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情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第43号

答申

1 審査会の結論

 実施機関が、別紙1及び2に掲げる文書のうち、②、⑦、⑬、⑭、⑮について非開示としたことは、妥当であるが、①の1、①の2、③、④、⑤、⑥の1、⑥の2、⑥の3、⑧の1、⑧の2、⑨の1、⑨の2、⑩、⑪、⑫の1、⑫の2を非開示としたことは妥当でなく、開示すべきである。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成9年9月16日付けで三重県情報公開条例(昭和62年三重県条例第34号。以下「条例」という。)に基づき行った産業廃棄物処理施設に関する開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成9年10月22日付けで行った別紙1及び2に掲げる対象公文書(以下「本件対象公文書」という。)の部分開示決定の取消しを求めるというものである。
 なお、本件対象公文書は、産業廃棄物処理事業事前協議会での業務報告書等であって指示事項等が記載された書類である。

3 実施機関の部分開示理由説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本件対象公文書は部分開示(①から⑮は非開示)が妥当というものである。

(1)条例第8条第1号(個人情報)の該当性について

 本件対象公文書の②、⑦、⑬、⑭、⑮は、個人に関する情報であり、特定の個人が識別される情報であるから条例第8条第1号に該当する。
 また、これらの情報が条例第8条第1号ただし書き「イ、ロ」に該当して開示すべき情報とは認められず、またこれらは、純粋に個人の私的な情報であり、それが公にされること自体に公益性があるとは認められないことから、「ハ」にも該当せず、非開示とした。

(2)条例第8条第4号(意思形成過程情報)の該当性について

 本件対象公文書の①の1、②の2、③、④、⑤、⑥の1、⑥の2、⑥の3、⑧の1、⑧の2、⑨の1、⑨の2、⑩、⑪、⑫の1、⑫の2は行政内部で審議中または事業者に対する指導中の事項であり、内容の正確性が確認されておらず、意思決定もされていないものである。
 また①の2、⑥の1、⑥の2は、同意取得に関する情報で、開示することにより地元住民への圧力が予想されるため、公正な合意形成に著しい支障を生じるとともに、地域社会の混乱、県民の誤解を招くおそれがあるため条例第8条第4号に該当する。

4 異議申立ての理由

異議申立人が異議申立書等で意見陳述している主たる理由は次のように要約される。

(1) 本件処分は、非開示理由に該当しない情報を該当するとしてなした違法な処分である。特に、異議申立人は、矢持町自治会長であり、本件請求も単なる個人の立場でなく、自治会長の職務をまっとうするために行っているものである。
 非開示部分は、行政機関が産業廃棄物処理業者に対して矢持町の同意書を取得するように指示された部分であって、どのような指示がでているかについては、公益上も重大な利害関係があり、何ら隠しだての必要のないものである。
 また水利権者の同意書については、仙台高裁の判決(H9.12.17)でも公開をすべきとしている。
 このような情報の非開示は、行政の不透明、不信を招くものであり、違法かつ不当である。

5 審査会の判断

 本件対象公文書について、実施機関は条例第8条第1号及び第4号に該当するので部分開示にできると主張している。そこで、以下について判断する。

(1)基本的な考え方について

 条例の制定目的は、県民の公文書開示を求める権利を明らかにするとともに、県民の県政に対する理解と信頼を深め、開かれた県政を一層推進するというものである。
 条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示項目を定めている。
 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下について判断する。

