適正処理に関する情報提供(告発)について(調査結果)

(ア)告発人の住所、職歴、氏名その他告発人が特定できる情報

(イ)特定の産業廃棄物収集運搬業者(以下「本件収集運搬業者」という。)の従業員の役職及び氏名

(ウ)その他の個人の氏名

○ 特定の法人の不適正処理に関する調査結果について(第2報)

(エ)告発人の職歴及び氏名

(オ)産業廃棄物排出事業者の従業員の氏名

(カ)本件収集運搬業者の従業員の氏名(署名を含む。)及び印影

(キ)産業廃棄物処理業者の従業員の氏名及び印影

(ク)特定の産業廃棄物処理業者(以下「本件処理業者」という。)の従業員の氏名

(2) 条例第7条第3号(法人情報)に該当

 本件対象公文書は、本件処理業者及び本件収集運搬業者(以下「本件処理業者等」という。)が行った不正行為に関する一連の調査結果であるが、当該調査において、本件対象公文書に記載された本件処理業者等以外の産業廃棄物排出事業者や産業廃棄物処理業者が当該不正行為に直接関与していた事実は、把握できなかった。また、本件対象公文書のうち、本件処理業者等が神戸市に提出したとされる顛末書及びその添付書類については、神戸市が受理していないこと、産業廃棄物管理票(マニフェスト)については、虚偽記載であったことが判明している。

 このため、本件対象公文書に記載された次に掲げる情報を公にすることにより、本件処理業者等が行った不正行為に無関係な第三者(法人又は事業を営む個人)が当該不正行為に関与していたかの如く捉えられ、当該第三者の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められるため、非開示とした。ただし、住所については、当該第三者が特定されるものを除き、開示している。

○ 特定の法人の不適正処理に関する情報提供(告発)について(調査結果)

(ケ)産業廃棄物処理業者の名称及び住所

(コ)産業廃棄物排出事業者の名称

○ 特定の法人の不適正処理に関する調査結果について(第2報)

(サ)産業廃棄物処理業者の名称、郵便番号、電話番号及び住所

(シ)産業廃棄物排出事業者の名称、郵便番号、電話番号及び住所

○ 特定の法人の不適正処理に関する調査結果について(第3報)

(ス)産業廃棄物処理業者の名称

(セ)産業廃棄物排出事業者の名称

○ 特定の法人の不適正処理に関する調査結果について(第4報)

(ソ)産業廃棄物処理業者の名称

(タ)産業廃棄物排出事業者の名称

(3) 条例第48条(適用除外)に該当

 本件対象公文書の(2)に添付された告発状は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成11年法律第43号)により、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)の適用を除外することとされている刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)に規定する訴訟関係書類に該当する。

5 異議申立て理由

 部分開示決定では、非開示部分の個人及び法人の住所、名称、電話番号が識別できない。

 実施機関は、本件処理業者等が行った不正行為に関し、第三者(他の排出事業者など)が関与していた事実は把握できないとして、当該第三者の名称等を非開示としているが、当該第三者に対しては産業廃棄物管理票(マニフェスト)が送付されているから、当該第三者が不正行為を知らなかったはずはなく、承認していたものである。不正行為に関与した事業者には、条例第7条第3号に規定する「競争上の地位その他正当な利益」は存在しないことは、情報公開制度の運用について、確立した考えであり、同号による非開示は理由がない。

 また、本件の情報は、産業廃棄物の適正処理の確保という循環型社会形成の根幹にかかわることであり、条例第10条に基づく公益開示が相当な案件である。

6 審査会の判断

(1) 基本的な考え方

 条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。

 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。

(2) 条例第7条第2号(個人情報)の意義について

 個人に関する情報であって特定の個人を識別し得るものについて、条例第7条第2号は、一定の場合を除き非開示情報としている。これは、個人に関するプライバシー等の人権保護を最大限に図ろうとする趣旨であり、プライバシー保護のために非開示とすることができる情報として、個人の識別が可能な情報(個人識別情報)を定めたものである。

 しかし、形式的に個人の識別が可能であればすべて非開示となるとすると、プライバシー保護という本来の趣旨を越えて非開示の範囲が広くなりすぎるおそれがある。

 そこで、条例は、個人識別情報を原則非開示とした上で、本号ただし書により、非開示にする必要のないもの及び個人の権利利益を侵害しても開示することの公益が優越するため開示すべきものについては、開示しなければならないことととしている。

