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情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第15号

答申

1 審査会の結論

 「(平成3年度~平成5年度)○○○○(株)、(昭和63年度~平成5年度)○○○○及び(平成元年度~平成4年度)○○○に係る産業廃棄物監視指導業務日報」と「(平成3年度)○○○○及び(平成4年度)○○○に係る行政措置文書」については、行政指導の具体的記載部分を除く表紙(鑑)部分を開示すべきである。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成5年6月25日付けで三重県情報公開条例(昭和62年三重県条例第34号。以下「条例」という。)に基づき行った(平成3年度~平成5年度)○○○○(株)、(昭和63年度~平成5年度)○○○○及び(平成元年度~平成4年度)○○○に係る産業廃棄物監視指導業務日報」と「(平成3年度)○○○○、及び(平成4年度)○○○に係る行政措置文書」(以下「本件対象公文書」という。)の開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成5年7月9日付けで行った非開示決定処分の取り消しを求めるというものである。

3 実施機関の非開示理由説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本件対象公文書を非開示にしたというものである。

(1)産業廃棄物行政の現状について

 近年、廃棄物は増大し、その質も多様化しており、その不適正処理が社会問題化するなど廃棄物を取り巻く状況は極めて深刻なものとなってきている。
 産業廃棄物の適正処理を確保するには、産業廃棄物処理業者に対する監視、指導を的確に実施することが重要であるため、昭和62年度から産業廃棄物監視指導担当を創設し監視、指導にあたっている。

(2)立入検査について

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃掃法」という。)第19条に基づく立入検査は廃棄物の保管、収集、運搬等の処理及び処理施設の構造若しくは維持管理に関し、帳簿書類等を検査するとしており、立入検査の結果、不適正処理等の法違反があった場合は行政処分を行うことになるが、その前に口頭指導又は文書警告により適正処理を指導する等いわゆる行政指導を行う場合がある。

(3)条例第8条第5号(行政運営情報)の該当性について

 行政指導とは、相手方に対する拘束力を有しない非権力的な作用であり、相手方の任意の同意又は協力を期待してなす行為であることから、この信頼関係の維持・確保は行政指導を有効に行うにあたって重要な問題であるとは論を待たないところである。
 本件対象公文書に記載されている指示事項のうち行政指導によるものは、非公開を前提に指導するものと指導されるものとの間の信頼関係が成り立ってはじめて円滑に実施されるものである。これらの情報が明らかになると、行政指導に従い処理業者が不適正処理を改善中又は改善済である場合には、現在でも不適正処理が継続しているかのように受け取られるおそれがある。その結果、当該業者の社会的評価の低下を来し、社会的地位が損なわれることによって、処理業者が行政に対して不信を抱き、行政指導を進める上で必要な信頼関係が損なわれてしまうことが十分予想される。そのことから行政に対して非協力、無理解になるなど適正処理に向けての業者の努力が期待できなくなり、その結果当該又は将来の同種の事務事業の公正若しくは適正な執行に著しい支障を及ぼすおそれがある。

4 異議申立ての理由

 異議申立人が、異議申立書及び口頭による意見陳述で主張している異議申立ての主たる理由は、次のように要約される。

 本件処理業者に対して、再三県に適正指導をしてほしいと要望してきた。当該処理業者の一番の問題は、上野地内で野焼きをして、その燃え殻を埋立て、野積み放置していることである。野焼きが止まった現在でも、一旦埋め立てられた物が異臭を発しており、悪臭が住民を襲っている。また、一旦操業許可された処理業者に対して地域住民側から取り得る手段というものは全く無く、三重県知事にお願いするしかなく、知事の監督指導が適正に行われているのかどうかを知る必要があるため、平成5年7月9日付け生環第869号で行った非開示決定処分を取り消して、請求対象公文書の開示を求めるものである。

5 審査会の判断

(1)本件対象公文書の内容について

 本件対象公文書は、廃掃法第19条第1項に基づく立入検査により作成された産業廃棄物監視指導業務日報(以下「業務日報」という。)のうち、○○○○(株)(平成3年度~平成5年度)、○○○○(昭和63年度~平成5年度)及び○○○(平成元年度~平成4年度)に係るものと、実施機関が本件処理業者等(以下「処理業者」という。)に対して行った行政措置のうち、○○○○(平成3年度)及び○○○(平成4年度)に係る産業廃棄物の適正処理を促す行政指導文書(以下「措置文書」という。)である。
 実施機関は、本件対象公文書は、条例第8条第5号に該当するので非公開にできると主張している。そこで、以下に判断する。

