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平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第384号                             

答申

1 審査会の結論

 実施機関は本件異議申立ての対象となった公文書のうち、当審査会が非開示妥当と判断した部分を除き、開示すべきである。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、開示請求者が平成24年5月28日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「談合情報とその対処結果」についての開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成24年6月11日付けで行った公文書部分開示決定(以下「本決定」という。)について、取消しを求めるというものである。

3 本件対象公文書について

  本件異議申立ての対象となっている公文書(以下「本件対象公文書」という。)は、次のとおりである。
(1)平成24年度第1回三重県公正入札調査委員会の調査結果伺い(平成24年4月24日)
 (a)     入札談合情報に係る調査結果について
 (b)     談合情報報告書
 (c)     工事費内訳書比較表
 (d)     評価項目一覧及び技術提案書
 (e)     事情聴取一覧表

(2)平成24年度第1回県土整備部公正入札調査委員会の調査結果伺い(平成24年5月22日)
 (f)     入札談合情報に係る調査結果について
 (g)     談合情報報告書
 (h)     開札状況調書
 (i)     工事費内訳書比較表
 (j)     明細書比較表
 (k)    事情聴取一覧表

4 異議申立ての理由

  異議申立書及び意見陳述における異議申立人の主張を要約すると、概ね次のとおりである。
 「談合」は犯罪で有るとの認識があるなら、公表して社会的に警告を発するのが発注者の責務であり、重要な大部分を非開示としたことは、犯罪の事実を隠蔽し、県民への説明責任を怠るものである。

5 実施機関の説明要旨 

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本決定が妥当というものである。
 当該会社の従業員として見積、入札参加決定、入札額決定、技術提案書作成に携わり、会社に代わって事情聴取に応じたにすぎないにも関わらず、開示することにより世間から談合に関わったのではと疑念を抱かれ、これにより、私生活上の平穏が乱される恐れがある。また、情報提供者の住所、氏名、連絡先についても、特定の個人が識別され得る情報である。
 落札業者名、入札参加者名は開示することにより、当該法人があたかも談合に関与しているとの不名誉な疑惑を抱かれる恐れがあり、名誉、社会的評価、社会活動の自由等が損なわれる。
 工事費内訳書比較表の工事価格、技術提案書の提案内容は、当該法人の生産、技術、営業等の情報であり、開示することにより当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められる。
 入札において予定価格は事前に公表されているが、内訳である積算額は公表されていないため、開示することにより、公正な競争により形成されるべき適正な額での契約が困難になる。また、1件については、「談合の事実は確認できないが、談合の疑いが払拭できない」と結論が出されたため、入札手続きを取りやめ、再度入札となっていることから、これらの情報を開示することにより、当該事務又は事業の適正な遂行に著しい支障を及ぼす恐れがあると判断した。

6 審査会の判断

(1) 基本的な考え方

 条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。
 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。

(2) 条例第7条第2号(個人情報)の意義について

 個人に関する情報であって特定の個人を識別し得るものについて、条例第7条第2号は、一定の場合を除き非開示情報としている。これは、個人に関するプライバシー等の人権保護を最大限に図ろうとする趣旨であり、プライバシー保護のために非開示とすることができる情報として、個人の識別が可能な情報(個人識別情報)を定めたものである。
 しかし、形式的に個人の識別が可能であればすべて非開示となるとすると、プライバシー保護という本来の趣旨を越えて非開示の範囲が広くなりすぎるおそれがある。
 そこで、条例は、個人識別情報を原則非開示とした上で、本号ただし書により、個人の権利利益を侵害しても開示することの公益が優越するため開示すべきもの等については、開示しなければならないこととしている。

