三重県工業研究所の丸山裕慎主任研究員等が発表した研究事業の論文「地域特産果実を副原料として用いた新香気クラフトビールの開発」が、令和4年度日本食品科学工学会の論文賞を受賞しました。
記
1 概要
平成30年に酒税法の規制緩和が行われたことを受け、三重県内の特産果実を副原料として使用したクラフトビールの開発に関する研究に着手し、公益社団法人日本食品科学工学会で論文発表を行ったところ、内容が評価され、「論文賞」の受賞に至りました。当該表彰は、「日本食品科学工学会誌に発表した特に優秀な論文の著者に授与」されるものです。地方自治体が設立した、公設試験研究機関の研究員による受賞は14年ぶり3例目の快挙です。
2 受賞内容
受賞学会 :公益社団法人日本食品科学工学会
受賞の種類:論文賞
論文名 :地域特産果実を副原料として用いた新香気クラフトビールの開発
著者 :食と医薬品研究課 主任研究員 丸山裕慎(※筆頭著者)
小澤敦揮(現在 四日市地域防災総合事務所 技師)
主幹研究員 山﨑栄次
藤原孝之(現在 中部大学 教授)(計4名)
3 研究の経緯および今後の研究方針
(1)研究の経緯
近年、日本国内のクラフトビール消費量や製造業者数は急激に増加しており、今後も堅調な成長が期待されております。平成30年4月には、酒税法のビールの定義が改正され、所定の添加量であれば果実や香辛料等の風味付けを目的とした副原料の添加が可能になりました。この法改正では、消費者にとって真に魅力のある商品開発を促すことや、地域の特産品等を副原料に用いることで地域の特色を活かした商品の開発により、地方創成をけん引することが期待されています。
そのような背景のもと、三重県内の特産果実(カラ、みえ紀南4号、サマーフレッシュ、パッション フルーツ、アテモヤ)を副原料として使用したクラフトビールの開発を目指して研究・試作を重ねたところ、特産果実特有の香味が特徴のクラフトビールができました。これらの研究成果を論文にまとめ、日本食品科学工学会で発表したところ「論文賞」の受賞となりました。当該研究成果は、三重県内のクラフトビール事業者の技術研鑽の場である「三重クラフトビールの会」で情報提供を行い、各ブルワリーの商品開発に貢献しております。
(2)今後の研究方針
地域の特色を活かしたビール開発として、二軒茶屋餅角屋本店と三重県工業研究所が共同研究を実施し、三重県清酒酵母「MK3」をもとに、ビール醸造特性を獲得した新規ビール用酵母「BMK3」を開発しました。清酒酵母の特性を引き出したビール醸造技術について三重県として知財化を行い、日本初の清酒吟醸香を特徴とした新規ビールの商品化に至っており、「BMK3」を用いて醸造したビールは、既存のビール酵母が作るビールとは異なり、清酒のような果実様の吟醸香を特徴とした、ユニークな酒質のビールとなっております。今後はさらにこれら技術をブラッシュアップし、日本オリジナルクラフトビールとして輸出用の高付加価値商品となるよう、引き続き研究開発を行います。
(参考URL:https://www.jst.go.jp/tt/journal/journal_contents/2022/07/2207-08_article.html)
4 問合せ先
三重県工業研究所 食と医薬品研究課 担当 丸山
〒514-0819 津市高茶屋5丁目5番45号
電話 059-234-8462