健康食品~「トクホ」と「栄養機能食品」~(平成23年8月)
(三重発!食の安全・安心情報メールマガジンVol.157、158より)
前編
1.健康食品について
新聞、テレビ等で広告を目にする機会の多い、いわゆる「健康食品」。
種類が多すぎて、自分の体にはどれが必要なのか、そもそも摂らないといけないものなのか等々、悩む人も多いのではないでしょうか。
広島県地域保健対策協議会・健康食品の正しい知識の普及に関する特別委員会が実施したアンケート調査によると、健康食品については「健康によい」「栄養素が効果的に摂取できる」「病気の予防になる」など肯定的な意見がある一方、「信じられない」「テレビなどマスコミ情報に影響されやすい」と否定的な意見もあるようです。
健康食品とはどんなものなのでしょうか。
健康食品は健康の保持増進に資する食品として販売・利用されるもの全般を指します。
健康食品の中で製品に含まれる“栄養成分の機能”を表示できるのは「特定保健用食品(通称トクホ)」と「栄養機能食品」だけです。
それ以外の食品については、栄養成分の機能及び特定の目的が期待できる旨の表示をすることや特定保健用食品(トクホ)や栄養機能食品と紛らわしい名称をつけることは禁じられています。
・関連情報
「健康食品の正しい利用法」パンフレット(厚生労働省)…オススメ!
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/dl/kenkou_shokuhin00.pdf
2.「特定保健用食品(トクホ)」とは?
からだの生理学的機能などに影響を与える保健機能成分を含む食品で、「血圧、血中のコレステロールなどを正常に保つことを助ける」、「おなかの調子を整えるのに役立つ」など、特定の保健の目的が期待できることを表示できる食品です。
製品ごとに有効性や安全性について審査を受けています。許可を受けたものには、消費者庁長官の許可マークがつけられています。(参考画像 http://www.caa.go.jp/foods/pdf/foods_index_4_161013_0001.pdf)
・特定保健用食品(トクホ)許可制について(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/foods/index4.html#m02
3.特定保健用食品に必ず表示しなければならない事項
※【 】内はコンニャク入り洋生菓子の表示例です。
○商品名
【蒟蒻ドリンク いちご味】
○名称
【洋生菓子】
○原材料の名称
【果糖ぶどう糖液糖、難消化性デキストリン、エリスリトール、いちご果汁、果糖、洋酒、こんにゃく粉、ゲル化剤(増粘多糖類)、酸味料、乳酸Ca、香料、甘味料(スクラロース)】
○内容量
【150g】
○賞味期限
【キャップに記載】
○栄養成分量及び熱量
【1袋150gあたり エネルギー39kcal、たんぱく質0g、脂質0g、糖質12.9g、食物繊維6.7g、ナトリウム45mg、カリウム35mg、関与成分…難消化性デキストリン(食物繊維として)5g】
○特定保健用食品である旨
【消費者庁許可 特定保健用食品】
○許可又は承認を受けた表示の内容
【難消化性デキストリンが含まれているのでおなかの調子を整えます。】
○1日当たりの摂取目安量
【1食(150g)を目安にお召し上がりください。】
○摂取の方法及び摂取する上での注意事項
【摂りすぎあるいは体質・体調によりおなかがゆるくなることがあります。多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。他の食品からの摂取量を考えて適量を摂取してください。すこしずつ押し出して良く噛んでお召し上がりください。】
○1日当たりの摂取目安量に含まれる機能表示する成分の栄養素等表示基準値に占める割合(栄養素等表示基準値が定められているものに限る)
【-】基準値が定められていないので表示なし
○調理又は保存の方法に関し特に注意を必要とするものはその注意事項
【高温、直射日光、冷凍を避けて保存してください。】
○バラスのとれた食生活の啓発を図る文言
【食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。】
○許可又は承認マーク
4.関連情報
トクホには「疾病リスク低減表示」「条件付き」などの分類があります。詳細については下記のホームページをご参照ください。
・特定保健用食品(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin86.pdf
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後編
今回は「栄養機能食品」についてご紹介します。
1.「栄養機能食品」とは?
通常の食生活で1日に必要な栄養成分を摂れない場合に、その補給や補完のために利用される食品です。販売されている製品はサプリメントや菓子、清涼飲料水などで、カロリーや脂質など一般の栄養成分表示だけでなく“栄養成分の機能”を表示して販売されています。
ただし、特定保健用食品(トクホ)で許可されている特定の保健の目的に役立つ旨の表示(「お腹の調子を整える」など)や医薬品と誤認されるような疾病の診断や治療、予防などに関係する表現はできません。
栄養機能食品の栄養成分の機能は「亜鉛は味覚を正常に保つのに必要な栄養素です。」「ナイアシンは皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。」などと表示されます。
国が定めた基準(1日当たりの摂取目安量に含まれる当該栄養成分量が定められた上・下限値の範囲内にある)を満たしていれば、その栄養成分を表示できます。トクホのような製品毎の審査はありません。
2.栄養機能性食品として表示できる栄養成分
栄養機能性食品として機能表示ができる栄養成分は以下のとおりです。それ以外の成分は表示できません。
(1)ビタミン:代謝に必須の微量栄養素です。
ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、葉酸
(2)ミネラル:生体組織の構成や、生理機能の維持・調節に必要な微量栄養素です。
カルシウム、亜鉛、銅、マグネシウム、鉄
サプリメントなどが栄養機能性食品として販売されていますが、製品に複数の栄養素が含まれている場合、どの栄養素が基準を満たしているのか注意が必要です。
3.栄養機能食品に必ず表示しなければならない事項
※【 】内はカルシウムのサプリメントの表示例です。
○商品名
【カルシウムさぷり】
○栄養機能食品である旨
【栄養機能食品(カルシウム)】
○栄養成分の名称及び機能
【カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です。】
○栄養表示基準に従った栄養成分量及び熱量の表示
【(3粒(1g)当たり エネルギー2kcal、たんぱく質0.2g、脂質0g、炭水化物 0.6g、ナトリウム1mg、カルシウム400mg】
○1日当たりの摂取目安量
【1日当たり3粒を目安にお召し上がり下さい。】
○摂取の方法及び摂取する上での注意事項
【かまずに水などでお飲み下さい。本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。】
○バランスのとれた食生活の啓発を図る文言
【食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを】
○消費者庁長官の個別の審査を受けたものではない旨
【本品は、特定保健用食品と異なり、消費者庁長官による個別審査を受けたものではありません。】
○1日当たりの摂取目安量に含まれる機能表示する成分の栄養素等表示基準に占める割合
【カルシウム57%】
○調理又は保存の方法に関し、注意を必要とするものはその注意事項
【保存は高温多湿を避け、開封後はお早めにお召し上がりください。】
4.関連情報
・栄養機能食品(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/hokenkinou/hyouziseido-3.html
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