現在位置:
  1. トップページ >
  2. 県政・お知らせ情報 >
  3. 県政情報 >
  4. 情報公開・個人情報保護 >
  5. 三重県情報公開・個人情報保護審査会 >
  6. 答申 >
  7.  三重県情報公開審査会 答申第332号
担当所属:
  1.  県庁の組織一覧  >
  2.  総務部  >
  3. 情報公開課  >
  4.  情報公開班 
  • facebook
  • facebook share
  • twitter
  • google plus
  • line
平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第332号

答申

1 審査会の結論

 実施機関の行った決定は、水処理の組合せに関する部分を除いて、妥当である。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、開示請求者が平成20年6月4日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「特定の工場の廃水処理に係るすべての文書、電子マニュフェストなるものの全ての情報」の開示請求(以下「本請求」という。)に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が、異議申立人(開示請求者ではない者)の情報が含まれる「平成14年11月5日付け水質汚濁防止法に基づく特定施設設置届出書」等11件の文書(以下「本件対象公文書」という。)を対象公文書として特定し、平成20年7月18日付けで開示請求者に対して行った部分開示決定(以下「本決定」という。)の取消しを求めるというものである。

3 本件対象公文書について

 実施機関が、本件開示請求の対象として特定した公文書は、以下に掲げる13件の文書である。
 ①受理書及び指令書の交付について(伺い)の排水処理に関する部分:北生環鈴第501-40号
 ②水質汚濁防止法に基づく特定施設の構造等の変更届出について(伺い)の排水処理に関する部分:北生環鈴第501号の77
 ③水質汚濁防止法に基づく特定施設の設置届出について(伺い)の排水処理に関する部分:北生環鈴第501号の78
 ④水質汚濁防止法に基づく特定施設の構造等の変更届出について(伺い)の排水処理に関する部分:四農環第5501号の43
 ⑤水質汚濁防止法に基づく特定施設の設置届出について(伺い)の排水処理に関する部分:四農環第5501号の44
 ⑥水質汚濁防止法に基づく特定施設の構造等の変更届出について(伺い)の排水処理に関する部分:四農環第5501号の12
 ⑦水質汚濁防止法に基づく特定施設の設置届出について(伺い)の排水処理に関する部分:四農環第5501号の19
 ⑧水質汚濁防止法に基づく特定施設の構造等の変更届出について(伺い)の排水処理に関する部分:四農環第5501号の20
 ⑨水質汚濁防止法に基づく特定施設の設置届出について(伺い)の排水処理に関する部分:四農環第5501号の30
 ⑩水質汚濁防止法に基づく特定施設の設置届出について(伺い)の排水処理に関する部分:四農環第5501号の76
 ⑪水質汚濁防止法に基づく特定施設の設置に係る報告徴収についての排水処理に関する部分:四農環第5501号の89
 ⑫水質汚濁防止法に基づく特定施設の構造等の変更届出について(伺い)の排水処理に関する部分:四農環第5501号の93
 ⑬業務報告(産業廃棄物:5月29日分)

4 本件異議申立てについて

 実施機関は本請求に際し、本件対象公文書中に異議申立人を含む法人の情報が含まれていることから、条例第17条第1項の規定に基づき、関係法人に対して意見照会を行い、それを経て本件対象公文書を部分開示する旨の本決定を行った。
 実施機関は本決定を行うと同時に、関係法人に対して条例第17条第3項の規定に基づき、情報を開示する旨の通知をしたところ、異議申立人(法人)から本件異議申立てが提起されたものである。
 なお、本請求を行った開示請求者には、平成20年8月1日付けで、本件異議申立てに係る決定に至るまで開示を停止する旨の通知がなされている。

