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平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第374号                             

答申

1 審査会の結論

  実施機関が行った部分開示決定により非開示とした部分のうち、本税に係る「納付すべき税額」欄及び「法定納期限等」欄の記載部分については開示すべきであるが、その他の部分について非開示とした決定は妥当である。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、開示請求者が平成24年1月4日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「特定の事業者の施設について、都市計画法、道路法、廃棄物処理法、環境保全上の関係について分かる全ての文書」についての開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成24年2月14日付けで行った公文書部分開示決定(以下「本決定」という。)について、取消しを求めるというものである。

3 本件対象公文書について

  本件異議申立ての対象となっている公文書(以下「本件対象公文書」という。)は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)の規定に基づき、特定の事業者から提出された産業廃棄物処理業許可申請書及び産業廃棄物処理施設使用届出書に添付された納税証明書である。

4 異議申立ての理由

 異議申立書及び意見陳述における異議申立人の主張を要約すると、概ね次のとおりである。
 廃棄物処理法に基づく産業廃棄物処分業許可申請書等に添付された納税証明書は、申請事業者の財務、経営内容、業況を明らかにすることにより対象の産業廃棄物の適正な処理を行うことができるとの担保能力を審査する上で必要不可欠な要件であり、これらの許可申請等に対する審査を実施機関が適正に行っているかを県民がチェックするためにも、本件対象公文書は全面開示されるべきである。

5 実施機関の説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本決定が妥当というものである。
 廃棄物処理法に基づく産業廃棄物処理業許可申請書及び産業廃棄物処理施設使用届出書の書類に添付された納税証明書の証明部分は、当該申請事業者の内部管理情報であり、開示することにより、当該事業者の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められるため、条例7条3号本文の法人情報に該当する。
 また、公益上開示すべきであると認められる情報であるとはいえず、条例7条3号ただし書きには該当しないため、非開示とすることが相当である。

6 審査会の判断

(1) 基本的な考え方

 条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。
 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。

(2) 条例第7条第3号(法人情報)の意義について

 条例第7条第3号は、自由主義経済社会においては、法人等又は事業・cむ個人の健全で適正な事業活動の自由を保障する必要があることから、事業活動に係る情報で、開示することにより、当該法人等又は個人の競争上の地位その他正当な利益が害されると認められるものが記録されている公文書は、非開示とすることができると定めたものである。
 しかしながら、法人等に関する情報であっても、事業活動によって生ずる危害から人の生命、身体、健康又は財産を保護し、又は違法若しくは不当な事業活動によって生ずる支障から県民等の生活・環境を保護するため公にすることが必要であると認められる情報及びこれらに準ずる情報で公益上公にすることが必要であると認められるものは、ただし書により、常に開示が義務づけられることになる。

