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平成24年03月09日

平成19年度三重県食の安全・安心フォーラム 意見交換会

対談及び会場との意見交換

中野栄子さんと長村洋一さん

中野さん

また再び皆さん、こんにちは。この時間から私と長村先生の二人で対談をしなさいと言われまして、実は私たちは、私たちと言いましても、長村先生は大先生で、私は単なる記者なんですが、先ほどご紹介しました『Food  Science(フードサイエンス)』というWEBサイトで、実は長村先生にも「多幸之介(たこのすけ)」というペンネーム、ペンネームと言うか愛称とともに、勿論長村先生の名前も出されて、「多幸之介が斬る!食の問題」ということで、毎月連載をしていただいています。とても人気があります。それで今日はこうやって対談ができるということで大変嬉しく思います。いつもの『Food Science(フードサイエンス)』の議論の延長というような感じでやらせていただきたいと思うんですが、今日はこうやってせっかく三重県にまいりました。
 三重県は今、『赤福』の問題で大変揺れて、さぞかし皆さん落ち込んでいらっしゃるんじゃないのかなということで、すごく心配して来たわけなんですが、意外に皆さん明るくて、今、直前のお歌も大変楽しく聞かせていただきまして、三重県の食の明るい未来が感じ取れました。
 それで、早速なんですが、先生、『赤福』の問題で、冷凍を実はしていたとか、糖類加工品が使われていたことも表示されていなかったなんていうことで、それに対してもものすごくマスコミは叩いているんですが、実は冷凍技術というのはとても良い技術だし、糖類加工品もやっぱり良い技術だと思うんですね。それは先生はどのようにお考えになるか、得意分野から。

長村さん

やっぱり今回の問題というのは、結局、消費者の皆さんが思っていたような形で売られていなかったというところに一番大きな問題点があった。先ほど中野さんの話の中にも、この一連の今年起こった食の事件、誰も食中毒で死んだ人も病気になった人もいないという、ここのところはやっぱり食の技術が変わってきているということと、それともう一つは、実は食の世界というのは本当に原始の時代から身近なことであったために、いろいろそこそこのやり方と、なあなあという部分があったんじゃないかなと。
 ところが、それが法律というところで規制をされてくるようになると、そうすると問題になってしまうというところで、やっぱり『赤福』も、実は僕も千葉に来るようになってから、名古屋で買える非常にいいお土産が『赤福』で良かったんですが、今は買えないということで困っています。ただ、消費期限等の改ざんなんかについては、ひょっとするとやっぱり影響があったかも知れないと思われますのは、僕も買って帰って、1日ぐらいちょっと学生なんかに渡すのを忘れていたりした時に、だいたいは食べて大丈夫だったんですが、時にカビが生えていたりしたことがありましたので、そのへんはよく調べてみないと分かりませんが、ひょっとしたらやっぱりそういうところにあったのかもしれない。
 ところが、ご存知かと思いますが、今もうクリスマスケーキというのは作り始められています。あれはみんな冷凍しておいて、12 月25日前後にワーッと放出されるわけです。その技術で結局保存してみえたわけですから、簡単に言えば、本当に安全という点においてはある意味で問題はなかった。だけど、やっぱりまるで今日作って、明日までに食べてくださいよというような感じで表現されて売られていたところに、消費者はやっぱり「騙された」という感覚が出たんだろうなというところがあるんですけれど。
 ただ、再利用として餡子を下請の会社に出してみえた、あれなんかもその下請の会社の物を僕は食べたことはありませんが、ある意味では非常に有効利用という点から考えたら、食中毒も何も起こっていないわけですし、実際に例えば魚屋さんなんか、今日お刺身でOKという魚は、明日になると煮物・焼き物用になっています。あれも刺身の消費期限を廃棄せずに、あんなことをやっていいのかというような言い方をするとしたら、やっぱりおかしいんじゃないかなと。
 要するに、食べられるということを最優先して考えて、そこに大量消費の流通の中で安全性をいかに確保するかというところの法的な整備が、今もう一つ必要になって来ているんじゃないかという気がするんですね。