(2)条例第8条第1号(個人情報)の該当性について

 本号は、基本的人権を尊重する立場から、個人のプライバシーは最大限保護する必要があること、また、個人のプライバシーの概念は法的に未成熟でもあり、その範囲も個人によって異なり、類型化することが困難であることから、個人に関する情報であって特定の個人が識別される情報は、原則として非開示とすることができる旨を定めたものである。
 本件で非開示とされている情報は、別紙1及び2に掲げる②、⑦、⑬、⑭、⑮で、個人に関する情報であり、開示することにより特定の個人が識別され、または識別され得る。
 また、非開示とした情報が同号ただし書きに該当するか否かについて検討すると、ただし書き「イ、ロ」に該当して開示をすべき情報は認められず、これらは、個人の私的な情報であり、それが公にされること自体に公益性があるとは認められないことから「ハ」にも該当せず、非開示としたことは妥当である。
 なお、水利権者の同意書については、仙台高等裁判所秋田支部(平成9年(行コ)第1号・H9.12.17)の決では、「個人の内心に関わる情報であって、プライバシーとして保護されるべき情報であるが、純粋に私的な事項についてのものでなく、……、許可不許可の判断にも重大な影響を及ぼす可能性のある公的側面を有するものであり、プライバシーとして保護することよりも同意書を公開されることの意義の方が大きい。」と判示しており、異議申立人は同判決を根拠として、本同意書を開示すべきであるとするが、本件対象公文書のうち同意書の⑬、⑭を検討すると、河川法上の水利権者のものと認定するだけの根拠はない。
 さらに、本同意書は要綱に基づき事業者の任意の協力のもとに提出されたものであって、公表を前提とされたものではなく、事業者の意思に反して公表されると、今後の要綱に基づく行政指導に著しい支障を及ぼすことが予想される。
 よって、同意書の氏名及び住所を実施機関が非開示としたことは妥当である。

(3)条例第8条第4号(意思形成過程情報)の該当性について

 本号は、行政における内部的な審議、検討、調査研究等が円滑に行われることを確保する観点から定めたものである。
 行政における審議等に関する情報の中には、決裁等の手続は終了していても、行政としての最終的な意思決定に至らない未確定な情報が多く含まれている。これらの情報がそのまま開示されると、行政内部の自由な意見交換が阻害されるなどのおそれがあるので、このような情報については、非開示とすることができる。
 また、最終的な意思決定に至った後においても、その過程における情報を開示することにより、将来の同種の審議等に支障を及ぼす場合には、このような情報も非開示とすることができる。
 ところで、実施機関は「本件対象公文書は事前協議での市町村及び廃棄物対策課の指示事項に関する情報、地元調整に関する情報、及び同意取得に関する情報であり、内容の正確性は確認されておらず、意思決定もされていない。同意の有効性についても本来当事者間にて確認されるべきものである。それらが確認されていないものについて、行政による同意書の有効性についての判断の方向性を県民に公開することは、同意行政に関する県民の誤解と混乱を招くおそれがある。」と主張する。
 しかし、事前協議においては、その性格上、各関係機関の法令等に基づく行政指導により、その内容が変わることは当然あり得るわけであり、これを前提として情報公開すれば、混乱は避けられるものである。
 また、産業廃棄物行政において、法的な根拠がない指導要綱に基づき行政指導を行っている現状からすると、協議中に公開すると今後協議に応じない事業者が出現するなど、要綱行政の崩壊を招くおそれがあるとの実施機関の主張は、事業者の自発的な協力を前提として進められる要綱行政の状況に鑑みて、理由がない訳ではない。
 しかし、他方で、今日の社会情勢の下では、事業者は産業廃棄物処分場建設に対する住民の不安を取り除き、地元の合意を得るために事業計画の内容を積極的に住民に開示してゆくべきであるとも考えられるので、行政機関内の行政指導や指示事項についても同じく住民に公開して、こうした社会的要請に応えるべきである。
 したがって、本件対象公文書の①の1、②の2、③、④、⑤、⑥の1、⑥の2、⑥の3、⑧の1、⑧の2、⑨の1、⑨の2、⑩、⑪、⑫の1、⑫の2を非開示としたことは妥当でなく、開示すべきである。

(4)結論

 以上のことから総合的に判断すると、実施機関が部分開示とした本件対象公文書のうち、②、⑦、⑬、⑭、⑮について非開示としたことは妥当であるが、①の1、①の2、③、④、⑤、⑥の1、⑥の2、⑥の3、⑧の1、⑧の2、⑨の1、⑨の2、⑩、⑪、⑫の1、⑫の2は開示すべきである。

6 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙3審査会の処理経過のとおりである。


別紙 1

対象公文書(実施機関が部分開示した文書) 実施機関が非開示とした箇所 非開示理由 審査会の判断
○業務報告書・「産業廃棄物処理事業第1回事前協議会について」(H7.12.21 供覧) ①の1「2.前回の事前協議会に指示された項についての指示事項部分」
①の2「3.質疑等の質疑の一部分」
意思形成過程情報
意思形成過程情報
開示