(3) 条例第7条第2号(個人情報)の該当性について

 実施機関が本決定において本号に該当するとして非開示とした情報は、上記4(1)の(ア)から(ク)までに掲げたとおり、告発人や産業廃棄物処理業者等の従業員の個人に関する情報であって、特定の個人が識別され得る情報である。これらの情報が本号ただし書イの「法令若しくは他の条例の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」に該当しないことは明らかである。また、本件処理業者等が行った不正行為(再委託禁止規定違反及び産業廃棄物管理票の偽造)により、人の生命、身体、健康、財産、生活又は環境に被害が発生し、又はそのおそれが生じたとは認められないから、本号ただし書ロの「人の生命、身体、健康、財産、生活又は環境を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」にも該当せず、また、条例第10条(公益開示)により公益上特に開示の必要がある情報であるとも認められない。したがって、これらの情報を本号に該当するとして非開示とした実施機関の判断は、妥当である。

 なお、異議申立人は、条例に基づく公文書の開示請求と三重県個人情報保護条例(平成14年三重県条例第1号)に基づく保有個人情報開示請求では、第三者に係る情報の秘匿度に異なる点はないから、異議申立人が別途行った三重県個人情報保護条例に基づく保有個人情報開示請求に対して開示された第三者に係る情報は、本決定においても開示すべき旨主張している。当該主張は、条例第7条第2号(個人情報)及び第3号(法人情報)に共通しているが、この項において当審査会の判断を示すこととする。

 公正で民主的な県政の推進に資するため何人に対しても等しく公文書の開示請求権を認める条例と、個人の権利利益を保護するため自己を本人とする保有個人情報の開示請求権等を認める三重県個人情報保護条例は、その趣旨を異にする。例えば三重県個人情報保護条例第16条第2号は、開示請求者以外の個人に関する情報であっても、当該開示請求者が慣行として知ることができる情報は非開示情報から除いているが、条例第7条第2号にはそのような定めはないなど、両制度において開示される情報が異なるのは当然である。したがって、異議申立人の主張は採用できない。

(4) 条例第7条第3号(法人情報)の意義について

 本号は、自由主義経済社会においては、法人等又は事業を営む個人の健全で適正な事業活動の自由を保障する必要があることから、事業活動に係る情報で、開示することにより、当該法人等又は個人の競争上の地位その他正当な利益が害されると認められるものが記録されている公文書は、非開示とすることができると定めたものである。

 しかしながら、法人等に関する情報であっても、事業活動によって生ずる危害から人の生命、身体、健康又は財産を保護し、又は違法若しくは不当な事業活動によって生ずる支障から県民等の生活・環境を保護するため公にすることが必要であると認められる情報及びこれらに準ずる情報で公益上公にすることが必要であると認められるものは、ただし書により、常に公開が義務づけられることになる。

(5) 条例第7条第3号(法人情報)の該当性について

 実施機関が本決定において本号に該当するとして非開示とした情報は、上記4(2)の(ケ)から(タ)までに掲げたとおり、本件処理業者等以外の産業廃棄物排出事業者や産業廃棄物処理業者の名称や住所などである。実施機関は、これらの情報を公にすることにより、本件処理業者等が行った不正行為に無関係な第三者(法人又は事業を営む個人)が当該不正行為に関与していたかの如く捉えられ、いわゆる風評被害を受けるなど、当該第三者の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められると主張する。

 確かに、不正行為に無関係な第三者に関する情報を開示することにより、これを閲覧する者によっては、その内容を誤解し、当該第三者も不正行為に関与していたと考え、ひいては当該第三者の利益が害されるおそれがないとはいえない。しかるに、本号(法人情報)は、公にすること「により」、法人等の利益を害すると「認められる」ものを非開示とすると規定しているのであって、公にすることに加え他の不確定な要因が重なり、法人等の利益を害する「おそれがある」ものまで非開示とすると規定しているわけではない。すなわち、本号により非開示とされる情報は、「公にすることにより」、当該法人等の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められるものであって、「公にすることにより」直ちに法人等の利益を害するのではなく、公にされた情報を閲覧した者が誤解した場合に、はじめて法人等の利益を害する「おそれ」があるにすぎないものまで含むものではない。したがって、単に産業廃棄物の排出事業者あるいはその搬入先(処理業者、処分場)などとして記載されているにすぎず、不正行為に関与していたかのような記述が見当たらない第三者の名称等は、これを開示しても、直ちに当該第三者の競争上の地位その他正当な利益を害するとまでは認められない。

