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平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第333号

答申

1 審査会の結論

 実施機関の行った決定は、水処理の組合せに関する部分を除いて、妥当である。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、開示請求者が平成20年6月4日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「特定の工場の廃水処理に係るすべての文書、電子マニュフェストなるものの全ての情報」の開示請求(以下「本請求」という。)に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が、異議申立人(開示請求者ではない者)の情報が含まれる「受理書の交付について(伺い)(平成5年12月28日起案)」等15件の文書(以下「本件対象公文書」という。)を対象公文書として特定し、平成20年7月18日付けで開示請求者に対して行った部分開示決定(以下「本決定」という。)の取消しを求めるというものである。

3 本件対象公文書について

 実施機関が、本件開示請求の対象として特定した公文書は、以下に掲げる文書を含む21件の文書である。
 ①平成5年12月28日起案 受理書の交付について(伺い)の排水処理に関する部分
 ②平成6年12月27日起案 受理書の交付について(伺い)の排水処理に関する部分
 ③平成7年1月17日起案 受理書の交付について(伺い)の排水処理に関する部分
 ④平成8年8月30日起案 受理書の交付について(伺い)の排水処理に関する部分
 ⑤平成9年6月20日起案 受理書の交付について(伺い)の排水処理に関する部分
 ⑥平成9年6月20日起案 受理書の交付について(伺い)の排水処理に関する部分
 ⑦平成13年1月15日起案 水質汚濁防止法に係る受理書等の交付について(伺い)の排水処理に関する部分
 ⑧平成13年1月15日起案 水質汚濁防止法に係る受理書等の交付について(伺い)の排水処理に関する部分
 ⑨平成14年2月4日起案 排出水の排水系統別の汚染状態及び量の届出書
 ⑩平成15年1月30日起案 特定施設変更届の排水処理に関する部分
 ⑪平成15年1月30日起案 水質汚濁防止法第5条第1項に基づく届出について(伺い)の排水処理に関する部分
 ⑫平成15年9月2日起案 汚濁負荷量測定手法届出書
 ⑬平成17年3月22日起案 水質汚濁防止法第5条第1項に基づく届出について(伺い)の排水処理に関する部分
 ⑭平成18年12月28日起案 水質汚濁防止法第7条に基づく届出について(伺い)の排水処理に関する部分
 ⑮平成20年1月11日起案 水質汚濁防止法第5条第1項に基づく届出について(伺い)の排水処理に関する部分

4 本件異議申立てについて

 実施機関は本請求に際し、本件対象公文書中に異議申立人を含む法人の情報が含まれていることから、条例第17条第1項の規定に基づき、関係法人に対して意見照会を行い、それを経て本件対象公文書を部分開示する旨の本決定を行った。
 実施機関は本決定を行うと同時に、関係法人に対して条例第17条第3項の規定に基づき、情報を開示する旨の通知をしたところ、異議申立人(法人)から本件異議申立てが提起されたものである。
 なお、本請求を行った開示請求者には、平成20年8月1日付けで、本件異議申立てに係る決定に至るまで開示を停止する旨の通知がなされている。

5 実施機関の開示理由説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により本決定が妥当というものである。
 当該情報は、異議申立人が、水質汚濁防止法(昭和45年第138号、以下「法」という。)第5条第1項、第6条第3項、第7条、第14条第3項に基づき汚水又は廃液を排水する施設等を届出したものの一部である。当該情報は主に、法施行令第1条で定められる届出が必要な施設について、放及び同法施行規則の規定により、所定の様式に記載すべき情報として位置づけられている事項と、それらに関連する図面、配置図、系統図や資料である。
 届出書別紙2から4に記載されている内容については、法の規定に基づく届出必要事項として、届出施設の使用の方法、汚水等の処理の方法及び排出水の汚染状態及び量の概要を記載したものである。施設の基数から当該工場における生産能力が判明する可能性はあるが、生産能力に関する情報は既にホームページ等で公にされている。また、記載されている内容は、同様の製造業事業所における製造工程、あるいは排水処理方法として広く普及している手法と考えられることから、開示されることによって直ちに当該法人等の競争上の地位その他正当な利益を害するとは認められない。また、別紙2から4に記載されている情報を集約したフロー図等についても、同様に、開示することにより当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するとは認められない。
 以上のことより、これらの情報が開示されることによって、直ちに当該法人等の競争上の地位その他正当な利益を害するとは認められないことから、開示とした。 