(2)条例第8条第5号(行政運営情報)の該当性の有無について

 まず、条例は、第8条第5号において、「検査、監査、取締り、入札、試験、交渉、渉外、争訟等の事務事業に関する情報であって、開示することにより、当該又は将来の同種の事務事業の公正又は適正な執行に著しい支障を生ずるおそれがある」情報について、非開示とすることができると定めている。
 本号は、事務事業の内容及び性質からみて、開示をすることにより当該事務事業の目的を失い、又は公正若しくは適正な執行ができなくなるおそれのある情報は非開示とすることを定めたものである。
 また、反復的又は継続的な事務事業については、当該事務事業執行後であっても、当該情報を開示することにより、将来の同種の事務事業の目的が達成できなくなるもの又は将来の同種の事務事業の公正若しくは適正な執行に著しい支障を及ぼすものがあるので、これらに係る情報が記録されている公文書も非開示とすることができるとするものである。

 本件対象公文書は、「検査、監査、取締り、入札、試験、交渉、渉外、争訟等の事務事業に関する情報」であることは明らかであるので、本件対象公文書を開示した場合、当該又は将来の同種の事務事業の公正又は適正な執行に著しい支障を生ずるおそれがあるかどうかについて判断する。
 実施機関は、次のとおり主張している。
 本件対象公文書のうち措置文書は、産業廃棄物処理に関する行政指導の内容を記載した文書であり、また、業務日報の作成の前提となった立入検査も相手方の任意の協力を得て行われているものである。したがって、本件対象公文書は、いずれも行政指導に関わって作成された文書であると理解している。
 つぎに、行政指導とは、相手方に任意の協力を期待してなす又は拘束力を有しない非権力的な作用であることから、その当事者間においての信頼関係の維持確保は重要であり、本件対象公文書の開示による影響も、この信頼関係との関わりで考察する必要があると考える。
 すなわち、この情報が開示されると、行政指導に従い処理業者が不適正処理を改善中又は改善済である場合であっても、現在でも不適正処理が継続しているかのように受け取られるおそれがある。その結果、処理業者の社会的評価の低下を来し、社会的地位が損なわれることによって、処理業者が行政に対して不信を抱き、行政指導を進める上での必要な信頼関係が損なわれてしまうことが十分予想される。
 また、信頼関係が損なわれてしまうと、処理業者が行政に対して非協力的、無理解になり、監視指導業務に必要不可欠な情報収集が困難になることが予想される。
 このことから、当該又は将来の同種の監視指導事業の目的が達成できなくなり、同種の事務事業の公正若しくは、適正な執行に著しい支障を及ぼすおそれがある。
 以上の実施機関の主張について、業務日報と措置文書に分けて、判断する。

ア 業務日報について
 本県においては、産業廃棄物処理業者に対する監視、指導を的確に実施するため、昭和62年度から産業廃棄物監視指導担当を創設して立入検査等の業務にあたっている。
 この立入検査は、廃掃法第19条の規定に基づき実施されているものであり、さらに平成2年4月24日付けの厚生省産業廃棄物対策室長名による通知文書「産業廃棄物に関する立入検査及び指導の強化について」により、年度当初に一年間の立入検査等に関する計画を作成し、その計画に基づき効率的な立入検査を実施しているところであり、業務日報は、その結果をまとめて所属長に報告するために作成されたものである。
業務日報の内容は、
1 産業廃棄物監視指導業務日報
2 産業廃棄物中間処理業監視票
3 産業廃棄物立入検査指導票
4 産業廃棄物最終処分業監視票
から構成されている。
 業務日報の内容を当審査会が精査し、実施機関から説明を聴取りしたところ、以下のことが確認できる。
1 当該事業所の処理状況等が詳細に記述されており、未確認情報も含まれている。
2 また、処理業者から聴取りした内容がそのまま記述されている部分も見受けられる。
3 立入検査により把握された改善を要する指導事項に関する記載が多く見受けられる。
 産業廃棄物処理行政においては、立入検査の結果、不適正処理等の法違反があった場合は、悪質な違反例を除いては行政処分を行う前に、まずは、口頭指導又は文書警告により適正処理を指導し、改善を促すことによって法による規制を補完し、これを前進させ、より実効性のある規制を果たしていこうとする行政指導が行われていることが認められる。

 条例第8条第5号は、実施機関が行う事務事業に関する情報であって、開示することにより、関係当事者間の信頼関係が損なわれ、事務事業の実施に必要な理解、協力を得ることができなくなったり、今後、必要な情報を収集することができなくなるおそれがある情報は開示しないことができると規定している。
 業務日報には、前述したように、指導事項や未確認情報及び処理業者から聴取りをした内容がそのまま記録されており、これらを全面的に開示することは、立入検査の具体的態様を規制対象者にも明らかにすることとなり、立入検査の有効な実施の妨げとなることが予想される。
 さらに、実施機関は、これらの情報が明らかになると行政指導に従い改善した者又は改善しようとする者が不信を抱くことになり、その結果、行政指導を進める上で必要な信頼関係が損なわれると主張するので、この点について判断すると、確かに、業務日報がそのまま開示されると、未確認情報が存在していること、処理業者からの聴取り内容が吟味されずに記述されていること、また、処理業者は、業務日報を開示されるとは想像していないことから、行政に対し不信を抱き、非協力的な態度になり、結果として、行政指導を進める上で必要な信頼関係が損なわれ、必要な情報が得られなくなる可能性が認められる。
 以上のことから、業務日報の内容を非公開とした実施機関の判断は行政指導の具体的記載部分に関しては妥当ということができる。
 しかしながら、本件対象公文書を詳細に検討したところ、産業廃棄物監視指導業務日報の表紙(鑑)部分には、監視指導年月日、監視指導実施者、監視指導件数、及び監視施設数が記載されており、これらの情報を開示しても、行政指導に必要な柔軟性に著しい支障が生じるとまではいえないことから、この部分は開示すべきである。