5 実施機関の開示理由説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により本決定が妥当というものである。
 当該情報は、異議申立人が、水質汚濁防止法(昭和45年第138号、以下「法」という。)の規定に基づく「特定施設の設置あるいは変更の届出・報告」を行うため本県に提出したものである。当該情報は、法第5条第1項(設置届)あるいは法第7条(変更届)の規定による届出において、法施行規則の規定により、所定の様式に記載すべき情報として位置づけられている事項、及び届出・報告すべき内容を補完するために添付した情報であり、基本的には、特段の事情がない限り公にすべきものと考える。
 異議申立人が非開示を主張している部分については、法の規定に基づく届出必要事項あるいはその情報を集約したものであり、同様の製造業事業所における製品の表面処理工程などに広く普及している手法と考えられる。また、公にすることによって、当該工場の生産能力が判明する可能性はあるが、一方で生産能力に関する情報は、既に当該法人のホームページ等で公にされている。また、記述自体が比較的抽象的であること。以上のことより、これらの情報が開示されることによって、直ちに当該法人等の競争上の地位その他正当な利益を害するとは認められないことから、開示とした。 

6 異議申立ての理由

 異義申立人は、以下の理由により非開示を主張している。
 情報の内容には、異義申立人の設計ファクターに関する社外秘部分と、届出法人の生産に関する情報が含まれている。具体的な使用薬品の名称・量、マシンの名称と工場内の配置情報、設計ファクターとして設計エンジニアリングに採用している数値については、ものづくりのノウハウそのものである。設計ファクターに関しては、異議申立人独自の設計ノウハウの流出となり、届出法人との秘密保持契約もあり、これらの具体的なプロセスを開示されることは、企業活動に影響が少なからずある。

7 審査会の判断

(1)基本的な考え方

 条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。
 一方、開示請求に係る公文書に第三者に関する情報が記載されているときに、当該第三者の権利利益を保護し開示の是非の判断の適正を期するために、開示決定等の前に第三者に対して意見書提出の機会を付与すること、及び開示決定を行う場合に当該第三者が開示の実施前に開示決定を争う機会を保障するための措置についても定めている。
 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。

(2)条例第7条第3号(法人情報)の意義について

 本号は、自由主義経済社会においては、法人等又は事業を営む個人の健全で適正な事業活動の自由を保障する必要があることから、事業活動に係る情報で、開示することにより、当該法人等又は個人の競争上の地位その他正当な利益が害されると認められるものが記録されている公文書は、非開示とすることができると定めたものである。 
 しかしながら、法人等に関する情報であっても、事業活動によって生ずる危害から人の生命、身体、健康又は財産を保護し、又は違法若しくは不当な事業活動によって生ずる支障から県民等の生活・環境を保護するため公にすることが必要であると認められる情報及びこれらに準ずる情報で公益上公にすることが必要であると認められるものは、ただし書により、常に開示が義務づけられることになる。

(3)条例第7条第3号(法人情報)の該当性について

 本件対象公文書は、法第5条及び第7条の規定に基づく「特定施設の設置の届出」及び「特定施設の構造等の変更の届出」にかかる届出書及びその添付書類を含む文書である。
 実施機関は、その一部を条例第7条第3号に規定する法人情報に該当するとして非開示としたが、届出書のうち、別紙2「特定施設の使用の方法」、別紙3「汚水等の処理の方法」及びその添付書類を開示する決定を行ったところ、当該届出法人は、本件対象公文書のうち、①③④⑤⑥⑦⑧⑨⑩⑪⑫に含まれる以下の部分について非開示を主張し、異議申立てを行っている。
 ア 別紙2に記載された「工場又は事業場における施設番号」「操業の系統」「原材料の種類、使用方法及び1日当たりの使用量」
 イ 別紙3に記載された「処理の方法」「汚水等の汚染状態及び量」
 ウ 別紙2に添付された「特定施設設置概要図」に記載された「特定施設一覧表」「水質一覧表」
 エ その他添付書類のうち、「排水系統一覧表」に記載された「装置略号」「装置名称」、「工場水処理施設 有機/無機系処理水量概要」「水質汚濁防止法にかかる対比表」「排水系統一覧表」「廃液処理増加に伴う有機回収系の能力算定資料」
 当審査会は、異議申立人が非開示を主張する上記「ア」「イ」「ウ」「エ」の部分についてのみ、以下に検討する。
 
