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平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第273号

答申

1 審査会の結論

 実施機関の行った決定は、妥当である。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成18年6月8日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「特定の法人の顛末書及び報告書」の開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成18年7月4日付けで行った公文書部分開示決定(以下「本決定」という。)の取消しを求めるというものである。

3 本件対象公文書

 平成18年5月9日付顛末書

 平成18年5月15日付回答書

 平成18年5月15日付燃料購入品質基準

 平成18年5月17日付提出書類

4 実施機関の説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本決定が妥当というものである。

  • 本件特定法人が燃料の購入先として計画していた関係法人の名称、電話番号、ファクシミリ番号については、販売、営業の情報であって、事業活動に対して競争上の不利益を及ぼすと認められる。また、条例第7条第3号ただし書に該当しない。
  • 法人の担当者の姓、役職及び印影については、特定の個人を識別し得る情報である。また、条例第7条第2号ただし書に該当しない。

5 異議申立て理由

 異議申立人は、本非開示決定は、開示しない理由がないにも関わらずなしたもので違法であるとして、本決定の取り消しを求めるというものである。廃プラスチック類は産業廃棄物であることから、本来マニュフェスト等によってその流れがコントロールされなければいけないもので、リサイクル品としてその後の追及ができないことは問題であり、また開示しても第三者である法人の利益を害することにはならないとしている。

6 審査会の判断

(1)基本的な考え方

 条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。

 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。

(2)条例第7条第2号(個人情報)の意義について

 個人に関する情報であって特定の個人を識別し得るものについて、条例第7条第2号は、一定の場合を除き非開示情報としている。これは、個人に関するプライバシー等の人権保護を最大限に図ろうとする趣旨であり、プライバシー保護のために非開示とすることができる情報として、個人の識別が可能な情報(個人識別情報)を定めたものである。

 しかし、形式的に個人の識別が可能であればすべて非開示となるとすると、プライバシー保護という本来の趣旨を越えて非開示の範囲が広くなりすぎるおそれがある。 

 そこで、条例は、個人識別情報を原則非開示とした上で、本号ただし書により、非開示にする必要のないもの及び個人の権利利益を侵害しても開示することの公益が優越するため開示すべきものについては、開示しなければならないことととしている。

(3)条例第7条第2号(個人情報)の該当性について

 非開示とされた情報は、法人の担当者の姓及び役職、技術・営業担当者の印影である。これらの情報は、本条本号に該当する個人情報であり、本条本号ただし書のいずれにも該当しないと認められることから、非開示とした実施機関の判断は妥当である。

(4)条例第7条第3号(法人情報)の意義について

 本号は、自由主義経済社会においては、法人等又は事業を営む個人の健全で適正な事業活動の自由を保障する必要があることから、事業活動に係る情報で、開示することにより、当該法人等又は個人の競争上の地位その他正当な利益が害されると認められるものが記録されている公文書は、非開示とすることができると定めたものである。

 しかしながら、法人等に関する情報であっても、事業活動によって生ずる危害から人の生命、身体、健康又は財産を保護し、又は違法若しくは不当な事業活動によって生ずる支障から県民等の生活・環境を保護するため公にすることが必要であると認められる情報及びこれらに準ずる情報で公益上公にすることが必要であると認められるものは、ただし書により、常に公開が義務づけられることになる。

(5)条例第7条第3号(法人情報)の該当性について

 非開示とされた情報は、本件特定法人が燃料の購入先として計画していた法人(以下「燃料購入予定先法人」という。)の名称、電話番号、ファクシミリ番号及び燃料購入予定先法人の販売実績として挙げられた法人の名称である。

