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令和3年定例会2月定例月会議 請28

受理番号・件名 請28 日本の伝統文化の保存のため「精麻」の維持継承について
受理年月日 令和3年2月17日
提出された
定例会
令和3年定例会2月定例月会議
紹介議員 石垣 智矢、山本佐知子、中瀬古初美、廣 耕太郎、山内 道明、稲森 稔尚、藤田 宜三、石田 成生、谷川 孝栄、中村 進一、中川 正美
付託委員会 医療保健子ども福祉病院常任委員会
請願要旨
(要 旨)
1.日本の伝統文化の保存継承に不可欠な素材である「精麻」(大麻繊維)生産の必要性について、県民への理解の周知・啓発とともに、精麻生産が県内で安定的に維持継承され、日本の伝統文化の保存継承に寄与できるよう進めていただくことをお願い申し上げる。
2.現在、国で大麻取締法見直しの検討が進められている。この機会に、大麻取締法の中で、繊維型大麻と薬物濫用の恐れのある薬理型大麻とを区分する基準を定め、繊維型大麻については、世界基準にしたがって通常の農作物として扱い、薬理型大麻については、より適切に安全管理ができるようにしていただくように国の関係機関に意見書を提出して頂くことをお願い申し上げる。

(理 由)
1、古来より日本で繊維採取目的として栽培されてきた麻(大麻)は「繊維型大麻」と呼ばれ、薬物濫用の恐れのある薬理成分(テトラヒドロカンナビノール=THC)が極めて少ない品種で、これまでそれらの麻が薬物として濫用された例はない。又、「三重県大麻取扱者指導要領」では、本県で栽培される大麻草については「栽培のために使用する種子は、薬理成分である含有量が少ない品種とすること」と定められ、現在、三重県で栽培されている大麻草は、毎年、県による検査を受けTHC濃度が極めて低いものであるとの証明を受けたものである。
 繊維型の大麻草の茎から表皮を剥ぎ加工した繊維を「精麻」という。精麻は、神社の祭祀をはじめ、あらゆる場面で使用されている。大相撲の横綱、下駄・草履などの鼻緒、織物、畳糸、馬具、面や装束、弓の弦、鼓、漆器、和紙、左官材料(すさ)などとして精麻は広く使われてきた。茎は、茅葺屋根の材料として合掌造りやお盆に使う「しょうろばし」や伝統的な祭りの松明としても使われている。また、それを炭にした「麻炭」は花火の原料(助燃材)として不可欠なものである。七味唐辛子に入っている大きな種は麻の種である。このように、麻(大麻)は日本人の伝統文化や生活にとって大切な植物である。
 麻はかつて全国各地で栽培され、戦争直後は全国に37,000人の大麻栽培者がいたが、現在では国内でわずか33人となり、精麻の生産をおこなう麻農家に限れば、栃木県の11軒のみとなっており、大半は高齢で後継者が決まっているのはわずか1軒である。まさに、精麻の生産は風前の灯である。もしも、精麻の生産が途絶えれば、神社祭祀ばかりでなく、伝統文化やそれに関連する産業が途絶える、もしくは正しい形で繋がらなくなってしまう。このような状況に、日本の伝統的な産業や文化に深く関わっている我々は大きな危機感を抱かずにはいられない。
 国内での精麻生産の存続が危ぶまれる中、神宮が鎮座し、日本人の心の故郷といわれる伊勢で精麻生産が始まったことは、我々の大きな喜びであり、希望となった。日本を代表する伝統文化を有する地として、三重県には全国から毎年多くの方々が訪れ、それが三重県の繁栄や発展に繋がってきた。したがって、三重県は日本の伝統文化の維持発展に貢献していく責任があると思う。
 前述のように、日本の精麻生産は危機的状況にある。三重県として日本の伝統文化の維持継承を進めていただくことをお願い申し上げる。
 
2、大麻取締法は厚生労働省と農林水産省とが共同で管轄する法となっており、大麻の栽培については都道府県の免許制である。免許審査の基準は都道府県の知事の広範な裁量権に委ねられており、保健衛生上の観点と農業振興の観点から適切なバランスを考えて政策を決定する権限は各県に委ねられている。
 世界では、大麻草の栽培・利用については、含まれているTHCの量によって区別するのが常識となっている。例えば、EUではTHC含有量0.2%未満、カナダ、米国、中国ではTHC含有量0.3%以下の品種を産業用大麻と定義し、登録品種であれば国の定めた規則に従ってだれでも栽培することが可能となっている。
 しかしながら、日本(現行の大麻取締法)では、大麻草に含まれる薬理成分(THC)の含有量の多少にかかわらず、大麻草は原則として栽培禁止となっており、又、その一方で、解禁の基準設定が各都道府県の広範な裁量権に委ねられているという歪な形になっている。
 このような都道府県に対する過剰な責務を解消し、精麻生産の維持継承と薬物乱用防止の施策が両立しやすくなるように、繊維型大麻草と薬理型大麻草とを区別する基準を、大麻取締法に盛り込む改正を国に求めていただきたいと存ずる。

 
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