開示
○産業廃棄物処理事業第1回事前協議会出席者名簿 ②「社長以外の職名・氏名」 個人情報 非開示
○産業廃棄物処理事業事前協議会に係る指示事項の事業者への通知について(伺い)
(H8.1.29付)
③「伊勢市の指示事項 第7項目」 意思形成過程情報 開示
○産業廃棄物処理事業計画にかかる指示事項個別表 ④「伊勢市の指示事項 第7項目」 意思形成過程情報 開示
○産業廃棄物処理事業事前協議会に係る指示事項について(通知)(H8.1.29付) ⑤「伊勢市の指示事項 第7項目」 意思形成過程情報 開示
○産業廃棄物最終処分場の設置に関する指示事項及び処理の了承書 ⑥の1「伊勢市環境衛生課の指示事項の一部分(第7項目)」

⑥の2「同課の左記事項の協議内容及び処理の一部分(第7項目)」

⑥の3「伊勢市観光課の左記事項の協議内容及び処理の一部分(第18項目)」
意思形成過程情報

意思形成過程情報

意思形成過程情報
開示


開示


開示
○道路管理協定書 ⑦「区長の住所」 個人情報 非開示
○産業廃棄物最終処分場の設置に関する指示事項及び処理の了承書 ⑧の1「伊勢市環境衛生課の指示事項の一部分(第7項目)」

⑧の2「同課の左記事項の協議内容及び処理の一部分(第7項目)」
意思形成過程情報

意思形成過程情報
開示


開示

別紙 2

対象公文書(実施機関が部分開示した文書) 実施機関が非開示とした箇所 非開示理由 審査会の判断
○産業廃棄物処理事業事前協議会に係る指指示事項および示事項協議調整済報告書についてH9.1.10) ⑨の1 「指指示事項および関係各機関の回答 伊勢市の部分(第12項目)」 意思形成過程情報 開示
○産業廃棄物処理事業事前協議会に係る指 9の2「指示事項および関係各機関の回答意思形成過 示事項協議調整済報告書について(H9.1.10) ⑨の2「指示事項および関係各機関の回答 廃棄物対策課の部分 (第31項目) 」 意思形成過程情報 開示
○産業廃棄物処理事業事前協議調整済の確 認について(回答)(H8.12.27) ⑩「伊勢市の回答の一部分」 意思形成過程情報 開示
○産業廃棄物処理事業事前協議調整済の確認について(回答)(H8.12.10) ⑪「廃棄物対策課の回答の一部分」 意思形成過程情報 開示
○産業廃棄物最終処分場の設置に関する指示事項及び処理の了承書 ⑫の1「伊勢市水産課の指示事項の一部(第7項目)」
⑫の2「廃棄物対策課の指示事項の一部分(第31項目)」
意思形成過程情報

意思形成過程情報
開示

開示
○菖蒲川用水使用者 ⑬「氏名・住所」 個人情報 非開示
○放流同意書 ⑭「氏名・住所・印影」 個人情報 非開示
○業務報告書「産業廃棄物処理事業第2回事前協議会について」(H9.3.27供覧) ⑮「(3)質疑の○○○○○○㈱の出席者氏名」  個人情報 非開示

別紙3

審査会の処理経過

年月日 処理内容
 9.11.18 ・諮問書受理
 9.11.27 ・実施機関に対して部分開示理由説明書の提出依頼
10. 3. 6 ・部分開示理由説明書受理
10. 3.10 ・異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、
意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
10. 3.23 ・異議申立人からの口頭意見陳述の聴取及び審議 
                       (第81回審査会)
10. 5.11 ・書面審理及び実施機関からの部分開示理由説明の補足説明及び審議
                       (第82回審査会)
10. 5.26 ・審 議                   (第83回審査会)
・答 申

三重県情報公開審査会委員名簿

職名 氏名 役職等
会長 岡本 祐次 三重短期大学教授
会長職務代理者 夏秋 幹 三重テレビ放送㈱代表取締役社長
委員 谷 信子 県商工会議所婦人会連合会会長
委員 今井 正彦 弁護士
委員 曽和 俊文 関西学院大学教授

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
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