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情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第50号

答申

1 審査会の結論

 「平成4年度~7年度の土地取得台帳」について、実施機関が条例第8条第1号を適用して、所有者(個人)の住所及び氏名を非開示としたことは妥当であるが、取得価額 (単価、金額)及び支払金額を非開示としたことは妥当でなく、開示すべきである。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成9年7月31日付けで三重県情報公開条例(昭和62年三重県条例第34号。以下「条例」という。)に基づき行った「上野市諏訪地区において平成4年度以降現在まで取得した公共用地の買収に関する一切の情報」の開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成9年8月11日付けで行った「平成4年度~7年度土地取得台帳」(以下「本件対象公文書」という。)の部分開示決定の取消しを求めるというものである。
 なお、本件対象公文書は、道路法の規定により国道、県道の道路改良工事を、砂防法の規定により砂防工事を行うに際し、土地所有者から取得した土地に関して、作成されたものであり、そこには①工事名、②取得土地の所在地、地目、地積、③取得価額(単価、金額)及び支払金額、④所有者の住所及び氏名、等が記載されている。

3 実施機関の部分開示理由説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本件対象公文書は部分開示が妥当である、というものである。
 本件対象公文書のうち、取得価額(単価、金額)及び支払金額、所有者(個人)の住所及び氏名は、個人に関する情報であり、特定の個人が識別される情報であるから、条例第8条第1号本文に該当する。
 また、これらの情報は、ただし書きイ、ロ及びハのいずれにも該当しないことは明らかである。

4 異議申立ての理由

 異議申立人の主張を総合すると、次に掲げる理由から、実施機関の処分は条例の解釈運用を誤っている、というものである。
 公共用地の取得価額は公金の支出に関わる情報であり、地方自治法においても、公金の支出の不当・違法なものについては、住民監査請求ができる事項となっており、本来、住民監視にさらされなければならない情報である。
 しかも、取得価額は、公共用地取得の際には、地元説明会で公にされており、秘匿されるべき秘密性はない。
 また、取得価額の決定については、担当職員の恣意によるのではなく、鑑定人の鑑定を経由しており、恣意性が排除された公の情報である。
 異議申立人は、所有者の住所・氏名や詳しい地番の公開まで求めておらず、取得価額の公開を求めたのであって、肝心の取得価額までも個人情報であるとした決定は誤りであり、速やかに取り消されるべきである。

5 審査会の判断

 本件対象公文書について、実施機関は、本件対象公文書は条例第8条第1号に該当するので非開示にできると主張している。そこで、以下について判断する。

(1)基本的な考え方について

 条例の制定目的は、県民の公文書開示を求める権利を明らかにするとともに、県民の県政に対する理解と信頼を深め、開かれた県政を一層推進するというものである。 条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示項目を定めている。
 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下について判断する。

(2)条例第8条第1号(個人情報)の該当性について

 本号の趣旨は、個人の基本的人権を尊重する立場から、個人のプライバシーは最大限保護する必要があること、また、個人のプライバシーの概念は法的に未成熟でもあり、その範囲も個人によって異なり、類型化することが困難であることから、個人に関する情報であって特定の個人が識別される情報が記録されている公文書は、原則として、非開示とすることを定めたものであり、この目的のために、個人に関する情報は包括的に開示をしないことができるとしたものと解される。そして、県作成の「情報公開事務の手引き」では、「個人に関する情報とは、思想、信条、信仰、職歴、資格、学歴、所属団体、家庭状況、収入、財産状況、心身の状況、健康状態、病歴等その他一切の個人に関する情報をいう」としている。
 本件において、実施機関が非開示とした情報は、本件対象公文書のうち、取得価額(単価、金額)及び支払金額、所有者(個人)の住所及び氏名であるので、これについて判断する。