 実施機関は、法に基づく届出書は様式化されていて、必要とされる図面等も特定されており、記載される内容や添付される書類は法的に届出が義務付けられているものであることから、特段の事情がない限り公にするべきものであるとしている。
 実施機関は、届出書別紙2の記載事項については、法に基づく届出に際して必要記載事項であり、同様の製造事業所における製品の製造工程などに広く普及している手法であり、現場管理にかかる詳細な情報が記載されていないと認められることから、上記「ア」の情報を開示しても当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するとは認められないと主張している。同様に、届出書別紙3の記載事項についても、法に基づく届出に際して必要記載事項であり、汚水処理施設の構造や施設管理の手法などを直接的に露呈するものであるとは言いがたいことから、上記「イ」の情報を開示しても当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するとは認められないと主張している。また、上記「ウ」「エ」については、その内容は届出書別紙2及び別紙3に記載された内容を集約したものであり、別紙2及び別紙3を開示することから、開示することによって当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するとは認められないと主張している。
 これに対して異議申立人は、自社のホームページ等で公表している情報は全体の生産台数等の大まかな情報であり、上記情報はより詳細な情報であり、工場の仕組みや規模、製造ライン等が明らかになり、特殊な薬品の名称や使用量、排水の循環量等が明らかになることにより、同業他社の専門家が見れば、同業他社の技術にはない特徴が分かり、製造技術そのものが明らかになってしまうことから、同業他社との競争上の不利益を被ると主張している。また、排水処理に関する情報は水処理メーカーの技術にかかるものであり、同様に非開示を主張している。
 上記「ア」「イ」については、別紙2及び別紙3に記載される情報が届出の際の必要記載事項である。異議申立人は、当該情報が開示されることによって、異議申立人のモノづくりのノウハウが明らかになると主張するが、同種の製造事業所において一般的な手法が用いられていることが分かるが、その詳細が分かるまでの情報ではないと認められること、及び異議申立人の主張が極めて抽象的な主張にとどまり、開示されることによって想定される被害が具体的でないことからすると、実施機関が開示としたことは妥当であると判断する。
 上記「ウ」については、別紙2及び別紙3に記載された内容を一覧表など形式に集約された情報であると認められる。異議申立人は、別紙2あるいは別紙3に記載されている情報であっても、それを集約し一括して記載している文書に開示には支障があると主張するが、別紙2及び別紙3については開示が妥当であると判断されることから、異議申立人の主張は採用できない。したがって、「ウ」についても、実施機関が開示としたことは妥当であると判断する。
 上記「エ」については、別紙2及び別紙3に記載された情報を集約した部分があると認められるが、別紙2あるいは別紙3に記載されていないが、別紙2及び別紙3を補完するために記載された情報も含まれていると認められる。異議申立人は、水処理の方法は一般的に普及している手法であったとしても、その組合せは、事業所ごとの設計であり、水処理メーカーにとって非常に大切なノウハウであるとする主張は理解できないものではない。このことから、「エ」について実施機関が開示としたことは基本的には妥当であると思われるが、その記述内容の中で、別紙2及び別紙3に記載されていない部分のうち、水処理の組合せに該当する部分は非開示が妥当であると判断する。

(4)結論

 よって、主文のとおり答申する。

8 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

別紙1

審査会の処理経過  

年 月 日 処理内容
20. 8.27 ・諮問書の受理
20. 9. 2 ・実施機関に対して開示理由説明書の提出依頼
20. 9. 9 ・開示理由説明書の受理
20. 9.11

・異議申立人に対して開示理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認

20. 9.22  ・書面審理
・実施機関の開示理由説明の聴取
・審議                 
(第304回審査会)
20. 9.25   ・異議申立人の反論書の受理
20. 9.26 ・実施機関に対して異議申立人の反論書(写)の送付
20.10.20 ・異議申立人の口頭での意見陳述
・審議                 
(第306回審査会)
20.11.10 ・実施機関の開示理由の聴取
・審議                 
(第308回審査会)
20.12.15 ・審議                 
(第310回審査会)
21. 1.19 ・審議
・答申                 
(第312回審査会)
 

三重県情報公開審査会委員 

職名 氏名 役職等
※会長 岡本 祐次 元三重短期大学長
委員 川村 隆子 三重中京大学現代法経学部講師
※委員 樹神 成 三重大学人文学部教授
※委員 田中 亜紀子 三重大学人文学部准教授
※会長職務代理者 早川 忠宏 三重弁護士会推薦弁護士
委員 藤野 奈津子 三重短期大学法経科准教授
委員  丸山 康人 四日市看護医療大学副学長
    なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

ページID:000031133