中野さん

そうですね。ちょっと法的整備が追いついていない、現実はどんどん新しい技術が出てきて、変わって来ているのに、法的な整備が追いついていないというところに今回の問題が一つあるような気がします。とは言っても、じゃあ法的な問題が追いついていないから、今回の問題は許されていいということでは勿論ないわけですよね。
 さっき、クリスマスケーキの話が出ましたけれども、これは私が知り合いから聞いた話ですが、クリスマスケーキもまったく同じような問題があるらしくて、売れないと上のデコレーションを全部削って、クリームを全部削って、むき餅ならぬ、むきスポンジにして、次の雛祭りケーキとかお誕生日のケーキとかに使っているという話を聞きました。お菓子業界はだいたいそういうものなんでしょうか。
 それで、『赤福』さんの会長さんの記者会見を拝見したんですけれども、そこでまだ営業停止状態にはありますけれども、今後の決意と言うか、これからどうして行かれるというようなところで、確か元に戻ってと言うか、原点に戻ってと言うか、せっかく実は表にこそ出してはいなかったけれども、そういう技術を利用して全国隅々まで渡るようなことをしていたのに、もうそういうのを否定して、昔に戻って、まさにその日限りの物にするというふうに聞いたんですけれども、それはすごく逆行していくようでもったいないなというふうに思うんですね。せっかくそういう技術もあり、日本のそれこそ先ほど来から出ている日本の自給率がすごく低くて、これから何とかしなくてはいけないという時ですので、むしろそういった技術をこれから積極的に使いますと。
 『Food  Science(フードサイエンス)』の寄稿者の一人もやっぱりこういう意見を言ってくる方がいらっしゃいました。その人はタイに住んでいる人なんですが、それこそソルビン酸とかきっちり正しく使って、ちょっとした量であれだけ効果がある正しい物ですから、それをちょっとだけ使って、なおかつ、冷凍技術も上手に活用して、成田空港に置けばいいじゃないかと。そうすると、成田で世界の旅行客、これから世界に行こうと思っている人がみんな成田で伊勢のお土産を買って、私もすごくファンだから、タイに帰る時は成田で買って、タイに行ってタイの友だちに配れるようにと、そういうふうにおっしゃる方がいました。
 ですので、そういう技術を隠していることが分かって、じゃあもう使いませんではなくて、正直に今度はそういう技術を活用しながら、よりもっと広めていくというほうが良いと思うんですけれども、先生、どうですか。

