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平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第365号                             

答申

1 審査会の結論

  実施機関が行った決定は、妥当である。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、開示請求者が平成22年10月13日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「特定法人特定工場にかかる工場立地法届出書」についての開示請求(以下「本請求」という。)に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が、異議申立人(開示請求者ではない者)の情報が含まれる「工場立地法に基づく特定工場にかかる届出書及び実施制限期間の短縮申請書」を対象公文書(以下「本件対象公文書」という。)として特定し、平成22年11月26日付けで開示請求者に対して行った公文書部分開示決定(以下「本決定」という。)について、条例第17条第1項に規定する第三者である異議申立人が取消しを求めるというものである。

3 本件異議申立てについて

 実施機関は、本請求に際し、本件対象公文書に異議申立人の情報が含まれていることから、条例第17条第1項の規定に基づき、異議申立人に対し意見照会を行った。異議申立人は開示に支障がある旨の意見書を提出したが、実施機関は本決定を行い、条例第17条第3項の規定に基づいて異議申立人に対して本決定をした旨の通知をしたところ、異議申立人から本件異議申立てが提起されたものである。
 なお、本請求を行った開示請求者には、平成22年12月9日付けで、本件異議申立てに係る決定に至るまで開示を停止する旨の通知がなされている。

4 異議申立ての理由

 異議申立人の主張を総合すると、以下の理由により本決定は取り消すべきであるというものである。
 異議申立人は、平成21年3月頃から、怪文書の配布、政治結社による街宣活動の実施、Webによる情報発信等による誹謗中傷の攻撃を受けており、刑事・民事で係争中であり、事件も未だ解決に至っているわけではない。
 また、工場敷地内には大規模な生産設備や危険物を含む原材料等を保有しており、そのような状況で、開示請求者が誰であるかわからない以上、公文書の開示によって、建物の位置や工場内の通路の幅などが特定されることにより、不当勢力による不法侵入など異議申立人が想定できないような不測の事態が生じた場合、従業員や近隣に甚大な被害を及ぼしかねない可能性がある。特に、対象公文書に含まれる配置図は、敷地内の位置関係、通路などの状況が明らかになるものであり、公開されている航空写真や地図等とは全くの別物である。
 さらに、怪文書等により最も重大な人格権の侵害を被っているのは、異議申立人の従業員であり、対象公文書の開示は、従業員等の精神的負荷を極度に高め、精神的な健康を阻害し、精神疾患等ひいては重大な労働災害を発生させる危険性をも内包している。
 こうした背景の下で、対象公文書を開示することは、現在進行中の刑事手続きに多大な影響を与え、また開示された情報を利用した新たな違法行為に用いられる可能性があり、条例第7条第4号に定める公共安全情報に該当する。
 また、異議申立人と政治結社の民事訴訟に影響を与える可能性があるほか、異議申立人に勤務する従業員、その他工場内で業務に従事する者、それらの家族、及び近隣の安全を脅かすものであり、条例第7条第3号に定める法人情報に該当する。

