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平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第350号                            

答申

1 審査会の結論

 本件対象公文書は、三重県情報公開条例の対象となる「公文書」に該当しないため、本条例に基づく異議申立人の開示請求は認められない。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成21年12月7日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「三重県議会図書室で保有している情報公開実務指針(兼子仁・室井敬司共編)の95、96、97ページ」の開示請求に対し、三重県議会議長(以下「実施機関」という。)が「情報公開実務指針」(以下「本件対象公文書」という。)を対象公文書として特定し、平成21年12月17日付けで行った公文書非開示決定(以下「本決定」という。)の取消しを求めるというものである。

3 実施機関の説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により本決定が妥当というものである。
 公文書開示請求の対象は、三重県議会図書室において配架している市販の書籍である。市販の書籍については、一般にその内容を容易に知り得るものであることから、条例第2条第2項第1号の規定により、同条例の適用を受ける公文書には該当しないとされている。このため、条例第12条第2項の規定に基づき非開示決定を行った。

4 異議申立ての理由 

 本件については、異議申立人から意見陳述を行わない旨の意思表示があったため、異議申立書に記載された異議申立ての趣旨に基づいて審議を行った。異議申立人の主張する異議申立ての理由は、異議申立書及び意見書の各記載によると、おおむね以下のとおりである。

 (1) 三重県議会図書室へ本件書籍の複写を依頼したところ、「著作権の保護のため複写できない」、「議会図書室は地方自治法に基づく図書室だから、写しの交付請求には応じられない」とのことであった。複写もダメ、開示請求もダメというのは、条例1条の「県民の知る権利」を否定するものである。実施機関の対応は明らかに条例の解釈を誤ったものであり、条例違反に該当する。
 (2)「三重県情報公開条例の解釈及び運用」から思量するに、新聞書籍等はわざわざ開示請求という手間のかかる手続をとらなくとも、閲覧、写しの交付、貸出等の事業を行っている施設を利用することにより容易に情報を入手できるからという意味での適用除外であると解され、これを担保するため、当該書籍を保有する実施機関は、著作権法第31条及び同法施行令第1条の3の規定に基づき、写しの交付に応ずるべきである。

5 審査会の判断 

(1) 基本的な考え方

 条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。
 条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。
 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。

(2)  異議申立人の主張について

 異議申立人は、著作権法第31条及び同法施行令第1条の3の規定から、実施機関は写しの交付に応じるべきである、と主張する。
 著作権法第31条は、図書館等における公共的奉仕機能に鑑み、国立国会図書館、公共図書館、大学図書館等、政令で定める図書館等において、一定の要件を遵守することを条件に、権利者の許諾を得ることなく、利用者の求めに応じて複写サービスができることを定めている。
 異議申立人が当審査会へ提出した文献によれば、政令で定める図書館等に「地方議会図書室」が該当し、利用者の求めに応じて複写サービスができる施設であるとされている。
 一方、当審査会における実施機関の口頭説明によれば、議会図書室が著作権法第31条に規定する「図書館等」かどうかについては疑義があることから、著作権の適用がある書籍の複写サービスには応じていないとのことである。
 しかしながら、当審査会は、条例に基づき実施機関の行った処分についての不服申立てに関し審査するのであって、三重県議会図書室に対する著作権法第31条及び同法施行令第1条の3の適用について判断する立場にはなく、かかる異議申立人の主張については、判断しない。

(3)公文書該当性について

 実施機関は、本件対象公文書は、条例第2条第2項第1号に掲げる書籍に該当し、同項に規定する公文書に当たらないため、非開示としたと説明する。
 実施機関の説明について検討すると、条例第2条第2項第1号の趣旨は、市販の書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるものなど、一般に容易に入手・利用が可能なものは、それが写し等の形態で公文書に編てつされている場合を除いては開示請求制度の対象とする必要がないことから条例の対象となる公文書の範囲から除外することとしたと解される。
 そこで、当審査会において、本件対象公文書の提示を受け確認したところ、出版社より、不特定多数の者に販売することを目的として発行されていると認められる。
 したがって、本件対象公文書は、条例第2条第2項第1号に規定する書籍に該当することから、本条例の対象となる公文書には該当しないため、本条例に基づく異議申立人の開示請求は認められない。

(4)審査会の意見

 ただ、本書籍が不特定多数の者に販売することを目的として発行されたとしても、「一般に容易に入手可能」とは必ずしもいえず、また議会図書室が複写サービスに応じないことから、異議申立人が本条例による開示請求をするまでもないとはいえない。
 条例第2条第2項が対象公文書の範囲から除外した趣旨は、本条例による開示請求をするまでもなく容易に入手可能であることを理由にしている。
 そうであれば、書籍が不特定多数の者に販売することを目的として発行されたとしても、必ずしも「容易に入手可能」といえない場合もあり、複写サービスは、同規定の趣旨からも必要と考えられ、その趣旨に配慮し、実施機関においても必要な措置を講じるよう検討すべきである。

(5)結論

 よって、主文のとおり答申する。

6 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

別紙

審査会の処理経過

年 月 日 処理内容
22.  1. 8 ・諮問書の受理
22.  1.13 ・実施機関に対して非開示理由説明書の提出依頼
22.  1.27 ・非開示理由説明書の受理

22.  2. 1

・異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認

22.  2. 8 ・異議申立人からの意見書の受理
22.  2.22 ・実施機関からの補足説明書の受理
22.   4.12

・書面審理
・実施機関の補足説明
・審議

  (第338回審査会)

22.   5.24

・審議
・答申

 (第341回審査会)

 

三重県情報公開審査会委員

職名  氏名  役職等  
※会長 岡本 祐次 元三重短期大学長
委員 川村 隆子 三重中京大学現代法経学部准教授
※委員 樹神 成 三重大学人文学部教授
委員 竹添 敦子 三重短期大学教授
※委員 田中 亜紀子 三重大学人文学部准教授
※会長職務代理者 早川 忠宏 三重弁護士会推薦弁護士

委員

丸山 康人 四日市看護医療大学副学長

 なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

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