過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法第7条第1項の規定に基づき、三重県過疎地域持続的発展方針を策定しました。
1 策定の趣旨
令和3年4月1日に施行された「過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法」(以下「過疎法」という。)に基づき、三重県における過疎地域の持続的発展を図るための基本的な事項や実施すべき施策に関する事項を定めた「三重県過疎地域持続的発展方針」を策定しました。
本方針の対象地域は次の11市町15地域です。
ア 過疎地域(10市町14地域)
・松阪市の一部(旧飯南町、旧飯高町)
・尾鷲市
・鳥羽市
・熊野市
・志摩市の一部(旧浜島町、旧大王町、旧志摩町、旧磯部町)※
・伊賀市の一部(旧島ヶ原村)※
・大台町
・大紀町
・南伊勢町
・紀北町
※今回、志摩市の一部及び伊賀市の一部が新たに過疎地域に指定されました。
イ 特定市町村(1市1地域)
・津市の一部(旧美杉村)
※過疎地域自立促進特別措置法(旧過疎法)に基づき過疎地域であった市町村のうち、過疎法の
過疎地域に該当しない市町村(いわゆる卒業団体)については、「特定市町村」として令和8
年度までの間、過疎法の経過措置の対象となります。
2 対象期間
令和3年4月1日から令和8年3月31日までの5年間
(過疎法は令和13年3月31日までの時限立法であり、本方針はその前期を対象期間としています。)
3 本方針の概要
(1)基本的な事項
①過疎地域の現状分析
・過疎地域の人口減少率(S50→H27:40.6%)や高齢者比率(H27:42.2%)、市町の財政力等につ
いて現状分析
・市町道の改良率・舗装率、汚水処理人口普及率、1人あたりの所得金額等において、非過疎地域との
格差が残っている
②過疎地域における課題と新たな潮流
・過疎地域を取り巻く厳しい環境の見通しとして、次のとおり課題を整理
ア 急速な人口減少と高齢化
イ 自主財源に乏しい財政構造
ウ 地域産業の活力低下と雇用の場の不足
エ 公益的機能の低下
オ 生活基盤の整備の遅れ
・一方で、過疎地域の可能性を広げる新たな潮流について、次のとおり整理
ア SDGsの理念の広がりと脱炭素社会の実現に向けた動き
イ デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進
ウ 新しい人の流れと人と地域のつながりの創出
③過疎地域持続的発展の基本的方針
・過疎地域が有する、都市部にはない自然環境、景観、生活文化、ライフスタイル等の価値・役割は、
SDGsで示されている持続可能性や多様性等の考え方と親和性が高く、過疎地域の持続的発展は、
SDGs実現のロールモデルにもなり得ます。
・このことから、過疎地域の特性を生かした教育の展開や新しい人の流れと地域とのつながりの創出、
地域社会の担い手となる人材の育成、しごとづくりの新たな展開などに加え、これまで過疎地域に
とって不利とされてきた時間や距離の制約を取り払うDXを積極的に推進するとともに 、「誰一人
取り残さない」ことを理念とするSDGsの考え方を取り入れることで、過疎地域の持続可能な発展に
向けた取組を進めていきます。
・また、新型コロナウイルス感染症の拡大により、ワーケーションや二地域居住等の新しい働き方や
暮らしが注目されるなど、人びとのライフスタイルや価値観等が大きく変化しつつあることをチャ
ンスととらえ、過疎対策に取り組んでいくこととします。
(2)各施策別取組方針
・移住・定住・地域間交流の促進、人材育成
・農林水産業、商工業、情報通信産業その他の産業の振興及び観光の開発
・デジタル社会の推進
・交通施設の整備及び住民の日常的な移動のための交通手段の確保
・生活環境の整備
・子育て環境の確保、高齢者等の保健・福祉の向上及び増進
・医療の確保
・教育の振興
・集落の整備
・地域文化の振興等
・再生可能エネルギーの利用の推進
・その他地域の持続的発展に関し必要な事項
4 今後の予定
本方針に基づき、過疎市町(特定市町村を含む)は、当該市町の議会の議決(9月又は12月)を経て「過疎地域持続的発展市町計画」を策定します。この計画に基づいた事業の実施にあたっては、過疎対策事業債の活用など財政優遇措置が講じられます。
また、県は、本方針に基づき、「過疎地域持続的発展県計画」を策定します。(12月予定)