(3)条例第7条第2号(個人情報)の該当性について

 実施機関が本決定において本号に該当するとして非開示とした情報は、以下のとおり分類することができる。
ア)(b)及び(g)に記載の談合情報報告書に記載の情報提供者の氏名、住所、連絡先
イ)(d)に記載の技術提案書に記載の作成者の氏名
ウ)(e)及び(k)に記載の事情聴取一覧表に記載の事情聴取を受けた者、入札参加を決定した者、入札額を決定した者、見積をした者等のうち法人の役員である者の役職名・氏名
エ)(e)及び(k)に記載の事情聴取一覧表に記載の事情聴取を受けた者、入札参加を決定した者、入札額を決定した者、見積をした者等のうち従業員である者の役職名・氏名
 実施機関が非開示としたア)、イ)、エ)の情報は、特定の個人が識別される情報であり、本号本文に該当することは明らかである。このような情報が法令や慣行により公にされ又は公にされることを予定しているとは認められない。また、人の生命、身体、健康、財産、生活又は環境を保護するため、これらの情報を公にすることが必要であるとも認められない。したがって、本号だだし書イ及びロのいずれにも該当せず、これらの情報を同号に掲げる非開示情報に該当するとして非開示とした実施機関の判断は妥当である。
 次にウ)についてであるが、建設業者の役員の役職名及び氏名は、建設業法に基づき公衆の閲覧に供されている文書に記載されている情報であると認められるため、法人の役員名簿のように法人の役員が誰であるかということを記載したに過ぎない文書の場合には、建設業者の役員の役職名及び氏名は法令により公にされ又は公にされることを予定している情報であると認められ、同号ただし書イにより、これらの情報を非開示とすることはできない。しかし、公文書の記載内容により、建設業者の役員の役職名及び氏名にそれ以外の何らかの情報が結び付けられて意味が付加され、その付加された意味を含んだ情報が法令等や慣行により公にされ又は公にされることを予定している情報であるとは認められない場合には、その建設業者の役員の役職名及び氏名を開示すれば、付加された意味を含む特定の個人を識別し得る情報であって、公にされ又は公にされることを予定していない情報を開示する結果となり、妥当でない。このような場合には、建設業者の役員の役職名及び氏名を、本号ただし書イを理由に開示すべきであると解すべきではない。
 そこでウ)に掲げる情報を見ると、当該情報は、建設業者の役員の役職名及び氏名に、事情聴取を受けた者、入札参加を決定した者、入札額を決定した者及び工事の見積をした者等の意味が付加された情報であって、このような情報が法令や慣行により公にされ又は公にされることを予定しているとは認められない。また、人の生命、身体、健康、財産、生活又は環境を保護するため、公にすることが必要であるとも認められない。したがって、ウ)に掲げる情報は、本号ただし書イ及びロのいずれにも該当せず、これらの情報を同号に掲げる非開示情報として非開示とした実施機関の判断は妥当である。

(4) 条例第7条第3号(法人情報)の異議について

  本号は、自由主義経済社会においては、法人等の健全で適正な事業活動の自由を保障する必要があることから、事業活動に係る情報で、開示することにより、当該法人等の競争上の地位その他正当な利益が害されると認められるものが記録されている公文書は、非開示とすることができると定めたものである。
 しかしながら、法人等に関する情報であっても、事業活動によって生ずる危害から人の生命、身体、健康又は財産を保護し、又は違法若しくは不当な事業活動によって生ずる影響から県民等の生活又は環境を保護するため公にすることが必要であると認められる情報及びこれらに準ずる情報で公益上公にすることが必要であると認められるものは、ただし書により、開示が義務づけられることになる

(5) 条例第7条第3号(法人情報)の該当性について

  実施機関が本決定において本号に該当するとして非開示とした情報は、以下のとおり分類することができる。
オ(a)の入札談合情報に係る調査結果について及び(b)の談合情報報告書に記載の落札予定業者名と入札参加者名及び情報内容の落札業者名
カ)(c)の工事費内訳書比較表に記載の工事価格、消費税及び地方消費税相当額、本工事費計を除く入札参加者の見積価格、構成比(B/A)、構成比(C/A)
キ)(d)の評価項目一覧及び技術提案書に記載の提案内容
ク)(e)及び(k)の事情聴取一覧表に記載の下請予定の業者名、見積徴収先の業者名、技術提案書の依頼先業者名、技術提案作成に際し参考にした業者名、入札額が高めとなった理由における業者名、話をした相手方業者名
ケ)(f)の入札談合情報に係る調査結果についてに記載の入札参加者名、落札候補者名
コ)(g)の談合情報報告書に記載の落札業者名
サ)(f)の入札談合情報に係る調査結果についての落札候補者とその他の入札参加者の入札価格と落札率及び(h)の開札状況調書に記載の入札者名、入札額、落札率
シ)(i)の工事費内訳書比較表及び(j)の明細書比較表に記載の入札参加者の見積価格、構成比(B/A)
ス)(k)の事情聴取一覧表に記載の業者名、各社毎の詳細に関する事情聴取先の業者名
 実施機関が非開示としたオ)、ケ)、コ)の情報は、実施機関に寄せられた談合情報及びそれに基づく調査に関係した法人名等であり、これらの非開示とした法人に関する情報を開示すると、当該法人があたかも談合に関与しているとの不名誉な疑惑を抱かれるおそれは十分に考えられるところである。したがって当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められるとする実施機関の主張には理由があり、本号に該当するといえる。
 また、談合の疑惑があるというのみで、これらの情報まで公開すべきとする公益上の必要があるとまではいえず、本号ただし書きにも該当しない。よって、非開示が妥当である。
 カ)、シ)に掲げる情報については、通常公開される情報ではなく、これらの情報が法人名とともに公にされると、当該法人の他の工事における見積金額をある程度推測することが可能となる等、当該法人の競争上の地域その他正当な利益を害すると認められる。また、当該情報は、本号ただし書きのいずれにも該当するとは認められない。よって、非開示が妥当である。
 キ)に掲げる情報については、総合評価方式における各法人の課題に対する対応策が記載された文書であり、その内容は、県が入札時に指示した事項のうち、どの項目に優先して取り組み、いかなる方法で充足し、結果を証明するための資料として何を提出するのか、工事現場においてどのような配慮をすべきか等の当該法人の応札技術、具体的な技術提案が記載されており、当該部分の対策内容は、当該法人の施工経験、施工実績等に基づく独自のノウハウに当たるものということができる。
 したがって、当該部分を開示すると、他の同種工事の入札において、競合他社等が当該部分の記載内容を模倣した技術提案書を作成・提出することが可能となり、競合他社等による対抗的な事業活動が行われる等、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するものと認められる。
 しかしながら、それぞれの課題内容については、県から提示された課題をそのまま又は表現を変えて記載しているにすぎず、法人独自のノウハウ等が課題内容の記述から類推できるものでもないことから、非開示とするまでもない。
 以上のことから、各法人の課題に対する対応策については、本号本文に該当し、同号ただし書イ、ロ又はハの情報には該当するとは認められないことから、非開示とすることが妥当であるが、課題内容については、開示すべきである。
 ク)に掲げる情報については、事情聴取一覧表に記載された入札参加業者以外の法人の名称である。これらの法人は入札に関わっておらず、その名称を開示しても、実施機関が主張するような談合に関与しているとの疑惑を抱かれるおそれがあるとは認められないから、開示すべきである。
 ス)に掲げる情報については、事情聴取一覧表に記載の業者名、各社毎の詳細に関する事情聴取先の業者名である。これらの非開示とした法人に関する情報を開示すると、当該法人があたかも談合に関与しているとの不名誉な疑惑を抱かれるおそれは十分に考えられるところである。したがって当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められるとする実施機関の主張には理由があり、本号に該当するといえる。
 また、談合の疑惑があるというのみで、これらの情報まで公開すべきとする公益上の必要があるとまではいえず、本号ただし書きにも該当しない。よって、非開示が妥当である。
 サ)に掲げる情報については、通常、入札が成立した場合に公開される情報であり、公正入札調査委員会の調査結果として「談合の事実は確認できないが、談合の疑いは払拭できない」ことから、当該入札が中止となったため、開札状況調書が公開されないのであり、サ)に掲げる情報を開示しても本件入札者の競争上の地位その他正当な利益を害するとは認められず、サ)に掲げる情報を非開示とする根拠として本号を適用した実施機関の判断は妥当でない。しかし、後述するように、サ)に掲げる情報を含む情報が条例第7条第6号に掲げる非開示情報に該当することを理由にこれらの情報を非開示とした実施機関の決定自体は妥当であると認められるので、サ)に掲げる情報を非開示とした実施機関の決定自体は妥当である。

