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刑事訴訟法の再審規定の改正を求める意見書

刑事訴訟法の再審規定の改正を求める意見書

 えん罪は、国家による最大の人権侵害の一つである。えん罪被害者の人権救済は、人権国家を標ぼうする我が国にとってはもちろんであるが、地域住民の人権を守る義務を有する地方公共団体にとっても重要な課題と言える。また、本県では、名張市において、名張ぶどう酒事件が発生しており、現在、第10次再審請求が係属している。
 えん罪被害者を救済するための制度である再審については、その手続を定めた刑事訴訟法の規定(第四編 再審)に再審請求手続の審理の在り方に関する規定がほとんどないことから、裁判所の広範な裁量に委ねられている。このため、再審請求手続の審理の進め方には、事件を担当する裁判官によってそれぞれ違いが生じている。このことから、再審請求手続の審理の適正さが制度的に担保されず、公平性も損なわれている。
 その中でも、とりわけ再審請求手続における証拠開示の問題は重要である。過去の多くのえん罪事件において、警察、検察等の捜査機関の手元にある証拠が再審請求手続において明らかになることは、えん罪被害者を救済するための大きな原動力となっている。したがって、えん罪被害者を救済するためには、捜査機関の手元にある証拠を利用できるように、これを開示させる仕組みが必要である。しかし、現行法にはこのことを定めた明文の規定が存在せず、再審請求手続において証拠開示がなされる制度的保障はない。そのため、裁判官及び検察官の対応によって、証拠開示の範囲に大きな差が生じているのが実情である。このような格差を是正するためには、証拠開示を制度的に保障する規定の整備が不可欠である。
 さらに、再審開始決定がなされても、検察官がこれに幾度も不服申立てを行う事例があり、えん罪被害者の速やかな救済が妨げられている。しかし、再審開始決定は裁判をやり直すことを決定するにとどまり、有罪、無罪の判断は、再審公判において行うことが予定されている。そして、再審公判では、検察官にも有罪立証をする機会が与えられている。したがって、再審開始決定がなされたのであれば、速やかに公開の再審公判に移行すべきである。
 よって、本県議会は、国に対し、えん罪被害者を一刻も早く救済するため、刑事訴訟法の再審規定について、これらの趣旨を踏まえた改正を速やかに行うよう強く求める。

 以上のとおり、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  令和5年12月21日

三重県議会議長  中森 博文  

(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
法務大臣

 

 

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