 よって、上記4(2)の(ケ)から(タ)までに掲げた情報は、本号本文に該当しないから、異議申立人が主張する条例第10条(公益開示)による開示の必要を論ずるまでもなく、開示すべきである。

(6) 条例第48条(適用除外)の意義について

 本条は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「行政機関情報公開法」という。)が適用除外とされる公文書について、条例の適用除外とすることを定めたものである。行政機関情報公開法の適用を除外することが定められているのは、刑事訴訟法に規定する訴訟関係書類及び押収物や漁業法に規定する免許漁業原簿等であって、個別の法令で自己完結的な閲覧・複写の制度が認められるものは当該制度に委ねるという趣旨であり、いわば制度の棲み分けを図ったものである。

(7) 条例第48条(適用除外)の該当性について

 実施機関は、本件対象公文書のうち「特定の法人の不適正処理に関する調査結果について(第2報)」に添付された告発状(以下「本件告発状」という。)は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律の適用を除外することとされている刑事訴訟法に規定する訴訟関係書類に該当するとして、非開示としている。

 この点について、異議申立人は、当審査会へ提出した反論書あるいは当審査会における口頭意見陳述において、その開示を求める具体的な主張を何ら行っていないが、上記2のとおり、異議申立ての趣旨は当初決定の取消しを求めるものであることから、念のため、当審査会の判断を示すこととする。

 刑事訴訟法第53条の2に規定する「訴訟に関する書類」を定義した明文の規定はないものの、一般にいう告発書あるいは告発状がこれに含まれることは間違いない。そこで、当審査会がインカメラ審理により見分したところ、本件告発状には、告発人及び被告発人の氏名及び住所、並びに告発の趣旨及び理由が記されており、本件告発状は、刑事訴訟法第53条の2に規定する「訴訟に関する書類」に該当することは明らかである。

 したがって、本件告発状は、条例第48条に該当し、これを非開示とした実施機関の決定は妥当である。

(8) 結論

 よって、主文のとおり答申する。

8 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

別紙1

審査会の処理経過

年月日 処理内容
17. 8.23 ・諮問書の受理
17. 8.29 ・実施機関に対して非開示理由説明書の提出依頼
17. 9.14 ・非開示理由説明書の受理
17. 9.15  ・異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
17.10.25 ・非開示理由説明書に対する反論の受理
17.10.31 ・実施機関に対して非開示理由説明書に対する反論(写)の送付
17.11.18 ・「非開示理由説明書に対する反論」に対する意見の受理
17.12.16 ・ボーンインデックスによる非開示理由の説明を求める上申書の受理
18. 2. 6 ・異議申立人に対して「非開示理由説明書に対する反論」に対する意見(写)の送付
18. 9.13 ・書面審理
・審議                
(第253回審査会)
18. 9.25 ・実施機関に対して非開示情報を分類・整理した書面の提出依頼
18.10. 6 ・非開示情報を分類・整理した書面の受理
18.10.16 ・異議申立人に対して非開示情報を分類・整理した書面(写)の送付
19. 1.17 ・書面審理
・異議申立人の口頭意見陳述
・実施機関の補足説明
・審議                
(第261回審査会)
19. 1.31 ・実施機関から上申書の受理
19. 2. 7 ・異議申立人から意見書の受理
19. 3. 1 ・審議
・答申                
(第266回審査会)

三重県情報公開審査会委員

職名 氏名 役職等
※会長 岡本 祐次 元三重短期大学長
※会長職務代理者 早川 忠宏 弁護士
※委員 藤野 奈津子 三重短期大学助教授
※委員 丸山 康人 四日市大学総合政策学部教授
委員 伊藤 睦 三重大学人文学部助教授
委員 樹神 成 三重大学人文学部教授
委員 渡辺 澄子 元三重中京大学短期大学部教授

 なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

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