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情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第48号

答申

1 審査会の結論

 本件対象公文書(別紙1)を、実施機関が非開示としたことは妥当である。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成9年4月8日付けで三重県情報公開条例(昭和62年三重県条例第34号。以下「条例」という。)に基づき行ったゴルフ場開発に関する書類の開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成9年4月21日付けで行った別紙1に掲げる公文書(以下「本件対象公文書」という。)の非開示決定の取消しを求めるというものである。
 なお、本件対象公文書は、ゴルフ場等の開発事業に関する指導要綱(以下「要綱」という。)第8条第1項の規定に基づき、事業者から提出された開発事業設計協議(変更)申出書に添付にされた地権者(3人)の同意に関する書類である。

3 実施機関の非開示理由説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本件対象公文書は非開示が妥当というものである。

(1)条例第8条第1号(個人情報)の該当性について

 ゴルフ場等の開発事業に関する指導要領第27(3)(設計協議の添付図書関係)では、要綱第8第3項に基づく設計協議申出書の添付図書を、「『登記簿謄本等土地取得の権利を証する書類』は、『同意書(同意証明書を含む。)』、『権利移転後の登記簿謄本又は借地権の設定された登記簿謄本』又は『売買又は賃貸借契約書』のいずれかとする。」と定めている。
 要綱で同意書等の提出を求めているのは、開発事業者と開発区域内の地権者との紛争を未然に防止して、知事が事業計画を承認するに当たり、事業の実行性を担保するためである。
 本件対象公文書は、特定の個人に関する情報であり、その存在について言及することが、非開示とすべき情報を開示するのと同様の効果を生じるため、基本的人権を尊重し、個人のプライバシーを最大限保護する立場から、文書の存在を前提としない非開示決定をしたものであり、非開示理由を詳述すると次のとおりである。

  1. 同意書等は、公表を目的として作成されたものではない。また、同意者の中には、外部への情報流出を絶対にしないことを確認のうえ、提出する者がいる。
  2. 同意書等によっては、地権者と事業者との契約とみられるものがあり、この場合には、個人のプライバシー情報そのものに当たる。
  3. 同意書等の開示により、プライバシーの侵害を理由に、地権者・事業者等から県が訴訟を提起される場合が予測される。
  4. 同意書等の作成に無関係である異議申立人からの開示請求である。
  5. 同意書等を開示すると、それを提出した地権者及び事業者と、それを添付書類として受け取っている県との信頼関係が失なわれる。

 以上のとおり、本件対象公文書は、個人に関する情報であり、特定の個人が識別される情報であるから、条例第8条第1号に該当し、非開示とすることが妥当である。
 次に、本件対象公文書の情報が条例第8条第1号ただし書き「イ、ロ」に該当して開示すべき情報とは認められず、また、これらは、純粋に個人の私的な情報であり、それが公にされること自体に公益性があるとは認められないことから、「ハ」にも該当しない。

4 異議申立ての理由

 異議申立人が異議申立書等で意見陳述している主たる理由は次のように要約される。

(1)ゴルフ場等の開発事業に関する指導要綱第21(3)(4)(6)(指導要領第27(3)(4)(6)の誤りか?)によって、同意書の添付が義務づけられている。
(2)しかし、条例によって公開された青山町長名の「開発事業設計協議申出書の送付について(副申)」によれば、「同意書に替わる書類」が付けられているのが判明した。
(3)開示請求の趣旨は、個人名の確認ではなく、本来正式な同意書を業者が添付すべきものを「同意書に替わる書類」などというゴマカシの書類を添付し、申請したことの真偽の確認である。
 このような情報の非開示は、行政の不透明、不信を招くものであり、違法かつ不当である。

5 審査会の判断

 本件対象公文書について、実施機関は、条例第8条第1号に該当するので非開示にできると主張している。そこで、以下について判断する。

(1)基本的な考え方について

 条例の制定目的は、県民の公文書開示を求める権利を明らかにするとともに、県民の県政に対する理解と信頼を深め、開かれた県政を一層推進するというものである。
 条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示項目を定めている。
 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下について判断する。

(2)条例第8条第1号(個人情報)の該当性について

 本号は、基本的人権を尊重する立場から、個人のプライバシーは最大限保護する必要があること、また、個人のプライバシーの概念は法的に未成熟でもあり、その範囲も個人によって異なり、類型化することが困難であることから、個人に関する情報であって特定の個人が識別される情報は、原則として非開示とすることができる旨を定めたものである。
 本件対象公文書の情報は、個人に関する情報であり、開示することにより特定の個人が識別され、または識別され得る。
 次に、本件対象公文書の情報が同号ただし書きに該当するか否かについて検討すると、ただし書き「イ、ロ」に該当して開示をすべき情報とは認められず、また、個人の私的な情報であり、それが公にされること自体に公益性があるとは認められないことから「ハ」にも該当せず、非開示としたことは妥当である。
 なお、異議申立人は、「開示請求の趣旨は、個人名の確認ではなく、本来正式な同意書を業者が添付すべきものを『同意書に替わる書類』などというゴマカシの書類を添付し、申請したことの真偽の確認であり、住所、氏名等を墨塗した上での、書式の開示だけでも構わない。」旨主張している。
 しかし、異議申立人が請求しているとおり、本件対象公文書の対象者は僅か3名と極めて少数であることを考えると、異議申立人の主張する方法で本件対象公文書を公開した場合、その情報が誰のものであるかは容易に特定識別することができるものと考えられるので、この方法は採り得ないものである。

(3)その余の判断について

 本件対象公文書は、要綱に基づき事業者の任意の協力のもとに提出されたものであって、公表を前提とされたものではなく、事業者の意思に反して公表されると、今後の要綱に基づく行政指導に著しい支障を及ぼすことが予想されることから、条例第8条第5号(行政運営情報)への該当可能性も考えられるところであるが、実施機関は、原処分においてはこのことを非開示の理由とはしておらず、また、異議申立てに伴う非開示理由の説明の際にも、処分理由の追加について強い主張はしなかった。
 したがって、当審査会としては、上記のとおり第1号(個人情報)への該当は明らかであるから、第5号(行政運営情報)への該当の判断は省略する。

(4)結論

 以上のとおり、本件対象公文書を、実施機関が非開示としたことは妥当である。

6 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙2審査会の処理経過のとおりである。


別紙1

〔本件対象公文書〕

(平成8年度)
 ゴルフ場等の開発事業に関する指導要綱第8条第1項の規定に基づく開発事業設計協議(変更)申出書((仮称)ヴィラ・ファーストゴルフクラブ)のうち、青山町長の意見書に記載されている下記地権者に関する書類(同意書に替わる書類)



1)○○○○   2)△△△△    3)×× ×


別紙2

審査会の処理経過

年月日 処理内容
 9. 5.28 ・諮問書受理
 9. 6. 5 ・実施機関に対して非開示理由説明書の提出依頼
 9. 6.16 ・非開示理由説明書受理
 9. 6.30 ・異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、
意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
10. 6. 8 ・書面審理
・異議申立人からの口頭意見陳述の聴取及び審議
・実施機関からの非開示理由説明の補足説明及び審議
                  (第84回審査会)
10. 6.30 ・審 議
・答 申
                  (第85回審査会)

三重県情報公開審査会委員

職名 氏名 役職等
会長 岡本 祐次 三重短期大学法経科教授
会長職務代理者 曽和 俊文 関西学院大学法学部教授
委員 渡辺 澄子 松阪大学女子短期大学部教授
委員 室木 徹亮 弁護士
委員 樹神 成 三重大学人文学部教授

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

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