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平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第292号

答申

1 審査会の結論

 実施機関は、当審査会が非開示妥当と判断した部分を除き、開示すべきである。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成19年1月4日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「特定の法人が特定の日以降に支払った延滞金の納付状況がわかる一切の情報」の開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成19年1月16日付けで行った公文書非開示決定の取消しを求めるというものである。

3 本件対象公文書について

 滞納整理カード

 三重県納入済通知書

4 実施機関の説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、以下の決定が妥当というものである。

(1)条例第7条第1号に該当

 当該公文書は、滞納整理カード及び三重県納入済通知書であり、事務処理上は、三重県納入済通知書の情報を滞納整理カードに記載し収入状況を管理している。

 これは、地方税法第22条(秘密漏洩に関する罪)の守秘義務により法令秘情報に該当する。

 当該実施機関を構成している県税事務所長以下徴税吏員全員に守秘義務が課せられている場合、当然に、当該実施機関にも守秘義務が課せられていると考えるべきで、結果として守秘義務が解除されてしまうことが租税資料開示禁止原則に反した行為となる。徴税吏員に守秘義務が課されているのは、納税者等の秘密が外部に漏れて、その利益が害されるのを防止するためである。納税者等の秘密は、税務調査の過程でその意に反して、結果的に徴税吏員に知られることが少なくない。しかし徴税調査の権限は、租税の確定・徴収を確実に行うためにのみ認められた権限であるから、それによって得られた納税者等の秘密は、外部に漏れないよう厳格に守られなければならない。また、納税者等の秘密が徴税吏員から容易に漏れるようでは、納税者等の租税行政に対する協力は期待できない。

 また、納税者等の秘密は、申告書や調査書の随所に散在している可能性があるから、徴税吏員の守秘義務との関連で、これらの書類は、その職員の属する行政組織から原則として門外不出と解するのが、法の守秘に合致しており滞納整理カードの意味合いの軽重、秘密性の程度、公開することの公益性の有無によって個々に取扱を異にして徴税吏員による公開を認めた場合、納税者等が税務当局にこれらの文書を提出しても徴税吏員により公開されないことの保障は崩壊して、税務事務への信頼や協力を確保できず、税務行政の執行に多大な影響を与え、以後その適切な遂行が困難になるものと考える。

(2)条例第7条第3号に該当

 対象公文書は、いずれも法人に関する情報であり、開示することにより、特定の法人が識別され、又は識別され得る部分、及び開示することにより、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められる。また、当該法人に滞納の事実が判明すると、重大な不利益をもたらす可能性が十分にある。

(3)条例第7条第6号に該当

 平成18年2月1日上告した訴訟に係るものであり、公開することで当該事務・事業の遂行に著しい支障を及ぼすおそれがある。

5 異議申立て理由

 異議申立人の主張の概要は、以下のとおりである。

 特定法人の延滞金の徴収を怠る行為の違法性を訴えた住民訴訟では、高裁で延滞金の徴収を怠っていることは違法であることを確認する旨の判決が出された。第三セクターである特定法人は、不動産取得税を一括納入できずに分納したため、延滞金が発生した。この延滞金の徴収を怠っている事実の有無を争った裁判である。地裁では敗訴したが、高裁では原判決が覆り、延滞金の徴収を怠ることは違法であるとの判決が出された。高裁で、県は、分割納付しているからそれでよいと主張したが、納入がいつ終わるとも知れない状況があった。これに対して県は、上告と上告受理申立を行い、現在最高裁で継続中である。県が最高裁に提出した書面には、当該法人から提出された延滞金を平成18年度内に完納するという確約書が含まれている。したがって、延滞金の完納を確認するのが、本件開示請求で求めている情報である。

 当該法人は、県の出資法人でもあり、性格としては第三セクターでもあるので、公益性は高いと考える。したがって、法人情報であるとか、地方税法に規定する守秘義務の問題ではないと考える。当該法人の準公共性や、高裁の判決で違法性が確認されたことから、延滞金が完納されたことの確認と、税務行政がきちんとされているかの確認でもあり、請求は当然であると考える。

6 審査会の判断

(1)基本的な考え方

 条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。

 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。

(2)対象公文書について

 実施機関が非開示とした対象公文書は、特定法人の滞納整理カード及び三重県納入済通知書である。対象とした滞納整理カードは、徴収第3号様式(以下「様式」という。)(1)及び同(4)(続紙)であり、納税者の住所、氏名(名称)等の納税者に関する記録及び三重県納入済通知書の情報が記録されていると認められる。

(3)条例第7条第1号(法令秘情報)の意義について

 本号は、法令若しくは他の条例の定めるところによる、又は実施機関が法律上従う義務を有する各大臣その他国の機関の指示による場合の非開示を定めたものである。法令若しくは他の条例の定めるところにより公にすることができない情報は、この条例によっても開示できないことを確認的に規定するとともに、各大臣その他国の機関からの法的拘束力を持った指示により公にすることができない情報については、非開示とすることを定めたものである。