 実施機関は、本件特定法人が燃料として購入を計画している古紙及び廃プラスチックを主原料とする固形化燃料(以下「RPF」という。)については、廃棄物由来の製品ではあるが、社会通念上燃料として流通しているものであり、本件特定法人が提出した燃料購入品質基準からは、社会通念上燃料として流通しているものと認められることから、一般的な商品の取引に係る本件特定法人及び燃料購入予定先法人の事業情報であり、これらを開示することにより当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められるとした。また、RPFが産業廃棄物由来であるために社会的関心は高いが、産業廃棄物であるのか燃料であるのかの判断は、様々な情報から総合的に判断するしかなく、燃料購入の計画として本件対象公文書が提出された時点でも、本決定を行った時点でも、結果として本件特定法人が操業しなかったため、廃棄物であるとの判断はできず、人の生命、健康、安全に直接的な影響が出るとは認められないことから、本条本号のいずれのただし書にも該当しないため、非開示としたとしている。

 これに対して異議申立人は、RPFの主な原料となる廃プラスチック類は産業廃棄物であることから、本来マニュフェスト等によってその流れがコントロールされなければいけないもので、排出事業者としては、県に届け出る義務があると考える。また廃プラスチック類を原料として受け入れ、RPFを製造する法人も、県に届け出る義務があると考える。本件特定法人が購入を計画していたRPFは、ダイオキシンの発生も防止できないような純度の低いもので、商取引の対象になるような有価物ではないと考える。燃料購入予定先法人で作られているRPFについては、リサイクル品ではなく廃棄物だと考えるので、その搬出先についても公開すべきもので、当該法人の利益を害することにはならないと主張している。

 廃棄物の処理に関わる取引は、危険性もあり一般の商取引とは違うという、異議申立人の主張については理解できないわけではないが、RPFの危険性についての評価が未だ十分に定まっているとはいえない。本件特定法人から提出された燃料購入品質基準の記載内容から、購入を計画しているRPFが基準を満たしている以上、通常の商取引の対象となる燃料であると判断するしかなく、審査会としては、異議申立人が主張するほどの危険性が購入予定のRPFにあるとは判断できないため、現時点では一般の有価物として判断せざるを得ない。本件対象公文書に記載されている燃料の購入計画については、一般の商取引として判断することになり、その限りにおいて、取引先を開示することは競争上の地位その他正当な利益を害すると認められるため、本条本号に規定する法人情報に該当する。また、本件特定法人による燃料の購入と、その燃料を用いた何らかの事業活動は、実際には行われていないことから、直ちに人の生命、身体、健康又は財産を保護するため、公にすることが必要である情報であるとは認められず、違法又は不当な事業活動であるとは認められないことから、本条本号のいずれのただし書にも該当しないと認められる。

 したがって、実施機関の判断は妥当であるといえる。

(6)結論

 よって、主文のとおり答申する。

7 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

別紙1

審査会の処理経過

年月日 処理内容
18. 8.21 ・諮問書の受理
18. 8.23 ・実施機関に対して非開示理由説明書の提出依頼
18. 9.14 ・非開示理由説明書の受理
18. 9.20  ・異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
19. 2.27  ・書面審理
・異議申立人の口頭意見陳述
・実施機関の補足説明
・審議                
(第265回審査会)
19. 3.19 ・実施機関より審査会からの質問に対する回答を受理
19. 3.23 ・審議                
(第268回審査会)
19. 4.23 ・審議                
(第269回審査会)
19. 5.21  ・審議
・答申                
(第271回審査会) 

三重県情報公開審査会委員

職名 氏名 役職等
会長 岡本 祐次 元三重短期大学長
※会長職務代理者 樹神 成 三重大学人文学部教授
※委員 伊藤 睦 三重大学人文学部准教授
※委員 渡辺 澄子 元三重中京大学短期大学部教授
委員 早川 忠宏 弁護士(平成19年3月31日辞職)
※委員 藤野 奈津子 三重短期大学准教授
委員 丸山 康人 四日市看護医療大学副学長
委員 室木 徹亮 弁護士(平成19年4月17日就任)

 なお、本件事案については、※印を付した委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
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