長村さん

まさにそうだと僕も思います。要するに、食べられるか、食べられないか、そして食べ物で必要なのは、唯一「安全」だけだと思うんです。安全が保障されているということであれば、例えば食べられないような肉を食品添加物で食べさせるという言い方がされているのはさっき話に出しました本にも書いてあります。だけど、僕は食べ物を無駄にしないという考え方はものすごく重要だと思います。
 ここの質問の中にも、「味や臭いを良くして食べるということは問題じゃないでしょうか」と書いてあるんですが、僕はやっぱりおいしくなるということはいいんじゃないかなと思います。例えば「化学調味料」と言って非常に敬遠されているグルタミン酸ナトリウムというものがあります。いくつかグルタミン酸ナトリウムの質問が来ておりますが、簡単に言いますと、これは我々の体の中にグルタミン酸はものすごくたくさん入っているんです。例えば牛肉を100 グラム食べられたら、その20%はグルタミン酸なんです。そのグルタミン酸を加えるとなぜおいしく感じるかと言うと、我々の体というのは、細胞が欲している物をちょっと取った物をみんなおいしく感じるんです。グルタミン酸というのはものすごく体にとって必要な物なんです。だからそういうことになっているんです。
 さっきのだしの素というのを化学的に作ったと言うと、何か合成物質を作ったように見えるんですが、だしの素というのは、結局、なぜあれを入れるとおいしいかと言うと、食べ物の感じがするからなんです。なぜ食べ物の感じがするかと言うと、我々が食べている物は、最初に申し上げたように「生き物」なんです。他の生き物の体の構成成分を化学的に感ずると、それを「おいしい」と感ずる。ですから、決して「化学調味料」というのは、今は何か恐い言葉のように見えるんですが間違っています。我々の世代の方は覚えてみえると思うんですが、昭和30年代には食卓の小瓶に入った味の素が置いてありました。そして、何にでもかけたんです。あれはまずい食生活の中で唯一我々の食生活を少しでもおいしい世界へ連れて行ってくれるという。ですから、あの時の「化学調味料」というのは、今の危険視した言葉ではなくて、賞賛した言葉だったと思います。
化学調味料というのをあえて使ったというのは、化学の世界の素晴らしい物だよというニュアンスがあったんだと思うんです。だけど、その後に出てきたいろんな公害事件なんかから、化学物質=恐いものというイメージが出てきたんです。
 だけど、よく考えていただきたいのは、食品添加物として使われている物は、食品の旨味だとか粘りだとか、そういうものを少し強調することによって、いかにその食品をおいしくするかという、そこに役立っているものばかりなんです。
 ちょっとついでに、この質問の中で非常に多かったものに、いわゆる有吉佐和子さんの言われた『複合汚染』の問題です。いろんな食品添加物を混ぜて使ったら何かすごいことが起こるんじゃないだろうかというところなんですが、これは起こらないということは言えないんです。なぜかと言うと、実際に起こっているんです。
 去年、日本でも起こったがゆえに、販売禁止になった飲料があるんです。それは何かと言いますと、ビタミンCと先ほどの熊笹なんかに入っていると言いました安息香酸、これが一緒になりますと、ごくわずかですけれども、ベンゼンという化合物が出てくるんです。このベンゼンというのは、大量にもし取ったりしますと、再生不良性貧血なんかが起こったり、肝臓病になったりとか、いろいろな障害が起こります。
 ですけれど、その出ている量というのはごくわずかです。そして、これが先ほどの中野さんのお話にも、西洋ではリスクを取って、日本はリスクを回避するということがありました。回避の精神から言えば混ぜないほうがいいんですが、例えばこれを問題にしなかった国もあります。たとえばドイツでも問題になったんです。そこでドイツの政府は国民に対して通達を出しているのは、「この量では何も起こらない」という形で、結局、無視ということになっております。
 今も言いましたように、食品添加物の大半は有機化学合成のところではないんです。食品の中にもともと入っているもの、それをただ量を多くするという、ある部分の化合物を多くすることによって、食品の性質が大きく変わったり、それから食品そのものがおいしくなったりするんです。
 例えばテレビで人工イクラ作成実験をやって恐がらせている大学の先生がおられます。人工イクラというのは、最近はものすごく恐い物のようになってきてしまっているんですが、あの人工イクラは何でできているかと言うと、昆布のぬめりの成分、昆布は水に浸けるとヌルヌルしてきます。あれはアルギン酸という成分なんです。あれを取り出した物にカルシウムを加えますと、凝集するんです。要するに豆乳にマグネシウムを入れると豆腐ができます。あれと同じような感じで考えていただいたらいいんですが、アルギン酸という化合物にカルシウムを入れると固まるんです。それがあの人工イクラなんです。
 アルギン酸というのは、実は今メタボリックシンドロームで非常に問題になっております血液中のコレステロールだとか血糖を下げる作用があるんです。カルシウムというのは骨粗しょう症の予防になるんです。だから、言ってみればいい健康食品です。そんな物も人工的に作られれば、化学的な恐いものというような形で、実際に作られたり、見せられたり、そういう手法が取られているというのが現状かなと思います。

