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平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第379号                             

答申

1 審査会の結論

 実施機関は本件異議申立ての対象となった公文書のうち、次に掲げる部分については開示すべきであるが、その他の部分について非開示とした決定は妥当である。
 ・略歴書の職歴欄記載内容のうち、登録申請者及び管理建築士の現在の勤務先にかかる部分並びに現在の職名が法人役員である場合の期間及び職名
 ・健康保険被保険者証の写しのうち、事業所記号及び保険者番号

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、開示請求者が平成24年3月21日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「特定の事業者2者の建築士事務所登録申請に関する全ての文書」についての開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成24年3月28日付けで行った公文書部分開示決定(以下「本決定」という。)について、取消しを求めるというものである。

3 本件対象公文書について

 本件異議申立ての対象となっている公文書(以下「本件対象公文書」という。)は、建築士法の規定に基づき、特定の事業者から提出された建築士事務所登録申請書及び同登録事項変更届並びにこれらの書類に係る添付書類である。

4 異議申立ての理由

 異議申立書及び意見陳述における異議申立人の主張を要約すると、概ね次のとおりである。
 建築士事務所の申請に係る建築士等の個人情報については、建築士の社会的地位を規定した建築士法等の法制度の趣旨からすれば、偽装やごまかしなどがないか、その真偽について県民がチェックする必要がある。そのため、建築士法に基づく建築士事務所登録に必要な書式を部分開示にしたことは当該法制度を毀損するもので許されないものであり、非開示部分は全面開示されるべきである。

5 実施機関の説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本決定が妥当というものである。
 本件対象公文書における建築士に係る個人の氏名、住所、生年月日、建築士の資格及び登録番号は、建築士法第6条第2項に基づき都道府県知事等が閲覧に供している建築士名簿及び法務局が発行する履歴事項全部証明書により公にされている情報であり、開示とした。
 一方、建築士個人の印影、学歴、職歴及び被保険者番号は、公にされている情報ではなく、また、その情報を公にすることで、特定の個人の私生活上の権利利益を害するおそれがあると判断したため、非開示とした。

6 審査会の判断

(1) 基本的な考え方

 条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。
 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。

(2) 条例第7条第2号(個人情報)の意義について

 個人に関する情報であって特定の個人を識別し得るものについて、条例第7条第2号は、一定の場合を除き非開示情報としている。これは、個人に関するプライバシー等の人権保護を最大限に図ろうとする趣旨であり、プライバシー保護のために非開示とすることができる情報として、個人の識別が可能な情報(個人識別情報)を定めたものである。
 しかし、形式的に個人の識別が可能であればすべて非開示となるとすると、プライバシー保護という本来の趣旨を越えて非開示の範囲が広くなりすぎるおそれがある。
 そこで、条例は、個人識別情報を原則非開示とした上で、本号ただし書により、個人の権利利益を侵害しても開示することの公益が優越するため開示すべきもの等については、開示しなければならないこととしている。

(3)条例第7条第2号(個人情報)の該当性について

 実施機関が、本決定において非開示とした情報は、「略歴書」及び「誓約書」中の登録申請者又は管理建築士の印影、「略歴書」中の学歴・職歴、「健康保険被保険者証の写し」中の交付年月日・保険証固有番号・事業所記号・被保険者番号・保険者番号である。
 実施機関は、建築士個人の氏名、生年月日等の建築士法の閲覧制度等により公にされる情報は、開示と判断したが、非開示とした当該情報は、本条本号に該当する個人に関する情報であって、特定の個人を識別し得る情報であり、本条本号ただし書きに該当するものではないため、非開示と判断したと主張している。
 他方、異議申立人は、建築士事務所の申請に係る建築士等の個人情報については、建築士の社会的地位を規定した建築士法等の法制度の趣旨からすれば、偽装やごまかしなどがないか、その真偽について県民がチェックするためにも全面開示すべきであると主張している。
 そこで、以下において実施機関が非開示とした情報の本号該当性を検討する。

  ア 登録申請者、管理建築士の印影について
 「略歴書」及び「誓約書」に含まれる登録申請者、管理建築士の印影は、個人に関する情報であって、直接あるいは他の情報と組み合わせることにより、特定の個人が識別され得る情報であり、本号本文に該当すると認められる。
 また、当該情報は、建築士法に基づく閲覧制度においても閲覧の対象となる情報ではなく、本号ただし書イの情報すなわち「法令若しくは他の条例の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」に該当するとはいえない。また、本号ただし書ロの情報すなわち「人の生命、身体、健康、財産、生活又は環境を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」に該当するとも認められない。
 したがって、当該情報を非開示とした実施機関の判断は、妥当である。

