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平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第28号

答申

1 審査会の結論

 三重県産業廃棄物処理指導要綱の見直しに関する公文書(別紙公文書目録)について実施機関が非開示としたことは妥当ではなく、個人の氏名・住所等個人情報の部分を除いて開示すべきである。
 また、産業廃棄物適正処理に係る要綱の制定状況調査の回答集を部分開示としたことは妥当である。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成8年1月8日付けで三重県情報公開条例(昭和62年三重県条例第34号。以下「条例」という。)に基づき行った三重県産業廃棄物処理指導要綱の見直しに関する公文書(別紙公文書目録)及び産業廃棄物適正処理に係る要綱の制定状況調査の回答集(以下「本件対象公文書」という。)の開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成8年1月19日付けで行った非開示決定及び部分開示決定の取り消しを求めるというものである。

3 実施機関の非開示及び部分開示理由説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本件対象公文書を非開示及び部分開示にしたというものである。
 本件対象公文書は、三重県産業廃棄物処理指導要綱(以下「要綱」という。)の見直しに関する公文書である。要綱の改正にあたり、関係者である市町村民代表者、市町村担当職員等から個人として意見を聴取した。また、他自治体の状況を調査するため、各都道府県政令市に対して産業廃棄物適正処理に係る要綱の制定状況の調査を行った。

(1) 条例第8条第1号(個人情報)の該当性について

 要綱の見直しに関して意見聴取を行った市町村民代表者等の個人の氏名、住所、職業等は、個人に関する情報であり、開示することにより特定の個人が識別され、又は識別され得る。また、同号ただし書「イ、ロ、ハ」のうち、「イ、ロ」に該当して開示すべき情報は認められなかった。次に、ただし書「ハ」については、本件対象公文書中、個人の氏名、住所、職業等 は純粋に個人の私的な情報であり、それが公にされること自体に公益性があるとは認められないことから、同号ただし書「ハ」にも該当しない。

(2) 条例第8条4号(意思形成過程情報)及び第5号(行政運営情報)の該当性について

 要綱の見直しに係る検討、調査研究等に係る情報は、要綱改正のための指針、具体策等を作成するために各界、各層からの意見聴取を行った情報であり、最終的な意思決定に至らない未確定な情報に該当する。従って、これらの情報がそのまま開示されると、意見聴取結果が要綱の改正方向そのものであるという誤解や混乱を県民に与えたり、また、行政内部における幅広い議論等の内容についても同様の誤解や混乱を招いたり、行政内部の自由な意見交換が妨げられる等のおそれがあるので、非開示とした。
 もっとも、当該要綱は、すでに見直し作業が終了し、平成8年10月18日に三重県公報に搭載しているので、当初は、条例第8条第4号(意思形成過程情報)に該当 することを理由に非開示にした部分について、現時点ではその理由が消滅している。従って、要綱見直しの調査の範囲、方法等に関する公文書は開示できる。
 また、出席者の忌憚なき発言を求めるため、意見の内容については非公開を前提として聴取している。従って、これを開示することにより、関係当事者との信頼関係が損なわれ、今後事務事業の実施に必要な理解、協力を得ることができなくなったり、必要な情報を収集することができなくなるおそれがあるので、意見の内容は非開示とした。

(3) 条例第8条第3号(国等協力関係情報)の該当性について

 県が依頼した産業廃棄物適正処理に係る要綱の制定状況調査に係る他自治体の回答は、各地方自治体に関する情報であり、自治体によっては一般に公開すべき情報として取り扱っていない場合が多数見受けられ、また、いくつかの地方自治体に公開の是非について照会したところ、非公開の要請があった。
 この情報は、本県と他の地方自治体との協力、信頼関係によって取得した情報であり、当該情報を開示することにより、本県と他の地方自治体との協力関係、信頼関係が著しく損なわれると認められる。

4 異議申立ての理由

 異議申立人が、異議申立書及び口頭による意見陳述で主張している異議申立ての主たる理由は、次のように要約される。

 要綱の改正について、各保健所単位で意見の聞き取りをされたと聞いているが、どのような人がどういう意見を陳述されたのか知りたい。要綱の改正作業にあたり、住民等から一方的に聞き置くだけで、どのような意見があり、どの意見が採択されたのか明らかにされていない。
 また、他府県の産業廃棄物指導要綱を収集して検討されたとも聞いているが、県がどのように分析したのか関心がある。
 要綱の改正は、各界、各層からの意見を聞いて作成すべきであるが、その過程が全くわからない状態である。平成8年10月に要綱が制定されたのであるから、現時点では意思形成過程情報には当たらないので、どのような意見があったのか、可能な限り知りたいので、関係文書を公開されたい。
 住民を無視した行政と事業者のあり方に、非常に不満を持っている。

