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平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第29号

答申

1.審査会の結論

 「(平成7年度)産業廃棄物処理計画書(株式会社○○○○○○○)」の事案について、実施機関が非開示とした産業廃棄物処理事業計画書のうち、基本的な概要及び環境調査結果である別記1で定める部分は公開すべきであるが、その余の部分について実施機関が非開示としたことは妥当である。

2.異議申立て趣旨

 異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成8年4月2日付けで三重県情報公開条例(昭和62年三重県条例34号。以下「条例」という。)に基づき行った「(平成7年度)産業廃棄物処理事業計画書(株式会社○○○○○○○)」(以下「本件対象公文書」という。)の開示請求に対し三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成8年4月16日付けで行った非開示決定の取り消しを求めるというものである。

3.実施機関の非開示理由説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本件対象公文書を非開示にしたというもの である。
 産業廃棄物の処理施設の設置を行うには、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「法」という。)に定められた申請に先立ち、予め廃棄物処理指導要綱による行政指導を行うこととしている。審査にあたっては、処理業の事業計画書を提出させ、地元調整や各関係機関と意見を調整したうえ法の手続を行う。今回審査の対象となるのは事前協議にかかる事業計画であり、現在協議中である。これを、結論がでていない段階で開示すると、公正な結論を出すことが困難で、今後の事務事業の遂行に著しい支障がある。

1 条例第8条第1号について

 産業廃棄物処理事業計画に関する個人の住所、氏名、職業、経歴、生年月日等は個人に関する情報であり、開示することにより特定の個人が識別され、又は識別され得る。また、ただし書き「イ、ロ」に該当して開示をすべき情報は認められず、「ハ」についても個人の住所、氏名、職業、経歴、生年月日等は純粋に個人の私的な情報であり、それが公にされること自体に公益性があるとは認められない。

2 条例第8条第2号について

 法人の契約先、取扱量等の情報は、法人の営業戦略上、中核をなすべき重要な情報であり、調査機関名、浸出水処理計画等は処分場設置のノウハウを含む重要な情報である。これらを開示することは、同業他社に経営の具体的内容、手法を公開するにも等しいことであり、競争上正当に得られる利益を著しく害すると認められる。
 法人代表者の印影、従業員数等法人内部に関する情報についても、それを開示すことにより事業活動に対し不利益を与えると認められる。
 また、本号ただし書き「イ」については、情報それ自体に人の生命、身体及び健康等を保護するため開示する必要がある部分は開示しなければならないと解されるが本件対象公文書に記載されている法人等に関する情報にはその必要が認められない。次に「ロ」については、本件では事業者の違法又は著しく不当な事業活動に係る情報は認められない。「ハ」については本件対象公文書にそれが公にされること自体に公益性があるとは認められない。

3 条例第8条第4号について

 本件対象公文書に記載されている事業計画については、現在、審議調整中のものであり 協議中に事業計画が何度も修正・変更されることもあるから、これを公開すると混乱が生じる。また、本件対象公文書を結論が出ていない現時点で開示することは法的な根拠がない指導要綱により行政指導を行っている現状からすると、協議に応じない事業者が出現するなど、要綱行政の困難を招くことになる。
 最終的な意思決定に至っていないこれらの情報を開示することは、県民に誤解を与え又は無用の混乱を招くおそれがあり、当該事業計画及び将来の同種の事業計画に係る意思形成に著しい支障を生ずるおそれがあると認められる。

4 条例第8条第5号について

 当該事業計画書に添付された隣接地地権者の同意書については、これを開示すると隣接地地権者及び事業者等、関係当事者との信頼が損なわれ、事務事業の実施に必要な理解協力を得ることができなくなるおそれがある。更に、今後同種の事務事業を行うにあたり、必要な情報が収集できなくなり事務事業の適正な執行に著しい支障を生ずるおそれがある。

4.異議申立ての理由

 本件は、管理型産業廃棄物最終処分地の建設計画にかかわる情報である。
 計画地は異議申立人らが居住している矢持町の住民が利用している簡易水道の水源地となっている菖蒲川を埋め立てて計画されているもので、水道水源保護条例が制定されているならば、当然、規制対象事業に認定されるような位置にある。
 命の飲み水である水源地の汚染の危険性のある管理型産業廃棄物最終処分地の建設計画を地元の矢持町自治会の同意もなく、建設計画の詳細の情報も明らかにしないまま、業者と密室での事前調整をすすめ、命と健康に係わる重要な情報を公開しない処分は、非開示の理由がないにもかかわらず、情報を公開しない違法がある。

