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平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第38号

答申

1 審査会の結論

 「別紙1に掲げる文書のうち、実施機関が『1 住民監査請求に係る関係人の調査について<速記録>』及び『4 委員会議議事録』を条例第8条第4号及び第5号に該当するとして非開示としたことは妥当であるが、『2 1の添付資料(弁明書)』及び『3 住民監査請求に係る請求人の陳述について<速記録>』を非開示としたことは妥当でなく、開示すべきである。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成8年12月5日付けで三重県情報公開条例(昭和62年三重県条例第34号。以下「条例」という。)に基づき行った、別紙1に掲げる文書(以下「本件対象公文書」という。)の開示請求に対し、三重県監査委員(以下「実施機関」という。)が12月19日付けで行った非開示決定の取消しを求めるというものである。

3 実施機関の非開示理由説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本件対象公文書を非開示にしたというものである。
 監査委員は、その職務の性質上地方自治体の長からの独立性の確保が要求されており、その意思形成に関しては、自由な討議の過程が必要である。
 監査結果の形成に係る調査記録等の資料及び委員会議の記録を開示することは、監査委員の審議における自由な意見交換に支障を及ぼし、適正な監査結果の決定を阻害するおそれがあり、条例第8条第4号に該当する。
 また、住民監査請求に係る関係人聞き取り調査は、被調査者が公表を予定していないこと、監査委員が被調査者との間で記録自体を公開することを前提として作成し、取得したものでないことから、公開することになれば、被調査者との信頼関係が著しく損なわれることとなる。このため、被調査者から今後同種の調査について協力を得られなくなり、適正な監査結果を導き出すことに重大な支障をきたすことから、条例第8条第5号に該当する。

4 異議申立ての理由

 異議申立人が異議申立書等で意見陳述している主たる理由は、次のように要約される。
 監査委員は、その職務を遂行するに当たっては、常に公正不偏の態度を保持して、監査をしなければならない(地方自治法第198条の3第1項)。しかるに、県監査委員は、異議申立人らの県監査委員及び県監査委員事務局職員の不正出張についての住民監査請求に対して、十分な調査をせずに故意に却下や棄却を行うなど、法に著しく違反した監査を行っている。このことから、当該案件に対して非開示とした理由は信用できず、住民監査請求において公正で十分な調査をしていないことを隠蔽しようとしているものとしか考えられない。
 また、「請求人の陳述について(速記録)」は自己情報であることから、これを非開示にすることは不合理であり、非開示の理由にはあたらない。
 以上のことから、本件対象公文書の非開示決定は違法である。

5 審査会の判断

 本件対象公文書について、実施機関は条例第8条第4号及び第5号に該当するので非開示にできると主張している。そこで、以下について判断する。

(1)基本的な考え方について

 条例の制定目的は、県民の公文書の開示を求める権利を明らかにするとともに、県民の県政に対する理解と信頼を深め、開かれた県政を一層推進するというものである。
 条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示項目を定めている。
 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下について判断する。

(2)条例第8条第4号(意思形成過程情報)の該当性について

 本号は、行政における内部的な審議、検討、調査研究等が円滑に行われることを確保する観点から定められたものである。
 「当該又は将来の同種の事務事業に係る意思形成に著しい支障を生ずるおそれがあるもの」を非開示とすることができる、との本号の適用にあたっては、抽象的な支障のおそれがあるだけでなく、客観的かつ具体的に明らかな支障を生ずるおそれがある場合であると判断すべきである。
 地方自治法第196条第2項及び第3項では、監査委員の選任にあたり地方公共団体の職員からの就任について規制しているが、これは、監査委員の独立性の確保を図るためのものであるとされている。
 また、監査委員の職務権限を定める同法第199条においては、その第11項で、「監査の結果に関する報告の決定又は……意見の決定は、監査委員の……合議によるもの」とされ、住民監査請求について規定する同法第242条においては、その第6項で、「監査及び勧告についての決定は、監査委員の……合議によるもの」とされ、この「合議」とは、監査委員全員が協議し、最終的には意見が一致する意味であるとされている。
 このことから、監査委員には、長からの独立性と自由な議論の保障が要求されることが認められる。
 『1 住民監査請求に係る関係人の調査について<速記録>』は、関係人と監査委員との審尋の内容が記録されたものであり、意思形成過程情報といえる。また、『4 委員会議議事録』は、調査結果に基づき最終的な意思形成を図った過程を記録したものである。これらを開示すると、意思形成の過程に対する様々な圧力が予想され、将来の同種の調査あるいは審議に際して自由な意見の聴取あるいは意見交換が妨げられるおそれが認められる。
 したがって、これらの文書は本号に該当すると認められる。
 しかし、監査委員が監査を実施するにあたり、関係人から提出された『2 1の添付資料(弁明書)』は、関係人の主張を事前に書面で提出することを求める内部規程に基づき提出されたものであり、住民からの監査請求に対する当該機関としての反論を公式にまとめたものであって非開示とする理由はなく、本号には該当しない。
 また、『3 住民監査請求に係る請求人の陳述について<速記録>』は、本人に係る情報であり、これを本人に開示しても将来の同種の審議に際しての支障は考えられず、本号には該当しない。さらに、条例第9条ただし書き各号のいずれにも該当しない。