5 審査会の判断

(1) 基本的な考えかたについて

 条例の制定目的は県民の公文書の開示を求める権利を明らかにするとともに、県民の県政に対する理解と信頼を深め、開かれた県政を一層推進するというものである。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示項目を定めている。
 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下について判断する。

(2) 条例第8条第1号(個人情報)の該当性の有無について

 本号は、基本的人権を尊重する立場から、個人のプライバシ-は最大限保護する必要があること、また、個人のプライバシ-の概念は法的に未成熟でもあり、その範囲も個人によって異なり、類型化することが困難であることから、個人に関する情報であって特定の個人が識別される情報が記録されている公文書は、原則として、非開示とすることを定めたものである。

 異議申立人は、意見発言者は個人の資格ではなく団体、自治会等の代表として発言しているので個人情報には該当しないと主張する。一方、実施機関は、個人として意見を聴取したものであり、非公開を約束して意見を求めていることから、個人情報に該当すると主張する。
 要綱の見直しに関して意見聴取を行った市町村民代表者等は、各種団体等の代表者ではあるが、意見は個人の意見であり、氏名・肩書・住所・職業等を、開示することにより特定の個人が識別され、又は識別され得るので個人情報に該当する。
 なお、同号ただし書「イ、ロ」に該当しないのは明らかであり、「ハ」についても、当該情報が公にされること自体に公益性があるとは認められないことから、同号ただし書「ハ」にも該当しない。

(3) 条例第8条第4号(意思形成過程情報)の該当性の有無について

本号は、行政における内部的な審議、検討、調査研究等が円滑に行われることを確保する観点から定められたものである。

 本件対象公文書のうち意思形成過程情報で非開示とした公文書は、内容別に①要綱の見直しに係る意見聴取会の出席者選考に関する文書及び意見聴取会の開催計画に関する情報及び②意見聴取会に関する情報に分類することができる。
 まず、①について、実施機関は意見聴取会の出席者の選考方法や開催計画を開示すると、要綱の見直しに関して意見の異なる者から圧力がかかるおそれがあり、要綱の見直し作業に著しい支障が生じると主張する。しかし、そもそも意見聴取会を開催するのは様々な意見を聴取するためであり、意見の異なる者からの圧力は想定できないので、実施機関の主張には理由がない。また、それらの情報を開示しても、意見聴取会を開催することが困難になるとは考えられず、要綱の見直し作業に著しい支障が生じるとは認められないので意思形成過程情報には該当しない。
 次に、②について、実施機関は、各界、各層から意見聴取を行った情報であり、最終的な意思決定に至らない未確定な情報に該当するので、これらの情報をそのまま開示すると、県民に誤解や混乱を招いたり、行政内部の自由な意見交換が妨げられるおそれがあると主張する。
 しかし、これらの情報は意見聴取会における出席者の意見であることは明らかであり、実施機関が当該公文書に「もらった意見が必ずしも反映されるとは限らない」と記載していることから、県民にそのような誤解や混乱を与えるとは考えにくい。また、当該公文書に記載されている実施機関の発言部分は、主に意見聴取会出席者の質問に対する回答であり、この発言内容は、明確に要綱の改正方向を示したものではないので、これを開示しても、要綱の改正方向そのものであるという誤解や混乱を県民に与えるとは考え難く、行政内部の自由な意見交換が妨げられるとは認められない。
 以上のことから、本件対象公文書は条例第8条第4号(意思形成過程情報)には該当しないと判断する。

(4) 条例第8条第5号(行政運営情報)の該当性の有無について

 本号は、事務事業の内容及び性質からみて、開示をすることにより当該事務事業の目的を失い、又は公正若しくは適正な執行ができなくなるおそれのある情報は非開示とすることを定めたものである。
 また、反復的又は継続的な事務事業については、当該事務事業執行後であっても、当該情報を開示することにより、将来の同種の事務事業の目的が達成できなくなるもの又は将来の同種の事務事業の公正若しくは適正な執行に著しい支障を及ぼすものがあるので、これらに係る情報が記録されている公文書も非開示とすることができるとするものである。