6 異議申立ての理由

 具体的な使用薬品の名称、量、排水系統の分け方、施設の名称・台数と工場内の配置情報、施設設計に採用している数値については、ものづくりのノウハウそのものである。これら、生産に関連する具体的なプロセスを開示されることは、企業活動に影響が少なからずある。

7 審査会の判断

(1)基本的な考え方

 条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。
 一方、開示請求に係る公文書に第三者に関する情報が記載されているときに、当該第三者の権利利益を保護し開示の是非の判断の適正を期するために、開示決定等の前に第三者に対して意見書提出の機会を付与すること、及び開示決定を行う場合に当該第三者が開示の実施前に開示決定を争う機会を保障するための措置についても定めている。
 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。

(2)条例第7条第3号(法人情報)の意義について

 本号は、自由主義経済社会においては、法人等又は事業を営む個人の健全で適正な事業活動の自由を保障する必要があることから、事業活動に係る情報で、開示することにより、当該法人等又は個人の競争上の地位その他正当な利益が害されると認められるものが記録されている公文書は、非開示とすることができると定めたものである。 
 しかしながら、法人等に関する情報であっても、事業活動によって生ずる危害から人の生命、身体、健康又は財産を保護し、又は違法若しくは不当な事業活動によって生ずる支障から県民等の生活・環境を保護するため公にすることが必要であると認められる情報及びこれらに準ずる情報で公益上公にすることが必要であると認められるものは、ただし書により、常に開示が義務づけられることになる。

(3)条例第7条第3号(法人情報)の該当性について

 本件対象公文書は、法に基づく「特定施設の設置の届出」及び「特定施設の構造等の変更の届出」にかかる届出書及びその添付書類である。
 実施機関は、その一部を条例第7条第3号に規定する法人情報に該当するとして非開示としたが、届出書のうち、別紙2「特定施設の使用の方法」、別紙3「汚水等の処理の方法」、別紙4「排出水の汚染状態及び量」及びその添付書類を開示する決定を行ったが、当該届出法人は、本件対象公文書のうち、③④⑤⑥⑦⑧⑨⑩⑪⑬⑭⑮の文書に含まれている以下の部分について非開示を主張している。
 ア 別紙2に記載された「施設番号・基数」「原材料の種類・使用方法・使用量」「汚水等の汚染状態・汚水等の量」
 イ 別紙3に記載された「能力」「水量」「水質」「汚水等の汚染状態及び量」「残渣の種類・生成量」
 ウ 別紙4に記載された「用水使用量」
 エ 届出書に添付された「用途別用水使用量」「水質一覧表」「排出水の排水系統別の汚染状態及び量の系統図」「放流水水質表」「排水処理フローシート」「工場全体の水バランス」「工場廃水部分の処理方法の説明」
 
