「農業をより良くする取組」GAP(平成24年1月)
(三重発!食の安全・安心情報メールマガジンVol.167、168より)
前編
みなさん、「GAP(ギャップ)」という言葉を聞いたことがありますか。
「ずれ」を表すギャップではありません。「Good Agricultural Practice」の頭文字を取ったもので、農産物の安全性を確保し、生産工程の効率化を図る手法のことです。
日本語では、「農業生産工程管理」と訳されていますが「Agricultural(農業)」をより「Good」にする「Practice(取組)」と覚えると分かりやすいと思います。
今月は、みなさんに安全な農産物を届ける取組であるGAPについて特集します。
♪ GAPってどういう取組なの? ♪
GAPでは、農作業を行う上で気をつけなければいけないこと、100点満点の農産物を作るために注意すべき点などをあらかじめ整理してルールを決定します。そして、このルール通りに作業が行えるよう、チェックシート(作業確認シート)を作成し、このチェックシートで確認しながら農作業を進めるというものです。
ミスが起きそうな点をあらかじめピックアップし、確認しながら作業を行うため、うっかりミス等を減らすことにつながり、無駄のない作業環境の確立や高品質でより安全な農産物の生産につなげていくことが出来るようになります。
GAPではPDCAサイクルを用いて、より良い農業生産に繋げていきます。PDCAとは「PLAN(計画)」「DO(実践)」「CHECK(点検・評価)」「ACTION(見直し・改善)」の頭文字を取ったものです。
《計画》PLAN
安全な農産物を作るための作業計画やチェックシートを作成します。
↓
《実践》DO
計画に基づいているかチェックし、記録を残しながら作業を行います。
↓
《点検・評価》CHECK
作業記録を元に点検や課題の抽出を行います。
↓
《見直し・改善》ACTION
課題の解決に取り組み、よりGoodな農業を目指します。
↓
《再び計画へ》
前作での反省を次作に反映します。
より安全な農業生産へ!
また、もしルール通りに行かなかった場合、何か不具合が発生した場合でも、見直しや改善を行うことで、より安全な農産物づくりにつなげていきます。
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後編
前回では、GAPとはどういう取組なのか、またGAPの大きな特長の一つである「PDCAサイクル」について紹介しましたが、今回はもう一つの特長である「工程管理」について紹介します。
♪ 農産物の安全性を確認する「工程管理」 ♪
農産物の安全を確認する手法には、作業内容を確認しながら行う「工程管理」と最終段階で抜き取り検査を行う「結果管理」があります。
「結果管理」では、万が一問題が発生した際、その原因がどこにあったのかを確認することが難しく、また抜き取り検査に問題がなかったとしても、他の農産物の安全を担保するにはいたりません。
しかし、GAPでは「工程管理」を行うこと(場合によっては「結果管理」を組み合わせる)によって、次のような効果があります。
1)トラブル発生の予防
あらかじめ問題の起きそうな点をピックアップし、その作業を確認しながら行うことで、トラブルが発生しにくくなります。
2)検査結果の反映
GAPでは、一つ一つの工程を確認しながら記録を残す作業を行っていますので、その作業記録をもとに抜き取り検査の結果を他の農産物へ反映することができ、安心感が高まります。
【 結果管理と工程管理の違い(例)】
結果管理 【ほ場準備・施肥】 工程管理
↓ ← ☆ 施肥基準に基づいているか
【は種】
↓ ← ☆ は種適期に行ったか
【農薬散布】
↓ ← ☆ 使用基準を守っているか
【収穫作業】
☆ 農産物は安全か → ↓ ← ☆ 異物混入はないか
【出荷】
「結果管理」のみでは何か問題があっても原因がわかりにくいのですが、「工程管理」では確認しながら作業をするので、事故が起こりにくいといえます。
GAPはもともと生産者への自主管理の手法として生まれたものですが、
1)農産物の品質の向上
2)事故予防などによる安全性の向上
など、こうしてみると消費者のメリットも大きいと言えます。
ホームページ「食の安全・安心ひろば」用語解説コーナー「気になる言葉」にも「GAP」を掲載しています。こちらもあわせてご覧ください。
http://www.pref.mie.lg.jp/SHOKUA/HP/kininaru/gap.htm
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GAPは安全・安心な農産物の供給にも貢献しているのですね。