(3)条例第7条第3号(法人情報)の該当性について

 本件対象公文書は、国税通則法第123条の規定に基づき税務署長から交付された当該事業者の法人税に関する納税証明書(その1)であり、確定した税額並びにその納付した税額及び未納の税額、当該国税に係る法定納期限等を証明するものである。当審査会で、本件対象文書をインカメラ審理で見分したところ、非開示部分には、本税以外の「年度及び区分」欄の該当内容並びに「納付すべき税額」、「納付済額」、「未納税額」及び「法定納期限等」の各欄の該当内容が記載されていることが認められた。
 実施機関は、これらの情報について、当該申請事業者の内部管理情報であり、開示することにより、当該事業者の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められると主張している。
 確かに、本件対象公文書に記載される当該事業者の税の区分や税額、その納付の状況等は財務状況に密接な関係を有する事項であり、当該事業者の経営状況を推知することが可能となる性質を有する情報といい得る。
 したがって、これらの情報が公開された場合、当該事業者の企業上の秘密を明らかにすることになり、結果として、実施機関の主張するように当該事業者の競争上の地位又は正当な利益を害するとの判断もできなくはない。
 しかしながら、当審査会が確認したところ、事業者及び金融庁のホームページ等から同事業者の有価証券報告書は閲覧、入手可能な状態であることが確認できた。この有価証券報告書は、上場会社などが、毎事業年度ごとに提出する会社や事業の概況などの投資情報を記載した報告書であり、当該事業年度の貸借対照表、損益計算書及びキャッシュフロー計算書などの財務諸表を含むものである。
 そうすると、当該事業者については、この有価証券報告書により、一定の財務、経営状況が公開されていることから、有価証券報告書の記載内容と同種の情報や、同記載内容から推知することのできる情報については、当該事業者の企業上の秘密と位置づけることはできない。
 したがって、納税証明書のうち、次に掲げる部分、すなわち法人税本税に係る「納付すべき税額」欄及び「法定納期限等」欄の記載内容については、開示により当該事業者の権利利益を害するものとまでは認められず、条例第7条第3号に該当するとした実施機関の判断は、妥当ではない。
 一方で、「納税済額」及び「未納税額」の各欄並びに法人税本税以外のいわゆる附帯税に係る「納付すべき税額」及び「法定納期限等」の各欄の記載内容については、有価証券報告書から読み取れる以上の情報を含んでいることから、これらを開示することにより、場合によっては、未納税額の有無や、行政制裁的性格を有する附帯税の課税状況等を明らかにしてしまうこととなる。
 本来、租税は納期限内に正確な申告により納められるべきものであることからすれば、それを怠った者が保護されるべき競争上の地位や正当な利益を有することに疑問がないわけではない。しかし、未納の発生や附帯税の賦課は、種々の要因によるものであり、一概に事業者の悪意によると断ずることはできない。また、これらの納税状況や課税状況が判明すると、当該事業者にとっては、風評被害による業績への影響や、取引条件の変更、取引の停止を求められるなどの重大な不利益をもたらす可能性も否定できない。
 したがって、本件対象公文書の納税状況や本税以外の課税状況を示す部分については、条例第7条第3号本文に該当するものと認めざるを得ない。
 なお、異議申立人は、本件対象公文書は、申請事業者の財務、経営内容、業況を明らかにすることにより対象の産業廃棄物の適正な処理を行うことができるとの担保能力を審査する上で必要不可欠な要件であり、全面開示されるべきであると主張している。
 しかし、当該事業者の産業廃棄物処理業を営む上での経理的基礎については、当該事業者の有価証券報告書が公表されていることから、その判断の材料となる情報は既に明らかにされていると認められる。
 そうすると、本件対象公文書に記載される当該事業者の納税状況や課税状況を更に公開すべきとする公益的な要請が、開示することで当該事業者が被る不利益に勝るとまではいえず、条例第7条第3号ただし書きのいずれにも該当するとは認められない。したがって、当該部分を非開示とした実施機関の判断は、妥当である。

(4)結論

  よって、主文のとおり答申する。

7 審査会の意見

 当審査会の結論は以上のとおりであるが、本件事案については、実施機関の事務処理の一部に不適切な点が見受けられることから、審査会として次のとおり意見を述べる。
 本件対象公文書の中で、実施機関は、納税証明書の定型様式の表中に具体的な記載事項がある部分のみ非開示の処理をしているため、本税のみ課税されている場合は一行分のみ非開示となるが、本税以外に附帯税も課税される場合は、複数行分非開示となっている。このため、複数行分の非開示処理がなされている納税証明書については、附帯税が課税された事実が判明することになり、当該事業者に不利益をもたらすおそれのある不適切な処理と言わざるを得ない。
 今後、実施機関は同様のことが起こらないよう、非開示処理の方法についても十分精査する等慎重かつ丁寧な対応を求めるものである。

8 審査会の処理経過

  当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

別紙1

審査会の処理経過

年 月 日 処理内容
24.  3.23 ・諮問書の受理                                          
24.  3.26 ・実施機関に対して理由説明書の提出依頼
24.  4. 5 ・理由説明書の受理
24.  4. 6 ・異議申立人に対して理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
24.  5.18

・書面審理 
・異議申立人の口頭意見陳述
・実施機関の補足説明
・審議

     (第375回審査会)

24.  6.12

・審議
・答申

     (第376回審査会)

 

三重県情報公開審査会委員

職名  氏名   役職等   
※会長

早川 忠宏  

三重弁護士会推薦弁護士

(平成24年6月12日まで会長職務代理者、同日から現職)

会長

岡本 祐次

  元三重短期大学長

(平成24年5月31日まで)

会長職務代理者 樹神 成 三重大学人文学部教授
※会長職務代理者 丸山 康人 四日市看護医療大学副学長

委員

岩﨑 恭彦

  三重大学人文学部准教授

(平成24年6月1日から)

※委員 川村 隆子 名古屋学院大学経済学部准教授
※委員 竹添 敦子

三重短期大学教授

委員   藤本 真理

三重大学人文学部准教授

 なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
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