三重県埋蔵文化財センターでは、東海環状自動車道建設事業に伴い、平成29年度から、いなべ市北勢町塩崎(しおざき)にある空畑遺跡(そらばたいせき)の発掘調査を行っています。今年度の調査では、縄文時代前期(約6,000年前)の竪穴建物3棟と墓の可能性のある楕円形の穴28基、弥生時代中期(約2,000年前)の竪穴建物1棟を確認しました。縄文時代前期の竪穴建物はこれまでの調査でみつかったものを合わせると7棟となり、県内最多例となります。
縄文時代の竪穴建物からは多数の縄文土器や石器が出土し、楕円形の穴からは県内では珍しい玦状耳飾りなどの装身具が出土しました。
この成果を広く皆様に知って頂くために、下記のとおり現地説明会を開催いたします。
記
1 日時 令和元年11月16日(土)午前10時から午前11時まで
2 場所 空畑遺跡発掘調査現場(いなべ市北勢町塩崎)
※車で来場の場合
国道306号「瀬木」交差点を北進し、県道157号(川原北勢インター線)を直進約3㎞。左手に
臨時駐車場があります。(当日は黄色ののぼり旗を目印にして下さい。)
※公共交通機関を利用の場合
三岐鉄道北勢線阿下喜駅より北西へ向かい、阿下喜交差点を北進。県道25号(南濃北勢線)を直進
して塩崎橋を西へ渡る。徒歩約2時間(約6㎞)。
3 説明者 三重県埋蔵文化財センター職員
4 参加方法 どなたでも参加できます。直接会場にお越し下さい(事前申込不要)。
5 調査の概要
空畑遺跡は、いなべ市北勢町塩崎に所在します。今回みつかったのは縄文時代前期(約6,000年前)
の竪穴建物3棟と楕円形の穴28基、弥生時代中期(約2,000年前)の竪穴建物1棟です。
縄文時代の竪穴建物は3棟とも円形で、大きいものは直径約6m、小さいものは直径約4mありま
す。いずれの竪穴建物からも、縄文土器や石器が多数出土しました。出土した縄文土器は県内でよくみ
られる関西系の北白川下層式(きたしらかわかそうしき)の土器が主体ですが、関東系の諸磯式(もろ
いそしき)の土器の影響をうけて赤く塗られたものも含まれており、文様も非常に多彩です。
縄文時代前期の竪穴建物はこれまでの調査でみつかったものを合わせると7棟となり、県内では最多
例となります。
楕円形の穴は長径約120から200㎝、短径約80から100㎝の大きさで、調査区の中央部から南部にか
けて28基がみつかりました。穴からは石皿や縄文土器、玦状耳飾りなどが出土しました。人骨等は
残っていませんでしたが、穴の形状や出土品の状況から墓である可能性が高いと考えられます。
弥生時代中期の竪穴建物はたて3.3m、よこ3.8mの方形で弥生土器の破片などが出土しました。弥
生時代の遺構が空畑遺跡でみつかるのは初めてのことです。
今回の現地説明会では、みつかった竪穴建物や楕円形の穴、土器・石器を現地で直接ご覧いただくこ
とが出来ます。ぜひこの機会にお越し下さい。
6 玦状耳飾りについて
玦状耳飾りは石で作られた装身具の一種です。今回、空畑遺跡でみつかったものは、左下の部分が欠
損していますが、本来はドーナツ形の円盤に切目が一箇所入る「C」字を下に向けたような形をしてい
ます。古代中国の玉器(ぎょくき)「玦(けつ)」に似た形をしていることからこの名でよばれていま
す。2個セットでみつかる例があり、耳たぶに穴を開けて通すタイプの耳飾りであると考えられていま
す。
玦状耳飾りは縄文時代早期末頃から出現し、前期になると全国的に広まり、中期の中頃にはみられな
くなります。県内では約20点ほどみつかっていますが、ほとんどは表面採集によるもので発掘調査で
出土したものは今回のものをいれて6点目となります。
空畑遺跡の玦状耳飾りに使われている石材は重量感があり、全体的な色調は透明感のある濃いオリー
ブ色で部分的に白色をしています。このような特徴からヒスイである可能性も考えられますが、石材に
ついては今後、科学分析による同定を行うことで明らかにする予定です。
7 その他
(1)小雨決行。ただし、激しい降雨の場合は中止します。
なお、当日の午前9時00分時点でいなべ市に暴風警報・大雨特別警報・暴風特別警報が発表されて
いる場合も中止します。
(2)連絡先
三重県埋蔵文化財センター 調査研究4課 勝山孝文
三重県埋蔵文化財センターいなべ整理所 0594-72-8955
公用携帯(当日)080-3677-5931