5 実施機関の説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により本決定が妥当というものである。
 本件対象公文書は、工場立地法第8条第1項に基づく特定工場の変更届出書であり、特定工場としての届出事項に変更が生じる際に、事前届出が義務づけられているものである。その記載内容は、届出者、担当者、工場設置場所、当該工場の標準産業分類の業種及び製品、敷地面積、建築面積、生産施設の面積とその内訳、緑地及び環境施設の面積とその内訳、工場周辺の状況と地図、工事日程、工場敷地内の生産施設、緑地、環境施設、その他の主要施設の名称とレイアウトを示した配置図である。
 今回の開示決定にあたって、条例第7条各号に規定された情報は非開示とした。今回非開示とした情報及び開示とした情報は以下のとおりである。
 第2号の個人情報に関しては、申請時の担当者名を非開示とした。
 第3号の法人情報に関しては、生産施設、その他の施設の名称については、工場運営にあたって、どこにどのような施設があるのかを公表することは、工場及びインフラ施設の配置による工場運営のノウハウ等の情報を公開することになり、当該法人の競争上の地位又は正当な利益を害すると認められるとして非開示とした。
 しかし、届出者や施設の面積、敷地内のレイアウト図等を主とするそれ以外の情報については、開示によって直ちに工場運営のノウハウ等を脅かすものではないと考えられるため開示することとした。特に、レイアウト図については、インターネット上で公開されている航空写真や地図等によりアウトラインの確認が可能であり本号には該当しないと考えた。
 第4号の公共安全情報に関しては、当該法人の安全について考慮されるべきものであると考えられるが、本号該当性は、情報公開の相手方により検討するものではなく、当該情報の内容により判断されるものである。このため、名称を非開示とした施設の面積や敷地内レイアウト図等の当該開示情報は、その他の公共の安全の維持を脅かすものとまでは言えないことから、条例第7条第4号に該当しないため、開示とした。

6 審査会の判断

(1) 基本的な考え方

 条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。
 一方、開示請求に係る公文書に第三者に関する情報が記載されているときに、当該第三者の権利利益を保護し開示の是非の判断の適正を期するために、開示決定等の前に第三者に対して意見書提出の機会を付与すること、及び開示決定を行う場合に当該第三者が開示の実施前に開示決定を争う機会を保障するための措置についても定めている。
 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。

(2) 本件対象公文書について

 本件対象公文書は、工場立地法第8条第1項に基づき、特定工場としての届出事項の変更の際に提出された届出書であり、「特定工場変更届出書及び実施制限期間の短縮申請書(以下「変更届出書」という。)」、「別紙1」、「別紙2-1」、「別紙2-2」、「特定工場用地利用状況説明書」、「特定工場の新設等のための工事の日程」、「工場位置図」、「工場配置図(変更前)」、「工場配置図(変更後)」の各文書からなるものである。
 実施機関は、「変更届出書」及び「工場配置図(変更後)」に記載された担当者名を条例第7条第2号(個人情報)に該当するとして非開示とし、「別紙1」、「別紙2-1」、「別紙2-2」、「工場配置図(変更前)」及び「工場配置図(変更後)」に記載された施設名称については工場運営のノウハウ等であるから条例第7条第3号(法人情報)に該当するとして非開示とし、その余の全部を開示するとした。
 異議申立人は、本件対象公文書を開示すると、開示される公文書を引用した新たな怪文書等の発信が想定されるなど異議申立人の社会的評価、社会活動の自由等が損なわれ、また、近隣の平穏な市民生活の維持など公共の安全と秩序の維持に大いに影響を与える事態が生じるとして、条例第7条第3号及び第4号に該当し非開示とすることを求めている。
 この異議申立人の主張に対し、実施機関は非開示とした部分以外のその余の全部(以下「非開示主張部分」という。)は開示すべきであるとしているので、非開示主張部分の条例第7条第3号(法人情報)及び第4号(公共安全情報)該当性について、以下検討する。

(3)条例第7条第3号(法人情報)意義について

 本号は、自由主義経済社会においては、法人等又は事業を営む個人の健全で適正な事業活動の自由を保障する必要があることから、事業活動に係る情報で、開示することにより、当該法人等又は個人の競争上の地位その他正当な利益が害されると認められるものが記録されている公文書は、非開示とすることができると定めたものである。
 しかしながら、法人等に関する情報であっても、事業活動によって生ずる危害から人の生命、身体、健康又は財産を保護し、又は違法若しくは不当な事業活動によって生ずる支障から県民等の生活・環境を保護するため公にすることが必要であると認められる情報及びこれらに準ずる情報で公益上公にすることが必要であると認められるものは、ただし書により、常に開示が義務づけられることになる。

