三重県では、平成26年4月~9月に東日本大震災の復旧・復興に伴う埋蔵文化財発掘調査を支援するため、宮城県に埋蔵文化財の専門職員1名を派遣しました。講師は、実際に宮城県へ派遣された当センターの渡辺和仁が行い、宮城県を中心とした復興時の埋蔵文化財の発掘調査状況や埋蔵文化財が被災地・被災者に果たす役割と意義について、被災地で経験した内容を踏まえて説明しました。また、現地で担当したJR常磐線移設・復旧工事に伴う発掘調査(宮城県亘理郡山元町:新中永窪遺跡・熊の作遺跡)の成果や三重県内の発掘調査で見つかっている地震痕跡(噴砂・液状化痕跡・津波堆積層)、嘉永7(1854)年安政東海地震や昭和19(1944)年の東南海地震の猛威を後世に伝える記念碑について紹介しました。
講演会参加者からは、「東北地方での地震について考え直すことで、三重県で地震が起きたらどうなるのだろうと考えさせられた」、「復興と発掘調査との調整は難しいなと思いました」などのご感想や「他の市町でも話をしてほしい」というご意見もいただくことができました。
震災から6年が経過した今、その記憶の風化が叫ばれている中で、改めて災害・復興と埋蔵文化財の発掘調査・成果が地域にもたらす役割・意義を考え直すことができました。
講演会での講演風景 | 発掘調査風景や被災状況の写真パネル展示 |