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平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第386号                             

答申

1 審査会の結論

 実施機関は本件異議申立ての対象となった公文書のうち、当審査会が非開示妥当と判断した部分を除き、開示すべきである。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、開示請求者が平成24年7月2日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「公共事業の発注単価に反映させる建設廃棄物の受入処分料の見積もりについて分かる全ての文書」についての開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成24年7月13日付けで行った公文書部分開示決定(以下「本決定」という。)の取消しを求めるというものである。

3 本件対象公文書について

  本件異議申立ての対象となっている公文書(以下「本件対象公文書」という。)は、平成23年度建設資材価格実態調査業務委託に係る書類一式である。

4 異議申立ての理由

 異議申立書及び意見陳述における異議申立人の主張を要約すると、概ね次のとおりである。
 委託業務の受託業者の業務実施責任者や担当者等の氏名や経歴を非開示としたことは、業務実施責任者等が本業務の要件を満たしているかどうか県民が確認できないということであり、これらの者の適格性が担保されないままでは、本業務の成果の信用性を疑わせるに十分であるから、これらの氏名や経歴については開示すべきである。

5 実施機関の説明要旨 

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本決定が妥当というものである。
 業務実施責任者及び担当者の氏名等は、条例第7条第2号(個人情報)本文の個人に関する情報であって特定の個人が識別され得るものに該当し、同号ただし書きのいずれにも該当しないため、非開示とした。

6 審査会の判断

(1) 基本的な考え方

 条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。
 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。

(2) 条例第7条第2号(個人情報)の意義について

 個人に関する情報であって特定の個人を識別し得るものについて、条例第7条第2号は、一定の場合を除き非開示情報としている。これは、個人に関するプライバシー等の人権保護を最大限に図ろうとする趣旨であり、プライバシー保護のために非開示とすることができる情報として、個人の識別が可能な情報(個人識別情報)を定めたものである。
 しかし、形式的に個人の識別が可能であればすべて非開示となるとすると、プライバシー保護という本来の趣旨を越えて非開示の範囲が広くなりすぎるおそれがある。
 そこで、条例は、個人識別情報を原則非開示とした上で、本号ただし書により、個人の権利利益を侵害しても開示することの公益が優越するため開示すべきもの等については、開示しなければならないこととしている。

(3)条例第7条第2号(個人情報)の該当性について

 本件対象公文書は、三重県が発注する建設工事の予定価格算出のための設計単価の基礎資料を得ることを目的に実施機関が実施した平成23年度建設資材価格実態調査業務委託(以下「本件委託業務」という。)に係る一連の文書である。
 異議申立人は、本件委託業務において配置することとされている実施責任者、担当者及び担当員(以下「実施責任者等」という。)については、実施機関が落札資格要件として一定の資格、経験を求めており、その配置が適正かどうかを確認するためにも、当該実施責任者等の氏名及び経歴等は開示されるべきであると主張している。
 そこで、実施機関が、本決定において非開示とした情報であって、異議申立人が開示を争っている部分は、本件対象公文書に記載される本件委託業務における実施責任者等の氏名及び経歴等にかかる部分であると考えられるため、当審査会において本件対象公文書を見分した結果を踏まえ、以下これらについて本号該当性を検討する。

 ア 実施責任者等の氏名について
 当該情報は、入札の結果落札候補となった業者の落札資格確認を行う際に当該業者から提出された「実施責任者・担当者・担当員選任通知書」、本件委託業務の契約締結後に受託業者(落札候補業者と同一である)から提出された「業務計画書」、並びに本件委託業務の履行中に実施機関と受託業者が打合せ等を行う際に作成された「委託業務打合せ簿」及び「打合せ議事録」に記載された実施責任者等の氏名である。
 これらの情報は、個人に関する情報であって、直接あるいは他の情報と組み合わせることにより、特定の個人が識別され得る情報であり、本号本文に該当すると認められる。
 そして、本号ただし書きの適用に関して、異議申立人は、業務の成果の信用性の確保等本件委託業務の適正執行の確認のために当該情報を開示すべきであると主張している。しかし、当該情報は、本号ただし書イの情報すなわち「法令若しくは他の条例の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」に該当すると認めるに足る事実は確認できない。さらに、異議申立人の主張をもって直ちに本号ただし書ロの情報すなわち「人の生命、身体、健康、財産、生活又は環境を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」に該当するとまではいえず、本号に該当する個人情報を開示することは是認できない。
 したがって、当該情報を非開示とした実施機関の判断は、妥当である。

