水産普及だより 第 25-6号 平成25年10月1日
~ヒロメ養殖に向けて~
尾鷲市古江町の栽培漁業センター(三重県水産振興事業団)にて養殖ヒロメの種糸の生産が始まりました。
尾鷲農林水産事務所水産室では、ヒロメ養殖を応援しています。昨年までは試験的に栽培漁業センターや漁業者と協力しながら養殖に向けた技術開発を続けて参りましたが、今年度から本格的にヒロメ養殖が始まります。
今回は、そんなヒロメについてご紹介したいと思います。
ヒロメについて
ヒロメは、コンブ目チガイソ科に分類されるワカメに近い海藻です。三重県における生息域は、志摩半島以南で、その中では南伊勢から紀北町にかけての、ごく一部の地域で昔から食べられていました。天然では1~3月に漁港岸壁や海底の岩の上などに生えています。ワカメとの大きな違いとしては、葉っぱが大きな卵形で切れ込みがないこと、メカブを作らないことが挙げられます。その大きな葉をまるごと使ってご飯や酢飯を包んだ「ひろめずし(めはりずし)」などの食べ方があります。生で食べるとワカメよりも歯ごたえがあり、シャキシャキした食感が特徴的です。ヒロメには、食物繊維の一種である「フコイダン」がワカメやコンブよりも多く含まれており、カロリーも控えめで健康食品としても優秀です。
そんなヒロメですが、養殖方法はいたってシンプルで、ロープに種糸を巻き付けて海中に垂らしておくだけで生長します。海域条件によって垂らす深さを変えたり、付着物が着かないように定期的に管理することが大切ですが、基本的には難しい技術を必要としない養殖対象種としてこれからの展開に期待が持てます。
水産普及員情報では、ヒロメ養殖のその後の経過について、順次ご報告させていただきたいと思います。