食の安心・安全インターンシップ日誌 5日目
三重県病害虫防除所見学
日時 |
平成28年8月26日(金)10時00分~12時00分 |
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見学先 |
三重県病害虫防除所 |
午前中には病害虫防除所を訪れ、業務内容について教えていただきました。もともと昭和25年に制定された植物防疫法第32条により、地方における外国からの植物の検疫及び防除に関する業務を行う機関として各県に設置されたことが成り立ちです。その後機構改革等を経て平成19年に農業研究所本館に移転され現在の状態に至るそうです。主に業務は植物防疫法関係と農薬取締法関係の二つに分けられますが、今回は植物防疫法関係の中の病害虫発生予察業務と植物検疫業務について教えていただきました。病害虫発生予察のための調査方法としては、予察圃場・予察灯・フェロモントラップ・巡回調査圃場の四種類があり、予察灯とフェロモントラップについて実物を見せていただきました。予察灯とは、昆虫が光に集まる性質を利用し機器に取り付けた電球に集まった虫を下部の装置に貯めることで害虫の予察を行うものです。また、下部の集める装置は7つに分割されており、24時間毎に一回転することで一週間分の昆虫を集めることが可能とのことです。フェロモントラップは、害虫を誘引する化学物質(フェロモン)を粘着板とともに設置するもので、害虫を捕獲し、発生予察を行うものです。
また、捕虫網による害虫の捕獲作業も見学させていただきました。無防除の田んぼにおいて捕虫網を振ったところ、想像していたよりもカメムシのような害虫が多数捕獲されていました。捕虫網を振った所を肉眼で見てもカメムシは全くいないように見えていたので、この結果にはとても驚きました。
また、捕獲した害虫の分別、計数を行っている実験室も見学させていただきました。数十匹の害虫を見たときは驚きましたが、通常ではもっと多く集まるということ、さらに、多発する地域では数千匹も捕獲できるということを聞き、驚きだけでなく恐怖すら感じました。
このような病害虫の検査を行っている根底となっていることは、私たちの食の安全を守るためです。これは、早期に注意を喚起することで早めの防除が可能になり、使用する農薬の量・回数を減らすことができるためであると教えていただきました。また、防除所からの情報を待たなくても、コンビニの光に集まる虫の量を一部のエリアに絞って数えてみることなどでも簡単な予想が立てられるため、普段から意識しておくことが大切であることを覚えておいてほしいとのことでした。
直売所「朝津味」見学
日時 |
平成28年8月26日(金)13時00分~15時00分 |
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見学先 |
直売所「朝津味」 |
午後からは(株)フューチャー・ファーム・コミュニティ三重が今年7月に設立した農産物直売所「朝津美」の見学と農薬適正使用の情報共有に訪れました。「農薬を使用するものが遵守すべき基準を定める省令」である農薬使用基準に基づき、これまで取り組んできた農薬適正使用の指導をより一層強化する農薬適正使用啓発強化運動を三重県内農業関係団体と県関係機関が連携して実施していることから、今回は約400名の農家が登録している朝津味に農薬使用について相談を行いに訪れました。
農薬は容器に記載されているラベル通りに使用するのはもちろんのこと、どの農薬をいつ使用したかといった履歴の情報も記載し管理しておくことが望ましいです。直売所では市内の多くの農家から出荷されており、農薬使用・管理について、啓発を行っているとのことでした。そのため、作付の時期に合わせて農薬などに関する講習会を行い、生産者に対する意識づけや情報提供を行っているとのことでした。現在は直売所側が生産者の記載したシート全てに目を通し、チェックした後コンピューターにデータを読み込み保存しているとのことでしたが、最終的には問題があった場合のみシートを見るというレベルまで生産者の意識の向上に努めたいとのことでした。また、自主的に商品の収去を行い、農薬検査を行うことで生産者の方々の意識を高めているとのことでした。
このように様々な手段を講じて農産物の安全・安心を保障している姿勢を見て、直売所「朝津味」の農産物の安全に対する意識の高さが窺えました。