(6) 条例第7条第6号(事務事業情報)の意義について

  本号は、県の説明責任や県民の県政参加の観点からは、本来、行政遂行に関わる情報は情報公開の対象にされなければならないが、情報の性格や事務・事業の性質によっては、公開することにより、当該事務・事業の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがあるものがある。これらについては、非公開とせざるを得ないので、その旨を規定している。

(7) 条例第7条第6号(事務事業情報)の該当性について

  実施機関が本決定において本号に該当するとして非開示とした情報は、上記(5)のサ)に掲げる情報である。前述のとおり、この情報は、当該入札が中止となったために今後行われる入札執行事務の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれが認められることから、非開示とした実施機関の主張には理由があり、本号に該当するといえる。よって、非開示が妥当である。

(8) 結論

 よって、主文のとおり答申する。

7 審査会の意見

  当審査会の判断は上記のとおりであるが、次のとおり意見を申し述べる。
 実施機関は、当審査会での口頭説明において、三重県公正入札調査委員会の審議内容及びその決定に至る経緯について議事録等は作成していないと説明している。三重県公正入札調査委員会は県の附属機関であり、「附属機関等の会議の公開に関する指針」の会議等の結果の公開において、「開催した会議の議事録又は議事概要を作成するもの」と規定している。これは、県政への県民参画を推進するとともに、県政の透明性、公平性を向上させるために、決定内容や意思形成過程について記録を残し、積極的に公表すべきとしているものであり、その趣旨からも議事録等を作成していないのは、適当でないと考えられる。
 また、事案の内容や重大性から、決定内容や意思形成過程を記録すべきであり、文書を作成しないことが公文書の管理のあり方として適当でないと考えられる場合もあることから、実施機関においては今後の事務処理について適正な運用に努められたい。

8 審査会の処理経過

  当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

別紙1

審査会の処理経過

年 月 日 処理内容
24.7.26 ・諮問書の受理                                          
24.7.30 ・実施機関に対して理由説明書の提出依頼
24.8.10 ・理由説明書の受理
24.8.13

・異議申立人に対して理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認

24.9.27

・書面審理 
・異議申立人の口頭意見陳述
・実施機関の補足説明                       
・審議

     (平成24年度第4回A部会)

24.10.23

・審議
・答申

     (平成24年度第5回A部会)

 

三重県情報公開審査会委員

職名 氏名 役職等   
※会長

早川 忠宏  

三重弁護士会推薦弁護士          

※会長職務代理者 樹神 成 三重大学人文学部教授
会長職務代理者 丸山 康人 四日市看護医療大学副学長

※委員     

岩﨑 恭彦

三重大学人文学部准教授

委員 川村 隆子

名古屋学院大学経済学部准教授   

※委員 竹添 敦子

三重短期大学教授

委員   藤本 真理

三重大学人文学部准教授

 なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

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