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情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第310号

答申

1 審査会の結論

 実施機関の行った本決定は妥当である。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成19年9月25日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「特定の企業組合に関する一切の資料」の開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成19年10月4日付けで行った公文書部分開示決定(以下「本決定」という。)の取消しを求めるというものである。

3 本件対象公文書について

  • 中小企業等協同組合(企業組合)の設立認可について
  • 中小企業等協同組合の定款変更について
  • 中小企業等協同組合決算関係書類提出書
  • 中小企業等協同組合役員変更届出書
  • 決算関係書類の提出について

 以上5件(以下「本件対象公文書」という。)

4 実施機関の非開示理由説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本決定が妥当というものである。

 異議申立人が求める「組合員名」の情報について、発起人(代表)、理事及び監事並びに総会等における司会者、議長及び説明者はあくまで個人としての立場であり、氏名を開示した場合、特定の個人が識別され、または識別される可能性があることから、条例第7条第2号に該当し、同号ただし書イ及びロに該当しない。

 また、「債務返済状況」の情報については、返済状況に関する公文書として中小企業等協同組合法(以下「協同組合法」という。)第40条第2項で組合に作成が義務付けられている決算関係書類であり、協同組合法第105条の2第1項の規定により行政庁である県に提出されている。この決算関係書類における借入先及び財務状況は、一般の者が容易に入手できない法人情報であることから、条例第7条第3号に該当し、同号ただし書イ、ロ及びハには該当しない。なお、協同組合法上の取扱として、協同組合法第40条第12項において、「組合員及び組合の債権者は、組合に対して、その業務取扱時間内は、いつでも、書面の閲覧又は謄本の交付などの請求をすることができる。」と規定されている。したがって、組合は、組合員及び組合の債権者から閲覧等の請求があれば応ずることはあるが、他方で一般の者からの閲覧等の請求があった場合には、その請求に応ずる義務は協同組合法上では規定されていない。

5 異議申立て理由

 異議申立人は、以下の理由により本決定の取消を求めている。

 当該特定企業組合は、県から融資を受けて設立された企業組合である。企業組合は、協同組合法によれば、組合員自らが共同事業を行うことを目的にしており、組合員の2分の1以上の組合員が事業に従事しなければならないとされているが、同組合の設立時の状況や現状には、協同組合法に違反していると思われる点がある。

 このような違法状態を確認するためには、組合員に聴取する以外にないが、代表者しか公開されなかった。また、県は同組合が県からの借入金を完済したとしているが、返済の状況について公開していない。税金を投入して組合が設立され存続している以上、どのように税金が使われて返済されたかを知ることは県民の知る権利であると考える。

 同組合の実態を明らかにするために組合員を公表すべきである。

6 審査会の判断

(1)基本的な考え方

 条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。

 条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。

 異議申立ての主旨は、代表理事以外の組合員の氏名が非開示とされたことに関して、異議を提起しており、法人情報が非開示とされたことに関しては争いはないと解される。当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、実施機関が個人情報に該当するとして非開示とした代表理事以外の組合員の氏名の開示の可否について、以下のとおり判断する。

(2)条例第7条第2号(個人情報)の意義について

 個人に関する情報であって特定の個人を識別し得るものについて、条例第7条第2号は、一定の場合を除き非開示情報としている。これは、個人に関するプライバシー等の人権保護を最大限に図ろうとする趣旨であり、プライバシー保護のために非開示とすることができる情報として、個人の識別が可能な情報(個人識別情報)を定めたものである。

 しかし、形式的に個人の識別が可能であればすべて非開示となるとすると、プライバシー保護という本来の趣旨を越えて非開示の範囲が広くなりすぎるおそれがある。 そこで、条例は、個人識別情報を原則非開示とした上で、本号ただし書により、非開示にする必要のないもの及び個人の権利利益を侵害しても開示することの公益が優越するため開示すべきものについては、開示しなければならないことととしている。

(3)条例第7条第2号(個人情報)の該当性について

 実施機関が本決定において本号に該当するとして非開示とした情報のうち異議申立ての対象となっているのは、本件対象公文書に記載された、代表理事以外の理事、監事及び発起人の氏名である。

 異議申立人は、返済を前提としているといえども、公費が投入された企業組合の違法性が疑える場合には、代表理事以外の理事、監事及び発起人の氏名を開示すべきであると主張している。

 これに対して実施機関は、代表権をもつ理事の氏名は協同組合法第84条第2項第7号の規定により登記することになっていることから、代表理事の氏名は本条本号ただし書イに該当すると認められるとし開示したが、代表理事以外の理事、監事及び発起人はあくまで個人の立場であることから、本条本号に該当する非開示情報であると主張している。

 確かに、代表権を持たない理事、監事及び発起人等の氏名については登記されないことから、本条本号ただし書イに該当する情報とは認められず、本条本号に該当する非開示とすべき個人情報であると認められる。また、協同組合法第40条第12項において、組合員及び組合の債権者から閲覧等の請求があれば応ずる規定はあるが、一般の者からの閲覧等の請求があった場合には、その請求に応ずる義務は協同組合法上では規定されていないことから、本条本号ただし書イに該当する情報であるとは認められない。異議申立人は当該特定企業組合の違法性に対する疑義と、公費の投入を理由に、代表理事以外の理事、監事及び発起人等の氏名の開示を求めているが、このことをもって直ちに本条本号ただし書ロに該当するとまではいえず、一般的に本条本号に該当する個人情報を開示することは是認できない。

 したがって、代表理事以外の理事、監事及び発起人等の氏名については、本号本文に該当し、ただし書イ及びロには該当しないことから、非開示が妥当である。

(4)結論

 よって、主文のとおり答申する。

7 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

別紙1

審査会の処理経過

年月日 処理内容
19.10.16 ・諮問書の受理
19.10.22 ・実施機関に対して非開示(不存在)理由説明書の提出依頼
19.11. 5 ・非開示(不存在)理由説明書の受理
19.11. 7  ・異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
20. 1.24 ・意見書の受理
20. 1.24  ・書面審理
・異議申立人の口頭意見陳述
・実施機関の補足説明
・審議                
(第289回審査会)
20. 2.21 ・審議                
(第290回審査会)
20. 3.14   ・審議
・答申                
(第292回審査会) 

三重県情報公開審査会委員

職名 氏名 役職等
※会長 岡本 祐次 元三重短期大学長
※会長職務代理者 樹神 成 三重大学人文学部教授
※委員 伊藤 睦 三重大学人文学部准教授
※委員 渡辺 澄子 元三重中京大学短期大学部教授
委員 藤野 奈津子 三重短期大学准教授
委員 丸山 康人 四日市看護医療大学副学長
委員 室木 徹亮 弁護士

 なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

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