中野さん

ちょっと補足しますが、今、先生がお豆腐を作る時にマグネシウムを入れてと、何気なくおっしゃられて、皆さんの中にはちょっとドキッとした方がいらっしゃるかも知れませんね。マグネシウムというのは、要はにがりですよね。よくこういう食品添加物の議論をしていると、できればないほうがいいじゃないか、仮に食品添加物がこの世の中からなくなってもちゃんと生活ができるんだということを証明して、食品添加物を使わないようにしようじゃないかと、極端なことを言う方が中にはいらっしゃるんですよ。
 でも、じゃあ今、食品添加物がなくなったとしたら、まず日本のお豆腐屋さんは全部廃業してしまうということですよね。ですから、意外に私たちの生活にちゃんと入り込んでいて、普通に健康な私たちの生活を支えていてくれているんだけれども、実は気が付いていないというところがすごく多かったのかなというふうに思います。ですので、こういったような機会を利用しながら、もっともっと勉強していったらいいのかなというふうに思います。
 あと、先生が先ほど、「もう化学合成ではないんですよ」というふうにおっしゃっています。確かに某味の素さん、もう名前を出してしまいますけれども、「未だに化学調味料を作っていると言われているんですよ」とおっしゃるし、私がさっき紹介した消費者調査をうちのメディアでたくさんやっています。その消費者調査の中で、「味の素さんは化学調味料を未だに作っている悪い会社」みたいに、そういうふうに本当に書いていらっしゃる人がいるんですよ。それはまさに事実に反することで、なかなか新しいことが伝わってないなというふうに思います。グルタミン酸ナトリウムを、じゃ、先生、簡単にどうやって作るかというのをお願いします。

長村さん

グルタミン酸は、本当に化学調味料と言うとグルタミン酸ナトリウムというのはものすごく悪い物のようにされていて、質問の中にも一つありましたので説明しますと、グルタミン酸ナトリウムはナトリウム化合物で、ナトリウムをたくさん取ることになるということを言っておられる方がおります。これは、言っている人がたくさんいるという事実はあります。でも、間違っています。
 簡単に言いますと、例えば腎臓病の方々は食塩を減らさなくてはいけない。どういう具合にして減らすかと言うと、だしをたくさん使いなさい、すなわち食塩を減らすためにはだしを使いなさいと言われています。グルタミン酸ナトリウムというのは何で最初に出てきたかと言うと、昆布のだしの成分として見つかった物であります。ところが、昆布から取っていたのでは採算が取れないと言うので、最初に小麦の中のグルテンという蛋白質を分解してグルタミン酸ナトリウムを作ったんです。ですから『味の素』の古い缶には小麦の穂が商標になっています。今は、作り方は、トウモロコシを発酵させて、そこから作っているんです。ですから、ちょうどお酒なんかと一緒です。発酵によって作られた化学物質と言えば化学物質なんです。
 だけど、グルタミン酸ナトリウムはナトリウムがあるから、そのナトリウムをたくさん取ることになりますという、その意見についてですが、たまたま「化学調味料不使用」と書いた煎餅があったんですが、その煎餅と同じ味のする「化学調味料使用」という煎餅と、100 グラム当たりのナトリウム使用量を見ると、明らかに食塩の使用量が多くなっています。学生にこれを食べさせてみて、塩味はどっちが強いか聞くと、いわゆる化学調味料使用のほうの「アミノ酸等」という調味料を使用した物のほうが、こちらのほうが辛いと学生は言います。たくさん食塩が使ってあるみたいだと。ところが、実際に裏を見てみると、30%ぐらい少ないんです。
 現実に、これはいくつか論文が出ておりますが、いわゆるだしの素になるイノシン酸だとかそういう物を加えることによって、食塩の使用量が減るというのが現実であります。ですから、これは病院食の治療の時に、食塩を減らす時に何を増やすかと言うとだしを増やす、これは原則であります。

中野さん

あと、いただいた質問の中でいくつか見られたのは、成長期の子どもにとって食品添加物を取るのは悪いのではないかとか、子どもに与えても大丈夫でしょうかとか、キレる子どもが出やしないかとか、私はそれを全部風評被害と言うか、まったくの根拠のない話だと思うんですが、先生の科学者の立場からそこらへんを今一度。