5.審査会の判断

 本件対象公文書について、実施機関は条例第8条第1号、第2号、第4号及び第5号に該当するので非開示にできると主張している。そこで、以下について判断する。

1 基本的な考え方について

 条例の制定目的は、県民の公文書開示を求める権利を明らかにするとともに、県民の県政に対する理解と信頼を深め、開かれた県政を一層推進するというものである。
 条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示項目を定めている。
 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下について判断する。

2 条例第8条第1号(個人情報)の該当性について

 本号は、基本的人権を尊重する立場から、個人のプライバシーは最大限保護する必要があること、また、個人のプライバシーの概念は法的に未成熟でもあり、その範囲も個人によって異なり、類型化することが困難であることから、個人に関する情報であって特定の個人が識別される情報は、原則として非開示とすることができる旨を定めたものである。
 本件で非開示とされている経歴書、従業員名簿、計画地所有者及び隣接地所有者に係る同意書、地元区長等の同意書における地元区長等の住所、計画地等の一覧表における計画地、隣接地所有者氏名及び使用者氏名等に関する情報は、個人に関する情報であり、開示することにより特定の個人が識別され、または識別され得るため、非開示が妥当である。なお、これらの情報は本号ただし書きに規定するいずれの情報にも該当しない。

3 条例第8条第2号(法人情報)の該当性について

 本号は、自由経済社会においては、法人等の健全で適正な事業活動の自由を保障する必要があることから、事業活動に係る情報で開示することにより、当該法人等の競争上の地位その他正当な利益が害されると認められるものが記録されている公文書は非開示とすることができることを定めたものである。
 競争上の地位その他正当な利益が害されると認められる情報とは、例えば生産、技術、販売、営業上のノウハウに関する情報、経理、人事等の内部管理に関する情報のほか、開示することにより、法人等の社会的評価、社会活動の自由等が損なわれると認められる情報をいう。
 ところで、本件で非開示とされている産業廃棄物処理場浸出水計画書、産業廃棄物処理委託仮契約書、取扱予定の産業廃棄物の種類の書式における取扱予定量等は、法人の内部管理に関する情報であり、事業者が本来秘匿されるべきことを期待する事業取引内容あるいは企業内部情報であって、それらを開示すると、法人等の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められる。
 また、同号ただし書は、「イ 事業活動によって生じ、又は生ずるおそれのある危害から人の生命、身体及び健康を保護するため、開示することが必要であると認められる情報」、「ロ 違法又は著しく不当な事業活動によって生じ、又は生ずるおそれのある支障から県民の生活を保護するため、開示することが必要であると認められる情報」、「ハ イ又はロに掲げる情報に準ずる情報であって、公益上開示することが必要であると認められるもの」が記載されている公文書は、本号本文に該当する場合であっても開示することができると定めているが、これらの情報は、本号ただし書に規定するいずれの情報にも該当しないと判断する。

4 条例第8条第4号(意思形成過程情報)の該当性について

 本号は、行政における内部的な審議、検討、調査研究等が円滑に行われることを確保する観点から定めたものである。
 行政における審議等に関する情報の中には、決裁等の手続は終了していても、行政としての最終的な意思決定に至らない未確定な情報が多く含まれている。これらの情報がそのまま開示されると県民に誤解と混乱を与えたり、行政内部の自由な意見交換が阻害されるなどのおそれがあるので、このような情報については、非開示とするものである。
 また、最終的な意思決定に至った後においても、その過程における情報を開示することにより、将来の同種の審議等に支障を及ぼす場合には、このような情報も非開示とするものである。