イ 実施責任者等の経歴等について
 当該情報は、入札の結果落札候補となった業者の落札資格確認を行う際に当該業者から提出された「実施責任者・担当者・担当員選任通知書」に記載された実施責任者等の現住所、生年月日、学歴、入社年月、職歴、資格及び同種業務の実績についての各記載内容である。
 これらの情報のうち、実施責任者等の現住所、生年月日、学歴及び入社年月については、個人に関する情報であって、直接あるいは他の情報と組み合わせることにより、特定の個人が識別され得る情報であり、本号本文に該当すると認められる。また、本号ただし書きイの情報及び本号ただし書ロの情報のいずれにも該当するとも認められない。
 他方、実施責任者の職歴、資格及び同種業務の実績の各記載内容を見分したところ、職歴欄には、過去の職業についての経歴が記載されている訳ではなく、過去に従事した同種業務の実績が記載されていることが確認できた。そのため、職歴を含むこれらの記載内容については、個人に関する情報であるものの、その全てが特定の個人が識別され得る情報であると一概に是認することができない。
 この点、本件委託業務の仕様書においては、実施責任者等の配置に一定の資格や業務経験を求めており、それ故当該実施責任者等の資格及び同種業務の実績欄に、本件委託業務で要件とされている資格及び業務経験が記載されていることは容易に推測することができる。そのため、同欄の記載内容のうち、本件委託業務における実施責任者等の要件とされている資格及び業務経験部分については、その記載をもって特定の個人が識別され得るまでの特殊な情報であるとはいえないと解すべきである。
 この観点から、各記載内容の本号該当性を検討すると、資格欄の記載内容は、本件委託業務の要件となる資格は記載されていないことから、本号本文に該当するものといえ、非開示が相当であるが、職歴及び同種業務の実績の各記載内容については、本件委託業務の要件に直接関係する業務実績が記載されていることから、当該情報は本号本文に該当するとはいえず、開示することが相当である。
 したがって、実施責任者等の現住所、生年月日、学歴、入社年月及び資格の各欄の記載部分について、それぞれ非開示とした実施機関の判断は、妥当であるが、職歴及び同種業務の実績の各欄の記載部分について、当該部分を非開示とした実施機関の判断は、妥当ではない。

(4) 結論

 よって、主文のとおり答申する。

7 審査会の意見

 審査会の判断は上記のとおりであるが、次のとおり意見を申し述べる。
 本件委託業務は、公共工事の設計単価の基礎資料を得るという目的で実施されたものであり、従来実施機関が行っていた業務を民間に委託するという高い公共性の認められる業務である。民間に委託する前であれば、条例第7条第2号本文の「公務員の職務に関する情報」として、原則として開示されるものの、民間に委託されたことによって原則非開示となり、情報公開の観点からすれば後退することになる。この点に鑑みれば、本件委託業務に従事する実施責任者等の当該業務に係る情報は、条例第7条第2号本文の「公務員の職務に関する情報」に準ずる情報として、原則開示という考え方もあるかもしれないが、条例の解釈としては限界を超えており、上記審査会の判断のとおりとせざるを得ないところである。
 しかしながら、公共性の高い業務を民間に委託することにより、情報公開がより制限されることになるのは好ましいことではないので、同問題を解決するため、かかる情報については、契約上の措置を講ずるなど、さらなる透明性の確保に向けた対応が望まれる。

8 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

別紙1

審査会の処理経過

年 月 日 処理内容
24. 8.10 ・諮問書の受理                                          
24. 8.17 ・実施機関に対して理由説明書の提出依頼
24. 9. 6 ・理由説明書の受理
24. 9.10

・異議申立人に対して理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認

24.10.26

・書面審理  
・異議申立人の口頭意見陳述
・実施機関の補足説明                       
・審議

     (平成24年度第6回B部会)

24.11.30

・審議
・答申

     (平成24年度第7回B部会)

 

三重県情報公開審査会委員

職名  氏名   役職等   
※会長

早川 忠宏  

三重弁護士会推薦弁護士          

会長職務代理者 樹神 成 三重大学人文学部教授
※会長職務代理者 丸山 康人 四日市看護医療大学副学長

委員     

岩﨑 恭彦

三重大学人文学部准教授

※委員 川村 隆子

名古屋学院大学経済学部准教授   

委員 竹添 敦子

三重短期大学教授

※委員  

藤本 真理

三重大学人文学部准教授

 なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
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