長村さん

このへんも一つだけ申し上げておかないといけないのは、今年の9月6日だったと思うんですが、『ランセット』というイギリスの非常に有名な雑誌に、医学雑誌では世界的に権威のある雑誌ですが、ここに人工着色料のいわゆるミックスした物を3歳児の子どもと8歳と9歳の子どもに一定期間飲ませたところ、多動性といった、いわゆる落ち着きのない子どもが若干出るんじゃないかという結果が出ましたという報告が出たんです。これは日本のマスコミはわりに取り上げなかったんですが、欧米、要するにイギリス、フランス、ドイツ、ああいった国とそれからアメリカでは、一時期、少なくともあらゆる新聞が一面のトップに出すぐらいの大きなニュースになったんです。
 その後の、たまたま日本ではあまり取り上げられませんでしたが、欧米では収束に向っています。その最近の結論を言いますと、やっぱりもう少し細かい実験の必要があるということと、そしてそのことをもって食品添加物を排斥してしまうほど重要な結論ではないという見解が、いろんな機関から出されております。
 ただ、そこの中に一つだけ、最後に、多くの書いてあることの一番尻尾にありますのは、「一応人工着色料の入った物を子どもにむやみに与えないということは、良いことかも知れません」ということは書いてあります。
 ですが、人工着色料と言われている物で発がん性があるとか書いてあるものもよくありますが、かつてデラニー条項というのが横行していた時に、人工着色料の発ガン性のある物は全部排除されたんです。デラニー条項というのは何かと言いますと、先ほど一番最初に僕が話をしました「チクロ」が廃止されたのは、デラニー条項に基づいたんです。デラニー条項というのをドイツあたりはナンセンスだと言っていたために、そうならなかったんですが、何かと言うと、量に関係なく、与えたら発ガン性の認められた物は使用禁止にすべきであるというのが、デラニー条項です。これはアメリカでだいぶ前に出された条項なんです。これは今、見直しがされております。化学物質は、やはり量を問題にしない世界で物を論じてはいけないということです。
 と言いますのは、ドイツで私がいた糖尿病の研究所の所長が言っていたのも、人間に使う量でどんな動物実験をやっても、絶対発ガンしていないんです。要するに1日に150グラム、ご飯茶碗1杯ぐらい食べた場合にはじめて起こるようなことが、何ミリグラムしか取らない人に起こるだろうか。これは起こらないに違いないというふうに、彼らは言っているわけです。僕はやっぱりその見方は正しかったと今でも思っております。

中野さん

デラニー条項のデラニーとは、発案した人の名前ですよね。で、今見直しがかかって進みつつあるということです。
 あと、せっかくですので、会場の皆さんからもいろいろ質問を受けたいと思うんですが、食品添加物に関してでもいいですし、他の事でも結構ですので、どなたか、この際、先生にもお聞きしたいことがありましたら、どうぞ。

会場1

医薬品なんかでも、認証に非常に時間がかかりますよね。例えば今問題になっているフィブリノゲンなんかでも、最初良いとされて、後でダメだということになっている物もあるわけですが、食品添加物の場合でも、単品では大丈夫でも、量の問題で問題がないということでも、隔世遺伝とか、本人には何もなくて遺伝とかいう問題もあるじゃないですか。そうすると、その遺伝なんかの面も含めて、だいたいどれぐらいの実験期間とか、どういった形で実験をして安全ということが実証されているのか、そのシステムをお伺いしたんですが。

長村さん

ひょっとしてここにお書きになった方ですか?これもお答えしないといけないと思ったんですが、非常に重要な問題だと思います。例えば医薬品においては、一旦認可というのには十何年というような月日を費やして、そしてその効果を見て、これで大丈夫だということで出したけれども、そうでなかったというような物が、医薬品の場合にはあります。ちょくちょく出ています。これは間違いないです。
 ところが、医薬品と食品添加物は、まず次元が違うということをお考えいただきたいんです。その次元が違うというのは何かと言うと、医薬品は、例えば抗ガン剤なんていうのが非常に典型的ですけれども、白血球は減る、髪の毛は抜ける、食欲はなくなる、もう体にあらゆる障害が起こることは分かっているんです。それでもやっぱりガン細胞を潰すということができれば、薬として認可されるわけです。薬というのは、もうはじめから体に対して害があるに違いないという前提のある物質であっても、やっぱり病気を治すためにどれぐらい役に立つかというところから、かろうじて許可されるというのが薬なんです。ところが、食品添加物は、例えば今の「化学調味料」と言われている旨味調味料なんていうのは、全部食品の中にある物のある成分であるわけです。
 それからもう一つは、例えば増粘多糖だとか何とかと言われている、ほとんどの物というのは、我々の体の中にあるものをちょっと変化させたぐらいの物が大半なんです。そうすると、そういう物で医薬品のような危険性がどれぐらいの確率で起こるだろうかと。これはやっぱり科学的に見た時にはかなり低いというふうに考えたほうがいいんじゃないかということがあります。
 それから、実験に関しましては、もう時代とともに変わっておりますけれども、今問題にされました隔世遺伝だとか、それから繁殖性だとか、そういうことも全部含めて試験しないと新規化合物としては通らないようになっております。一応、一生食べ続けた時に何も起こらないというのを2種類以上の動物で確かめないといけないということになっております。
 ですから、相当なレベルでやられていることは事実だと思います。そして、何よりも完璧に医薬品とおよそ次元の違う、もともと安全な物の中からしか選ばれていないということです。ちょっとでも化学的な作用が出るだろうと思われる物については、ほとんど認可にならないのが現状です。