 イ 登録申請者、管理建築士の学歴について
 「略歴書」に記載される登録申請者、管理建築士の学歴は、個人に関する情報であって、直接あるいは他の情報と組み合わせることにより、特定の個人が識別され得る情報であり、本号本文に該当すると認められる。
 また、当該情報は、建築士法に基づく閲覧制度においても閲覧の対象となる情報ではなく、本号ただし書イの情報に該当するとはいえない。また、本号ただし書ロの情報に該当するとも認められない。
 したがって、当該情報を非開示とした実施機関の判断は、妥当である。

 ウ 登録申請者、管理建築士の職歴について
 「略歴書」において、登録申請者、管理建築士の職歴として、勤務期間(勤務開始年月)、勤務先、地位・職名が記載されており、実施機関はそのすべてを非開示としている。
 これらの情報は、個人に関する情報であって、直接あるいは他の情報と組み合わせることにより、特定の個人が識別され得る情報であり、本号本文に該当すると認められる。
 しかしながら、これらの職歴のうち、現在の勤務先については、申請の対象である建築士事務所に他ならないのであるから、公にされ、又は公にすることが予定されている情報として本号ただし書イの情報に該当するというべきである。
 また、実施機関が非開示とした現在の勤務先に係る職名欄に、法人役員としての役職が記載されている場合については、当該役員の役職名及び役員としての就任時期は当該法人の商業登記によって公示されることから、本号ただし書イの情報に該当するものと認められる。
 なお、上記を除く職歴については、建築士法に基づく閲覧制度においても閲覧の対象となる情報ではなく、本号ただし書イの情報に該当するとはいえない。また、本号ただし書ロの情報に該当するとも認められない。
 したがって、当該情報のうち現在の勤務先にかかる部分並びに現在の職名が法人役員である場合の期間及び職名にかかる部分を非開示とした実施機関の決定は、妥当ではない。

 エ 健康保険被保険者証の記号・番号等について
 実施機関は、「健康保険被保険者証」の写しに記載されている交付年月日・保険証固有番号・事業所記号・被保険者番号・保険者番号のいずれもが本条本号に規定する特定の個人が識別され得る情報であると判断し、非開示としている。
 これらの情報は、個人に関する情報であって、直接あるいは他の情報と組み合わせることにより、特定の個人が識別され得る情報であり、本号本文に該当すると認められる。
 しかしながら、これらの情報のうち、事業所記号とは事業所名称に割り振られた記号であり、保険者番号とは保険者名称に割り振られた番号であるが、実施機関は事業所名称及び保険者名称のいずれをも開示していることからすれば、これらの情報を非開示にする意味はなく、本号ただし書イの情報に該当するものといえる。
 他方、交付年月日・保険証固有番号・被保険者番号については、健康保健被保険者証の記載事項のうち当該個人に固有の情報であり、建築士法に基づく閲覧制度においても閲覧の対象となる情報ではなく、本号ただし書イの情報に該当するとはいえない。また、本号ただし書ロの情報に該当するとも認められない。
 したがって、当該情報のうち事業所記号及び保険者番号を非開示とした実施機関の決定は、妥当ではない。

(4)結論

 よって、主文のとおり答申する。

7 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

別紙1

審査会の処理経過

年 月 日 処理内容
24.  4.26 ・諮問書の受理                                          
24.  5. 2 ・実施機関に対して理由説明書の提出依頼
24.  5.11 ・理由説明書の受理
24.  6.11

・異議申立人に対して理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認

24.  7.27

・書面審理 
・異議申立人の口頭意見陳述
・実施機関の補足説明                       
・審議

     (平成24年度第3回B部会)

24.  8.24

・審議

     (平成24年度第4回B部会)

24.  9.21

・審議
・答申

(平成24年度第5回B部会)

 

三重県情報公開審査会委員

職名  氏名   役職等   
※会長

早川 忠宏  

三重弁護士会推薦弁護士          

会長職務代理者 樹神 成 三重大学人文学部教授
※会長職務代理者 丸山 康人 四日市看護医療大学副学長

委員     

岩﨑 恭彦

三重大学人文学部准教授

※委員 川村 隆子

名古屋学院大学経済学部准教授   

委員 竹添 敦子

三重短期大学教授

※委員   藤本 真理

三重大学人文学部准教授

 なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

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