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平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第318号

答申

1 審査会の結論

 本件異議申立ての対象となった公文書を開示する旨の実施機関の決定は妥当である。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、開示請求者が平成20年1月31日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「特定の事業者の産業廃棄物処理実績報告書(平成18年度分中間処理)」の開示請求(以下「本請求」という。)に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が、異議申立人(開示請求者ではない者)の情報が含まれる「産業廃棄物処理実績報告書(平成18年度分)」(以下「本件対象公文書」という。)を対象公文書として特定し、平成20年3月4日付けで開示請求者に対して行った部分開示決定(以下「本決定」という。)の取消しを求めるというものである。

 3 本件異議申立てについて

 実施機関は本請求に際し、本件対象公文書中に異議申立人を含む事業者の情報が含まれていることから、条例第17条第2項の規定に基づき、関係事業者に対して意見照会を行い、それを経て本件対象公文書を部分開示する旨の本決定を行った。
 実施機関は本決定を行うと同時に、関係事業者に対して条例第17条第3項の規定に基づき、情報を開示する旨の通知をしたところ、異議申立人(事業を営む個人)から本件異議申立てが提起されたものである。
 なお、本請求を行った開示請求者には、平成20年3月18日付けで、本件異議申立てに係る決定に至るまで開示を停止する旨の通知がなされている。

4 実施機関の開示理由説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により本決定が妥当というものである。
 本件対象公文書は、産業廃棄物処理を行う事業者から提出された産業廃棄物処理実績報告書であり、条例第7条第3号ただし書ハに該当するとの判断から開示した情報は、搬入者及び排出事業者の名称であり、顧客に関する情報である。
 顧客に関する情報は公にすることにより、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められる。しかし、平成6年、産業廃棄物処分業に係る同種情報を非開示とした処分について、三重県を被告とした情報公開請求事件が提訴され、平成9年6月に津地方裁判所においてその処分を取り消す判決があった。その後も、同種の情報を開示とした決定について、対象となった第三者からの異議申立てを受けて調査審議された三重県情報公開審査会において、平成14年10月1日付け答申第128号、平成15年12月16日付け答申第159号及び平成16年3月12日付け答申第168号で、その情報を開示する実施機関の決定は妥当であると答申が出されている。
 このことからも、産業廃棄物処理業の一般的性質上、当該事業の及ぼす社会的影響やその責任において、取り扱う廃棄物の種類、量、処分方法、搬入者名、受託事業者名等を公にすることで、住民等への不安感を取り除き、ともすれば抱かれがちである産業廃棄物処理を行う事業者に対する社会的偏見を払拭し、正しい理解を得る必要があるものと判断し、本決定に至ったものである。
 

5 異議申立ての理由

 実施機関は、住民の不安感、不信感を払拭するため開示すると主張するが、住民以外にも誰にでも開示することにより問題が発生した時、実施機関がその開示による責任をとるというのであれば開示に反対しない。 

6 審査会の判断

 本件対象公文書について、実施機関は条例第7条第3号(法人情報)ただし書ハに該当するので開示が妥当であると主張している。そこで、以下について判断する。 

 (1) 基本的な考え方

 条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。
 一方、開示請求に係る公文書に第三者に関する情報が記載されているときに、当該第三者の権利利益を保護し開示の是非の判断の適正を期するために、開示決定等の前に第三者に対して意見書提出の機会を付与すること、及び開示決定を行う場合に当該第三者が開示の実施前に開示決定を争う機会を保障するための措置についても定めている。
 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。
  

 (2) 条例第7条第3号(法人情報)の意義について

 本号は、自由主義経済社会においては、法人等又は事業を営む個人の健全で適正な事業活動の自由を保障する必要があることから、事業活動に係る情報で、開示することにより、当該法人等又は個人の競争上の地位その他正当な利益が害されると認められるものが記録されている公文書は、非開示とすることができると定めたものである。 しかしながら、法人等に関する情報であっても、事業活動によって生ずる危害から人の生命、身体、健康又は財産を保護し、又は違法若しくは不当な事業活動によって生ずる支障から県民等の生活・環境を保護するため公にすることが必要であると認められる情報及びこれらに準ずる情報で公益上公にすることが必要であると認められるものは、ただし書により、常に開示が義務づけられることになる。

 (3) 条例第7条第3号(法人情報)の該当性について

  実施機関の説明によれば、平成9年6月の津地方裁判所における判決以降、本件対象公文書と同種の情報については、常に開示しているものと認められる。同種の情報を開示していることで、特定の事業者に多大な不利益を及ぼしたとの事例が顕在化した事実には接していないものの、一般的に事業者の顧客情報は当該事業者にとって重要な営業情報であり、同業他社の努力次第で不利益を被る可能性が全くないと断言することはできない。この点については実施機関も認めるところであり、当審査会としても、これらの情報を開示することでどのような問題が発生するのか異議申立人の主張に具体性があるとはいえず不明確な部分があるものの、本件対象公文書に記載された情報を開示することにより、法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあることを否定することはできない。よって、本号本文に該当すると判断される。
 次に、本号ただし書に該当するか否かについて検討する。本号ただし書は、法人等又は事業を営む個人に関する情報であっても、事業活動によって生ずる危害から人の生命、身体、健康又は財産を保護し、又は違法若しくは不当な事業活動によって生ずる支障から県民等の生活・環境を保護するために公にすることが必要であると認められる情報及びこれらに準ずる情報で公益上公にすることが必要であると認められるものに開示を義務づけたものである。
 本件対象公文書に記載された情報は、産業廃棄物処理に関する情報であり、住民の関心が極めて高い環境問題に関する情報であることから、人の生命、身体、健康に深く関係した非常に公益性の高い情報といえ、地域住民の不安等を払拭するためには、具体的な搬入の実態等を明らかにすることが求められる。産業廃棄物処理という事業には、事業者の運営によっては地域住民の生活環境等に重大な影響を与える危険性があることも事実であり、当該事業の特質から非開示により保護すべき利益よりも地域住民の健康等の公益が優先されると判断せざるを得ない。
 したがって、条例第7条第3号(法人情報)ただし書に該当し、開示すべきであるとした実施機関の決定に誤りはないと判断される。

(4) 結論

 よって、主文のとおり答申する。 

 7 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

別紙1

審査会の処理経過

年 月 日

処理内容
20. 5.21 ・諮問書の受理
20. 5.26 ・実施機関に対して開示理由説明書の提出依頼
20. 6.12 ・開示理由説明書の受理
20. 6.20

・異議申立人に対して開示理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認

20. 8.29

・書面審理
・実施機関の開示理由説明の聴取
・審議                 

(第302回審査会)

20. 9.12

・審議
・答申                 

(第303回審査会)

 

 三重県情報公開審査会委員

 職名

氏名 役職等
※会長 岡本 祐次 元三重短期大学長
※委員 川村 隆子 三重中京大学現代法経学部講師
委員 樹神 成 三重大学人文学部教授
委員 田中 亜紀子 三重大学人文学部准教授
会長職務代理者 早川 忠宏 三重弁護士会推薦弁護士
※委員 藤野 奈津子 三重短期大学法経科准教授
※委員 丸山 康人 四日市看護医療大学副学長

 なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。
    

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

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