(4)条例第7条第1号(法令秘情報)の該当性について

 実施機関は、特定の法人に滞納があるか否かについては徴税事務を行う上で知りえた事実であり、地方税法第22条の規定により守秘義務が課せられていると主張している。

 地方税法第22条に規定する守秘は、地方税に関する調査に関する事務に関して知りえた秘密であり、一般に知られていない情報で、かつ他に知られないことに利益があると客観的に認められる情報についての守秘義務を課したものと解される。

 したがって、滞納者名については、地方税に関する調査に関する事務に関して知り得たものとは言えず、むしろ地方公務員法第34条第1項に規定する公務員がその職務上知り得た秘密に該当すると考えられる。

 地方税法第22条の対象となる守秘義務は、地方税に関する調査に関する事務に関して知りえた秘密であり、かつ非公知の情報である。当該法人に関する滞納の事実は、公務員がその職務上知り得た秘密であることは言うまでもないが、異議申立人は、当該法人の延滞金の徴収を求める住民訴訟は、現在最高裁で継続中であるため確定はしていないものの、延滞金の徴収を怠っていることは違法であるとの高裁判決が出ているとしている。これに対して、当該法人の延滞金の徴収に係る住民訴訟がある事実については実施機関も認めている。また、当該法人の延滞金の徴収に関する住民監査請求の監査結果が県ホームページで公表されていることから、当該法人に延滞金が発生している事実は非公知ではない。

 当該法人に延滞金があることは非公知とは認められないことから、当該法人に滞納があったこと、およびその徴収事務のために滞納整理カードが作成されている事実を明らかにすることは、実施機関が主張する地方税法第22条に規定する守秘義務違反には当たらないと解する。

 上記理由により、滞納者名が本条本号に該当する非開示情報であるとする実施機関の主張は採用できない。

 以上により、実施機関が本決定の理由として法令秘情報としたことは是認できない。

(5)条例第7条第3号(法人情報)の意義について

 本号は、自由主義経済社会においては、法人等又は事業を営む個人の健全で適正な事業活動の自由を保障する必要があることから、事業活動に係る情報で、開示することにより、当該法人等又は個人の競争上の地位その他正当な利益が害されると認められるものが記録されている公文書は、非開示とすることができると定めたものである。

 しかしながら、法人等に関する情報であっても、事業活動によって生ずる危害から人の生命、身体、健康又は財産を保護し、又は違法若しくは不当な事業活動によって生ずる支障から県民等の生活・環境を保護するため公にすることが必要であると認められる情報及びこれらに準ずる情報で公益上公にすることが必要であると認められるものは、ただし書により、常に公開が義務づけられることになる。

(6)条例第7条第3号(法人情報)の該当性について

 本件対象公文書が滞納整理カードであることから、特定の法人に関して本件対象公文書が存在することは、当該法人に滞納があるという事実を示すものである。一般に、特定の法人に滞納があるという情報が明らかになると、当該法人の事業活動が展開しにくくなったり、競争関係にある同業他社との競争上の不利益をもたらすことになったりするなどのことが予想される。しかし、当該法人に関しては、延滞金の徴収に関して住民訴訟があったことから、当該法人に関する滞納整理カードがあるという事実を明らかにしても既に公知となっている事実を明らかにするだけであり、これを開示することによって当該法人の競争上の不利益やその他正当な利益を害するとは認められない。

 よって、本件対象公文書を非開示とした実施機関の決定は、妥当ではないと判断する。

 以上のことから、様式(1)に記載されている当該法人を特定し得る情報は開示すべきである。

 次に、様式(4)に記載された徴収年月日、徴収額及び未徴収残高について検討する。滞納に係る情報が開示されることによって当該法人の競争上の不利益その他正当な利益を害することは上記の通りである。上記理由により、滞納の事実は公知であると認められるが、徴収状況までが公知であるとは認められないことから、これを開示することによって当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められることから、非開示は妥当であると考える。

 同様に、様式(4)に転記された情報が記録されている三重県納入済通知書を非開示としたことは妥当であると考える。

 実施機関は、条例第7条第6号(事務事業情報)の該当性についても主張しているが、以上により、その該当性を判断するまでもない。

(7)結論

 よって、主文のとおり答申する。

7 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

別紙1

審査会の処理経過

年月日 処理内容
19. 1.24 ・諮問書の受理
19. 1.29 ・実施機関に対して非開示理由説明書の提出依頼
19. 2. 5 ・非開示理由説明書の受理
19. 3. 2  ・異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
19. 8.29  ・書面審理
・異議申立人の口頭意見陳述
・実施機関の補足説明
・審議                
(第278回審査会)
19. 9.14 ・審議                
(第280回審査会)
19.10.18  ・審議
・答申                
(第283回審査会) 

三重県情報公開審査会委員

職名 氏名 役職等
※会長 岡本 祐次 元三重短期大学長
※会長職務代理者 樹神 成 三重大学人文学部教授
※委員 伊藤 睦 三重大学人文学部准教授
※委員 渡辺 澄子 元三重中京大学短期大学部教授
委員 藤野 奈津子 三重短期大学准教授
委員 丸山 康人 四日市看護医療大学副学長
委員 室木 徹亮 弁護士

 なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
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