(4)条例第7条第3号(法人情報)の該当性にについて

ア 変更届出書
 工場立地法第8条第1項及び同法施行規則第6条第1項に規定される届出文書であり、記載される情報のうち、実施機関が開示することとしたのは「届出者の所在、名称及び代表者名」、「代理人の所在、名称、代表者名及び印影」、「工場設置場所」、「当該工場における製品名」、「敷地面積(変更前及び変更後のもの)」、「建築面積(変更前及び変更後のもの)」及び「特定工場の変更のための工事の開始の予定日」である。
 これらの情報のうち、「届出者の所在、名称及び代表者名」、「工場設置場所」及び「当該工場における製品名」については、パンフレットやホームページ等ですでに公にされている情報であり、開示により異議申立人の競争上の地位又は正当な利益を害するとは認められない。
 また、「敷地面積」及び「建築面積」については、異議申立人の特定工場の変更前及び変更後の面積という単なる事実情報であり、「特定工場の変更のための工事の開始の予定日」については、変更の根拠となった過去の工事日程に関する情報であり、これらの情報を開示しても異議申立人の競争上の地位又は正当な利益を害するとは認められない。
 次に、「代理人の所在、名称、代表者名及び印影」について検討すると、まず当欄に記載されているのは異議申立人の保有する生産拠点の特定地域を統括する事業所の所在地、名称、事業所長の氏名及び印影である。このうち事業所の所在地及び名称については、公にされている情報である。
 一方、事業所長名については、当該事業所長は商業登記簿に登記される役員ではなく、またホームページ等でも公表されておらず、一般に公にされている情報とは認められない。
 しかし、事業所長という肩書きは、当該事業所の事業の責任者を示すものであり、その事業所の業務に関して対外的に会社を代表する権限を有する者とみなされるのが通常であるから、当該事業所長の氏名が、本変更届出書の申請のように会社の業務として事業所を代表するものとして記載されている場合については、当該氏名を代表取締役等の氏名に準じて取り扱うのが相当である。
 そして、事業所長の氏名の条例第7条第3号該当性については、変更届出書における事業所長の肩書のある氏名は、当該事業所長がその権限に基づき事業所を代表する者として表示されているのであり、事業所長の権限に基づく当該法人の職務として行った行為に関するものであるから、法人の事業活動に関する情報であり、かつ、当該氏名を公にしても、当該法人の競争上の地位又はその他正当な利益を害するものとは認められない。
 また、法人としての印影である事業所長の印影については、これを開示しても異議申立人の競争上の地位又は正当な利益を害するとは認められない。
 したがって、変更届出書に関しては、いずれも条例第7条第3号には該当せず、非開示主張部分を開示するとした実施機関の決定は、妥当である。

 イ 別紙1、別紙2-1及び別紙2-2
 変更届出書の添付資料として、工場における各施設の面積の増減内訳を示した文書であり、「各施設の名称」、「施設番号」、「面積(変更前及び変更後)」、「増減面積」、「備考」、「樹木等の種類・本数」、「植栽密度」、「敷地の周辺部に配置する環境施設の各施設番号」、「配置について勘案した周辺の地域の土地利用の状況等との関係」、が記載されたものである。
 これらの記載内容からは、どのような機能を有する施設が工場内に設置されているか、あるいは、特定の機能を有する施設がどの程度の規模であり、その施設にどの程度の変更を加える予定であるか、という情報を看取することが可能である。
 しかし、実施機関は、「各施設の名称」について、工場運営のノウハウ等に関する情報であるとして非開示としているため、開示部分により判明するのは、匿名性を有した施設の面積やその増減の内訳等となる。これらの情報は工場運営の独自のノウハウに当たるものとは言えず、これを公にしても、異議申立人の競争上の地位その他正当な利益を害するとは認められないことから、条例第7条第3号には該当せず、非開示主張部分を開示するとした実施機関の決定は、妥当である。