会場1

そうしますと、例えばその実験をするというのは、食品添加物を開発している会社の実験データではなくて、ちゃんと第三者、厚生労働省なりが厳格にやっている検査なんでしょうか。

長村さん

いや、それは業者がやっている実験です。例えばかつて日本ケミファ事件というのを覚えてみえるかと思いますが、医薬品ですが、データを取ってきたというのは、そこに嘘があった場合には、これはとんでもないことになります。そこは業者を信じるしかないんです。厚生労働省そのものが自分のところでやるんじゃなくて、例えばある会社がこれは添加物になるぞと思った時には、医薬品もそうなんですが、これが頭痛薬としていけるぞと思った時には、頭痛薬としての厚労省が規定している試験を全部やって、こんな結果になりましたが、許可してくださいという言い方でいくわけですので、業者です。ですから、そこにいい加減さがあったら、もう何ともならないのが現状だと思います。

会場1

そこに今のような偽装ということがあったとしたら、もう手が付けられないということですね。

長村さん

そうです。ですから、そこらへんは本当に真剣にやっていただきたいというものはあるんですが。医薬品メーカーでも、時にああいうことがありますから、なかなか難しいんですが、ただ、その書類審査をじゃあ何も実験をやらずに嘘をついてもいいかと言うと、それはなかなか難しいようになっています。例えばネズミの実験をやったという時には、どこから買ったか、領収書から何から全部付けて出さないといけないんです。そこを厚労省の役人がどこまで、厚労省と言うか、食品安全委員会の方々がどこまでチェックするかという問題はあるんですが、そこの領収書から何から嘘があって出された、それから大学の先生が書いた論文は実は実験がやってなかったとか、そんなことがあった場合には、もうどうにもならないというのが現実です。

中野さん

他にどなたかご質問はありますか。

会場2

蓄積についてお伺いしたんですが、最近、化学物質アレルギーというのを聞くようになりましたので、人体への蓄積についてはどのようにお考えか、教えてください。

長村さん

一般的に我々の体の中に蓄積する物というのは、油に溶ける物が蓄積します。食品添加物の中にも油に溶ける物がいくつかあります。それらの中の一部のものは、おそらく蓄積するだろうと思われます。
 じゃあ、ものすごく恐いかと言うと、例えばビタミンEなんていうのは典型的な油に溶ける物ですが、そういったような、先ほどもちょっと申し上げたんですが、我々の非常に身近な化合物に近い物が食品添加物になっておりますので、膨大に長い間食べたら、それが蓄積して何かが出てくるということは、非常に考えにくい状況にあると思います。と言いますのは、認可までの過程においてもそういうことがやられておりますので、蓄積というのは、蓄積によって何か害が出るということは非常に考えにくいのではないかなと思います。

中野さん

まだまだ多分質問もたくさんおありでしょうし、たくさんご紹介できていないものもあるんですが、そろそろお時間も過ぎてまいりましたので、まだ私たちはここに残っていますので、もしご質問されたい方は、終わってからもお受けします。
 それで、一旦はお時間になりましたので、ここで終わりにさせていただきたいと思います。
 これからも三重県がまたいいお土産をどんどん開発されて、今度来る時にちゃんと何かお土産を買って帰れるように、ぜひ頑張っていただきたいなと思います。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 農林水産部 農産物安全・流通課 食の安全・安心班 〒514-8570 
津市広明町13番地(本庁6階)
電話番号:059-224-3154 
ファクス番号:059-223-1120 
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