 当審査会は、異議申立人が非開示を主張する上記「ア」「イ」「ウ」「エ」の部分についてのみ、以下に検討する。
 実施機関は、法に基づく届出書は様式化されていて、必要とされる図面等も特定されており、記載される内容や添付される書類は法的に届出が義務付けられているものであることから、特段の事情がない限り公にするべきものであるとしている。
 実施機関は、届出書別紙2の記載事項については、法に基づく届出に際して必要記載事項であり、同様の製造事業所における製品の製造工程などに広く普及している手法であり、現場管理にかかる詳細な情報が記載されていないと認められることから、上記「ア」の情報を開示しても当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するとは認められないと主張している。同様に、届出書別紙3及び別紙4の記載事項についても、法に基づく届出に際して必要記載事項であり、汚水処理施設の構造や施設管理の手法などを直接的に露呈するものであるとは言いがたいことから、上記「イ」及び「ウ」の情報を開示しても当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するとは認められないと主張している。また、上記「エ」については、その内容は届出書別紙2、別紙3及び別紙4に記載された内容を集約したものであり、別紙2、別紙3及び別紙4を開示することから、開示することによって当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するとは認められないと主張している。
 これに対して異議申立人は、上記情報が開示されることにより、生産能力等が判明すると主張している。自社のホームページ等で公表している情報は工場全体の総数であり、全体の詳細や生産効率までは分からないが、特定施設の基数や処理能力が開示されると、製造コストについて推測が可能となる。また、個別の排水処理については広く普及したものであっても、排水の分別回収の方法や処理の組合せには独自の工夫が凝らされており、他社に類似のものがない異議申立人固有のものであることから、開示されることにより異議申立人の技術面及び経営面での競争上の優位性が失われることになると主張している。
 
 上記「ア」「イ」「ウ」については、別紙2、別紙3及び別紙4に記載される情報であり、届出の際の必要記載事項である。異議申立人は、当該情報が開示されることによって、異議申立人のモノづくりのノウハウが明らかになると主張するが、同種の製造事業所において一般的な手法が用いられていることが分かるが、その詳細が分かるまでの情報ではないと認められること、及び異議申立人の主張が極めて抽象的な主張にとどまり、開示されることによって想定される被害が具体的でないことからすると、実施機関が開示としたことは妥当であると判断する。
 上記「エ」については、別紙2、別紙3及び別紙4に記載された内容を一覧表など形式に集約された部分があると認められるが、別紙2、別紙3あるいは別紙4に記載されていないが、当該別紙等を補完するために記載された情報も含まれていると認められる。異議申立人は、水処理にかかる一つ一つの技術は汎用性があっても、その組み合わせや狙いで各工場固有のものとなっており、そのことが企業の経営方針とも関わると主張しているが、その主張は理解できないものではない。このことから、「エ」について実施機関が開示としたことは基本的には妥当であるが、その記載内容の中で、別紙2、別紙3及び別紙4に記載されていない部分のうち、水処理メーカーの組合せに該当する部分は非開示が妥当であると判断する。

(4)結論

 よって、主文のとおり答申する。 

8 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

別紙1  

審査会の処理経過

年 月 日 処理内容
20. 8.27 ・諮問書の受理
20. 9. 2 ・実施機関に対して開示理由説明書の提出依頼
20. 9. 9 ・開示理由説明書の受理
20. 9.11

・異議申立人に対して開示理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認

20. 9.22 ・書面審理
・実施機関の開示理由説明の聴取
・審議                 
(第304回審査会)
20. 9.24 ・異議申立人の反論書の受理
20. 9.25 ・実施機関に対して異議申立人の反論書(写)の送付
20.10.20 ・異議申立人の口頭での意見陳述
・審議                 
(第306回審査会)
20.11.10 ・実施機関の開示理由の聴取
・審議                 
(第308回審査会)
20.12.15 ・審議                 
(第310回審査会)
21. 1.19 ・審議
・答申                 
(第312回審査会)
 

三重県情報公開審査会委員  

職名 氏名 役職等
※会長 岡本 祐次 元三重短期大学長
委員 川村 隆子 三重中京大学現代法経学部講師
※委員 樹神 成 三重大学人文学部教授
※委員 田中 亜紀子 三重大学人文学部准教授
※会長職務代理者 早川 忠宏 三重弁護士会推薦弁護士
委員 藤野 奈津子 三重短期大学法経科准教授
委員

丸山 康人

 四日市看護医療大学副学長

    なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。 

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

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