イ 措置文書について
 産業廃棄物処理行政における規制的措置は、行政指導と行政処分に大別されている。
 行政指導には、立入検査における口頭指導、指導票による書面指導及び措置文書による指導等がある。一方、行政処分としては、廃掃法による改善命令、措置命令等の形態があり、それぞれの状況に合わせて、同法の規定により実施されている。
 措置文書による指導については、上述の行政指導の範中に入るものであり、処理業者に対し、非権力的に相手の任意の協力を求めて産業廃棄物の適正処理を促す行政の行為である。
 実施機関は、廃掃法違反の事実があった場合には、まず、行政指導によりそれを是正させるのが基本であり、そのためには、処理業者との信頼関係が重要な要素であると主張している。そして行政指導に従い違反状態を速やかに解消したにもかかわらず、これを開示することは、行政に対し、不信を抱くことにより、その結果、監視指導業務に欠くことができない処理業者からの情報収集が困難になるなど、産業廃棄物処理行政の円滑な執行に著しい支障が生ずるおそれがあると主張する。
 ところで、措置文書を開示することにより、行政と処理業者の間の信頼関係が損なわれるかどうか、また、そのことから当該業務に著しい支障が生じるおそれがあるか否かについては客観的に判断されるべきである。
 措置文書には、産業廃棄物の適正処理を促す内容が記載されている。
 これらを開示すると、違反があたかも現在も続いているとの誤解をまねく可能性があり、また、非公式での依頼にこたえて、行政指導に従って違反を是正した処理業者の信頼を損なう可能性がある。その結果、以降の行政指導の実施や情報収集において処理業者からの協力を得られなくなる可能性がある。
 また、措置文書の内容と実施機関からの説明及び提出資料から判断すると、措置文書に対して処理業者から反論が県に対して行われている事実が認められる。
 このような公文書を開示すると、実施機関と処理業者との信頼関係が悪化し、立入り調査時に必要不可欠な情報収集が困難になることから、監視指導業務の適正な執行に著しい支障が生じるおそれがあると認められる。
 以上のことから、措置文書の内容を非公開とした実施機関の判断は行政指導の具体的記載部分に関しては妥当ということができる。
 もっとも、措置文書の表紙(鑑)部分については、起案年月日、決裁年月日、文書番号、起案者名、標題等が記述されているが、これらの情報を開示しても、行政指導に必要な柔軟性に著しい支障が生じるとまではいえないことから、この部分は開示すべきであると判断する。

(3)結論

 総合して判断すると、業務日報及び措置文書の表紙(鑑)部分は開示とし、その他の部分については、産業廃棄物処理行政の執行に著しい支障が生じると考えられることから、非開示が妥当である。

6 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙のとおりである。

7 審査会としての要望

 現在、廃棄物処理問題は、環境保全に対する認識の高まる中、社会全体が取り組むべき緊急かつ重要な課題である。
 とりわけ、産業廃棄物処理場にあっては、生活環境保全の立場から住民の関心は非常に高く、その理解と協力が求められているところである。
 したがって、地域住民等に十分理解してもらう方策を行政として検討していく必要があることから、従来より増して、行政が所有する情報を開示することにより、県民の理解と信頼の確保を図るよう、当審査会として要望する。


別紙

審査会の処理経過

年月日 処理内容
5. 8.26 ・諮問書受理
5. 9. 2

・実施機関に対して非開示理由説明書の提出依頼

5.10.18 ・非開示理由説明書受理
5.10.26 ・異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、
意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
5.12. 8 ・口頭意見陳述申出書受理
6. 7.20 ・書面審理                   (第39回審査会)
6. 8.23 ・実施機関からの非開示理由説明の聴取及び審議  (第40回審査会)
6. 9. 8 ・異議申立人からの口頭意見陳述の聴取及び審議  (第41回審査会)
6.10.17 ・実施機関からの非開示理由説明の再聴取及び審議 (第42回審査会)
6.11.22 ・審議                     (第43回審査会)
6.11.22 ・答申

本ページに関する問い合わせ先

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津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
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ファクス番号:059-224-3039 
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