水産普及だより 第 26-2号 平成26年6月16日
~ヒジキを増やそう~
皆さんは、伊勢ひじきという名前を耳にしたことはありますか。今やヒジキの多くが輸入品という状況のなか、三重県は国内で1、2位を争うヒジキの名産地となっています。三重県内では伊勢志摩地方だけでなく、東紀州地域でも純国産ヒジキの採介藻漁業が行われています。今回は、紀伊長島区海野での取り組みを紹介します。
昨今では、磯焼けなどによってヒジキが減少しているという話もありますが、海野の磯では地元漁師によると、ヒジキの生息数は回復傾向にあるそうです。しかしながら、ヒジキが採れる場所、採れない場所によって差があり、ところによっては全く生えてこないなど、ばらつきがあるそうです。ヒジキの生産量が安定し、収穫が増えることは、漁業者の収入に直結するので、これから先の漁業を続けていくためにとても大切なことです。さて、今年から海野漁協では、そんなヒジキを守り育てていくために、ヒジキの増殖に取り組むことにしました。
~磯掃除~
ヒジキの増殖は、ヒジキの卵(種)を直接磯にまくことによって行います。ヒジキの卵は海水より重いため、あまり遠くには運ばれません。そのため、ヒジキの卵を回収し、本来なら生えるはずであった場所にまいてやれば、少なくなったヒジキの数が回復するというわけです。もちろん、ヒジキが少なくなった原因は様々で、一概に種をまけば増えるというものでもありません。海野では、ヒジキが生えなくなった磯の表面についたイガイやカキといった生物を除去する、いわゆる「磯掃除」という取組を行いました。
写真:磯掃除の様子。ヒジキの生えていない白い部分の生物などを取り除いている。
今年は試験的にこの磯に種をまき、ヒジキを増やす取組を進めます。こうした地道な活動を続けることが、未来の漁業を支えていく礎になると信じて、普及員一同も全力でサポートして参ります。