 ところで、実施機関は、本件対象公文書は協議中の事業計画に関する文書であり、事業計画が何回も修正、変更されることもあるため、これを公開すると混乱が生じると主張するが、協議中においてはその性格上、各関係機関の法令等に基づく行政指導により、その内容が変わることは当然あり得るわけであり、これを前提として情報公開すれば、混乱は避けられるものである。
 また、産業廃棄物行政において、法的な根拠がない指導要綱に基づき行政指導を行っている現状からすると、協議中に公開すると今後協議に応じない事業者が出現するなど、要綱行政の崩壊を招くおそれがあるとの実施機関の主張は、事業者の自発的な協力を前提として進められる要綱行政の状況に鑑みて、理由がない訳ではない。しかし、他方で、今日の社会情勢の下では、事業者は産業廃棄物処理場建設に対する住民の不安を取り除き、地元の合意を得るために事業計画の内容を積極的に住民に開示してゆくべきであるとも考えられるので、行政機関としてもこうした社会的要請にこたえるべきである。
 したがって、本件対象公文書を本号に該当するとして全面非開示としたことは妥当でなく、基本的な概要及び環境調査結果である別記1で定める部分は公開すべきである。

5 条例第8条第5号(行政運営情報)の該当性について

 本号は、事務事業の内容及び性質からみて、開示をすることにより当該事務事業の目的を失い、又は公正若しくは適正な執行ができなくなるおそれのある情報は非開示とすることを定めたものである。
 また、反復的又は継続的な事務事業については、当該事務事業執行後であっても、当該情報を開示することにより、将来の同種の事務事業の目的が達成できなくなるもの又は将来の同種の事務事業の公正若しくは適正な執行に著しい支障を及ぼすものがあるので、これらに係る情報が記録されている公文書も非開示とすることとするものである。

 ところで、本件で非開示とされている計画地及び隣接地地権者の同意書、確認書は、その取得に際し事業者と地権者の理解と協力のもとに成り立っていることを考えると、これを開示すると隣接地地権者及び事業者等、関係当事者との信頼関係が損なわれ、事務事業の実施に必要な理解、協力を得ることができなくなるおそれがあると認められる。その結果、要綱の円滑な運用が困難となり、今後同種の事務事業を行うにあたり、必要な情報が収集できなくなるなど事務事業の適正な執行に著しい支障を生ずるおそれがあると認められ、これらを非開示としたことは妥当である。

6 結論

 以上のことから総合的に判断すると、実施機関が非開示とした本件対象公文書のうち、基本的な概要及び環境調査結果である別記1で定める部分は公開すべきであるがその余の部分について実施機関が非開示としたことは妥当である。

6.審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙審査会の処理経過のとおりである。


別記1

開示対象公文書

  • 第1号様式産業廃棄物処理事業計画書 ただし、
    ①施設の設置予定地欄のうち地番
    ②法人等の内容欄のうち従業員数
    ③手続等の担当者、職・氏名欄の全ては除く
  • 別紙2取扱い予定の産業廃棄物の種類 ただし、大分類以外は除く
  • (仮称)菖蒲埋立処分場 事業方針
  • 水処理装置、産業廃棄物処理場浸出水計画書 ただし、表紙の法人名、個人名は除く
  • 維持管理計画書
  • 別紙13-1~3 環境調査(第一次)結果の内容
  • 別紙13-4環境調査(第二次)結果の内容
  • 計量証明書 ただし、発注法人名は除く
  • 公共用水域水質測定結果表
  • 水質検査の結果
  • 河川流量、流速計算書
  • 菖蒲埋立処分場設置事業構造計算書
  • 菖蒲埋立処分場設置事業埋立処分場 斜面安定計算書
  • 菖蒲埋立処分場設置事業水理計算書ただし、排水区画割平面図は除く
  • 菖蒲埋立処分場設置事業土質調査報告書
  • 土質柱状図 ただし、個人情報及び調査事業者名は除く
  • 現場透水試験データ
  • 菖蒲最終処分場設置事業に伴う地質調査(図面)
  • 位置図
  • 航測写真
  • 伊勢志摩国立公園地域指定図

別紙

審査会の処理経過

年月日 処理内容
8. 6. 6 ・諮問書受理
8. 7. 4 ・実施機関に対して非開示理由説明書の提出依頼
8. 8. 8 ・非開示理由説明書受理
8. 9.10 ・異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、
意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
9. 2.21 ・口頭意見陳述申出書受理
9. 2.27 ・書面審理及び実施機関からの非開示理由説明の聴取及び審議
                         (第66回審査会)
9. 3.31 ・異議申立人からの口頭意見陳述の聴取及び審議
                         (第67回審査会)
9. 5. 6 ・実施機関からの補足説明及び審議           (第68回審査会)
9. 6.16 ・審議                      (第69回審査会)
9. 6.16 ・答申

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

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