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情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第36号

答申

1.審査会の結論

 「(平成8年度)津都市計画下水道の都市計画変更案に関する公聴会議事録」について、実施機関が傍聴人の住所、氏名及び公述人の委任状における委任理由を非開示にしたことは妥当であるが、公述人の住所、氏名、印影及び公述人を特定できるとして非開示にした部分並びに報道関係者の社名、氏名を非開示にしたことは妥当でなく、開示すべきである。

2.異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成8年11月18日付けで三重県情報公開条例(昭和62年三重県条例第34号。以下「条例」という。)に基づき行った「(平成8年度)津都市計画下水道の都市計画変更案に関する公聴会議事録」(以下「本件対象公文書」という。)の開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成8年11月29日付けで行った部分開示決定の取消しを求めるというものである。

3.実施機関の非開示理由要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本件対象公文書を部分開示決定にしたというものである。
 条例第8条第1号(個人情報)に該当して非開示とした情報は、公聴会議事録に記載の公述人の住所、氏名等であり、これらの情報を開示すると特定の個人が識別され、または、識別され得るものである。
 公聴会開催後、公述人から実施機関に対して意見の異なる者から抗議文書を送付されて迷惑しているとの苦情が複数寄せられており、このような状況で、氏名等を公開すると、より一層公述人に対する抗議がなされる恐れがあることから、非開示としたものである。 
 なお、公聴会議事録は審議会の資料として作成したものであり、公表を目的としたものではないので、条例第8条第1号ただし書に該当しない。

4.異議申立ての理由

 異議申立人が異議申立書等で意見陳述している主たる理由は、次のように要約される。津都市計画下水道の都市計画変更案に関する公聴会に30名を越える市民の公述があった。これは身近な環境問題への意識の高まりを反映したものであり、貴重な資料であると考え、公述の記録を開示請求したものである。
 公聴会では公述人名簿が会場に掲示され、会場に出席した人にはどこの誰がどのような意見を述べたかがわかる。
 実施機関は公述人の氏名及び住所等を開示すると、個人攻撃のおそれがあるとして、公聴会議事録の発言者氏名等を非開示としたが、公聴会の性格からすると、公述人の意見に対する賛同と批判が生ずることは避けられないことであり、公聴会議事録を部分開示としたことは、公聴会の公開の原則に反する。
 以上のことから、本件対象公文書の部分開示決定は違法である。

5.審査会の判断

 本件対象公文書について、実施機関は条例第8条第1号に該当するので部分開示にできると主張している。そこで、以下について判断する。

1 基本的な考え方について

 条例の制定目的は、県民の公文書の開示を求める権利を明らかにするとともに、県民の県政に対する理解と信頼を深め、開かれた県政を一層推進するというものである。
 条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示項目を定めている。
 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下について判断する。

2 条例第8条第1号(個人情報)の該当性について

 実施機関は、本件対象公文書について、条例第8条第1号(個人情報)に該当して非開示とした情報は、公聴会議事録に記載の公述人の住所、氏名及び印影であり、これらの情報を開示すると特定の個人が識別され、または、識別され得るものである。また、これらの情報は、条例第8条第1号ただし書きのいずれにも該当しないと主張するので、このことについて検討する。
 本号は、基本的人権を尊重する立場から、個人のプライバシーは最大限保護する必要があること、また、個人のプライバシーの概念は法的に未成熟でもあり、その範囲も個人によって異なり、類型化することが困難であることから、個人に関する情報であって特定の個人が識別される情報が記録されている公文書は、原則として、非開示とすることができることを定めたものである。
 その一方で、本号ただし書きにおいて、法令の定めるところにより何人でも閲覧できる情報、公表を目的としている情報及び許可、免許、届出等に際して作成し、又は取得した情報で公益上開示することが必要であると認められるものについては、開示することとしたものである。

 公聴会は都市計画法及び三重県都市計画公聴会規則に基づき開催され、本件対象公文書は、その記録文書であると認められる。
 公聴会は公開で行われており、不特定多数の者の傍聴が認められているもので、会場には公述人の名簿が掲示され、公述人は議長の指名により発言し、公聴会に出席した者は発言者とその意見がわかることとなる。
 これら公聴会制度の趣旨を勘案すると、公聴会議事録は公共的な性格を有する情報であることを否定できないが、個人の資格として個人が意見を述べる場合、自分の心情を述べるという点で個人情報的な側面を有することから、公聴会議事録における公述人の住所、氏名及び印影は、条例第8条第1号本文に該当する。しかし、その公聴会の経過が記載された公聴会議事録は、法令の規定にしたがって公聴会が開催されたことを担保する意味を持つものであるから、客観的には公表を目的として作成した情報であると解するのが妥当である。
 したがって、公聴会議事録に記録された公述人の住所、氏名及び印影は、本号ただし書ロで規定する公表を目的として作成し、又は取得した情報に該当する。また、報道関係者の社名、氏名は本号に該当しない。
 一方、公聴会議事録における傍聴人の住所、氏名及び公述人の委任状における委任理由は、個人に関する情報であって特定の個人が識別されることから、本号に該当する。また、これらの情報は、本来公表することが予定された情報ではないので、本号ただし書のいずれにも該当しない。

3 結論

 実施機関が本件対象公文書のうち、傍聴人の住所、氏名及び公述人の委任状における委任理由を非開示にしたことは妥当であるが、公述人の住所、氏名、印影及び公述人を特定できるとして非開示にした部分並びに報道関係者の社名、氏名を非開示にしたことは妥当でなく、開示すべきである。

6.審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙審査会の処理経過のとおりである。


別紙

審査会の処理経過

年月日 処理内容
8.12.18 ・諮問書受理
9. 1. 9 ・実施機関に対して部分開示理由説明書の提出依頼
9. 1.28 ・部分開示理由説明書受理
9. 2.14 ・異議申立人に対して部分開示理由説明書(写)の送付、
意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
9. 3. 7 ・口頭意見陳述申出書受理
9.11.17 ・書面審理              
(第75回審査会)
9.12. 2 ・実施機関からの部分開示理由説明の聴取及び異議申立人の口頭意見陳述の聴取
・審議                 
(第76回審査会)
9.12.16 ・審議                 
(第77回審査会)
9.12.16 ・答申

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

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