水産普及だより 第 26-1号 平成26年5月23日
~珍しい魚~
普及員の仕事は、現場に入ってニーズを探るところから始まります。そのため、よく朝市を見に行くのですが、そこではいろいろな漁獲物に出会います。
写真1:大敷の選別の様子 紀北町島勝浦 2014年5月16日撮影
この時期はブリが終わって、ワラサになり、ウルメイワシも獲れてくるころ。そろそろシイラの水揚も増えるかな…。なんて考えながら水揚されてくる魚を見ていると、妙な魚が混じっていたりします。
2014年5月16日に紀北町島勝の市場でこんな魚を見かけました。
写真2:????? 紀北町島勝浦 2014年5月16日撮影
漁師さんも、漁協の職員さんも、なんだこれと言っておられました。ここで「○○という魚ですよ」とさらっと言えたらカッコイイのになぁと思いながら、「なんかようわからん魚」として安く売られて行く姿を見送りました。後で事務所の図鑑を使って調べてもさっぱり分からない。ここは一つ詳しい人に聞いてみようと、水産研究所に問い合わせたところ、すぐに「ヒメクサアジ」ですねとの返答が。滅多に見られない魚だということですが、間髪入れずに分かってしまうあたり、さすがだなぁと思いつつ、魚の特徴を捉え切れていない自分の浅はかさを痛感してしまいました。
なお、水産研究所では「おさかな雑録」<http://www.mpstpc.pref.mie.lg.jp/SUI/zatsuroku/zatsurokuindex.htm>で様々な生き物の紹介をしています。是非こちらもご覧下さい。
早田の深海魚?
さて、朝市を見て回っていると、1匹、2匹名前の知らない魚が混じっていることはよくあることですが、時には珍しい魚がたくさん揚がってくることもあります。
2014年5月9日くらいからしばらくの間、尾鷲市早田で「ハシキンメ」が大量に水揚されていました。その様子は「こうちゃんの早田ブログ」<http://blog.localblog.jp/kouchan/>で紹介されています。(早田のおもしろ情報が満載のブログですので、是非ご高覧を。)
写真3:ハシキンメ こうちゃんの早田ブログより
写真4:ハシキンメ こうちゃんの早田ブログより
この魚は深海性で、普通は底曳き網などで獲られるものですが、なぜか早田の定置網にたくさんかかっていました。風や沖合の海流の影響で、沿岸の海表面の流れが速くなると、深海の水が引っ張られて表層まで上がってくることがあるのですが、その小規模なものが起こっていたのかもしれませんね。
さてこのハシキンメ、関東の方では割と高値で取引されるらしいのですが、今回早田で揚がったものは、「魚体が小さすぎて値が付かない」そうです。どんどん選別されていく手の平より小さいハシキンメたち。開いて干物にしても美味しそうだけど、手間がかかるよなぁ、などと思いを馳せつつ次の仕事のヒントを探しています。こちらをご覧の皆様もこんな珍しい魚があるよ、こんな魚がたくさん獲れすぎて困ってるよ、ということがあれば、是非ともわたしたちにお教え下さい。(連絡先は以下)