ウ 特定工場用地利用状況説明書
 変更届出書の添付資料として、工場用地の利用状況を記載したもので、具体的には「工場敷地面積」、「土地周辺の状況」、「都市計画法上の区域区分」、「生産施設面積率等」、「環境施設種類別概要」、「届出の趣旨」、「業種番号」が記載されている。
 これらの情報は、すでに公になっている情報やイで検討した別紙1等から明らかになる情報であり、異議申立人の競争上の地位その他正当な利益を害するとは認められないことから、条例第7条第3号には該当せず、非開示主張部分を開示するとした実施機関の決定は、妥当である。

エ 特定工場の新設等のための工事の日程
 変更届出書の添付資料として、施設の新設等の対象となる施設番号と各施設の工事期間が記載されたものである。
 どの施設番号の施設が新設等の対象となるかは、イで検討した別紙1等から明らかになる情報である。また、工事期間についても、本請求時点では、過去の工事計画というに過ぎず、いずれの情報も異議申立人の競争上の地位その他正当な利益を害するとは認められないことから、条例第7条第3号には該当せず、非開示主張部分を開示するとした実施機関の決定は、妥当である。

オ 工場位置図
 特定工場用地利用状況説明書の添付資料として、地形図上に本件申請の対象となる特定工場の位置を図示したものであり、すでに公にされている情報であることから、異議申立人の競争上の地位その他正当な利益を害するとは認められない。
 したがって、工場位置図の全部を開示するとした実施機関の決定は、妥当である。

カ 工場配置図(変更前及び変更後)
 変更届出書の添付資料として、工場内の各施設の配置状況が記載されたレイアウト図であり、「各施設の名称」、「施設番号」、「緑地の面積算定の基礎となる距離等の数値」、「各施設の凡例」、「図面作成担当者氏名」が記載されている。
 これらの情報のうち、実施機関は各施設の名称及び図面作成担当者氏名を非開示情報に該当するとした一方で、配置図自体については、インターネット上で公開されている航空写真や地図等によりアウトラインの確認が可能であり非開示情報には該当しないとする。
 それに対し、異議申立人は当該配置図について、敷地内の位置関係、通路などの状況が明らかになるものであり、公開されている航空写真や地図等とは全くの別物であるとし、さらに別紙1等と照合することにより個々の施設の面積が明らかになると主張する。
 確かに、インターネット上で公開されている地図や航空写真は、出入口や通路状況などの詳細部分が鮮明であるとは言い難く、実測に基づいた当該配置図と同一視できないのも事実である。
 しかし、当該配置図で明らかとなる通路等の詳細部分や個々の施設の面積、緑地の寸法等の情報は、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するとまでは認めることができない。
 したがって、条例第7条第3号には該当せず、非開示主張部分を開示するとした実施機関の決定は、妥当である。

(5)条例第7条第4号(公共安全情報)の意義について

 公共の安全と秩序を維持することは、国民全体の基本的な利益を擁護するために行政に課せられた重要な責務であり、情報公開制度においてもこれらの利益は十分に保護する必要がある。そこで、犯罪の予防・鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行、その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある情報を非開示とし、その判断に当たっては、実施機関の裁量を尊重することとしたものである。

(6)条例第7条第4号(公共安全情報)の該当性について

 異議申立人は、怪文書の配布、政治結社による街宣活動の実施、Webによる情報発信等により誹謗中傷の攻撃を受けているという背景の下、本件対象公文書の開示は、当該公文書に含まれる情報を利用した新たな違法行為に用いられる可能性があると主張する。
 確かに、異議申立人が受けている怪文書の配布等の実情に鑑みれば、本件対象公文書の開示により新たな怪文書の配布等の違法行為を誘発するおそれを認める余地がないわけではない。
 しかし、本号の規定は、実施機関の犯罪等に関する将来予測としての専門的・技術的判断を尊重する趣旨から、当該実施機関の裁量的判断に相当の理由があると認められる場合に、同号該当性を認めるものである。
 この点、本件対象公文書の内容そのものは公共の安全等を脅かすものとまでは言えないとし、本号には該当しないとした実施機関の判断は、相当の理由を欠き裁量権を逸脱するものとまでは言うことができない。
 したがって、当該情報は条例第7条第4号には該当せず、非開示主張部分を開示するとした実施機関の決定は、妥当であると言わざるを得ない。