 実施機関は、当該意見聴取は非公開を前提として聴取しており、意見聴取会の出席者名及び意見の内容の部分については、開示することにより、関係当事者との信頼関係が損なわれ、今後の事務事業の実施に必要な理解、協力を得ることができなくなったり、必要な情報を収集することができなくなるおそれがあると主張する。
 そこで、当審査会では実施機関が非開示を主張している「意見聴取会の出席者名」及び「出席者の意見内容」について、それぞれ個別に条例第8条第5号(行政運営情報)の該当性の有無について判断する。
 まず、「意見聴取会の出席者名」であるが、これについては、条例第8条第1号(個人情報)に該当するので、条例第8条第5号(行政運営情報)の該当性の有無についての判断は省略する。
 次に、「出席者の意見内容」については、実施機関の主張する支障は、前述したとおり具体性に欠け、認めがたい。また、非公開を前提に意見聴取を行ったため、これを開示すると出席者との信頼関係が損なわれるという主張についても、出席者名については条例第8条第1号(個人情報)に該当して非開示としていることから、だれの意見であるかということは明らかになっておらず、県と関係当事者との信頼関係は損なわれないと判断する。
 以上のことから、出席者の意見内容の部分については条例第8条第5号(行政運営情報)には該当せず、開示すべきである。

(5) 条例第8条第3号(国等協力関係情報)の該当性の有無について

 本号は、県の行政が、国等との密接な関係のもとに執行されていることから、県と国等との協力関係、信頼関係を維持するため、開示することにより、これらの関係を損なうと認められる情報は、非開示とできることを定めたものである。

 産業廃棄物適正処理に係る要綱の制定状況調査の回答集は、実施機関が他の地方自治体の任意の協力により取得したものであり、審査会において実施機関から聞き取りを行ったところ、他の地方自治体から実施機関に対して非公開の要請があったことが認められる。従って、これを開示することにより、実施機関と他の地方自治体との協力関係、信頼関係が著しく損なわれることは明らかであるので、国等協力関係情報に該当する。

(6) 結論

 総合して判断すると、三重県産業廃棄物処理指導要綱の見直しに関する公文書(別紙公文書目録)については、個人の氏名・住所等、個人情報を除いて開示すべきである。
 また、産業廃棄物適正処理に係る要綱の制定状況調査の回答集を部分開示としたことは妥当である。

6 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙のとおりである。


別紙

公文書目録

(平成7年度)三重県産業廃棄物処理指導要綱の見直しに係る意見聴取のための市町 村民代表者等の推薦について(伺い)

(平成7年度)三重県産業廃棄物処理指導要綱の見直しに係る意見聴取会の開催について(伺い)

(平成7年度)要綱意見聴取会出席予定者及び推薦書(伺い)

(平成7年度)「三重県産業廃棄物処理指導要綱」の見直しに係る意見聴取会(北勢管内)

(平成7年度)「三重県産業廃棄物処理指導要綱」の見直しに係る意見聴取会(津・久居管内)

(平成7年度)「三重県産業廃棄物処理指導要綱」の見直しに係る意見聴取会(松阪管内)

(平成7年度)「三重県産業廃棄物処理指導要綱」の見直しに係る意見聴取会(伊勢・志摩管内)

(平成7年度)「三重県産業廃棄物処理指導要綱」の見直しに係る意見聴取会(上野管内)

(平成7年度)「三重県産業廃棄物処理指導要綱」の見直しに係る意見聴取会(尾鷲管内)

(平成7年度)「三重県産業廃棄物処理指導要綱」の見直しに係る意見聴取会(熊野菅内)

(平成7年度)「三重県産業廃棄物処理指導要綱」の見直しに係る意見聴取会の開催通知について

(平成7年度)「三重県産業廃棄物処理指導要綱」の見直しに係る意見聴取会(産廃ネットワ-ク)

(平成7年度)三重県産業廃棄物協会要望

(平成7年度)「三重県産業廃棄物処理指導要綱」の見直しに係る意見聴取会(産業廃棄物協会)


別紙

審査会の処理経過

年月日 処理内容
8. 3.14 ・諮問書受理
8. 3.25 ・実施機関に対して非開示(部分開示)理由説明書の提出依頼
8. 5. 8 ・非開示(部分開示)理由説明書受理
8. 5.16 ・異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、
意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
8. 5.27 ・口頭意見陳述申出書受理
8.11.25 ・書面審理                        (第63回審査会)
8.11.25 ・実施機関からの非開示(部分開示)理由説明の聴取及び審議
                             (第63回審査会)
8.12.17 ・異議申立人からの口頭意見陳述の聴取及び審議
                             (第64回審査会)
9. 1.30 ・審議                          (第65回審査会)
9. 1.30 ・答申

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

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