ⅰ所有者(個人)の住所及び氏名
 所有者(個人)の住所及び氏名は、特定個人が識別されるものである。
 したがって、これらは条例第8条第1号本文に該当する。
 以下に、これらがただし書イ、ロ及びハに該当するか否かについて判断する。
 まず、土地所有に関しては、その社会的な性格に鑑み、土地登記簿は万人に公開されている。しかしながら、本件所有者(個人)の住所及び氏名は不動産登記法第21条第1項にもとづいて何人でも容易に入手しうる情報とはいうことはできない。実施機関が公共用地取得の対象となった土地の地番を公開している以上、不動産登記簿上の土地所有者の情報は容易に入手しうるとしても、不動産登記簿上に記載された所有者の住所及び氏名と実施機関が用地取得した相手先所有者の住所及び氏名とが当然に一致しているものとはいえず、また、一致することが明らかになっていると認めるべき証拠もないからである。
 したがって、実施機関が用地取得した相手先所有者の住所及び氏名は不動産登記法に基づき入手される情報とはいえず、ただし書イに該当する情報とは認められない。
 次に、これらの情報がただし書ロに該当する情報とは認められないことは明らかである。
 さらに、これらの情報は、公金の支出に関わる情報であり、その適正な支出を明らかにする意義は認められるものの、個人のプライバシーを犠牲にしてまで、なお公開する公益性の方が大きいとまでは解されない。
 したがって、ただし書ハにも該当しない。
 以上のとおり、これらの情報はただし書イ、ロ及びハのいずれにも該当しない。

ⅱ取得価額(単価、金額)及び支払金額
 取得価額は、土地所有者の名前自体は公開されていないとはいえ、個人所有の土地に関するものであり、かつ、所有者が識別されうるものであるから、当該個人の財産状態をその限りで表示するものであって、「個人に関する情報」であると見る余地がないわけではない。なお、この場合には、公金の適正な支出を明らかにする意義から、条例第8条第1号ただし書きハに該当すると判断される。
 しかしながら、前記のとおり土地所有に関しては、その社会的な性格に鑑み、土地登記簿は万人に公開され、その評価についても、路線価のように特定土地の価額を示さないにしても当該土地のそれぞれの行政目的に即したおおよその価額の目安を示すものが公刊されており、公示価額や基準地価のように特定の地点を示した価額さえも公表されている例があるのであり、このような点からみれば、土地の権利関係やその価額については、個人情報としてのプライバシー性は比較的希薄であるというべきである。
 本件土地の取得単価は公共事業の実施のために個人の土地を買収する場合の単価を示すものであり、公金支出の根拠を示す、それ自体公共性を有する情報である。また、取得単価を基に計算して得られる取得金額は、個人の財産状態に関する情報という面を有することは否定しがたいが、その個人性を、前記手引きの条例第8条第1号に関する解説にあげられている「思想、信条、信仰、職歴、資格、学歴、所属団体、家庭状況、収入、財産状況、心身の状況、健康状態、病歴」等個人の属性に関する情報と同列において考えることは相当でなく、むしろ、公共事業実施に関わる行政情報と考えるべきである。
 そうすると、本件土地の取得単価及びそれに取得面積を掛け合わせた取得金額並びに支払金額は、同号にいう「個人に関する情報」に該当しないと解するのが相当である。

(3)結論

 実施機関が所有者(個人)の住所及び氏名を非開示としたことは妥当であるが、取得価額(単価、金額)及び支払金額を非開示としたことは妥当でなく、開示すべきである。

6 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。


別紙1

審査会の処理経過

年月日 処理内容
 9. 9. 5 ・諮問書受理
 9. 9.25 ・実施機関に対して部分開示理由説明書の提出依頼
 9. 9.29 ・部分開示理由説明書受理
 9.10. 9 ・異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、
意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
 9.11.17 ・口頭意見陳述申出書受理
10. 6.30 ・書面審理
・実施機関の非開示理由説明の聴取  (第85回審査会)
10. 7.23 ・実施機関の非開示理由説明の聴取
・異議申立人の口頭意見陳述の聴取
・審 議              (第86回審査会)
10. 8. 7 ・審 議              (第87回審査会)
10. 8.19 ・審 議
・答 申              (第88回審査会)

三重県情報公開審査会委員

職名 氏名 役職等
会長 岡本 祐次 三重短期大学法経科教授
会長職務代理者 曽和 俊文 関西学院大学法学部教授
委員 渡辺 澄子 松阪大学女子短期大学部教授
委員 室木 徹亮 弁護士
委員 樹神 成 三重大学人文学部教授

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

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