(3)条例第8条第5号(行政運営情報)の該当性について

 本号は、事務事業の内容及び性質からみて、開示をすることにより当該事務事業の目的を失い、又は公正若しくは適正な執行ができなくなるおそれのある情報は非開示にできることを定めたものである。
 また、反復的又は継続的な事務事業については、当該事務事業執行後であっても、当該情報を開示することにより、将来の同種の事務事業の公正若しくは適正な執行に著しい支障を及ぼす場合には、これらに係る情報が記録されている公文書も非開示とすることができるものである。
 そこで、開示することにより当該事務事業の目的を失い、又は公正若しくは適正な執行ができなくなるおそれのある情報であるかどうかについて検討する。
 なお、この場合、「著しい支障を生ずるおそれがあるもの」とは、抽象的な支障のおそれがあるだけでなく、客観的かつ具体的に明らかな支障を生ずるおそれがある場合であると判断すべきである。
 監査委員の職務権限を定める同法第199条においては、その第8項で、「監査のため必要があると認めるときは、関係人について調査することができる」としている。しかし、関係人がこれに応じない場合においてこれを強制することはできないとされている(逐条地方自治法第12次改訂新版602頁)。したがって、このことを前提とした調査は、被調査者が調査結果を公表されることを予定していないこと、また、監査委員が公開することを前提として作成し、取得したものでないことが認められる。
 当該監査請求に係る関係人と監査委員との審尋の内容が記録された『1 住民監査請求に係る関係人の調査について<速記録>』及び委員会での審議過程が記録された『4 委員会議議事録』を開示することになれば、被調査者との信頼関係が著しく損なわれ、被調査者から今後の調査について協力を得られなくなることは十分に予想される。このため、事実関係の把握が困難となり、また、様々な圧力が予想され、将来の同種の審議に際し自由な意見交換が妨げられるなど、適正な監査結果を導き出すことに著しい支障をきたすことが認められる。
 したがって、これらの文書は本号に該当すると認められる。
 しかし、監査委員が監査を実施するにあたり、関係人から提出された『2 1の添付資料(弁明書)』は、関係人の主張を事前に書面で提出することを求める内部規程に基づき提出されたものであり、本号には該当しない。
 また、『3 住民監査請求に係る請求人の陳述について<速記録>』は、本人に係る情報であり、これを本人に開示しても将来の同種の事務の執行に際しての著しい支障は考えられず、本号には該当しない。さらに、条例第9条ただし書き各号のいずれにも該当しない。

(4)結論

 実施機関が、本件対象公文書のうち、『1 住民監査請求に係る関係人の調査について<速記録>』及び『4 委員会議議事録<速記録>』を条例第8条第4号及び第5号に該当するとして非開示としたことは妥当であるが、『2 1添付資料<弁明書 >』及び『3 住民監査請求に係る請求人の陳述について<速記録>』を非開示としたことは妥当でなく、開示すべきである。

6 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙2審査会の処理経過のとおりである。


別紙 1

対象公文書 実施機関の決定 審査会の判断
(平成8年度)

1 住民監査請求に係る関係人の調査について<速記録>
 (平成8年7月16日受理に係るもの)

2 同上添付資料<弁明書>

3 住民監査請求に係る請求人の陳述について<速記録>
 (平成8年7月16日受理に係るもの)

4 委員会議議事録<速記録>
 (平成8年7月16日受理に係るもの)

非開示


非開示

非開示


非開示

非開示


開示

開示


非開示

別紙 2

審査会の処理経過

年月日 処理内容
 9. 3.26 ・諮問書受理
 9. 4. 1 ・実施機関に対して非開示理由説明書の提出依頼
 9.11.26 ・非開示理由説明書受理
 9.12. 3 ・異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、
意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
 9.12.16 ・実施機関からの非開示理由説明の聴取
・審議                 (第77回審査会)
10. 2. 4 ・異議申立人からの口頭意見陳述申出書受理
10. 2. 4 ・異議申立人からの意見書受理
10. 2.13 ・異議申立人の口頭意見陳述の聴取
・審議                 (第79回審査会)
10. 3.23 ・審議                 (第81回審査会)
10. 5.11 ・審議
・答申                 (第82回審査会)

三重県情報公開審査会委員名簿

職名 氏名 役職等
会長 岡本 祐次 三重短期大学教授
会長職務代理者 夏秋 幹 三重テレビ放送㈱代表取締役社長
委員 谷 信子 県商工会議所婦人会連合会会長
委員 今井 正彦 弁護士
委員 曽和 俊文 関西学院大学教授

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

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