 (7) 異議申立人のその他の主張について

  異議申立人は、開示請求者が異議申立人に対する怪文書の配布等への関係者であることを危惧し、本件対象公文書を開示することによる違法行為の誘発や従業員等への安全への影響を懸念し種々の主張を行っている。
 しかし、条例に定める開示請求権は、何人に対しても等しく権利を認めるものであり、開示請求者に対し、開示請求の理由や利用の目的等の個別的事情を問うものではなく、開示請求者が誰であるか、又は開示請求者が開示請求に係る公文書に記録されている情報について利害関係を有しているかどうかなどの個別的事情によって、当該公文書の開示決定等の結論に影響を及ぼすものではない。一部の利害関係人に対する懸念をすべての開示請求者に適用することは、県民の「知る権利」を定めた条例の理念にもとることになるからである。
 そして、本件請求が、「県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資する」という条例第1条の目的に明らかに反するものであるとはいえない以上、異議申立人のこれらの主張は、当審査会の判断に影響を及ぼすものではない。

(8)結論 

 よって、主文のとおり答申する。

7 審査会の意見

 審査会の判断は上記のとおりであるが、次のとおり意見を申し述べる。
 上記6(6)のように、条例第7条第4号(公共安全情報)の該当性の判断にあたっては、条例は実施機関に一定の裁量権を与えており、当審査会はその判断が合理性を持つ判断として許容される限度内かどうかを審査するにとどまる。そして、実施機関の判断は結果として明らかに裁量権を逸脱したものとまで言えないことから、当審査会の判断は上記のとおりである。
 しかしながら、実施機関は、理由説明書の記載内容から推察するに、異議申立人の主張する背景となる事情を認識し、犯罪発生の蓋然性に一定の懸念を抱いているものと見受けられる。
 条例は、第4条において、条例の目的を実現し情報公開制度を健全に発展させるために、「適正な請求」と開示を受けた情報の「適正な使用」を開示請求者の責務として定め、第5条第2項において、情報公開制度本来の趣旨や条例の目的から著しく逸脱した不適正な請求の抑止を図っているところである。そのため、開示請求者の個別的事情から不適正な請求や使用が十分に懸念される場合には、慎重に開示・非開示の判断を行うことが求められる。
 また、公文書に含まれる第三者の情報に関しては、当該第三者の置かれている背景等の個別的事情を非開示情報該当性の判断から一様に排除するものではなく、そうした個別的事情も加味した上で公文書の有する情報の価値を判断すべき余地もあるものと考えられる。
 したがって、実施機関においては、上記のような条例及び情報公開制度の趣旨・目的を尊重し、一律的、硬直的な条例の解釈とならぬよう、適正な運用に努められたい。

8 審査会の処理通過

 当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

別紙1

審査会の処理経過

年 月 日 処理内容
22. 12.  9 ・諮問書の受理                                          
22. 12. 10 ・実施機関に対して理由説明書の提出依頼
22. 12. 22 ・理由説明書の受理

23.  1.  4

・異議申立人に対して理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認

23.  2. 24

・書面審理
・異議申立人の口頭意見陳述                             
・実施機関の補足説明
・審議

          (第355回審査会)

23.  3. 25

・審議 
・答申                                         

(第357回審査会)

 

三重県情報公開審査会委員

職名  氏名   役職等  
※会長

岡本 祐次  

元三重短期大学長

※委員

川村 隆子 三重中京大学現代法経学部准教授  
委員 樹神 成 三重大学人文学部教授
※委員 竹添 敦子

三重短期大学教授

会長職務代理者    早川 忠宏 三重弁護士会推薦弁護士
委員 藤本 真理

三重大学人文学部准教授

※委員 

丸山 康人 四日市看護医療大学副学長

 なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

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