伊賀地域における「特別な支援を必要とする子どもたちの県立高等学校への受入れと支援」について、先進校視察(10月9日:和歌山県立和歌山東高等学校)を踏まえて、今後の方向性を協議しました。
1 日時 平成28年1月8日(金)19時00分~21時05分
2 場所 三重県伊賀庁舎(伊賀市四十九町2802)
3 主な意見等
○ 先進校視察に参加して、和歌山東高等学校における分かりやすい授業づくりや習熟度別授業、高校から中学校への丁寧な聴き取
り等の取組が印象に残った。また、発達障がい等のある子どもたちを「困った生徒」ではなく「困っている生徒」であると捉え直
す意識変革が大切であり、社会的自立が課題であるという視察校担当者の言葉も印象的であった。
○ 先進校視察では、教員が根気よく指導している様子が印象に残った。昨今は、個に応じた教育の必要性が高まっているので、必
要な教員数を確保する等、時代やニーズに応える政策が必要である。
○ 「特別な支援を必要とする子どもたちの県立高等学校への受入れと支援」と言えば簡単だが、高校現場での実際の指導は難しい
と感じた。視察先の高校は十数年にわたって取組を続けて、ようやく成果をあげている。
○ 知的障がいのある子どもたちを含めて中学校の特別支援学級に在籍していた子どもたちも、実際に地域の県立高校に合格・入学
しており、入学後も様々な支援を受けながら学んでいる。
○ 当地域では、特別支援学校と高校とを併願するケースが多いが、知的障がいのある子どもたちにとって、高校の教育課程を履
修することは難しく、「インクルーシブ教育システム」の理念も踏まえると、中学校の特別支援学級に在籍している子どもたちの
すべてが高校へ進学することは適切とは言えない。
○ 高校には入学者選抜や単位の履修・認定があるが、高校進学率が100%近い状況の中で、高校で学びたいというニーズに応え
ていく必要があるのでないか。また、多様な科目を設置する等の教育課程の工夫や、指導方法の工夫を進めるためには、教員数が
必要である。
○ 高校の教育課程においては、評価に基づく単位の認定が鍵になる。合理的配慮は重要であるが、評価については、特別な支援を
必要とする生徒と他の生徒を別の基準で評価することは、今の制度上、難しい。
○ 大学入試等においても選抜の多様化が進み、多様な生徒が入学してくるが、単位の認定にかかる評価の公平性については悩まし
いところである。
○ 生徒募集の段階で特別枠を設けることについては、県全体の入学者選抜制度に関わる問題であり、当地域協議会での協議だけで
は結論は出ない。小中学校の特別支援学級数も増加する中、国の制度や県の方向性によるところが大きい。
○ 中学校で特別支援学級に在籍していた子どもたちが、高校の1学級40人のいわゆる通常の学級で学んでいくことは難しいと思
われる。そこで、少人数授業となる選択科目を数多く設ける等の教育課程の柔軟化を進め、高校入学の門戸拡大へとつなげてはど
うか。また、中学校卒業者数が減少していく中で、そういった方向性・役割をどの高校に担ってもらうのかを、地域全体の学科の
適正配置と合わせて考えなければならない。
○ 県が、県立高校で学ぶ特別な支援を必要とする子どもたちを支援するための人員配置等を行えるのかどうかか問題である。
○ 特別な支援を必要とする子どもたちが、いかに自立し、社会へ出て行けるようにしていくためには何がよいかという観点が大切
である。